布屋忠次郎日記

布屋忠次郎こと坂井信生の日記

千秋楽の結末

2008-05-28 22:51:58 | 相撲
五月場所の表彰式、初優勝した琴欧州は、「君が代」の演奏に声を合わせていたそうだ。「何となく歌えるようになったんだ。もともと歌は下手なんだけどね」とのこと。
日本人としてはうれしいねぇ。寿司喰いねぇ、茶ァ飲みねぇ、って気分になる。

それはそれとして、千秋楽結びの一番のあとの、朝青龍と白鵬の一件。
役員室のテレビで一番を見ていた北の湖理事長のコメントが報道されている。いわく「(朝青龍のドシンは)ダメ押しじゃない。勝負はとっさにつくものだから。カーッとしている白鵬の方がおかしい
私なんか素人として見ていて「朝青龍!それはやばいだろ!」と思ったけど、経験者、プロはそう見るんだな
言われてみると朝青龍のドシンは、白鵬の体勢が崩れたあと、「うわ、まだ勝負ついてない」とあわてて追撃したようにも思えなくもない。白鵬に向き直られたときの朝青龍の顔は、「え?何で睨まれるの?」という表情には見えても、ダメ押しして「思い知ったか」という表情には見えなかったと思う。あとで「殴られるかと思った」とコメントしてるし。

ただし、横綱審議委員は、北の湖理事長と違って、相撲を知らない。「相撲観戦」のプロではあっても「相撲」のプロではない。そして横綱審議委員会の結論は「両成敗にしろ」というものだった。
ここですごく意外だったのが内舘氏のコメント。「(北の湖理事長の)『流れ』っていうこと(説明)になると、実際に(相撲を)取ったことがない人には、わからないですよね。だけれども、そのあとに2人が土俵上でにらみ合うっていうことに関しては、これは両成敗でしょうと。」
なんかこの人、朝青龍を目の敵にしているだけの人だと思ってたけど、そうでもないんだな。ドシンまでは北の湖という「相撲のプロ」の説明を受け入れ、ただそのあとのにらみ合いについては「相撲の観戦のプロ」として一言申し上げる、と。

で結局、横綱審議委員会の「両成敗にしろ」の決定によって北の湖の裁定は覆された。白鵬の親方に注意だけだったのが、27日に両横綱にそれぞれ厳重注意がおこなわれた。
横綱審議委員会は相撲協会の理事長の諮問機関なのだそうだ。ということは、北の湖理事長は横審の答申を厳粛に受け止める必要がある。でも、「相撲観戦のプロ」かもしれないが土俵にあがったこともない横綱審議委員会によって、相撲経験者の理事長の判定が覆されるというのは、なんか違和感がある。

この違和感は、少し前にどこかで感じたような。

ああ、そうだ。皇室典範改正論議のときだ。
あの時、皇室のことも日本の歴史のことも何も知らない、つまり当事者能力のない委員たちによって、当事者である皇室にに何の相談もなく発言すら許さずに、皇室のあり方が変更されそうになった。あの時の違和感とすごく似てる。

ただ一点だけ違うのは、横綱審議委員会は「相撲をとる」ということに関しては当事者能力はないけれど、「相撲を観戦する」ということに関しては当事者中の当事者ということ。あの場面を見た観客や視聴者の「両成敗だろ」を汲んだということかもしれない。大相撲は「お客様(視聴者)あってのスポーツ興行」なのだから、「見るプロ」の意見はやはり大事にしなきゃならないのだろう。

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