
ある大企業にはリストラ・マニュアルがある・・・・。
そんな記事を新聞で読んで暗澹とした気持ちになりました。
会社が違うとはいえ、わたしがリタイアした頃にはそんなもの無かったぞ。
リストラ(リストラクチャリング)は、本来、企業が行う組織の再構築、構造改革のこと。
それが今では、人員整理、要するにクビ切りと同義で使われるようになってしまいました。
あまりに大量で露骨なクビ切りをすると世間がうるさいので、あの手この手が考え出されました。
呼び方はともかく「追い出し部屋」もその一つ。
昔から、似た言葉として窓際族という言葉がありました。
第一線の仕事をしてもらうには歳を食い過ぎ、予備軍的な存在のおじさん社員がこう呼ばれました。
その頃は、まだ高度成長時代でしたから、企業にも窓際に座らせておく余裕があったのです。
また、終身雇用の制度もそれなりに機能していたのだと思います。
ところがバブル崩壊後は企業にそんな余裕も無くなりました。
そこで、じっくり腰を据えて構造改革をすればよかったのですが、安易なクビ切りに走った。
成果主義というのもその時代の産物ですが、なかなかうまくいきませんでした。
経営の3資源は、人・物・金。
人は資源だ!とする考え方もすごいな、と思いますが、それは置いておきましょう。
このバランスを考え直すのが構造改革。
と、わたしなりに考えているのですが、問題はその時の優先順位です。
企業が目先の利益、すなわちカネを重要視すると、人が一番のカネ食い虫ですから安易なリストラに走る。
でも、企業に利益をもたらすのは、やっぱり人なんですよ。
数日前のブログで日本のIT企業の不振を嘆きました。
たぶん、その一因にはこのリストラがあると思います。
クビを切られた技術者が韓国、台湾、中国に流出し、いまではシェアまで奪われる破目に・・・・。
自企業で長い時間かけて育てた正社員のクビを切り、派遣社員に置き換える。
それでは企業の競争力が落ちるのは当たり前でしょう。
数年前のブログにも終身雇用を復活すべきだ、と書きました。
安定した将来があってこそ、人は本気で仕事に取り組むことができます。
経済成長なんてカネをばらまけばできるというものではありません。
子どものころからの教育を含め、人を育てること、育てた人を何より大事にすること。
それが基本に無ければ、落日の日本はまだまだ続くでしょう。
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