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『ハウルの動く城』は世界を救うか?

2004-11-21 | movie/劇場公開作品
日本に生まれてよかった、と心底思うときがあります。
それは大概、宮崎駿のアニメを観た時かも知れません。
そして、彼の作品を愛せる心が自分にはあるんだ
という安心感からそう思えるのかも知れません。

『ハウルの動く城』には、今までの宮崎駿の作品で感じた楽しい要素が詰まっています。
情緒のある街並み、自然の美しさ、ガラクタの山、不思議な魔法や呪い、
強大な飛行戦艦、ユニークなキャラクターたちとまっすぐな心を持つ少女。
そして、心の奥底を覗くような体験。
どれもがドキドキして、観るものを飽きさせません。

だけれど、私はオールナイトで観終わった後、なんだか釈然としませんでした。
後半勢いよく終わってしまったからかもしれないし、
ハッピーエンドが気に入らないのかもしれない。
帰るまでの道のりで色々考えていました。

なんで楽しめない? あんなに好きになれる保障がたくさんあったのに。
私の安心感はどこへいったんだ?

そして、これを書き始めて気付いたのです、
私は、愛の存在を、ちっとも信じていないのかもしれない。
最後、→戦いは簡単に終わりの方向へ進んでしまうけど
「愛の力で戦争は終わらない、なんでもそう上手くいくはずがない。」
3年くらい前からの、今の世界を見ても感じられることです。
愛に全てを委ねるなんて出来ない、と、純愛ブームの世の中で私は思っているのです。
でも、本当は信じたい。
思い切って信じられたらどんなに幸せだろうとも思うのです。
ただ、それには相当の勇気が要ります。
愛で世界が変わったらどんなにいいでしょう。

釈然としない部分は、原作を読んだら解決するかもしれません。
(魔女達とハウルの関係あたりとか。)
たとえば、キューブリックの『シャイニング』みたいに、
読んでみたら全てがはっきりするかも。
それまでははっきりと決め付けることも出来ませんが、
私は「大人になって」はじめて宮崎アニメを見たのかも、とも思うのでした。
なんだか批判精神にあふれてしまって…。
あまりに今までの宮崎駿作品がフラッシュバックされて、新鮮味に欠けてしまったし、
どうしても素直に楽しめなかったんです。

宮崎駿が何を感じてこの作品を作っていたのか、やっぱり知りたいなぁ。

観終わった時、ふと『ナウシカ』の漫画版が読みたいと思ってしまったのですが、
あれが私にとって今一番リアルに感じられる世界だからなんだと思います。
でも、そういうところから離れて宮崎駿が行き着いているのが『ハウル』なんだとしたら、
それは喜ばしいことなのかもしれません。

ちなみに、世間的にももっとも問題になっていたキムタクの吹き替えですが、
全く問題ありません! 問題ないどころか素敵でした!
登場場面からハウルに惚れますよ、ソフィーじゃなくても。
ソフィーは今までで一番好きなヒロインかもしれません。
ちょっとコンプレックスがあるけど、強気で心優しいソフィーみたいになりたい。
このままじゃ収まりつかないので、また、少なくとももう一回は観に行きたいです。
観ていない人は、早く観に行って感想聞かせてほしいです。
なにより、観終わってしまったってことが一番寂しいんです(涙)。
コメント
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