ノリの東京の友人の生きる糧(福岡編)

日々のちょっとした楽しみや悲しみを徒然に語ります。

2014年を振り返る(6) ~ 生きる糧(読書部門) ~

2014年12月29日 | 

 今回は生きる糧(読書部門)の振り返りです。
 今年も数多くの小説、実用書、漫画、雑誌、等を読みましたが、買ったのに読んでいない本もたくさん増えてしまいました。2010年の10月に今の浦和の家に越してきた時は実家から小説を数冊持ってきていただけだったのですが、今は4つの本棚にも収まらないくらいの本に囲まれて生きています。やはり、読書は私の最大の生きる糧ですね。


 さて、今年読んだ本で一番面白かったのは、イギリス人旅行家のイザベラ・バードの『日本紀行(上下巻)』と『朝鮮紀行』の3冊でした。

 この100年以上前に書かれた日本と朝鮮の旅行記(日本紀行は1878年の旅、朝鮮紀行は1894年から1897年の間の4回の旅を記した旅行記です)は、日本と朝鮮(今の北朝鮮と韓国)の近代史を調べる時に必ず出てくる本なので、その存在は知っていて断片的に文章は読んでいましたが、全編通して読むのは今回が初めてでした。当時の日本や朝鮮の様子を知る事はもちろん面白かったのですが、一番面白かったのは、その毒舌にまみれた文章でした。訳者の時岡敬子さんの訳し方の問題なのかもしれませんが、気分がいい時と悪い時の落差が激しすぎて笑ってしまいましたね。

 さて、 この2冊を読んで感心したのは、日本と朝鮮(今の北朝鮮と韓国)の国民性の違いが100年以上前に書かれたこの旅行記に既に描かれていた事です。100年経っても国民性って変わらないんですね。これはやはり、国を治める支配階級(王族や政治家や役人達)の違いが大きいですね。それに関してこの2冊で一番印象に残った箇所を引用すると、

 「11月6日、京都にて けさこちらに着きました。ふたりの外国人女性が従者すらつけず200マイル(約320キロ)近くを、それも西洋人をめったに見かけない地域を旅して、一度のゆすりや無礼な行為や難事にも遭わないばかりか、どこにおいても丁重で親切な扱いを受けたことは、この秩序正しく平穏な地で外国人がいかに安全を享受しているかを示す証拠です。」 ・・・ 日本紀行・下巻349ページから引用。

 「朝鮮の官僚は大衆の生き血をすする吸血鬼である。 (中略) 政府官僚の 大半は、どんな地位にいようが、ソウルで社交や遊興の生活を送り、地元での仕事は部下にまかせている。しかも在任期間がとても短いので、任地の住民を搾取の対象としてとらえ、住民の生活向上については考えようとしない。 (中略) この町でも、またほかのどこでも、人々は日本人に対して激しい嫌悪感をいだきながらも、日本人が騒ぎを起こさず、なにを手に入れるにもきちんと金を支払っていることを認めざるをえない。」 ・・・ 朝鮮紀行392ページ、393ページから引用。

 今年は日本では海外からの旅行客の急増、韓国ではセウォル号の海難事故や大韓航空のナッツ・リターンズ事件等が話題になったので、上に引用した文章を読んで、「本当に昔から変わっていないんだあなぁ。」と感心しましたね。日本も特権階級の存在が見えてきて不安定な社会になってきていますが、韓国は既に身動きがとれない感じで本当にどうなってしまうんですかね。現支配者が倒れれば大きく変化する可能性がある北朝鮮の方が健全な社会になれる可能性が高いかもしれませんね。


 さて、本ブログに過去に何度も登場している数々の私の生きる糧の進捗ですが、「完結は無理だろう。」と諦めていた夢枕獏先生の小説『獅子の門』が、なんと、今年完結しました。ただし、完結は嬉しかったのですが、無理やり終わらせた感を少し感じたので、残尿感に似た感じを持って最終巻を読み終えました。少し残念でしたね。北方謙三先生の『水滸伝三部作』の完結編『岳飛伝』も順調に進んで終わりが見えてきた感じなので、『獅子の門』と『岳飛伝』の2作品は私の期待に応えてくれた生きる糧と言えそうです。

 長年続いている生きる糧では、尾田栄一郎先生の漫画の『ワンピース』はほとんど話が進まずドレスローザ編がまだ続いていますし、夢枕獏先生の小説の『餓狼伝』は今年も新刊が出ず、三浦建太郎先生の漫画の『ベルセルク』は、「あれっ、今年って新刊出たっけ。」と言う感じで、3作品ともに目立った進捗はありませんでした。今年も書きますが、3作品ともに未完で終わる匂いがプンプンするのと同時に、「最終回を読まずに俺の方が逝ってしまいそうだなぁ。」と言う無常感を今年も感じてしまいました。

 他では、ヒラマツ・ミノル先生の新撰組漫画の『アサギロ』は、ようやく10巻で京都に到着して新撰組の原型になるところまで来ました。あだち充先生の野球漫画の『MIX』もそうですが、月刊誌に連載されている漫画は進行が遅くて悲しいですね。他の作家で復活した『グイン・サーガ』も新刊の刊行ペースが遅いので少しヤキモキしています。

 あとは、年末に出版される恒例の『このマンガがすごい2015』を読んで、オトコ編1位だった大今良時先生の『聲の形(こえのかたち)』全7巻を一気に読みましたが、「いじめや障がいをテーマにした漫画が出版されて評価される日本の漫画って成熟しているなぁ。」と改めて思いました。漫画って本当にスゴいですね。良い作品でした。


 以上、今年の生きる糧(読書部門)の振り返りでした。来年も良い本にめぐり逢えるといいですね。

 「日本人の2人に1人が、1年に1冊も本を読まない。」と言う状況らしいのですが、私には別の世界の話に思えますね。読書は一番手軽な『日常からの離脱』の手段なんですけどね。「無人島に何か1つ持っていけるなら何を持っていく。」と聞かれたら、迷わず私は、「本。」と答えます。どの本を持って行くのかは滅茶苦茶悩みますけどね。

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2 コメント

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今度貸して下さい。 (H先輩)
2014-12-29 06:48:04
今年は韓国で大きなニュースが連発してましたが、呆れてしまう事件ばかりでしたね。
韓国という国に辟易して興味を無くしつつある状況ではありますが、イザベラ・バードの著作は以前から歴史物として純粋に読んでみたいと思ってたんですよね。
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H先輩へ (ノリの東京の友人)
2014-12-29 21:01:04
今度お会いする時に持っていきます。
 記事には書きませんでしたが、日本紀行にはアイヌの旅行記も入っているので、本書はかなり貴重な資料だと思います。ちなみにイザベラさんは日光をベタ褒めです。

 あとは、キリスト教徒ではない日本人が幸せに暮らしているのをみて、自分の宗教観に少し疑問のような感情を持つイザベラさんの様子も書かれていて興味深いですよ。
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