世界が認めた「最高実力者は小沢一郎」・・・

　先日、アメリカの調査分析会社が、今年注目すべき世界の指導者１０人を公表した。１位は中国の温家宝首相、２位は米国のバラク・オバマ大統領で、なんと３位が民主党幹事長・小沢一郎であった。日本の最高権力者であるはずの鳩山由紀夫首相はランク外だったそうで、鳩山政権であっても小沢民主党だと認めたことになるが、このランク付けを鳩山総理はどう思っただろうか。
　同調査では、小沢氏を「内閣における役職にはついていないが、民主党内で最も力がある政治家」と紹介しているそうで、さらに、選挙でも小沢氏が資金面、党の戦略、候補者選定のすべてをコントロールしていると指摘、「もし、小沢氏が失脚することになれば、政策への影響は大きくはないが、（それ以上に）選挙に与える影響は測りしれない。民主党の選挙戦の見通しは暗くなる」と分析したという。
　しかし、一方では、小沢氏の資金管理団体をめぐる収支報告虚偽記入事件については「スキャンダル」と明記したうえで、これを乗り越えれば７月の参院選勝利に向けて政権全体に対して強い主導権を握るとしている。

　２３日、小沢氏は東京地検の事情聴取終了後、記者会見を開き、これまで同様一切の関与を否定し、何ら新しい説明はなかった。まあ、これは予想されたことで、結局、真実は闇の中、当事者のみぞ知るでこれ以上明らかになるとは思っていない。
　物の書によれば「政治資金とは、個人・政治団体・政党などが、それぞれの政治目的を達成するために、その活動上必要とする資金をいう」とある。ならば、政治資金で土地を買うこと事態が不適切、かつ、献金した支持者を裏切ることにならないか。
　
　国会が始まったのに、政権与党のトップ２人の「政治とカネ」問題で紛糾し、肝心要の予算審議はどうなっているのか。このままでは被害を蒙るのは国民であることを、与野党ともに肝に銘じてもらいたい。
　そこで、鳩山総理にも一言。先日来の軽はずみな発言が野党の格好な攻撃の的になっている。小沢幹事長の資金疑惑問題で「どうぞ闘って下さい」と述べた問題について野党から批判され、総理は「幹事長が頑張っていくということに対する激励ならびに了承の言葉としての発言だ」との苦しい釈明。この発言に対して、行政のトップとしては不適切だという人もいれば、あの発言は正論だという人もいる。だが、小沢氏が検察と全面的に闘う姿勢を見せ、総理と会談した直後の発言としては、「検察と闘って下さい」と取られても仕方あるまい。
　また２１日、政治資金規正法違反事件で逮捕された小沢氏の元秘書・石川衆院議員について、鳩山総理は「起訴されないことを望みたい」と述べた。これに対して、総理が個別の刑事事件の処理に言及するのは異例だとして野党が批判、総理はこの発言を撤回した。
　そして、１月２２日の衆議院予算委員会では、平成１７年７月２６日の衆議院本会議で、鳩山さんが当時の小泉首相に対して普天間基地の「代替施設なき返還」をアメリカに求めるべきと強く迫ったことの整合性を追及され、「現実的に」という言葉を４回も使いながら苦しい答弁に終始し、結局はその発言を撤回した。野党時代の発言で自縄自縛に陥り、あたふたする姿は見苦しい。

　鳩山総理が記者団の質問に答えようとする姿勢は評価するが、その場その場で思いついたことを口にする傾向があるようだ。前政権の麻生元総理も誤読や失言で、野党から相当厳しく批判され釈明することが多かったが、２人とも「裕福な家庭に育ったボンボン」特有の“お気楽な性格”は相似しているようである。

　ところで、自民党は２２日、鳩山総理と同様に実母から資金提供を受けていた弟の邦夫氏を党政治倫理審査会に呼んで事情聴取する方針を固めたという。邦夫氏の「政治とカネ」をめぐる問題の解明に取り組む姿勢を示すことで、首相を揺さぶるのが狙いだというが、邦夫氏が認めるわけはない。これまで「知らなかった」で通していて、ここでいささかでも疑惑が生じれば総理にも火の粉が飛び、大変なことになる。鳩山総理は、自民党総裁・谷垣氏の追及に、「事前に知っていたことが証明されれば議員バッジを外す」と言明した。表向きは兄弟仲が悪いとされている２人だが、この問題に関しては政治生命がかかっているだけに、共同戦線を張って口裏を合わせることは大いに考えられる。なんとかして国民の支持を得たいがための自民党のパフォーマンスであろう。

　先ごろ行われた全国世論調査では、与野党共に支持率を下げている。共に下落傾向にあるということは、無党派層が増えているということだろう。だが、これからの民主党に期待している人もまだ５５％いる。国民にこれ以上失望させることのないよう頑張ってもらいたいと思うと同時に、そもそも、日本の最高実力者は小沢だといわれることは日本の恥でもあるのですよ、鳩山さん