白洲 正子文学逍遥記

故・白洲正子様の執筆された作品を読み、その読後感と併せて能楽と能面、仏像と仏像彫刻、日本人形、日本伝統美術についてご紹介

能面と能楽・仏像と仏像彫刻-020

2012-09-14 | 日本の伝統芸術

 

日本の伝統芸術と芸能 

         能面と能楽佛像と佛像彫刻 

                                   その020

 

人形特集-014

        ・・大正・昭和期市松人形

 

 しばらくの間ご無沙汰してしまいました。台風15号の災害は思いのほか大きく、今もすこしづつ後始末に追われております。詳しいことは姉妹ブログの「瘋癲老人日記」  http://akanechan.at.webry.info/   をごらんください。

 

 弘法さんと私・M清子>さんからお借りしました、二代目光龍斎製作の市松人形を先回から再度大きいサイズでご紹介しました。今回はその続きを致しましょう。

 二代瀧澤光龍斎作で幾分幼ない顔立ちですが、かわいらしい面立ちです。京言葉で<はんなり>という表現がありますが、人間味が強くなかなかの出来です。弘法さんの紹介では京都四条御旅町「けうゑや並河人形店」の銘紙付きだそうです。江戸縮緬着物を着ております。

 

 瀧澤光瀧斎作 (大正時代)

 

能面的な表現をすると、先回の市松は「小面」、今回は「万媚」というところでしょうか。着物の専門の方が着付けをしておりますので、実にお人形がきりりとして見えます。美術品は事後管理が大変なんです。

次は

紋ちりめんの着物を着た市松さん。顔立ちは静かな表情です。光龍斎の個性が滲み出ております。着物の柄も色彩的に艶やかですね。頭の花飾りは何でしょうか?素晴らしいアクセントが付いております。この作者の作品は共通して品性が感じられます。この方の人格が滲み出ているのでしょう。

 

瀧澤光瀧斎作 (昭和時代) 

 

 

ここで作者を変えてみましょう

 筆者が始めてみた市松人形の作者です。頭の造りは瀧澤作とはまた少し違った感じには見えますが、なかなか良い出来です。眉の毛書きが少し違うのでそのように見えるのでしょう。口の切り方も幾分小さめに彫り上げております。頬の肉の盛り上げも少しふっくらしております。

頭の木地が同じでも、胡粉の盛り上げ、彩色、毛書きで個性が出てきます。上の市松とは頭の木地は違うと思います。

 

大田 徳久作(昭和時代)・・答礼人形作者

 

 錦紗の可愛い着物です。月の形のペンダントを帯に付けております。藤色の素敵な着物です。ちょこっと、小さな足袋が見えております。帯の色も鮮やかな紅花で染め上げた・・・西陣織りでしょうか?

次回も続きます。

 

さ~て、次は恒例の<答礼人形>です

 

 

         

 

A-001 

 Miss Nara ・ 岩村松乾斎作

 

 

所蔵都市 アイダホ州ボイジー
所蔵館 アイダホ州立歴史博物館

   

              九に三つ葉葵              菊水

                            

 

1927年にアメリカに答礼人形として渡ったMISS 奈良は、全国を巡った後に、1928年にアイダホ州ボイジーに到着しました。1994年に修復のために一時帰国し、東京の吉徳株式会社の東光松乾斎作により、修復が行われました。

 

修復後のMIss Nara

 

修復後のMiss Nara

 

この市松人形は以前は Miss Knagawa とされておりました。今のところ、この人形の行方は分かりません。アメリカ国内で個人で所蔵されている市松人形もありますので、その中に紛れているのでしょう。また、オレゴン州に送られて市松人形はMiss Fukuoka なのですが、人形の携行品はMiss Kanagawaのものでした。

このように戦中戦後のどさくさの中で、人形本体と携行品がバラバラになったり、甚だしいのは着物と人形の本体が入れ替わったり、さまざまな事が起こっていたようです。このような混乱はまだ沢山の市松人形にも有ります。

日本に里帰りしたり、専門家が調査したりの中で、これらのことが発見されるのです。今後も数多くの行方不明がありますので、出て来ることでしょう。

 

                           

 

岩村松乾斎作の答礼人形はこの他に、Miss 樺太、関東州、鳥取、香川、福岡などに含まれて居ります。 資料が有るものは今後随時ご紹介しましょう。

 

B-002

 

 

Miss Fukuoka  作者不明

 

                   

上の写真の下に写っている日傘にには「ミス・福岡」という金属板が張られているそうです。オレゴン大学美術館の改装工事に伴う資料整理の中で、このミス・福岡が発見されました。当時。オレゴン州に送られたのは記録によると、Miss 神奈川だったそうです。 

現在の美術館に残っている人形の携帯品(日傘を除く)はMiss 神奈川のものだそうです。現在のところ、Miss 神奈川は行方不明となっております。

          行方不明のMiss Kanagawa

 

 Miss Fukuoka 里帰り特別展示会・ポスター 

        

 

所蔵都市 オレゴン州ユージーン
所蔵館 オレゴン大学美術館

 

                                                       
                                         
  五七桐           丸に三つ葉葵

いずれにしても1927年代のことですから、資料調べも大変です。間違いがあるかもしれません。発見された方は教えてください。まだまだご紹介は続きます。

 

                              

 

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