白洲 正子文学逍遥記

故・白洲正子様の執筆された作品を読み、その読後感と併せて能楽と能面、仏像と仏像彫刻、日本人形、日本伝統美術についてご紹介

白洲正子文学逍遥記-0022

2013-11-30 | 日本の伝統芸術

 

白洲正子文学逍遥記

-022

 

 & 能面・仏像・日本人形・・etc

 

 

秋篠寺-02

 

 

 

明日からはもう師走。ノンビリ気分も本日まで。後は気ぜわしい雰囲気の中で、途中クリスマスを経て一気に正月へ突入。日本の一年中の中で一番慌しい季節。寒い北風が毎日のように吹き、乾燥した大陸の大気が押し寄せてきます。筆者が居住している集落は、加計呂麻島の北海道と言われるほど気温が低く、近在の集落から入り込んでくると、辺りが途端にひんやりしてきます。お陰で夏は意外と過ごしやすいという利点もあります。ただし、北からの強い突風がたまに吹きますので、これはたまに傷。

 

秋篠寺南門

 

先回は 技芸天」について余談も交えて書いてみた。紀子妃殿下秋篠寺の技芸天がどのような因縁を持つものかは、浮世を離れた異なる次元の世界の話ではあるが、紀州和歌山は目と鼻の先である土地柄であり、現に「紀氏」という豪族が存在したことでも有るから、決して根も葉もない話ではなかろう。

「技芸天は」は大自在天(ヒンズー教のシヴァ神)の髪際(ハッサイ)から生じたとされているが、ヒンズー教には技芸天に相当するものが存在しない。しかし、ギリシャ神話のオリンポス十二神の一つ、「アテナ」は最高神ゼウスの額から生じたと伝承されている。このことから技芸天はインドではなくギリシャからの伝承でないかと言う説も有る。現に「仏像」は古代インドよりもギリシャ経由(ガンダーラ佛)の可能性も有るから、この話は信頼性があると思うが。

 

    技芸天 ・ 竹内 久一作            秋篠寺・技芸天

                                 

 

 上記の仏像は美術教科書にも馴染みの現代の名工・竹内 久一作の技芸天である。 技芸天は経典では「左手を上に向けて、一天華を捧げる」とされている。そのことから見ると秋篠寺の技芸天は経典に合致しない。このことから、秋篠寺の技芸天は「音声菩薩」とも考えられている。しかし、筆者が礼拝の対象に壁に掛けてある、山田 敬中の技芸天の仏画(複製写真)は、秋篠寺の技芸天と同じポーズを取っている。天衣の描きかたも同じであるから、田中 敬中が秋篠寺の技芸天を基にして、描いたものに相違ないであろう。(この仏画は1929年製作、東京・目黒雅叙園所蔵となっていたが、現在は不明である。所有者が変わっているかもしれない

 

ちょっと 一服

 話の喫茶店 

 

 

竹内 久一の作品をご紹介してみよう。

1868~1934間の明治・大正時代の日本画家、浮世絵師。

摸刻 ・ 山田 敬中 作 (東大寺・法華堂・月光菩薩)/1891年作

 

神鹿 ・山田 敬中/1912年作

 

次回は「大元帥明王」について書いてみよう 

 

能面鑑賞

男面 

 

堀 安右衛門 特集 

 先回は男面の代表的な面を紹介してみました。今回は現代最高の能面師・初代 堀 安右衛門氏の作品をご紹介しましょう。(資料・・面からたどる 能楽百一番・・淡交社」

この方は長沢 氏春、橋岡 一路という現代の最高の能面師方々のお一人で、現在京都府福知山に居られます。面打ちの傍ら多くの能面製作集を書かれておられ、且つ、能面自体の水準も最高のレベルと言っても過言では有りません。彩色に優れた能面師ですね。

 

     観世家・室町時代 渇食            堀 安右衛門 作 中渇食

            

 

左の作品は能宗家所蔵の能面で、室町時代の名工の作ですが、堀氏の作品はそれに比較して遜色ない素晴らしいレベルの作品であることが、一見して分かります。単なる写しではなく型に嵌めながら、ギリギリのところで自分の個性を出していることが分かります。

以下順次ご紹介しましょう。

                   小渇食                小渇食 堀 安右衛門 作

            

 

現代の作家はいろいろ居られますが、この方を超える方は居りません。正に名人です。大変気持ちの暖かな優しい方で、鈴木 慶雲のような作家ですね。それが面に滲み出ております。如何でしょうか。能面というものはこのようにして打つものなのですね。作者の癖がありません。仏師の名人もこれに良く似ております。筆者は大変尊敬しております。

 

           童子桃山時代・三井家          童子・ 堀 安右衛門 作

                 

 カラーでないのが残念ですが、遜色ないですね。左の面は少し照らし気味、右は曇らし気味の撮影ですが。面の外形が少し違うのが表情の違いに影響してますでしょうか。毛書きの線は素晴らしい。

 

           慈童・室町時代・観世家              慈童・ 堀 安右衛門 作

                                                             

 確かなことは言えませんが、左の観世家の「慈童」の写しが右の面ではないでしょうか。口の切り方、毛書きの線の描き方を比較してみてください。

次回も堀 安右衛門氏の作品をご紹介しましょう。

 

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お知らせ 

能面打ち用の用材のお裾分けします。

 今から30年前に購入した面打ち用の用材です。材質は「櫟(イチイ)」です。櫟は別名<オンコ>とも呼ばれている、彫刻用の専用用材です。この用材は長野産です。 北海道の熊や鮭の彫り物や、奈良県の「櫟一刀彫り」でも有名です。年末から正月休みで面打ちをされてみたい方で、希望者に櫟の用材をお譲りします。(初めから檜材では高価ですので・・とは言っても彫刻材はどれも安くはありません・・数量は2本だけですが

 用材のサイズ・・260x175x105mm ・  柾目  譲渡価格・ ¥5.000円/一個(30年前の購入価格)、 送料は購入者負担でお願いします。

上から1,2段目まで櫟の用材

             

充分に乾燥しておりますので、狂いや脂の危険はないと思われます。木目が緻密なので打ち易いでしょうか。小面を打たれる方には最適のサイズです。同サイズの尾州檜材ですと240x170x90mm で¥12.600円位です。

メール・・SAWARAAMAMIN@yafoo.co.jp/

 * 譲受希望の方は送付先をお知らせください。メールにて送料、代金振込先をお知らせします。無くなり次第終わりとします。また、簡単なレベルでしたら、取り扱いの質問もお受けしますので遠慮なくどうぞ。宛先はAMAMINで結構です。

 

 

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