背中の盛り上がりと股関節の痛み
先日ご来院頂きましたお客様に仰向け時での背中の当り感に左右差が感じられる、違和感があるということと、右股関節の違和感を訴える男性の方がいらっしゃいました。
うつ伏せ時の背中の高さを見ると左側の肋骨が盛り上がっていました。ほぼ胸椎と肋骨の左側全面です。この傾向として脾臓や膵臓の疲労が考えられ、既往歴が無い場合ほぼ内科的な問題です。
脾臓がお疲れの方は大抵甘いものがお好きな方が多く、こちらのお客様も例外なく甘い物好きで、夕食後などには食べずにいられないそうです。お気持ちよくわかります。また、脾臓はリンパを生成する臓器なので免疫系、自己免疫疾患にかかわりが深くアレルギー系で何か症状が無いか訊ねましたら、10年来の花粉症に苦しんでおられるとのこと。
背中の違和感は脾臓の問題、改善していくには整体施術とともに甘いものをある程度控えた食生活の実践が必要である旨をお伝えしました。
次に股関節ですが、一通りの可動検査をしても大きな左右差や制限は見受けられませんでしたが、空手を2年ほどされているそうで、回し蹴りの時に痛むとの事です。その為、ストレッチを一生懸命行なってかなり柔軟性がついてきたようです。
ただ、この場合痛みは柔軟性ばかりに起因するものでもありません。関節の痛みを硬さからくるものだと考え過剰にストレッチを一方へ行なう方が少なくありませんが大抵この場合悪化させています。
原因の一つは、先ほど述べた脾臓=リンパの問題もあり、そけいリンパに少し滞りが生じ違和感につながっていることも否定できません。そして何故、右側かというと、先ほどの左背中の盛り上がりが原因となります。
左右両足とも稽古では勿論練習するそうですが、片脚を蹴り上げる時必然的に逆側の肋骨、胴体は縮み同側の胴体は伸びる動きとなります。
この方の場合、左盛り上がりの為、右足を振り上げた時に生じる左背中の縮み動作が右の背中に比べ非常に硬い動きとなってしまうことが原因です。盛り上がっている=伸びきっているので縮めづらい、ということになります。
その為、肋骨や骨盤との連動性が小さくなり、脚だけの動きに頼る為、恥骨が歪んだり股関節などに炎症が起きてしまいます。もともとリンパも問題もある上、胴体のアンバランスからくる可動制限も手伝って股関節の問題も生じていたようです。
つまり、甘い物、花粉症、背中のアンバランス、股関節の違和感は全て同じ原因で繋がっていたようです。
筋肉の上の層の筋膜という組織をゆっくり緩め(筋膜リリース)、背骨と肋骨の動きをつけていきます。
勿論、内科的活性をねらい経絡での施術も行ないます。最後は骨盤、仙骨、股関節、胸椎等を矯正していきます。
甘いものを控えること、胴体のバランス、可動性を促進させるエクササイズ、骨盤のストレッチをお伝えして一通りの施術を終えました。
傾向として後年に格闘技をはじめると、長年の胴体バランスが染み付いていて、うまく四肢と胴体が連動しきれず股関節等の怪我に繋がることが見受けられます。技術を成立させるのにはまず軸を磨いた上で進めていくことが肝要のようですね。