鎮静剤は不要:
科学者は、脳で新しい『睡眠ノード』を発見する
No sedative necessary:
Scientists discover new 'sleep node' in the brain
脳の半分の睡眠を促進する活性は、脳幹内にあるparafacial zone(PZ)から生じる。脳幹は生存に必要な基本的な機能(例えば呼吸、血圧、心拍数、体温)を調節するための脳の原始的な部分である。
ハーバード医学部とバッファロー大学の研究者は、PZにおいて神経伝達物質のγ-アミノ酪酸(GABA)を作る特定のタイプのニューロンが熟睡の原因となることを発見した。
彼らは正確にこれらのニューロンを遠隔制御するための革新的なツールを使用した。このツールは、実質的に自由にニューロンをオン/オフする能力を与える。
「これらのツールが開発される以前、我々は脳の領域を活性化するために『電気刺激』をしばしば使用してきた。問題は、電極が周囲のすべての領域を促進するということである。」
「実験のために必要とされる精度を得るため、我々はPZのGABAニューロンでだけ『デザイナー』受容体を発現するようにウイルスを導入した」、ハーバードのパトリック・フラー助教授は説明する。
「我々がPZでGABAニューロンをオンにすると、動物は急速に熟睡を始めた。鎮静剤や睡眠補助剤を用いずに。」
これらのニューロンがどのようにして睡眠と覚醒を促進する他の脳の領域と相互作用するかはまだ研究の余地はあるが、しかし最終的に、これらの発見は不眠症を含めた睡眠障害を治療する薬剤ならびに今よりも安全な麻酔薬の開発につながる可能性がある、と研究者は言う。
学術誌参照:
1.GABA作働性parafacial zoneは、延髄(medullary)で徐波睡眠(slow wave sleep)を促進する中心である。
Nature Neuroscience、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140918162313.htm
<コメント>
脳幹の延髄(medulla)に存在するparafacial zone(PZ)が、徐波睡眠(ノンレム睡眠)を促進するという記事です。
parafacial zoneは、脳幹の橋(pons)にある傍小脳脚核/結合腕傍核(parabrachial nucleus; PBN)に面した領域のようです。
PZのGABA作動性ニューロンが活性化すると、PBNのグルタミン酸作動性ニューロンを通じて、皮質に広く投射している大細胞性基底前脳核群(magnocellular basal forebrain; BFmc)を抑制して、結果として徐波睡眠(slow waves sleep; SWS)とデルタ波が生じるとあります。
視床下部の視索前野(preoptic area; POA)、特に腹外側視索前野(ventrolateral preoptic nucleus; VLPO)も、ノンレム睡眠に関与するとされています。
以前、睡眠の障害はVLPOに存在するガラニン作動性(galaninergic)の抑制性ニューロンの数と関連するという記事がありました。
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/9106e9dd92a4df5d40c0f0fb7a1d8e09