木星の大赤斑は、おそらく日焼けである
Jupiter's Great Red Spot is likely a sunburn, not a blush
NASAのカッシーニ・ミッションの最新の分析によれば、木星の大赤斑の赤い色は、おそらく惑星の高層大気で日光によって分解された単純な化学物質の産物である。これは赤斑の印象的な色の起源に関する他の主要な理論、つまり「赤みがかった化学物質は雲の下に由来する」という主張と矛盾する。
この結果はアリゾナ州トゥーソンで開かれているアメリカ天文学会の惑星科学部会(Division for Planetary Science)ミーティングでKevin Bainesにより今週発表されたものである。彼はカリフォルニア州パサデナのNASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory; JPL)に拠点を置くカッシーニ研究チームの科学者である。
BainesとJPLの同僚Bob CarlsonとTom Momaryは、カッシーニの2000年12月の木星接近通過と研究室実験から得られたデータを組み合せることでこの結論に到達した。
研究者は大赤斑の雲の最大高度に存在する物質に対する太陽の影響をシミュレーションするため、アンモニアとアセチレン・ガスを紫外線とともに吹き付けた。これらは木星に存在することが知られている化学物質である。
結果として生じた赤みがかった物質を、研究チームはカッシーニの可視光・赤外線マッピング分光計(Visible and Infrared Mapping Spectrometer; VIMS)によって観察された大赤斑のものと比較した。彼らが得た赤い混合物の光散乱特性は、「赤い物質が巨大低気圧のような特徴の最上部の領域(uppermost reaches)に閉じ込められる」という大赤斑モデルにうまくマッチした。
「大赤斑の赤みがかった物質の雲の上層部の下では、実際にはほとんどが、赤色は非常に穏やかであることを我々のモデルは示唆する。」、Bainesは言う。
「赤みがかった『日焼け』の下で、雲は多分白っぽいか、灰色がかっているだろう。」
木星はほとんどが水素とヘリウムから構成され、他の元素はわずかである。科学者は元素のどんな組合せが木星の雲の中で観察される色の原因であるかを理解することに関心があるが、それは巨大惑星の構造に対する洞察を提供すると思われるためである。
Bainesたちは初めに大赤斑の色が複雑な分子、硫化水素アンモニウムが太陽により分解された物に由来するかどうかを決定しようとした。硫化水素アンモニウムは木星の主な雲層を構成する物質の1つである。
しかし彼らの実験が生み出した産物は赤色ではなく、鮮やかな緑の色合いであった。この驚くべきネガティブな結果は、研究者に木星の高い高度で一般的な炭化水素とアンモニアの単純な組合せを試みさせた。紫外線でアンモニアとアセチレンを分解することは、カッシーニによって集められたデータに最も適合することが分かった。
木星は3層の主な雲の層を持つ。それは木星大気で特定の高度を占める; 最も高い高度から、アンモニア、硫化水素アンモニウム、そして水雲(water clouds)である。
強い赤色が大赤斑といくつかのやや小さい斑だけで観察される理由に関しては、研究者は高度が重要な役割を演じると考えている。
「大赤斑は非常に高い」、Bainesは言う。
「大赤斑の雲は、木星上の他の場所の雲よりも高いところまで届く。」
研究チームは赤斑の高度が、赤い色を発色し、さらにそれを強めることを可能にすると考える。木星の風はアンモニアの氷粒子を通常よりも大気の高い所へと運び、そこで太陽の紫外線にずっと多くさらされる。加えて赤斑の渦の性質が粒子を閉じ込め、逃げられないように阻止する。
木星の他の領域はオレンジ、茶色、赤い色合いの混合パレットを示すが、Bainesが言うには、これらは高く明るい雲が、より薄いことを知られている場所である。その薄さは、よりカラフルな物質が存在する大気圏深部への視界を許す。
記事出典:
上記の記事は、NASAによって提供される素材に基づく。
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/11/141112133207.htm
<コメント>
木星の大赤斑の色は「日焼け」であるかもしれないという記事です。