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2015年4月16日

2015-04-19 11:23:51 | 生命

基本的なプロセスの第一歩は、治療に使える細胞を作るために利用できる可能性がある
First steps in basic process could be harnessed to make therapeutic cells



胚の初期の細胞を様々なタイプの臓器へと発達するように誘導する分子シグナルを理解することは、組織がどのように再生し修復するのかについての洞察を提供する。発達の複雑な段階の根底にある原理を知ることにより、肝臓や心疾患の組織を修復したり移植するための新しい細胞を自由に作ることができるようになるだろう。

ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院の研究者たちは、このプロセスのちょうど始まりの時点での細胞のアイデンティティの変化がどのようにして生じるのかについて説明することが可能になった。

「科学者としての人生の中で、初期の細胞がどのようにして遺伝子プログラムの1つをオンにすることを『決定』してその他は排除するのかについて私はずっと魅了されてきた」、再生医療研究所のディレクターで細胞発生生物学の教授のKenneth S. Zaret博士は言う。

研究者によれば、今回の発見は多種多様な生医学的状況での細胞運命の誘導に応用できる可能性がある。例えば、受精後の初期胚のように別のタイプの細胞へ変身するときの分子的な変化を理解する際に利用できる。もう一つの例は治療目的で、例えば皮膚細胞を肝臓や血液、心臓細胞に直接変えることである。



 きつく圧縮されて(Tightly Packed)

それぞれの細胞のDNAは長さが2メートルで幅は原子20個分である。この遺伝物質は全て、体内にある14兆個の細胞それぞれの核の中に詰め込む必要がある。これは染色体タンパク質の周囲にDNAを巻きつけたヌクレオソームを一つの単位として、繰り返し構造を作ることによって可能である。これらヌクレオソームはさらにクロマチンと呼ばれる構造に圧縮され、すべてのDNAを細胞の核へと組み込む。

遺伝子発現を調節するタンパク質、つまり転写因子は、その標的であるDNAの作用部位をどのようにしてヌクレオソームの中から捜し出すのか? それは長年の謎だった。

京都大学のノーベル賞受賞者山中伸弥は、マウス皮膚細胞において遺伝子を調節する4つのタンパク質のスイッチを入れることで人工多能性幹細胞(iPS細胞)という胚性幹細胞と似た細胞に変換できることを発見した。遺伝子を調節する4つのタンパク質は、Oct4、Sox2、Kl
f4、c-Mycという転写因子である。これらはまとめて山中因子として知られ、通常は初期胚で活性化している。

山中らの研究を基礎として、Zaretの研究室は山中因子のヌクレオソームとクロマチンに対する標的活性を比較した。細胞にプログラムしたり再プログラム化を引き出すため、転写因子はもともとの細胞タイプではサイレンシング(silencing)されていて発現しないよう決められている遺伝子に結合する必要がある。これらのサイレンシングされた遺伝子は、典型的にはきつくヌクレオソームにグルグル巻きにされて「閉じて」いて、クロマチンの中に埋め込まれている。

最も高いリプログラム活性を持つ転写因子は、そのような閉じたヌクレオソームDNA上にある標的箇所と相互作用するために必要な能力を持つ。これらの転写因子は閉じたクロマチンの分子の変化を開始することができるので「パイオニア因子(pioneer factors)」と呼ばれる。

「これらパイオニアタンパク質の活性は、ヌクレオソームの表面上にあるDNAの特定領域に『適応』できる転写因子の能力と単純に関連する」、Zaretは言う。



 小刻みに揺れ動く因子(Wiggle Factor)

パイオニア因子のDNA結合ドメイン(DBD)は、ヌクレオソームに巻き付いたDNAの標的箇所を認識する。ヌクレオソームでのDNA構造部は染色体と関係するタンパク質によって閉じ込められている。パイオニア因子は、閉じてサイレンシングされたクロマチンの中にあるDNAを最初に標的とすることで、特定の細胞のサイレンシングされた遺伝子の発現を開始させる。それは一つの細胞タイプから別の細胞タイプへの変換を可能にする。

ZaretとSoufiは、パイオニア因子が特別なやり方で小刻みに揺れ動く(wiggle)柔軟な(adaptable)DBDを持つことを発見した。山中因子のOct4、Sox2、Klf4は、小刻みに揺れ動いてパイオニア因子として働くが、cMycはそれらより柔軟性がなく、パイオニア因子によって補助される。

パイオニア因子は小刻みに揺れ動くことにより、染色体タンパク質と複合体を形成しているDNA分子の形状と物理的に適応することができる。

「Oct4、Sox2、Klf4は、クロマチンの『閉じた』部位を標的とすることができる能力によってプログラムを作り直す間のパイオニア因子として機能するが、c-Mycはそうではない。この閉じた部分は、DNAの活性化した部分が持ちうる化学的修飾を欠くという点で『ナイーヴ』である」、Zaretは説明する。

彼らは今回発見した原理の普遍性について調べるために他の研究に目を向け、同じメカニズムが他の例にも適用されることを発見した。皮膚細胞からニューロンを作成するような場合でも、転写因子は細胞をリプログラムする間にパイオニア因子として働く。

学術誌参照:
1.パイオニア転写因子はヌクレオソーム上のDNAモチーフの一部を標的にして、リプログラミングを開始する。

Cell、2015年4月

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/04/150416141032.htm

<コメント>
山中因子のように細胞の運命を変えることができる転写因子は、閉じたヌクレオソーム上の標的と相互作用する能力がある「パイオニア因子(pioneer factor)」であるという記事です。ヌクレオソームのヒストンのメチル化やアセチル化などの修飾によりクロマチン構造は変化しますが、パイオニア因子は閉じたクロマチンに対してもアクセスして転写を開始できるとのことです。

山中因子以外にも例えばFOXA1はエストロゲン受容体による転写調節に先立つパイオニア因子であることが知られていますし、最近の記事でもTNFαシグナルが潜在的なエストロゲン受容体αの結合箇所を露出させて乳癌細胞の転写を変化させるというものがありました。



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