すでに梅雨入りしている地方は雨が降ってはいないようです。こちらはまだ梅雨に入っていませんが、雨らしい雨は降らずに、日に日に広瀬川の水量は減っていきます。広瀬川が餓死しつつあるかのようで見ているのが辛くさえなってきます。
仙台の梅雨入りの平年は6月12日だそうですが、梅雨前線はずっと南の方にあり、沖縄周辺は豪雨となってるようです。自然環境はうまくいきませんね、本当に。
もう6月も中旬です。そろそろ鮎釣りの準備に取り掛からないといけません。どうも歳をとるとともに、すべてのこと(趣味のことやボランティアの仕事のこと)がぎりぎりにならなと手を付けないようになってきまして、これではいかんなと思うのですが、早めに取りかかって楽をしようという気にはなりません。
あしたに延ばせるものはあしたに延ばしてもいいとかいうし、何て自分に言ってみたり(甘い!)、どこまでいっても愚かな男だなあと思ってしまいます。このままますます愚か(=痴呆?)になって死んでいくのか、まあそれもいいかなんて思ったりもして。
(捨てられたまま?)
でもあしたには平成の治安維持法・共謀罪が参議院で強行採決されそうですし、いくら自分は先がないからと言ってもこれは由々しき事態という考えは変わりません。
毎回興味深く読ませてもらっている記事があります。 朝日新聞の「問う『共謀罪』学問の世界から」というコーナーです。 6日は東大教授で、歴史学者の加藤陽子さんです。東大へ移る前は、確か奈良女子大学の先生ではなかったかな。その頃から彼女の書く文章に興味を持っていました。
「(国連特別報告者のカナタチ氏が日本政府に示した懸念に対して反論したことを受けて)『共謀罪』も、実は条約に加わるために不可欠ではないとガイドラインからは読み取れる。前提に虚偽があるから、外からの干渉にあれだけ神経質になる。」
「一連の応酬は 『共謀罪』の本質をあぶり出すように見えます。(リットン調査団の時の抗議と)共通するのは、『偽りの夢』と、国民の『人気』です。」
「『五輪で景気が良くなる』と『見果てぬ夢』で国民を期待させ「『共謀罪』でテロを防がなければ開催できない」とあおる。法案成立直前までこぎ着けたのに、国連特別報告者からの『待った』に怒り狂ってしまった。」
「『戦前より民主政治は成熟している。心配は杞憂だ』と言われるけど、・・・1925年に治安維持法を成立させたのは、リベラルな加藤高明内閣でした。法制局が当初出した案は、条文で『憲法上の統治組織、納税義務、兵役義務、私有財産制を変革する行為』と、犯罪になる行為を限定していた。しかし護憲内閣は『弾圧など絶対しない』と自信があり、結局『国体(天皇を中心とした国のあり方)の変革というあいまいな処罰対象で成立させてしまう。ツケは10~15年後に回ってきます。」
「極めて脆弱な法律を、安定した力を持つ政党内閣が自信満々に作ってしまったという怖さ。このおごりを忘れてはいけません。」
8日は、文学者の小澤俊夫さんでした。
「『共謀罪』が怖いのは、何が犯罪か捜査機関の末端が決めてしまうこと。治安維持法と同じだ。・・・。行き過ぎれば戦時中のように密告社会になるだろう。 密告社会で真っ先に標的になるのが不道徳、不健全、猥雑なものだ。政府に逆らいそうな者、空気を読まない者に疑いの目が向かう。表現の自由や豊かな文化にとっては致命的だ。・・・。多様な言論が無くなると、国全体が凶器に包まれる。」
そして10日は、宇宙物理学者の池内了さんでした。
「捜査機関が嫌疑があると判断すれば、任意捜査ができることを危惧している。市民への監視が強まる。」
「拡大解釈で介入され、政府批判をしただけで捜査対象になるのではないかと心配だ。」
「『共謀罪』が成立すると、準備行為で罪になる。心のなかを問われるため、反原発など社会問題について、政府の方針に科学的観点から反対することが抑圧される可能性がある。」
「法案が成立すれば、研究費確保のため科学者は発言を控え、安全保障を名目として、軍学共同に反対するものは監視の対象になることも考えられる。」
「『心配し過ぎだ』と言われるが、戦前の治安維持法も拡大解釈された。『一般人は対象にならない』と政治家は言うが信用できない。これから3年、5年、10年経ったときに別の政権が言うことは違う。鋳物政治家が言うことだけを信じると間違えると思う。」
最後の11日は、哲学者の内田樹さんです。
「政府が狙うのは『隣人を密告するマインド』の養成だ。『共謀罪』を必要とする前提には、テロリストだけではなく、外国の意をくんで政府の転覆を謀る『反日分子』がいるという認識がある。政府には網羅的に軽挙する能力がない。ならば、お上に代わって我々国民が摘発しよう、となる。」
「注目すべきは、特定秘密保護法、安全保障法制を施行させ、いままさに『共謀罪』の成立を図り、そして憲法改正をめざす流れだ。立憲主義を空洞化させ、独裁化を進めているのは明らかなのに、有権者の半分ほどが現政権を支持している。」
「多くの日本国民には主権者としての意識がない。」
極め付きは、11日の“ひもとく「共謀罪」”です。京都大学教授(刑法)髙山佳奈子さんの記事です。紹介している本は、「共謀罪とは何か」「新共謀罪の恐怖 危険な平成の治安維持法」「警察捜査の正体」「スノーデン 日本への警告」です。その中では驚くべきことが述べられていました。
「(共謀罪法案を押し通す)背景には、02年以降、犯罪の件数が半数未満に減少した一方で、人員が2万人増員されて仕事のない警察が権限拡大を強く求めていることと、米国の圧力とがあるとみられる。」ということで、日本の警察が市民を監視して得た情報を、アメリカの諜報機関にも提供できるようにするようで、アメリカの利益が共謀罪法案の背景にあるといいます。
「現在でも人々の通信記録が収集され、社会の至るところに公安警察が密かに入り込んでいる」
「法案が設ける277の犯罪類型は、国連条約の趣旨に反し、警察の職権乱用・暴行陵虐罪や商業賄賂罪を除外している。」
””私は魚になりたい””なんて思うことのない日本にしないと。