越川芳明のカフェ・ノマド Cafe Nomad, Yoshiaki Koshikawa

世界と日本のボーダー文化

The Border Culture of the World and Japan

辺野古(3)

2010年07月12日 | 音楽、踊り、祭り
 先月、辺野古へ行ってきましたが、沖縄行きの本当の目的は他にありました。

 6月23日の「慰霊の日」の夕方に、那覇市の県立博物館でおこなわれたシンポジウム「骨からの戦世」を聞くためでした。

 今年は戦後65年ですが、目取真俊の『沖縄戦後ゼロ年』(NHKブックス)にならっていえば、沖縄では、基地問題をはじめとして、「戦争」は終わっていません。

 沖縄戦をめぐって、比嘉豊光さん(写真家)の撮った骨の写真や動画を見たい、さらに、詩人の高良勉さんをはじめとする沖縄人の論客の語る言葉を聞きたい、と思ったのです。

 最近、那覇の近郊から出てきた骨というのは、沖縄人のそれではなく、日本兵の骨だということが分かりました。

 本土からやってきた日本兵は、米軍が侵攻してきて、いざというときに沖縄人を守りませんでした。

 一般の沖縄人は、洞窟(ガマ)に逃げ込み、米兵に捕まるとレイプされたり殺されするから自害(集団自決)するように示唆していました。

 あるいは、家族や親戚を日本兵によって「スパイ」扱いを受けて殺された沖縄人がいました。

 だから、日本兵の骨に対しては、沖縄戦で犠牲になった沖縄の住民の骨とは違った、微妙で複雑な感慨が沖縄人のあいだにあるはずです。

 それでは、本土に住む日本人である僕たちは、その骨に対して、どういう感慨を抱くのか。

 今秋、明治大学(お茶の水)で、比嘉豊光さんを呼び、映像と講演、シンポジウムを行なおうと思っています。

 具体的なプログラムはのちほどお知らせします。

 沖縄では、宜野湾の佐喜眞美術館で、「骨からの戦世ー65年目の沖縄戦 比嘉豊光展」(8月11日~23日まで)が開かれるようです。

 また同会場で、講演とシンポジウム「「骨」をめぐる思考」(8月15日14時より)、土屋誠一、豊島重之、北村毅、西谷修、屋嘉比収などの講師によって、おこなわれるようです。

 

 
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