今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

ノラたちとの共存を目指して 番外編・7「 殺処分と暗闇ビジネスからの脱却」

2024年07月31日 | シリーズ:ノラたちとの共存を目指して
足掛け7年に及ぶこのシリーズ、進むにつれて更新が停滞しています。番外編だの場外編を次々と足しながら回り道し、半年ほど前にようやく「その9」を書いたのですが、結局公開せず没にした。その代わりに「場外編8」と「番外編7」をさらに追加。ノラたちを不幸のどん底から救い出すには、まずノラを生み出す猫捨て防止と暗闇ビジネス(ペットビジネス)からの脱却が不可欠と考えたからです。7年前に「その1」を書いたときに想定した道筋より遙かに奥が深く規模が大きかった。単なる理想論ではなく、現実的な提案をするためにこれからも勉強は続きます。(文末に記事一覧)

 動物の遺棄や虐待、多頭飼育崩壊の問題は近年ようやく気鋭のライターたちによって明るみに出されてきた。最近では全国新聞やTVでも散見される。SNSの普及によって一般の市民でも容易に告発できるようになった。ペットビジネスの闇の部分に関してもたまに報道されるが、いずれも問題提起にとどまっている。悪徳ブリーダーやペットショップ、多頭飼育崩壊に共通しているのは凄惨な現場だ。動物たちが見るに堪えない拷問を受け続け、助けすら求められないでいる。強欲な人間の金儲けの犠牲になる。経済的な余裕がなく無知な人たちの犠牲になる。人間と同じ感情や情けのあるワンニャンが謂れのない迫害を受け、無念の死を遂げる。ほんの一握りの命だけがボランティアたちに鋭意救い出されてはいるけれど。今や報道は、問題提起という枠を超える時ではないかと思うのです。


当シリーズの「その8」では地域猫活動に焦点を当てました。すべてのノラを保護できない以上、現状では地域猫活動が殺処分ゼロを達成するための唯一実現可能な方法であると考えられます。しかしその8でも述べたように、この活動には問題点、というより足を引っ張るファクターがいくつかあって、現状ではうまくいってるとはとても言えない。負のファクターのうち、自分たちではどうにもできないのが冒頭で述べた猫捨てとペットビジネスなのです。ペットビジネスの問題は悪徳ブリーダーや引き取り屋などの直接的な"悪"と、安易に動物を販売して遺棄を助長するという間接的な"悪"に分かれます。

悪徳ブリーダーなどの直接的悪は法で規制し根絶する以外に方法はない。こういった人たちのモラルは説得や教育では変わらないからです。間接的悪に関しては、フランスのように生体販売を禁止するのが理想だけど、日本ではそれこそ100年先になるでしょう。市民運動(不買運動)でビジネスとして成り立たなくする方法もあるが、そこそこ不満のない日本人にはそれも難しそうだ。この業界自体に自浄作用があればいいのだけど、果たしてどうでしょうか。

ここではこの問題を掘り下げて理解するために、二つの関連記事を紹介します。
当ブログでも速報として取り上げた悪徳ブリーダーによる凄惨な事件です。最近このような悪徳ブリーダーの摘発が後を絶たないが、なぜ放置されてきたのかを掘り下げています。
※この記事は前後編の後編です。(前編は記事内にリンク) また、タイトルの一部を割愛しています。

生体販売大手のCoo&RIKUは、週刊誌やSNSで様々な告発を受けており一部は訴訟中。(状況を確認したい方は検索してみて下さい。) 大手ペットショップ社長の考えを知る上で価値ある記事だと思いました。
※本記事も前後編の後編で、前編は記事内にリンクされています。


多頭飼育崩壊に関しては、簡単に解決できる問題ではない。ノラがかわいそうで保護しているうちにキャパを越えてしまう。経済的なキャパもあれば肉体的(手間)キャパや年齢的キャパ(限界)もある。ノラは無尽蔵にいるので、温情の強い人ほどキャパを越えがちになるだろう。また、独居生活者のコンパニオンとしての存在、必要性も否定できない。結局のところ、早期発見や確認によりサポートするしかないのではないか。単にご近所付き合いやボランティアに任せるのではなく、民生委員など組織的に行う必要があると思います。

ひとつのヒントとして、雄猫だけ雌猫だけを完全室内で同居させるなら手術は不要だし増えることもない。時間はかかるかもしれないが、この辺に円満解決の糸口があるのではないでしょうか。
(猫捨て防止に関しては「場外編8」を参照ください。)


~自治体が発表する「殺処分数」について~
環境省によると、2022年度の猫の殺処分数は9,472匹。最も多かった1989年度(328,000匹)の35分の1にまで減少したことになる。9,472という数字が少ないとは決して思わないが、どうしてこんなに殺処分数が減ってきたのでしょう。

ひとつは動物愛護団体による引き取りです。保健所では規則で、引き取ってから何日後には殺処分すると決まっています。自治体によって期間が異なるが通常は1週間くらい。で、"その日"が迫ると民間の心ある保護団体が引き取るのです。経済力や行動力のある団体がいる自治体では殺処分数も減って来る。現在ではこういった民間保護団体のキャパが限界に達しつつあり、問題となっている。
(参考記事)

もうひとつは2012年の動物愛護法の改正により、2013年9月から保健所(現動物愛護センター)が犬猫等の終生飼養の原則に反する引き取りを拒否できるようになった。これは殺処分数を減らす目的(保健所のキャパ越え)ですが、代替え案がないため、一般市民は隠れて遺棄したり殺害するようになり、ペットショップは(総てではないが)引き取り屋と呼ばれる闇の始末屋に委託するようになった。動物たちからすれば、苦しんで死んでいくことに何の変りもないのです。(注:保健所の猫引き取り数は1989年度の341,000匹から2022年度は30,401匹まで減っています。)
(参考記事)
※この記事の後段は限りなく自分の考えに近いので紹介します。ただ、「猫捨て」に触れてないのは残念。


◆「ノラたちとの共存を目指して」目次  ※予告編(期日未定)含む
その1  資料編「現状と動向調査」(追記:餌やり、地域猫問題) 2017.2.27
その2  現場編「ノラを守るのに理由は要らない」(報道されたボラさんたち) 2017.5.31
その3  エサやり問題・続編「裁判事例の検証・他」(司法が肯定したもの、否定したもの) 2017.8.31
その4  一服編「ノラだからこそ・・かわいい!」(ニャー&みう+テンちゃんの日常) 2017.11.30
その5  闘魂編「許さない、虐待に不法投棄に暗闇ビジネス」 2018.4.29
その6  原点回帰編「再確認・人間性とは?」(食肉、動物駆除と保護活動) 2018.8.31
その7  形而上学編「ノラの幸せとは」(シャッポやソトチビの行動に想う) 2020.1.31
その8  地域猫問題・続編「殺処分ゼロに向けて」(目的達成のために必要なこと)2022.11.30
その9  理想追求編「殺処分ゼロの先にあるもの」(対等の精神と真の共存)
その10 最終章「共存の終焉」(ノラのいない社会)
番外編
番外編1「罪と罰」(法の実行と刑罰の妥当性) 2019.3.29
番外編2「動物愛護の精神を問う」(餌やり議論の本質) 2019.10.31
番外編3「エサをやるなは殺せと同じ・第3弾(前編)」(特別加入) 2020.6.30
番外編4「エサをやるなは殺せと同じ・第3弾(後編)」(特別加入) 2020.8.31
番外編5「政治とメディア」(ノラたちの未来を決める人たち) 2021.1.31
番外編6「保護に奔走する人たち」(その2とその6の補足) 2023.7.31
番外編7 「殺処分と暗闇ビジネスからの脱却」
場外編
場外編1 猫の煩悩とはこれ如何に 2021.7.10
場外編2 続・死刑に処すべし? ~死に体・動物愛護法の復活を期して~ 2021.7.21
場外編3 どうしてこんなに軽いのか <続・続・死刑に処すべし> 2021.11.10
場外編4 メディア批評、の・つもりが・・(国民の鏡としてのメディア) 2021.11.24
場外編5 社会の闇 (残存する「当たり前のように猫を捨てる文化」) 2022.6.29
場外編6 ジレンマ(猫捨てを補完するノラ保護活動)2022.7.31
場外編7 ノラたち自身のためのTNR ~命と生活を守るには~ 2022.12.8
場外編8 猫捨て防止啓蒙活動 ~それでもやらなければならない~ 2024.5.19

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