今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

テツとの対話 その15・強制給餌と尊厳死

2018年04月18日 | (故)テツ 
やあテツ、またお前のいない春が来たよ
もう知ってると思うけど
とうとうわが家も6ニャンになっちゃって
毎日があっという間に過ぎていく
えっ? そうか
お前にはわからないよな
時間なんてあり余るほどあるんだから

だけど、新しいニャンコを何匹迎えても
お前を懐かしむ気持ちは強くなるばかりだ
そうなんだよ
彼らがお前との日々を思い出させてくれるからね
でもな、この感覚は悪くない


在りし日のくも、テツ、ハナ(左から)

なあテツよ、お前に聞いてみたいことがあったんだ
そう、お前との暮らしで一番強く覚えているのは
最後の1年半
お前の進行性拒食症との闘いだ
特にくもを亡くしてお前とマンツーマンになってからは
食べないお前と、食べさせたい保護者との闘いだった

お前の病気(推定IBD)は治らない病気
だから、処置をすると言ってもその目的は延命
少し食べては吐き
食べようにも食べれないお前にとって
長く生きることの意味は何なのかと
嫌というほど考えた

猫には死という概念がないから
死を恐れるということもない
死別による喪失感はあっても
自分が死ぬなんて考えることすらできないんだよな
だから食べない一方で、懸命に生きようとする

でもテツよ、それはお前を失いたくない一心での
勝手な解釈だったのかもしれないな
とにかく生きろ生きろと
ありとあらゆるものを買っては与え
食べなければまた次を試す
そして最後に選んだ手段が、強制給餌だった

覚えているかい?
「さあ、のみのみの時間ですよ」
1日何回言っただろうか
ミオレトルトの『飲んで味わえる』だったな
その半パック分(20g)を5ccのシリンジで
お前の喉から少しづつ注入した
目標は1日3~4パック
とてもそれは無理だったけど
少しでも多くと頑張った

お前は本当に苦しそうだったけど耐えてくれた
いや、抵抗する力がなかったんだよな
悲しそうな顔でこっちを見上げて
シリンジを見ただけで逃げ回るようになって
そのうち時間や雰囲気でわかるのか
一足先にベット下に逃げ込んだ

そんな生活を、我々は1年も続けたんだ
それはお前が、天命に背いて生き続けた1年だった
このオジンのために
でも、それが苦痛だけの1年じゃなかったことを
お前だって知っているよな

何故ならその1年は
それまでの18年分に勝るくらい濃密な1年だったから
しかし・・・
やがてお前は強制給餌も受け付けなくなった
やってもやっても殆ど吐いて
いよいよ万策尽きた感じになった

お前が逝った前の日の朝
お前は"その時"を悟ったのか涙を流した
危篤状態になったお前を介抱しながら
わかったんだよ
お前は生きたいというより、このオジンとオバンと
もっと一緒にいたかったんだよな

テツよ
本当に本当にご苦労さん
そしてかけがいのない沢山の思い出をありがとう
尊厳死とは、自然死のことではない
お前が家猫としての尊厳を立派に守り抜いたことを
決して忘れることはないだろう


病院からくも死すの報を受けた日のテツ
ガリガリに痩せながらも何かを言いたそうだった
コメント
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