畳の上の鯉のぼり

子どもの頃、　父が畑に鯉のぼりを上げたことがあった。
まあ、　わが家は三姉妹。　どっちかというと雛人形ですよねぇ　

息子が欲しかった父は孫に期待大、　男の子が生まれたときの喜びようったら　
親戚のおじさんたちも一緒になって、　でっかいでっかい鯉のぼりを購入。

植木屋さんたちの協力の下、　かろうじて空を泳げた鯉のぼりたち　　　
数年であげきれなくなり、　鯉のぼりたちは畳の上を泳ぐことになっていった。

甥っ子や姪っ子が、　鯉のぼりのトンネルの中を四つんばいで通り抜ける。
鯉のぼりの中に入って、　人魚姫みたいにして部屋中をはねまわる。

子どもって次々に遊びを思いつくものだ。　鯉のぼりも驚いたことだろう。
亡き父も空の上から見てたろう。　ニヤリと笑っとったろうなぁ。

掃除の途中で出てきた鯉のぼり。　おかげで、　片付ける手はとまってしまった。
でも、　思い出に浸る時間もたまには必要やなぁ。　心がホンワカなった。