アートセラピストのイギリス便り

アートセラピスト間美栄子のシュタイナー的イギリス生活のあれこれを綴った友人知人宛のメール通信です。

第140話 会ったことのない祖母テイさんあらわる

2016-02-08 21:21:42 | Weaving of the light

my daughter Nazuna's drawing of her great grand mother

立春ですね。冬至からずっと毒だしで、やっとすっきりしまして、お便りしています。新年明けてから、もうめがねなしの暮らしをしているのです。鼻もすっきりとし、ますますスローにやっています。

また日本に訪問したいとわくわくしてきて、昨年4月のできごとを少し書きました。もし時間があったら読んでみて下さいね。

 

140話 会ったことのない祖母テイさんあらわる

 

8年ぶりに父の顔を見た。どんなにふけて、よぼよぼになっているだろうと心配だった。少しむくんでいたけれど、だいじょうぶそうで、「おう」とかるく挨拶した。

ベッドの上のなが細いテーブルには、市会議員選挙の候補者の顔写真が写ったわら半紙が乗っていた。病院内の投票場で投票してきたんだという。父はわたしに裏を見せて説明した。看護師さんたちの名前や交代時間が父の震えたような字でびっしり書いてあり、一生懸命じぶんのおかれている状況を把握しようとしてたんだなあと、私は感心した。私の勤めるリハビリの病院でもセラピストが患者さんにケアラーの名前を覚えさせようとしているが、父はそれを自分でしてたんだ。

 

 

病棟のかたすみにあるダイニングテーブルについて父は病院食、母、私、なずなはおにぎりとおかずのかんたんな夕食のあと、わたしは、その朝母が父のいつももっていた小さなかばんの中から出してきた3枚の写真を父に見せた。一枚目の写真は父が農家に奉公に出ていたときのその村の青年団の写真だ。2枚目は父の母親テイの写真。三枚目は一番末の妹節子と父、テイが写っている。

父は写真を見て13歳から21歳まで7年間農家で奉公したといった。

この郊外に新しくできた病院の窓から、夜の空と明かりが見えていた。その窓の外には、父が70年前に過ごした農家の村があるのだ。

私は父に、どうしてソノキの農家に奉公に行くことになったの? と聞いた。

向かいの家の渡辺さんが自分の本家の農家を紹介してくれて、家の裏の川から貸し舟にのって、栗の木川を通って、鳥屋野潟を越えてつれていってくれたんだよ。

その渡辺さんは沼垂小学校の校長先生だった。住んでた借家の裏の細い川は製紙工場のヘドロで、そりゃあくっさかった。

私は13歳の背の低い男の子が細い小舟に乗せられて、見知らぬ土地に行く心細さを想像した。想像の中で鳥屋野潟は霧がかかっていた。

 

奉公先の渡辺の家では、子守をして、孫ばあさんと一緒の部屋で寝ていたんだ。そこから曾ノ木尋常高等小学校に行った。

渡辺にはめかけがいて、そのめかけは家のすぐ裏の家に住んでいたんだ。

そこのうちの息子が、おれより5歳年上で、代をついだが、おれは、そいつとけんかをして、ほかの農家に移ったんだ。

それは夏の暑いなか、お盆の食事をしているときに、それが庭の石に水をまけ、というんだ。おれがじょうろで水をまいたら、そんなんでなくて、バケツでもっと水をまけというもんだからけんかになったんだ。

次に行った家は、妻が死んで、神道寺から三人娘の一人が嫁に来た。それは顔にあざのある嫁であった。 おれは何で顔にあざのある女をもらうんかなあと思った。

そこでは3年「はなんぼう」をした。牛に鋤を引かせるんだ。牛使いは当時そんなにいなかったんだ。草を刈って、押し切りで切って、牛にやるんだ。

父は若い男女の農業青年団の白黒写真を指差し「長谷川よし子。死亡した。」「この小林のせがれは、大食いで死んだ」と話した。

 

父の昔語りを聞いている間、ナズナは祖母テイの写真を見ながら、ペンでドロ-イングをしていた。

亀田織の縞の着物がだんだんとはっきりとし、目の光がすこしづつ強くなり、まるで、時間の霞のなかから、テイさんが現れてきて、目の前に座っているかのようであった。少し曲がった口が、独特の表情を表していた。

 

私は、テイさんが私となずなをイギリスからよんで、この家族のひとときをつくったんだなと感じた。

 

間美栄子(201623日)


The Calendar of the Soul (February 9-15)

2016-02-07 21:44:49 | Mieko's soul journey

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

45. Forty-fifth week (February 9-15)

 

My power of thought grows firm

United with the spirit’s birth

 

It lifts the senses’ dull attractions

To bright-lit clarity

 

When soul-abundance

Desires union with the world’s becoming

Must senses’ revelation

Receive the light of thinking

 

 

私の思考の力は力強く育ち

SPIRITの誕生と統合される

 

それは感覚の鈍い刺激を

明確さにまで明るく照らす

 

魂の豊かさが

世界の成長と一緒になって

 

感覚の黙示は

THINKINGの光を受け取るのだ


The Calendar of the Soul (February 2-8)

2016-01-31 22:48:48 | Mieko's soul journey

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

44. Forty-fourth week (February 2-8)

 

Candlemas

 

In reaching for new sense attractions,

Soul-clarity would fill,

Mindful of spirit-birth attained,

The world’s bewildering, sprouting growth

With the creative will of my own thinking.

 

 

新たに生まれた感覚に手を伸ばし

霊的な誕生はなされていく

 

この外の世界に感じられる

春のかすかな始まりのとき

わたしのthinking, feeling, willing は満ちていく


The Calendar of the Soul (January 26- February 1)

2016-01-26 00:08:58 | Mieko's soul journey

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

43. Forty-third week (January 26- February 1)

 

In winter’s depths is kindled

True spirit life with glowing warmth;

It gives to world appearance,

Through forces of the heart, the power to be.

Grown strong, the human soul defies

With inner fire the coldness of the world.

 

 

冬の深いところで

ほんとうのひとなるものは

ぬくもりを暖めている

 

心で考えることで

そのぬくもりが姿を与える力となっていく

 

魂の内なる炎を力強く育て

人の魂は挑んでいくのだ

そとの世界のこの冷たさに


The Calendar of the Soul (January 19- 25)

2016-01-21 21:45:33 | Mieko's soul journey

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

42. Forty-second week (January 19- 25)

 

 

In this the shrouding gloom of winter

The soul feels ardently impelled

To manifest its innate strength,

To guide itself to realms of darkness,

Anticipating thus

Through warmth of heart the sense-world’s revelation

 

 

冬の暗がりに囲まれながら

魂は燃えるような勢いで推し進められているのを感じる

 

魂の固有の強さを表現するようにと

自身を闇の領域までもたらすようにと

 

心の暖かさを通し

感覚の世界の黙示を予期している


The Calendar of the Soul (January 12- 18)

2016-01-18 22:05:57 | Mieko's soul journey

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

41. Forty-first week (January 12- 18)

 

The soul’s creative might

Strives outward from the heart’s own core

To kindle and inflame god-given powers

In human life to right activity;

The soul thus shapes itself

In human loving and in human working

 

 

魂の創造的な力は

心の核から外に向けて押し出していく

 

神が私に与えた力を炎として燃やすのだ

人間の人生の中で 正しい行為に向けて

 

そして魂はそれ自身形を成していく

ひととして愛すること 

ひととして働くことの 

途上で


The Calendar of the Soul (January 5- 11)

2016-01-08 21:36:44 | Mieko's soul journey

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

40. Fortieth week (January 5- 11)

 

And when I live in spirit depths

And dwell within my soul’s foundations,

There streams from love-worlds of the heart,

To fill the vain delusion of the self,

The fiery power of the cosmic Word.

 

 

私は いまや スピリットの深みを生きている

私の魂の基盤に たたずんでいるのだ

 

すると 心の愛の世界から流れ出るものがある

 

それは 小さな自身の空虚な迷いを満たす

燃えるような力を持つ 宇宙の言葉


第139話 微生物たちとの会話

2015-12-30 22:07:00 | 人生観

139話 微生物たちとの会話

 

おひさしぶりです。

今年の秋はイギリスも暖かく、11月までブラックベリー(藪苺)をお昼休みにつんでいることができました。たくさんとったベリーは冷蔵庫の中で生き続けています。

お手紙もせずになにをしていたのかというと、イギリスではどこでもりんごの木があるのですが、地面に落ちているりんごを拾って、香りを味わったり、いたみ方を観察したり、スムージーに入れたり、保存法を考えたりしながら、あれこれと命の秘密を考えていました。

 

「なぜりんごは落ちるのか?」

答えは「重力」ではなく,「りんごの意志」ということを考え付きました。人間はりんごの種を消化できないようにできているので、のぐそをして、たねを新開地に運んでいってあげるという交換条件でおいしい果肉をいただくことができるというわけですね。りんごはわざと高いところから落ちて傷がついて、微生物が入りやすくなり、中の種が次の命をはじめやすくしているのではないか、と。

 

植物や、種の働きを観察していると、巧妙にできていて、自然の力にあっと驚かされる毎日です。

人間の体も一生懸命働いていて、毒を排出しようと懸命で、アレルギー反応や炎症を起こしているのを、「病気」とよんでいるんだろうなあとおもいます。

人生50年過ぎ、スピリットが、少しづつ効かなくなって来る体にあせるのか、あがくのか、最後のチャンスと思うのか、恋愛をしたり、旅に出たり、したいと思っていたことをやったりするのでしょう。

 

私の場合も2015年は一本の樫の木を見ているうちに「生命の秘密」をたどる旅に出たという大きな変わり目の一年でした。

 

春には父親の入院で8年ぶりの日本訪問があり、いろいろな人と桜をながめながらほん音で話したりすることができました。

帰国後も「生命の秘密」をさぐって植物や動物、石のことなど考えつづけていて、どこまでも命の起源をさかのぼっていたのでした。ゴールデンレイショ(黄金率)のこともわかるようになりました。

 

夏にはスムージーの機械を手に入れて、ビタミンやミネラルをもっと吸収できるようになると、からだの細胞が変化し始め、意識が変わってきました。‘命‘がなんなのかわかってきはじめて、微生物の声がきこえはじめてきて、「私たちの体は森と同じように微生物のすみかで、たくさんの命でできているのだ」と思いついたのです。

 

秋には突然思い立って、北スペインのサンチャゴへ、カミーノの巡礼というには短い40kmですが、まる2日間歩いてきました。歩きながら、道端のさまざまな植物を摘み水筒にいれ、巡礼の目印の帆立貝と一緒にその水を飲みながら、かの地の微生物を体に取り入れていました。栗やりんごを拾いながらあるいたり。

 

冬にはモロッコにいって、何を買うにも定価がなく、モロッコ人と取引しなくちゃいけない状況を経験して、もうかっこつけたりしないで、そのまま、下品でも何でもいいから、言いたいこといっちゃっていいんだ、ということを学んできました。

モロッコの公衆浴場蒸し風呂ハマンで毛穴を広げて、太ったおばさんにごしごしとあかすりをしてもらったあとに、冬の寒空の下で屋台でスープをすすっていたら、案の定風邪引いてしまいました。

 

微生物には大きく分けて二種あるようです。一つはサバイバルのために、危険を冒してでも行動範囲を広げ、新開地へと向かい、新しいことを試して、適応していければ少しは生き残るだろうさというタイプ。もうひとつは、今までやってきた方法で何とか生き残ってきたのだから、このまま同じ場所で我慢してでもやっていこうというタイプ。

人間の体の森には両方の種類の微生物が存在していて、どちらが多いかで人の行動が決まるのでしょうね。

 

私は新しいことを試して生き延びようというタイプが多いので、来年もまたいろいろなところに行って、いろいろなものを食べて、いろいろなものを見てみたいと思っています。

 

今年は本当にお世話になりました。どうもありがとうございました。

2016年もよろしくお願いします。

 

間美栄子(2015年12月30日)


The Calendar of the Soul (December 29 - January 4)

2015-12-30 21:55:23 | Mieko's soul journey

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

39. Thirty-ninth week (December 29 - January 4)

 

Surrendering to spirit revelation

I gain the light of cosmic being;

The power of thinking, growing clearer,

Gains strength to give myself to me,

And quickening there frees itself

From thinker’s energy my sense of self.

 

スピリットの啓示につつまれて

わたしは コスミックビーイングの光を得るのだ

 

思考の力は より明白になっていく

大きな私に 小さな私自身をささげる強さを 持つようになるのだ

 

命を与えるものが  自身を解き放つ

三人の賢者の思考の力が  わたしの自我をつらぬく


The Calendar of the Soul (December 22-28)

2015-12-21 22:35:24 | Mieko's soul journey

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

38.Thirty-eighth week (December22-28)

 

Christmas

 

The spirit child within my soul

I feel freed of enchantment.

In heart-high gladness has

The holy cosmic Word engendered

The heavenly fruit of hope,

Which grows rejoicing into worlds afar

Out of being’s godly roots.

 

 

私の魂の中のスピリットチャイルドよ

魔法から解かれていくのを感じる

 

心の中で喜びと明るさが沸き起こる

聖なる宇宙の言葉が生じる

 

天なる希望の果実

それは私の存在の神的な根から育つ

外の世界からは離れた深いところで


The Calendar of the Soul (December 15-21)

2015-12-14 17:57:57 | Mieko's soul journey

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

37.Thirty-seventh week (December 15-21)

 

WINTER

 

To carry spirit light into world-winter-night

My heart is ardently impelled,

That shining seeds of soul

Take root in grounds of worlds

And Word Divine through senses’ darkness

Resounds, transfiguring all life.

 

 

精神の輝く光を  外の世界にもたらすこと

私の心は それだけを  ひたすらに思い続けている

 

冬の夜

魂の輝く種は 静かに根を伸ばしているところ

 

そして 神の言葉は

暗闇を つらぬき 響き

すべての存在を 変容させている


The Calendar of the Soul (December 8-15)

2015-12-07 22:19:21 | Mieko's soul journey

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

36. thirty- sixth week (December 8-15)

 

Within my being’s depths there speaks,

Intent on revelation,

The cosmic Word mysteriously:

Imbue your labor’s aims

With my bright spirit light

To sacrifice yourself through me.

 

 

私の存在の奥深いところで

黙示が開示される

宇宙の言葉が 神秘のうちに語りかけてくる

 

小さなあなた自身を儀牲にしなさい

大きな私を通して 生きなさい

精神の輝く光のうちに あなたの力を進めなさい


The Calendar of the Soul (December 1-7)

2015-11-30 16:24:40 | Mieko's soul journey

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

35. Thirty –fifth week (December 1-7)

 

Can I know life’s reality

So that it’s found again

Within my soul’s creative urge?

 

I feel that I am granted power

To make myself, as humble part,

At home within the cosmic self.

 

 

私に人生の真実を理解することができるだろうか

魂の創造の衝動の中に

それは再び見出されるだろう

 

私は力が与えられていると感じる

宇宙の調和のちいさな一部分としての

役割を果たす私自身を創りだすために


The Calendar of the Soul (November 24-30)

2015-11-25 13:46:49 | Mieko's soul journey

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

34. thirty fourth- week (November 24-30)

 

In secret inwardly to feel

How all that I’ve preserved of old

Is quickened by new-risen sense of self:

This shall, awakening, pour forth cosmic forces

Into the outer actions of my life

And growing, mould me into true existence.

 

 

うちの奥なるところで ひそかに感じる

いったいどうやって古いものをためこんできたのものか、と。

 

いま、新たに沸き起こった自己感覚によって、命を与えられる。

これは、目覚めさせ、宇宙の力を前へと注ぎ込むのだ

わたしの外界での行動へと。

そして私を育て、かたちづくるのだ。


The Calendar of the Soul (November17-23)

2015-11-18 21:14:17 | Mieko's soul journey

The Calendar of the Soul

 by Rudolf Steiner

33. Thirty –third week (November17-23)

 

I feel at last the world’s reality

Which, lacking the communion of my soul,

Would in itself be frosty, empty life,

And showing itself powerless

To recreate itself in souls,

Would in itself find only death.

 

 

いま、ついに精神界の真実性を感じることができる

 

外の世界では私の魂とは相違して

霜が降りるような、空っぽな命の有様

そして、力の無いことを示している

 

魂のうちに 世界をふたたび つくりだすために

まず、死を見出すのだ