南日本海人、ワルにあこがれる

　実は、最近、悪いことに飢えている。私という人間、たばこは吸わない。お酒はやめた。女遊び、ギャンブル等一切しない。庭いじりと日曜大工まがい、そして子供のスポーツ指導で、仕事以外の日々を送っている。このような真面目な人生を送っていいものだろうか？
　澄みきった水に魚は住めないというではないか。
　若い頃は、ギャンブルは少々した。と言っても、お金がなかったので、ちまちましたものであった。だが、それなりに本気でのめりこんでいたので、賭け事とは何かということは大まかにわかったような気がする。
　近頃の自分の真面目さぶりに、これではいかんのではないか、と少し思い、中央競馬会のサイトなどを開いてみた。便利になったもので、今頃はパソコンでも電話でも、勝ち馬投票券が買える。
　うん、少額なら、こうして買ってもいいかなあ、などと思いつつ、電子投票の仕方などを見ていた。するといきなりハードルだ。インターネットバンクに口座を開けという。パソコンや、ネットに触れることは慣れているとは言え、私は立派なおじさんである。何となく、口座を開くということに対しては抵抗があるのだ。
　しかし、まあ、口座ぐらいいいか、と考え直して説明を読み続けたが、ネットバンクにお金を入れるための取引銀行のところでまたつまづいた。ネットバンクとの取引は主に都市銀行が多く、私の住む田舎の地方銀行の名前が見当たらないのだ。（たぶん、その銀行からでも、オンラインだから、取引できるのだろうが。）コンビニも扱っていないようだ。
　二度もつまづくとおじさんやはりだめである。まあ、そうまでして、やらなくてもいいか、とあきらめてしまう。
　かくして、おじさんの中央競馬電子投票デビューはまたの機会に延期となってしまった。いつでもできるさ、楽しみは残しておいたほうが、などと考えを落ち着かせて、また元の真面目おじさんにもどる私であった。
　いったい、いつになったら、ワルになれるのだろうか？