午前1時。
土曜の夜から、起きている時間のほとんどを執筆に費やした。外出したのは息子と市立図書館に行ったときだけ。
わたしのささやかな本を待ってくれているひとたちを、これ以上待たせたくはない。だが、今日も書き上げることができなかった。
おもに音楽専用になったiBookにつないだUSBスピーカーからは、レディオヘッドの歴代のアルバムが順にかかっている。
ああ、いま、大好きな「フェイク・プラスティック・ツリーズ」が始まった。美しいボーカルだ。
今日、いや、もう昨日だな。
春一番が吹いて、雨になった。
桜はみな散ってしまったのだろう。
時間が流れていく。
乳房から引き離された幼児が泣くように、嘆いてみてもはじまらない。
それはわかっている。
わたしは、自作の小説の登場人物に「少年よ、荒野に独り立つことを恐れるな」と言わせたことがある。
作者のわたしが、荒野に独り立つことをいちばん怖がっているからだ。
The Bends
土曜の夜から、起きている時間のほとんどを執筆に費やした。外出したのは息子と市立図書館に行ったときだけ。
わたしのささやかな本を待ってくれているひとたちを、これ以上待たせたくはない。だが、今日も書き上げることができなかった。
おもに音楽専用になったiBookにつないだUSBスピーカーからは、レディオヘッドの歴代のアルバムが順にかかっている。
ああ、いま、大好きな「フェイク・プラスティック・ツリーズ」が始まった。美しいボーカルだ。
今日、いや、もう昨日だな。
春一番が吹いて、雨になった。
桜はみな散ってしまったのだろう。
時間が流れていく。
乳房から引き離された幼児が泣くように、嘆いてみてもはじまらない。
それはわかっている。
わたしは、自作の小説の登場人物に「少年よ、荒野に独り立つことを恐れるな」と言わせたことがある。
作者のわたしが、荒野に独り立つことをいちばん怖がっているからだ。
The Bends