加地尚武の佐倉新町電気街

「福音の少年 Good News Boy」シリーズ(徳間書店 徳間デュアル文庫)著者による電脳生活と意見。

【CD】偉大な偉大な歌手、美空ひばり「魅惑のワルツ」

2005年05月29日 10時23分00秒 | 音楽・映画のこと
魅惑のワルツ
美空ひばり
コロムビアミュージックエンタテインメント

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長編小説を脱稿したお祝いに、と妻がCDをくれた。美空ひばりの「魅惑のワルツ」である。

小林旭とのあれこれ、母親のこと、弟のこと、いろんな伝説に彩られたこの「国民的歌手」はジャズ/スタンダードもめっぽううまい。
このCDはCFソングに使われた曲を中心に複数のレコードから代表的な作品を集めたものだが、年代的には美空ひばりがアイドル的な人気も持っていたころ、人気も実力も絶頂期にあるころに吹き込まれたものである。

すさまじくうまい。
「A列車で行こう」などを聴いていると、このひとがずっとジャズばかり歌っていてくれたら、晩年はエラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンのような世界的なジャズ歌手になっていただろうと思わすにいられない。

日本語の甘い歌詞がつけられた「虹の彼方に」や「クライ・ミー・ア・リヴァー」に違和感をおぼえるジャズファンもいるかもしれないが、わたしはぜんぜんオーケーである。
台詞まで入って「あなたがいないこの街は しあわせが消えた街」と歌われる「ダニー・ボーイ」ですら、感動してしまう。この古いアイルランド民謡から新しい魅力をひきだしていると思う。少なくとも「悲しい酒」より好きだ。

一度は耳にしたことのあるだろう曲ばかり並んでいるはずだ。若いひとに、ぜひ聴いてほしい。
40年前、日本には、こんなすごいシンガーがいたのだ。

【DVD】「トレマーズ」から続くまったり感、「シティ・スリッカーズ」

2005年05月26日 23時35分28秒 | 音楽・映画のこと
小説じゃない方の仕事から帰って爆睡し、起きたら夜の9時だった。疲れがたまっている。

テレビをつけると「木曜洋画劇場」で「トレマーズ」をやっていた。思わず観た。もうなんど観たかわからないほど観たが、面白い。
とにかくネバダ州の、オレンジ色がかった青空がいい。キャラクターが立っていると、どんな低予算のモンスターホラーでも、語りぐさになるほどの名作になるのだなあ、と思う。

「シティ・スリッカーズ」はその「トレマーズ」の監督の二作目である。都会生活に疲れた三人の男たちがキャトル・トレイル(牛追い)体験ツアーに参加するのだが、思わぬアクシデントに見舞われ…という、(基本的には)コメディ映画である。
「トレマーズ」でも感じたこの監督の独特の「まったりした感じ」は健在である。この映画でアカデミー助演男優賞を取ったジャック・パランス扮する老カウボーイがかっこいい。
伝えたいことがすっきりと伝わるいい映画だった。

おれも、どこかに行きてえ。

シティ・スリッカーズ

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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とりあえず2005年は「春」を7月下旬までとしてほしい。

2005年05月26日 04時58分29秒 | 公園のつぶやき。
タイトルの通りです。
編集さんからメールが来て7月25日発売を目指しているとのこと。
このブログを訪れてくれている「福音の少年」シリーズの読者のみなさん。
2005年春予定から夏になりそうだけど、あと2ヶ月、「歌う錬金術師」待ってくださいませ。
待たされた甲斐のある…ていうのは読んでみないとわかりませんが、そんなことでよろしく。

まだ紹介できる部分は少ないけど、週明けには公式サイト、更新します。
ではでは。

今日はもう寝ます。

2005年05月25日 01時25分31秒 | 公園のつぶやき。
ベッドの中で結構長文の記事を書き終えて投稿しようと思った瞬間、手が滑って消してしまった。
もう同じ事を書く気がしない。

書かなければならない原稿があるのだが、今日はもう寝よう。
断片的なシーンやセリフは幾らでも浮かぶのだが、うまくそれが物語に、小説に繋がっていかない。
調子のいいときだと、塩の結晶ができるように、断片から作品ができるのだが。

公式サイトの更新はできたら週末にしようと思う。

【今日のCD】ザッパを聴いて大雑把な気分になる。

2005年05月23日 22時24分08秒 | 音楽・映画のこと
なにもかもが煩わしいというか、問題ばかりというか、どうにもならないことなのにどうにかしなければという焦りだけが空回りする時がある。
不信心なわたしには、こんなとき聖母マリアが現れて「なすがままに」と言ってくれたりはしない。
なるようにならせたくないという気持ちと格闘しているのではないか。相手は神だの天使だの聖霊だのではなく、人間なのである。

で、こんな精神状態の時には、ファンク時代のマイルスか、フランク・ザッパのアルバム、HOT RATSである。とくに二曲目。どこまで乗れば気が済むんだというすさまじいグルーヴ感である。

あ、いいんだ大雑把で。と思う。オヤジギャグを平気で放つ勇気がわいてくる。

Hot Rats (Rmst)
Frank Zappa
Ryko

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【PS2】J・G・バラード原作の映画を思い出す快感「バーンアウト3」

2005年05月21日 17時51分15秒 | 音楽・映画のこと
編集さんからメールが来たので、今度出す三冊目の長編小説「歌う錬金術師」のあとがきと参考文献リストを作っていた。
休憩のつもりで、先日買ったプレステ2のゲーム「バーンアウト3」(廉価版)をやっている。
休憩のつもりがいつの間にか「アドレナリン猿」のようにやっている。

いけない。このあいだ地獄だのなんだの格好いいこと書いてたのにゲームなんてやってる。

いや、楽しいのだ。このゲームは。
「グランツーリスモ・シリーズなんかより、オレはこういうのがやりたかったんだよなあ」と思う。
和製でも「ランナバウト」とか「ダブルスチール」とかあるが、妙にストイックな感じがいやだ。
「バーンアウト3」はやりこみ要素があるのだが、それがじつに快感なのだ。気持ちいいからもう一度という感じである。ミリ単位でタイムを削ってという感じではない(実際はそれちかい攻略をしているのだが)。

とりあえず、ブログを書いて現実に復帰しよう。あとがきを編集さんに送って、短編でも書こうかと思っている。
じゃ。

EA BEST HITS バーンアウト3:テイクダウン

エレクトロニック・アーツ

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【第八の地獄】作家として生きる。

2005年05月18日 22時33分12秒 | 公園のつぶやき。
いまちょっと、宙ぶらりんというか、小説家としては間の空いた状態になった。
焦燥感というか、イライラがとまらないので、小説じゃないほうの仕事を休んで、ファミレスで細々としたものを書いたり、いまのところ出版するあてのない企画を練ったりした。そうでもしないと誰彼かまわず怒鳴り散らしそうだった。

「書くことは地獄のようなものだ」とグレアム・グリーンはエッセイに書いている。

地獄、か。

わたしはまだまだ地獄を見ていないと思う。気楽なもんだ、と我ながら思う。三島由紀夫だったか、「作家はいつも上機嫌でなければならない」ということを書いていた。すると、壮絶な死を遂げたあのひとは、上機嫌で「美徳のよろめき」や「金閣寺」を書いていたのだろうか。

対称的だが、どちらもわかるような気がする。ふたりの大作家をまえにして、おこがましいのだが。

いま夜の10時半。いまからもうひとふんばり、作家として生きるために、ご機嫌で「白くまくんアイス」を食べながら長編小説の構想という地獄へ逝こう。

【今日の一枚】映画「コンスタンティン」キアヌー・リーブスと「テイク・ファイブ」

2005年05月15日 01時08分33秒 | 音楽・映画のこと
CDの話ではなく映画の話である。ようやく長編小説を一冊書き終えて、土曜日、休みがとれた。
なので、中学生になる娘といっしょに映画を見に行った。遅ればせながら、前から観たかった「コンスタンティン」を観た。「キングダム・オブ・ヘブン」も観たかったが、終わりそうなやつをさきにと思ったのだ。

「コンスタンティン」の感想だが、ひとことで言って、面白かった。やや演出が平板な気がするが、興味深い設定のおかげで最後まで面白く観られた。同じくマンガ(といっても、大人向けのグラフィックノベルと呼ばれるもの)原作ということで、趣向の似た「ブレイド」シリーズと比べてしまうが、あっちよりだいぶ地味でストイックな感じの映画である。

印象に残るシーン。
キアヌー・リーブス扮する主人公コンスタンティンは、いつも白いワイシャツに黒いネクタイを締めて、最近のアメリカ映画にはめずらしく煙草を吹かしている(ヘビースモーカーというのも重要な設定なのだ)。そんな彼が、殺風景な自分の部屋で、レコード盤に針を落とす。
とたんに、かかるのが、下のCDから変拍子(5拍子)ジャズの名作「テイク・ファイブ」である。
これがまたすばらしく格好いいのだ。

肺ガンで余命一年という、タバコをくわえた顔色の悪い主人公、白いワイシャツ。黒いネクタイ。ブラインドに逆光。はまりすぎだ。
はまりすぎで、ここは、あえてわざとハズした選曲でもいいかも、と思った。それこそ、軽快なボサノバとか(「ブラジル」だと別の映画になってしまうが)。

わたしは思わず某栄養ドリンクの往年のCMを連想してしまった。

タイム・アウト
ザ・デイヴ・ブルーベック・カルテット, デイブ・ブルーベック, ポール・デスモンド, ユージン・ライト, ジョー・モレロ
ソニーミュージックエンタテインメント

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【マンガ】感情をぶっ放せ!「蒼天航路」

2005年05月10日 01時49分59秒 | 本のこと。
書き下ろしの長編小説の最後の原稿を編集さんに送り終えて、ぼーっとしている。
いまから校正作業が待っているし、装幀や挿絵もまだまだだろうから、本が出るのはしばらく先なのだが。

このブログで、マンガを取り上げるのははじめてかもしれない。もう固定ファンには「なにをいまさら」かもしれないが、王 欣太(原案 李 學仁)の「蒼天航路」である。
知らない人のために、解説すると、三世紀初頭中国の「三国鼎立」時代を舞台にした、いわば「三国志もの」である。
このマンガのユニークなところは、「三国志演義」を下敷きにした吉川英治の「三国志」や、横山光輝のその漫画化などとちがって、それら作品の中で悪役とされてきた魏の曹操を主人公としている点である。

非常に人気のある作品で、単行本にして三十冊を優に越えている。
その中で、最近、気に入った台詞がある。それは主人公曹操の言葉。

「感情をぶっ放さずしてなんの命だ!」

歴史上の曹操が言ったわけではない(その意にちかいことを詩の中で詠っているかもしれない)だろうが、この台詞がじつにいい。この作品は、古代中国を舞台にしているにもかかわらず、こうしたくだけた台詞がじつにいきいきと聞こえる、キャラクターが立ったいいマンガである。
(わたしは鬼の首をとったような中国の故事成語は大嫌いだ。むろん原典はべつ)
もちろん、暴走族のあんちゃんが言った台詞だとサマにならない。突出した軍略家であり、政治家であり、詩才もあり、天下の逸材を集めた、「千年にひとり」と称される曹操が言い放つのだから、しびれるのだ。
史実とちがう、演義とちがう。従来の人物像とちがう。どうだっていいではないか。千八百年前のことなのだ。もうSFと同じだ。そんな些末なことが気になるひとは、曹操や劉備や関羽や張飛といったなじみのあるキャラを使った別世界の物語だと思えばいい。

もしもマンガが好きで、この作品を見逃しているなどという人は幸運である。それこそ、十年二十年(いやそれ以上か)もののすぐれたマンガを、いまから味わえるのだから。

蒼天航路 (1)

講談社

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虎よ!虎よ!物欲の炎が燃えるiMac

2005年05月04日 21時39分36秒 | パソコン・デジモノ
「虎よ、虎よ!」と言えばベスターのこの宇宙でもっともすばらしいSF小説のひとつだが、その本のことではなく、Mac OS X 10.4"Tiger" を搭載したアップルの新しいiMacに物欲の炎が燃え上がり、身を焦がしているという話である。

前回、AT互換機の部品のことを書いたくせに、今度はマックである。節操が無いにもほどがある。
いまiBookG4を使っているが、やっぱり20インチのiMacもいいな。欲しいな。新しいOSごと買うというのが、いいではないか。
メーカー自身のページに傑作ゲーム「HALO」のフレームレートのことが自慢げに載っているのもいい。アップルらしい。怪しげなフォトショップのフィルター適用時間なんかよりストレートだ。
いくつかの重要なソフトウェアが快適に動くんならMac OSXとKDEで環境を統一してしまいたいのだが、仕方なくWinXPも使わざるを得ないのがくやしい。

どうてもいいことなのだが、この「虎よ!虎よ!」の元になったウイリアム・ブレイクの有名な詩は、虎のことを Tyger と古語でつづっている。したがって、Tiger! Tiger! ではなくTyger! Tyger!である。


 虎よ! 林檎の森蔭で
 白々と光をはなつ虎よ!
 禿げ上がった尊大な者のいかなる眼が、手が、
 お前の先進的な機能を作り上げたのであるか!
 眼鏡野郎の「長い角(つの)」をかすませるほどに!


アップル - iMac G5

いやこんなことをやってる場合ではないのだが。マザーボードのこと。

2005年05月03日 22時42分02秒 | パソコン・デジモノ
ITmedia PCUPdate:Ma○ miniをちょっと意識&「MXM」対応ノートベアボーンも――AOpen、製品展示イベント開催 (2/2)

ちょっとだけ息抜き。
趣味はパソコンの自作だったが、AthronXPマシンを最後にやめてしまってまった。だけど、ITmediaやPC watchのマザーボードの記事は欠かさず読んでいる。

ちょっと惹かれるマザーボードがあった。このリンク先の記事の中程にある『デスクトップ用のIntel 915Gチップセットを採用するSocket 479マザー「i915Ga-HFS」』が気になる。
915GにDDR2対応、PCI-Xスロット、PCIスロットも3本というATXマザーだ。Pen4にはまったく触手が伸びないが、PenMのマザーでようやくふつうに組める感じのマザボが出た、という印象。
おまけに好きなAOpenである。

うう…!

いや、わかってる。時間も先立つものも無いのは。
行けない海外旅行のカタログや、着られない大胆なドレスを眺めてるみたいなものである。

【DVD】日曜の朝、思い出す映画「マイライフ・アズ・ア・ドッグ 」

2005年05月01日 07時47分31秒 | 音楽・映画のこと
人工衛星のことを考えていた。

いや、以前書いた中学生時代の思い出の記事を読み返していたのだ。
そういえば、これも人工衛星にまつわる映画だよなあ、と、こんな映画を思い出した。

「マイライフ・アズ・ア・ドッグ 」という映画である。「犬(として)の人生」とでも訳せばいいのか。
のっけから星空を少年が見上げている。人工衛星のことを考えている。
「あの小さな人工衛星に閉じこめられて空を回っているライカ犬にくらべれば、ぼくの人生はまだましだ」

いまなら信じられないようなことだが、かつてソ連という国は、世界初の人工衛星打ち上げに成功したたった一ヶ月後に、生きた犬を打ち上げたことがあるのだ。詳しくは下のリンク先を読んで欲しい。

スプートニク2号の真相 45年目に明らかに

85年に制作されたこの映画の時代設定は、50年代末。場所はスウェーデンの小さな村。
少年はその小さな村の叔父の家に預けられている。父は帰らず、母が病気になって、たった一匹こころをゆるせる愛犬とともに。

映画は不幸な少年が村人とふれあううちに、徐々に成長してゆく姿を丹念に丹念に描いていく。
暗い映画ではない。暗い映画だという印象を与えるように書いてしまったかもしれないが、じつにユーモラスで暖かい映画だ。少年らしい冒険あり、淡い初恋あり。色鉛筆で描かれた田園風景のような映画である。


マイライフ・アズ・ア・ドッグ

ジェネオン エンタテインメント

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