魅惑のワルツ美空ひばりコロムビアミュージックエンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
長編小説を脱稿したお祝いに、と妻がCDをくれた。美空ひばりの「魅惑のワルツ」である。
小林旭とのあれこれ、母親のこと、弟のこと、いろんな伝説に彩られたこの「国民的歌手」はジャズ/スタンダードもめっぽううまい。
このCDはCFソングに使われた曲を中心に複数のレコードから代表的な作品を集めたものだが、年代的には美空ひばりがアイドル的な人気も持っていたころ、人気も実力も絶頂期にあるころに吹き込まれたものである。
すさまじくうまい。
「A列車で行こう」などを聴いていると、このひとがずっとジャズばかり歌っていてくれたら、晩年はエラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンのような世界的なジャズ歌手になっていただろうと思わすにいられない。
日本語の甘い歌詞がつけられた「虹の彼方に」や「クライ・ミー・ア・リヴァー」に違和感をおぼえるジャズファンもいるかもしれないが、わたしはぜんぜんオーケーである。
台詞まで入って「あなたがいないこの街は しあわせが消えた街」と歌われる「ダニー・ボーイ」ですら、感動してしまう。この古いアイルランド民謡から新しい魅力をひきだしていると思う。少なくとも「悲しい酒」より好きだ。
一度は耳にしたことのあるだろう曲ばかり並んでいるはずだ。若いひとに、ぜひ聴いてほしい。
40年前、日本には、こんなすごいシンガーがいたのだ。