加地尚武の佐倉新町電気街

「福音の少年 Good News Boy」シリーズ(徳間書店 徳間デュアル文庫)著者による電脳生活と意見。

【ぶんがく】「プーティーウィーッ?」小鳥たちはビリーに言った。ヴォネガットの死。

2007年04月20日 03時46分14秒 | 本のこと。
人が死ぬのはつらいものだ。
会ったこともないようなひとでも、死んだときくと、どこかさびしい。

大好きだった作家、それも確実に「自分のたましいの一部分を形成してくれた」と言い切れるほど愛した作家が死ぬのは、ほんとうにつらい。

カート・ヴォネガットに説明はいらないだろう。
知らないって?
あなたは今すぐ本屋か図書館に行くべきだ。

偉大な偉大な作家、カート・ヴォネガットが亡くなったのである。

わたしは、「スローターハウス5」のハードカバーの初版本(題名が漢字で、映画化のビリーが横を向いている写真の表紙)をキーボードの横に置いて、彼のことを考えている。

思い出の一冊を挙げよ、と言われれば、上記の本や「猫のゆりかご」や「タイタンの妖女」や「プレイヤー・ピアノ」ではなく、下の「母なる夜」を選びたい。

というのは、この本はもっと評価されるべきだと思うからだ。
SF色が無いからかも知れないが、彼の著作の中では地味に扱われているような気がする。

しかし、これは傑作である。いや、そこまでいかなくても、非常にこの作家のコアな部分が露出した作品だと思うのだ。
ブラックユーモアはもちろん、主人公とひとりの不幸な女性との切実な愛が胸を打つ。

母なる夜

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余談だが、テリー・ギリアムの「ブラジル」は、前述の「プレイヤー・ピアノ」オーウェルの「1984」、ザミャーチンの「われら」など、ディストピア小説のエッセンスを詰め込んだような、暗鬱としたステキな映画だが、案外この「母なる夜」に強い影響を受けてるんじゃないか、と思う。

ともあれ、時間ができたら、ゆっくりと彼の著作を再読していこう。

あ、ブログのタイトルは、「スローターハウス5」のラストからのもじりである。


いまごろ、緑色のオモチャのような宇宙人とともに万里の長城のメッセージを眺めているだろうヴォネガットに、おわかれを言おう。

そういうものだ。

さいきんのあれこれ。

2007年04月09日 00時39分46秒 | 本のこと。
ものすごく更新間隔が空いてしまいました。
いやー、生きてますよ。一応。

旅行に行ってたわけでもないし、インフルエンザで寝込んでいたわけではありません。あ、もしこのブログを読んでいるひとで、寝込んでいるひとがいたら、無理をしないでゆっくり休んでくださいよ。自分という存在がいなくても、あんがい、なんとかなるもんです。もちろん、必要無いっていう意味じゃないよ~。

「花冷え」と言えばいいのか、ちょっと寒い日が続きました。

基本的には寒がりではないのですが、薄手のセーターを出してきました。

風に向かって歩きます。

手の甲をくちびるに当てて、冷たい風をしのぎます。


最近、よく考えるのは、「男の生き方」ということです。
ぼくもいい年なので、たぶん、今まで生きてきたよりもこの先は短いだろう。だから、中年って言うより、実際は「初老」って言うのかもしれない、なんて思います。

明治の軍人たちの本を読み始めました。趣味と実益(じぶんの小説の参考)をかねて読んでいます。

いま寝る前に少しずつ読んでいるのは、星亮一さんの「出羽重遠伝」。
会津に生まれ、あの白虎隊で有名な戊辰戦争のときは少年だった出羽重遠は、努力の末、当時皇族・薩摩以外では初の海軍大将になった人物です。

出羽重遠伝―日本海海戦の勇者

光人社

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いいですね。とくに日清戦争のくだりなんか泣かせます。


あ。もう12時半回りました。

なんだか名残惜しいですが、このへんで。

じゃ。