久しぶりに映画化されたゴジラを観てきた。
「ダークナイト」や「パシフィックリム」のリジェンダリー・ピクチャーズ製作の「GODZILLA」である。
この映画の日本側(東宝側)の代表というべきエグセクティブ・プロデューサーの坂野 義光さんが愛媛県出身ということで、新居浜のシネコンのあるイオンモールでトークショーをはじめとするイベントも行われたので行ってきた。
写真の真ん中に座っておられるのが坂野さんである。黒澤明のいくつかの作品の助監督を経て、あの怪作「ゴジラ対ヘドラ」の監督もなさった方。今回のハリウッド版というかリジェンダリー版「GODZILLA」はもともとこの板野さんがIMAXで40分程度のゴジラの3Dムービーを作ろうと出資者を求めていたことがきっかけだそうな。
それがあるハリウッドのプロデューサーにより、超大作の長編映画として作られることになったとか。
トークショーではこの新作GODZILLAの裏話や、カルト的な人気を誇る「ゴジラ対ヘドラ」制作の裏話など聞けて、とてもおもしろかった。
さて、このトークショーの前に、ぼくはこの新作映画を日本語吹き替えで観ていた。
で。ここからが感想。
「ゴジラ映画」としては1998年の「GODZILLA」とは比べようも無い。ほんとうにお金をかけて作られた「きちんとしたゴジラ」が観られるのは保証できる。これは予告編通り。1998年版に失望した大多数のゴジラファンはこれだけでも劇場に足を運ぶ価値はあると断言できます。ホントですよ。
ただ、映画としては、100点満点中60点だと思う。
映画評論家みたいにいろいろと欠点をあげつらうことは避けたいのだけど、「暇つぶしにポップコーンでもほおばりながら観る映画」としては、つまり一種の見世物としては、評判の悪い1998年版の方が、むしろ楽しかったな。
100メートルの怪獣が暴れ回るんですよ、というバカな設定なのに、みょうに生真面目に映画撮っちゃったって感じ。
かといって深いものがあるわけでもなく、渡辺謙さんの扮する博士も、主人公の父と子の関係も、家族との関係も、さらっとテンプレートをなぞった感じだし、初期のスピルバーグを思わせる、なかなか本体を映さない「じらし」手法もちょっとくどい。
いろいろ書きましたがしかし、ハリウッドでゴジラがこんなふうに復活した意義はとても大きい。
先行して公開されている北米や中国では大ヒットなので、当然続編が作られるだろうけど※、大いに期待できる、と思います。
※息子などは「同じ映画会社だから『ゴジラ対イエーガー(パシフィック・リム)』ができるんじゃない」などと言っていますが(笑)
「ダークナイト」や「パシフィックリム」のリジェンダリー・ピクチャーズ製作の「GODZILLA」である。
この映画の日本側(東宝側)の代表というべきエグセクティブ・プロデューサーの坂野 義光さんが愛媛県出身ということで、新居浜のシネコンのあるイオンモールでトークショーをはじめとするイベントも行われたので行ってきた。
写真の真ん中に座っておられるのが坂野さんである。黒澤明のいくつかの作品の助監督を経て、あの怪作「ゴジラ対ヘドラ」の監督もなさった方。今回のハリウッド版というかリジェンダリー版「GODZILLA」はもともとこの板野さんがIMAXで40分程度のゴジラの3Dムービーを作ろうと出資者を求めていたことがきっかけだそうな。
それがあるハリウッドのプロデューサーにより、超大作の長編映画として作られることになったとか。
トークショーではこの新作GODZILLAの裏話や、カルト的な人気を誇る「ゴジラ対ヘドラ」制作の裏話など聞けて、とてもおもしろかった。
さて、このトークショーの前に、ぼくはこの新作映画を日本語吹き替えで観ていた。
で。ここからが感想。
「ゴジラ映画」としては1998年の「GODZILLA」とは比べようも無い。ほんとうにお金をかけて作られた「きちんとしたゴジラ」が観られるのは保証できる。これは予告編通り。1998年版に失望した大多数のゴジラファンはこれだけでも劇場に足を運ぶ価値はあると断言できます。ホントですよ。
ただ、映画としては、100点満点中60点だと思う。
映画評論家みたいにいろいろと欠点をあげつらうことは避けたいのだけど、「暇つぶしにポップコーンでもほおばりながら観る映画」としては、つまり一種の見世物としては、評判の悪い1998年版の方が、むしろ楽しかったな。
100メートルの怪獣が暴れ回るんですよ、というバカな設定なのに、みょうに生真面目に映画撮っちゃったって感じ。
かといって深いものがあるわけでもなく、渡辺謙さんの扮する博士も、主人公の父と子の関係も、家族との関係も、さらっとテンプレートをなぞった感じだし、初期のスピルバーグを思わせる、なかなか本体を映さない「じらし」手法もちょっとくどい。
いろいろ書きましたがしかし、ハリウッドでゴジラがこんなふうに復活した意義はとても大きい。
先行して公開されている北米や中国では大ヒットなので、当然続編が作られるだろうけど※、大いに期待できる、と思います。
※息子などは「同じ映画会社だから『ゴジラ対イエーガー(パシフィック・リム)』ができるんじゃない」などと言っていますが(笑)
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三連休の最終日、高知県立美術館に行った。
芸術作品を鑑賞するためではない。ホールで行われる「怪獣映画特集」を観にいったのだ。
午前の部が「空の大怪獣ラドン」「大怪獣バラン」、午後の部が「フランケンシュタイン対地底怪獣」「サンダ対ガイラ」という、「渋い」プログラムである。
大の怪獣映画好き少年だったぼくは、「バラン」以外の映画を全部劇場で観ていたし、テレビでも何度か観ていたんだけど、特撮フリークの息子に誘われて、「久しぶりに大スクリーンで観ようか」という気になったのだ。
とくに「フランケンシュタイン対地底怪獣」「サンダ対ガイラ」は、あまりテレビ放映されない(※)。よく考えると前者は四十五年ぶりかもしれない。迷わず午後の部を選んだ。
※前者は原爆投下から十五年目の広島が舞台で、いろいろと当時の社会事情や放送禁止用語が連発される。後者は悪い人造人間のガイラがむしゃむしゃ人間を食っちゃうシーンがある。それもかじった上に服をペッと吐き出すという。ま、放送されないわな(笑)
高速道路から高知県立美術館へ。お濠に囲まれた土蔵を思わせる趣のある建物。マルク・シャガールのコレクションで有名らしいけど、今日はそれどころではない。
で、立派なホールに座って、最初の「フランケンシュタイン対地底怪獣」を鑑賞。
小学生のとき以来である。ちょっとワクワクした。
・・・で、ラスト、ぼくは腰を抜かさんばかりに驚いていた。
「四十五年前に観た映画と結末が違う!」
思わず叫びそうになった。
自慢じゃないけど映画や小説に関しては記憶力のいいほうだ。「フランケンシュタイン対地底怪獣」は子どもごころにとても怖くてよく憶えていた。ネタバレになるが、四十五年前に観た結末は、地底怪獣バラゴンを持ち上げたフランケンシュタインが、地面に空いた大きな穴に吸い込まれるように落ちるというものだった。
しかし、今日観た映画の結末は、違ったのだ。
フランケンシュタインは地底怪獣の首の骨を折って殺す。
次の瞬間、登場人物(若き日の高島忠夫さん)がべつの方向を指さす。
「蛸だ!」
はあ?
数十メートルもありそうな巨大な蛸が唐突に画面に現れる。いっとくがここは海中でも海岸でも無い。山の中である。
フランケンシュタインはその巨大蛸と格闘!
なかなか決着は付かない。
やがて二体は近くにあった湖に転落。
ぶくぶくぶくぶく。泡。どっちも浮かびあがってこない。
はあ?
唖然とするぼくの目の前に「終」の文字が。
はあ?
息子に聴き、ウィキペディアで調べると、どういうわけなのか、日本で劇場公開後、蛸との格闘シーンが急遽追加されたらしい。わざわざ俳優さんを集めて台詞も取り直したとか。で、ビデオ版には「蛸エンド」が納められていたので、逆に劇場公開版が珍しいのだとか。
なるほど。
・・・わけわからん。
しかし、山の中に唐突に大蛸が登場して格闘を始めるというシュールなシーンは、いいようによってはおもしろい。
総じていえるのは怪獣映画に過度の期待をしてはいかん、ということだな。
両方の映画に出演している水野久美さんの美しさに免じて、さらっと流そう。
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あー、なんで映画館で観なかったんだろう?
と思ったんだけど、シネコンではやってなかったと思う。
雨が降っていてどこにも行けないので、録画してあった「裏切りのサーカス」を観ました。
正直、あんまり期待していなかった。
「難解」とか「未消化」とかいった批評の方が多かったので。
で、居間でだらだら観てたんだけど、ラストは思わず正座していました。
いやあ、よかったですね~!
大雑把にいうとソ連と西側諸国がいがみあっていた時代、イギリス情報部幹部(通称「サーカス」)にもぐりこんだ「もぐら」=二重スパイを、いろいろあって諜報部を追われた元中年スパイが緻密な捜査で炙り出していくという感じのストーリー。
こう書くと単純そうだけど、原作は非常に多くの登場人物が入り組んでいて、複雑な展開を見せる。
原作は元MI6に勤めていたというジョン・ル・カレ。
翻訳された長編はほとんど読んでいるくせに、この映画を遠出してまで観に行かなかったのは、痛恨であります。
この映画のどこがいいって、そのまま映画化してもややこしい話を、過去を唐突に交錯させながら描いていて、さらにややこしくなっているという(笑)。
難解といわれりゃそうかもしれない。原作を読んでいたも戸惑いそうになったくらいだし。
しかし、ね。
ラスト、以外な名曲で登場人物たちの「その後」をさらっと描いてくシーン、しびれました。
もともと原作をはじめ、ル・カレの長編は渋いスパイ小説なんですが、その渋い中にも「国家・体制に押しつぶされていく人間性」というはっきりとしたテーマを持っています。
で、この映画も、そのあたりを非常にしっかりと、エモーショナルに描いていると思いました。
だから少々ややこしい感じがしても、観た後はすばらしい余韻が残るんですね~。
いやー、この監督さん(スウェーデンのひと)、いいわあ。
あと、現在のイギリスを代表するような俳優陣の演技と70年代ファッションのかっこよさも見所です。
今となっては「時代小説」という趣のある原作小説(三部作)も並べておきますね。
この中では一番長い「スクールボーイ閣下」が一番好きです。衝撃的で切ない結末が忘れられません。
ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫NV) | |
村上 博基 | |
早川書房 |
スクールボーイ閣下〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) | |
村上 博基 | |
早川書房 |
スマイリーと仲間たち (ハヤカワ文庫 NV (439)) | |
村上 博基 | |
早川書房 |