だーばぁの流儀

児童文学作家・岡田なおこブログです。
全身マヒ+オストメイト・作家・アラ還ならではの日々を気ままにつづっています。

本の紹介・番外編@「多毛留(タケル)」

2014年08月27日 | 日記
米倉斉加年さん追悼

俳優であり、演出家であり、絵本作家、そして絵師である米倉斉加年さんが急逝されましたので、
このブログも予定を変更して(?)、ワタクシメの心に深くしみついている一冊をご紹介します。


多毛留(タケル) 1976年、偕成社刊。文・絵:米倉斉加年

漁師の父と、父が朝鮮から連れてきた母との間に多毛留は生まれた。朝鮮と日本との係わりを、簡潔な文章と細密な絵で描いた絵本。

「絵師」として米倉さんはボローニャ国際児童図書展にて、1976年『魔法おしえます』で、1977年『多毛留』で、2年連続グラフィック大賞を受賞。

※ ネットで「米倉斉加年」のプロフィールを見ましたら、「絵師」と書かれていました。
  カッチョエェー!
  画家でもなく、グラフィックデザイナーでもなく、どのサイトも「絵師」となっているところに
  「絵師、米倉斉加年」のこだわりが感じられます。





えー、あのオッチャンがぁぁぁ

ワタクシメが「多毛留(タケル)」を初めて読んだのは、確か中学の頃です。
当時ワタクシメが読む本は、すべて母上の好みでした。

多毛留(タケル)を読んだ時の衝撃は40年経った今でも忘れられません。

ーーこの絵、(テレビに出てる」あのオッチャンが描いたのー? うそー。
ーーこういう絵本もあり~?
ーーこれは子どもにはわからない。大人の絵本だね!

見たこともない画風であり、物語もむずかしく感じました。
エロチックでもあり、怖さも含む、美しい絵。
「朝鮮と日本の関わり合い」を描いた物語は、子どもであるワタクシメにとって「禁猟区」のような気もしました。

それはワタクシメが知っている「テレビに出てる倉さん」からは想像できませんでした。
ワタクシメは「多毛留」によって、人間の心の闇の部分」を教えられたと思います。

ーー見てはいけないモノを見てしまった。でも母さんが買って来たんだから、いいのかな(?_?)

ワタクシメには、ドキドキしながらも何度も「多毛留(タケル)」を読みました。
それ以後、ワタクシメは絵本作家・米倉斉加年のファンになり、他にも何作か読みましたが、この作品が一番好きです。


「父と息子」「日本人と朝鮮人」「血」「言語」といった重厚なテーマが簡潔な言葉で、見事に物語化されてます。


大人になった今、改めてじっくり読みたいです。
我が家のどこかにあるはずなので、発掘してみます。

ロングセラーですから、すぐ手に入ると思うし、「米倉斉加年さんを偲ぶ フェア」もあちこちで開催されるのではないでしょうか。

米倉さんの絵本をご存知ない方も、ぜひぜひ「多毛留」だけは読んでみてください!

謹んで、米倉斉加年さんのご冥福をお祈りします。
                     合掌。


コメント
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