Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

カシューナッツをさがせ!

2009年05月04日 | 家・わたくしごと
 『ウォーリーをさがせ』いう絵本をご存じだろうか?子供向け絵本で、見開きの頁にはものすごく小さな人が描かれていて、その中からウォーリーなる人物を探すというよく知られた絵本である。息子の書架にも数種類が並んでいて、ある時、まだ子どもがウォーリーを探すまえに、必死になって夜な夜なウォーリーを探したのだが結局は全部見つからず、息子にすべて見つけられものすごく悔しい思いをした記憶がある。
 今晩、ワヤン一座のメンバーと練習終了後に中華料理を食べに行き、このとき東京の一部ガムラン界の中華定番、鶏肉とカシューナッツの炒め物を注文した。そして出てきたのが写真の料理である。さてこの写真、見ると鶏肉とカシューナッツの区別が色ではかなりつきにくいのである。しかもこの料理、紹興酒2本目も空になる頃に頼んだせいか、酔いがまわって形でも区別がつかなくなっている。
 「カシューナッツをさがせ!」とがんばってみたのだが、鶏肉の割合が多くて、どうしてもカシューナッツに遭遇しないのである。鶏肉の方がカシューナッツよりも高価な気がしてしまうが、現実はカシューナッツの割合の方がはるかに少なく、口の中でナッツの食感があると「やったー、ラッキー!」なんて素直に喜んでしまう。正直、『ウォーリーをさがせ』より「カシューナッツをさがせ」の方がはるかに難しいし、おいしいし、楽しいし、「しいし」三連発で言うことなしである。

アメヤ横丁名物――東京の休日(8)

2009年05月04日 | 東京
 アメヤ横丁といえば、かつては魚介類や乾物屋、輸入商品が所狭しと並んでいたイメージがあるが、最近はディスカウントのスポーツ用品屋がとにかく多くなった。しかもその店に共通しているのが店頭の「衣装の山積み」であり、それに群がる人々の山である。
 私もこれまで何度もこんな群がる人の一人としてこの山積みと格闘し、いくつものウエアーやトレーニングズボンをゲットしてきているのだが、本日は連休中ということで家族づれが多く普段より動きにくいため、服漁りではなく見学モードに切りかえたのだった。写真の店はアメヨコ通りではなく、線路の反対側の通りであるがやはりスポーツ用品屋の店頭である。
 耳を澄ましてみると、日本語でない中国系の会話があちらこちらから聞こえてくる。注意をしてみてみるとツアーの資料として渡されたA4用紙にアメ横の店の場所が書き込まれている。きっと、このような安売りスポーツ店も今は観光の周遊場所になっているのだろう。確かにこの光景は異様だし、西洋人の旅行者も驚きを隠せない様子で、写真を撮影しており、私の目が合うと笑っていた。そういう僕も沖縄からアメ横を訪れた観光客の一人なんだ。


坂――東京の休日(7)

2009年05月04日 | 東京
 東京都内には坂が多い。確かタモリが登場する不定期のNHK番組で東京のそんなスポットを歩くシーンがあったが、隠れた名坂がまだまだ存在する。今回、久しぶりに歩いた坂は神田明神の脇を滝沢馬琴の住居跡の方に降りていく明神男坂である。ちょうど坂の両側でマンションらしき建物の建設中で光景は「いまいち」だったが、やはり風情があっていい。坂の脇にはヒメジオンの花が咲き、都内とは思えない風情がある。
 私が坂を下っていくと、年格好は70歳くらいの男性たちが数人、坂をちょっと苦しそうに上がってきた。「昔は神田明神の裏に住んでたんだけどね、やっぱりこの坂がきつくてね。」と一人がしゃべっている。そうか、やっぱり坂は年齢とともに厳しくなるんだなとつくづく思う。
 高齢化していく社会の中でバリアフリーが叫ばれる中、こうした昔ながらの坂というのは風情であると同時に街の中の「バリア」にもなってしまう。坂を上っていた老人は、坂が原因で引っ越したのかどうかはさだかではないが、やはりこの街に住む障害の一つになっていたのかもしれない。だからといってこの坂の横にエスカレーターがつく時代がやってくると思うと、それはそれで少々切ない気がする。人間は歳をとっていく。それは誰にもとめることができないのだから、今のうちに坂をたくさん歩いてしっかり記憶に残しておかなくてはならないのだとちょっと寂しい気持ちになる。


神田明神――東京の休日(6)

2009年05月04日 | 東京
 靖国神社から水道橋へ向かい、再び、線路ぞいの上り坂のかえで通りを歩いて御茶ノ水にもどり、その足で湯島通りを北に向かう。神田明神の祭礼は5月中旬なので、そろそろ道路脇には祭礼の旗が立てられ始めている。祭り好きのこのあたりの江戸っ子は、もうそわそわしているのだろう。
 お茶の水から水道橋、御徒町間を歩くとき、私は多少遠回りでもこの神田明神のある神田明神通りを歩くことにしている。途中には湯島聖堂もあるし、風情のある景色が楽しめる散歩道だからだ。特に私の好きな場所は神田明神通りから、神田明神へ続くわずか50メートルたらずにならぶ門前の店々で、ここには浅草の浅草寺のようにはいかないがやっぱりひっそりとながらも甘酒屋、お土産屋が並んで風情がある。冬だとここで甘酒をいっぱい飲んで体を温める。
 数人の人々によって祭りの準備が始められていた。きっとあと10日もすればここは一年に一度のハレの舞台になるのだろうが、そんな光景が想像できないような静かな境内である。祭りの後の静けさは、寂しい感覚に襲われるものだが、祭りの前の静けさは、逆にワクワクするような高揚感が感じられて気分がいいものだ。


一心不乱にラジオを聴く男――東京の休日(5)

2009年05月04日 | 東京
 古書店街の並ぶ靖国通りから一本入ったすずらん通りを歩く。必ず立ち寄るアジア文庫があるだけでなく、三省堂書店に出入りできる裏口や東京堂書店などの大手新刊書店、さらにはいくつもの古書店、変わった楽器屋、中国書専門の書店なども軒を連ねるおもしろい通りである。わずかに二百メートル足らずのすずらん通りでも数時間は楽しむことのできる私のアミューズメントスポットである。
 この道を歩いていたとき、ちょっとした店屋と店屋のくぼみに、座りこんで大きな音でラジオをかけ、その音に集中している男性がいる。手には「あの新聞」を握りしめて!ラジオは当然、競馬。おじさんの表情を見るだけでも、その聴覚だけに集中している様子が伝わってくる。通り過ぎる人々なんてまったく眼中になく、きっとコーナーを疾走する馬たちだけを思い描いているのだろう。
 こういう光景も好きである。ものすごい数のおじさんたちが、なんとなく似たような服を着て競馬新聞を手に競馬場に行く姿はちょっと奇妙であるが、こうして街中で一人、競馬に集中するおじさんの姿は、なんとなくこのおじさんの競馬に対する美学が象徴されているようである。このレース、当たったかな?


骨董市――東京の休日(4)

2009年05月04日 | 東京
 靖国神社で毎週日曜日に骨董市が開かれていることは昔から知っている。特に「骨董」が好きなわけではないが、私は露天で何かが売られているマーケットというのが大好きだ。オランダに住んでいた間も週に二度はデン・ハークの骨董市に出かけてはそんな光景や売られている品物を目で楽しんだ。何も買わず、ただ見るだけである。
 靖国神社の境内の木陰で骨董市が開催されていた。数十の業者が店を出し、がらくたから骨董らしきモノまでさまざまなものが並べられている。涼しい木陰の中、思い思いに並べられている品物を手にとったり、店主に尋ねたりする人々・・・。
 またオランダに勉強に行ってみたいなあ、と簡単には叶わない夢を描いてみたりする。素敵なジャラン・ジャランである。