Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

紀尾井坂にて

2009年05月21日 | 東京
 大久保利通が紀尾井坂で暗殺されたのは明治11(1878年)年5月14日なので、散歩をした土曜日から131年と2日前である。木戸は病床で、そして西郷は鹿児島で斃れ、一人残った大久保の心境はどんなものだったのだろうと想像してしまう。
 一人残った大久保は、独裁的な政治を行ったとよく言われる。しかし、西南戦争直後、反政府論者の渦巻くなか、彼がとるべき道はやっと方向を定めた明治政府を貫きとおすことしかなかったのだろうと思ったりもする。史実にもとづいた発言ではなく、私の単なる感情的な想像であるのだが。
 紀尾井坂は今、一流ホテルやショップがならぶおしゃれな坂へと変貌した。たぶん、ここを訪れる人々の大半は大久保がこの地で暗殺されたことを知らない。石碑は声を出しては何も語らない・・・。私はそんな石碑が好きなのだ。無理強いをしない。そこに刻まれた文字は、読みたいものだけに語りかけてくれる。しかし本と違うのは、石はそう簡単に朽ちていくことはない。いつまでも、読みたい者だけに歴史を語りかけてくれるものだからだ。