Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

ロンボックを振り返って

2015年12月30日 | バリ
 ロンボックの調査のまとめを終えてデータを共同研究者と共有し、ひとまず海外でできることは終了。海外調査の記録はできるだけ滞在中に入力してしまうようにしています。ノートに書いたことの記憶はまだ新しいし、わからなければすぐに電話などで確認することもできます。
 今回は行くところ、行くところで本当によくしてもらってしっかり記録もとることができました。もう4回目のロンボックで、最初は手探りでの調査でしたが、今はやっとこの島になじんできたような気がします。
 調査に行くたびに見たい儀礼、調査した楽器がどのように演奏されるのかが気になるところで、儀礼の日程も聞いてきたことから、きっとまた短期でもロンボックを訪れることになると思います。調査はすればするほど次の課題なるものが見えてくるものなのです。

久しぶりのロンボック島

2015年12月26日 | 
現在、調査でロンボック島にいます。今日がメインの調査で朝早くから起きて段取りの整理など。それにしても新しい場所で調査をするのはドキドキもするしワクワクもするものです。
宿泊しているのはチャクラヌガラというマタラムの中でもバリの人々の多い地域の小さなホテル。昨日満月だったせいか、バリから儀礼にやってきたバリ人の団体がいっぱいで、なんだかロンボックにいるのかバリにいるのかわからないほどです。今日もバリ人の集落での調査。
昨日の夕方には強いスコールがありましたが、今は快晴です。時間があればロンボックにあるバリ王宮の旧跡なども巡ってみたいと思うのですが、いつもバタバタ。あと30分で出発!

同じ日にギャラリートーク

2015年12月18日 | 家・わたくしごと
 明日、土曜日は、静岡文化芸術大学のギャラリーで開催されているワヤン展で、出品者である私のギャラリートーク(12時20分~50分)のあと、14時からワヤンの上演があります。申込者が思っていた以上にたくさんで、ちょっと嬉しい悲鳴と、会場運営に一抹の不安を感じております。
 しかし本日はこの話ではなく、明日から岐阜県現代陶芸美術館で開催されるアール・ヌーヴォーの装飾磁器のお話。詳細は、こちらのHPをご覧いただければ一目瞭然です。なぜ、この話題かと申しますと、実はこの装飾磁器の出品者は、研究仲間であり、ガムラン奏者、そして私のワヤンを一年に何度も見に来てくださる塩川氏であるからです(ちなみに今月あった自主公演には二日ともいらしてくださいました)。この展覧会のポスター、なんと私の大学の図書館内にも貼られています。実は、彼はスペシャルゲストとして、オープニングの明日、私のワヤンが始まるのと同じ時間の14時から、スペシャルギャラリートークを行います。たぶんかなりマニアックで楽しいお話になるはずです。
 お互いコレクションも規模も全く違いますが、偶然とはいえ、同じ時期に展覧会を行って、同じ日にギャラリートークをするわけです。もし日が重ならなければ出かけたかもしれません。実は塩川氏も同じことを言ってくださいました。さて、その塩川氏とは12月22日に合流して、バリとロンボックでガムラン楽器の調査です。たぶんお互いの展覧会の話で盛り上がるんでしょうね。
 

古いカマサン画~バリ島ワヤン展(3)

2015年12月16日 | 大学
 静岡文芸大で現在開催中のワヤン展には、人形ばかりでなく、カマサン様式の絵画も二点展示されています。カマサン画はワヤン様式ともよばれ、ワヤン人形の図像と人物の描き方が似ています。顔ややや斜めを向きつつ、体は正面を向き、足は横を向いているという図像です。ですから、その関係から絵画も展示しているのです。
 今回は比較的大きなもので、ラマヤナのシータの誘拐の場面を描いたものが1枚、そしてアルジュナの瞑想の絵画が1枚です。
 実はこの写真に写っているのがアルジュナの瞑想で、この夏に購入したものです。ある古いアートショップに数十年あったもので、何年かに一度、その店によってはこの絵を見続けていました。少し高い絵でしたが昨年、おもいきって手にいれました。店の方は「この絵が売れなかったのはあなたに買われるためね」と笑っていました。確かにそうかもしれません…。

不思議なカヨナン~バリ島ワヤン展(2)

2015年12月15日 | 大学
 昨日のブログに書いた展示されているバリ島のカヨナンの一つ。バリの芸能と長く関わっていても、この図像を見る機会はほとんどないと思います。実はこのカヨナンは、1970年代に刊行されたバリの研究書の中に写真があり、長くその存在は知ってはいたのですが、それが「何」のカヨナンなのかわからなかったのです。
 それがワヤン・ガンブとよばれる珍しいワヤンの人形だと知ったのはずっと後で、昨年、やっとそれを手にいれました。そういう意味で長い道のりでした。これは研究用で私が日常的に使うものではありませんけれど、それにしてもこの図像、まさに「樹木」がリアルに描かれていることがわかります。普段使っているものは「シンボル」としての「樹木」という傾向が強いわけで、実際にここまでリアルだと驚いてしまいます。
 色が鮮やかであるせいか、展示を見に来られた方はこのカヨナンの前に立ち止まって、その繊細な彫刻に見入ってくれているようです。正直、私にはちょっと色彩が派手すぎるような気もするのですが。
 

宇宙の樹~バリ島ワヤン展(1)

2015年12月14日 | 大学
 土曜日から静岡文化芸術大学西ギャラリーで開催されているバリ島のワヤン展。ブログで少しづつ紹介したいと思います。
 ギャラリーを入るとすぐに「宇宙の樹」のコーナーがあります。バリのカヨナン、ジャワ、ロンボックのグヌンガンが5本展示されています。形の大きさ、色彩の豊かさという点ではジャワのグヌンガンの方がいいかな、と思うのですが、やはりこれはバリのワヤン展なので、中央はバリのカヨナンです。この人形はワヤンを象徴するといっても過言でなく、この人形から始まりこの人形で終わるワヤンにとって重要な人形。
 実はバリのワヤンの木は2種類展示されていますが、ほとんどの方が一つしかご存じないはず。実は昨年ですが、ワヤン・ガンブのカヨナンをスカワティのダラン、ナルタさんに製作してもらいました。バリにはバトゥアンに古いワヤン・ガンブの人形が一セットだけ残されていますが、その人形を新しく製作したのががナルタさん。彼は復興したときにすべての人形の図面を残したために、それをもとに作成してもらったカヨナンがあります。写真は明日以降に掲載しますので、ぜひ現物をご覧ください。樹が本当にリアルに描かれています。

ワヤン展始まります

2015年12月12日 | 大学
 実は昨日オープンを予定していたワヤン展ですが、昨日朝からの暴風警報で大学が全学休講になり、一日延期になって、本日がオープンです。昨日は本当にびっくりポンでした。朝9時前に学生たちが大学から駅の方へ戻って行くのをみて嫌な予感があったのですが。ただ、そのおかげで昨日はいろいろな準備ができて、なんとかグレードアップした状態でオープンができることを嬉しく思っています。
 昨日は私を含め、教員三人と学生二人でがんばりました。最後はDVDのセッティング。当初は学生中心で教員は指示役でしたが、大学が全休で学生がほとんどいないので仕方がありません。でもちょっぴり楽しそうにも見えました。
 来週からはギャラリートークもはじまります。また会場内イベントあり。本日は14時からワークショップ。来週19日(土)は、14時からワヤン上演です。ワヤンの演目は先週、東京公演で上演した「乳海攪拌」です。是非おいでください。
 お申込みはメールで m-tachi@suac.ac.jpまで。展示は10時から18時までです(日曜日はお休み)。

今晩が山です

2015年12月10日 | 大学
 明日から静岡文化芸術大学の西ギャラリーでバリ島のワヤン展がはじまります。とにかくいろいろな仕事を抱えて忙しいために、ワヤンの作品のことを知る私自身がなかなか長い時間ギャラリーで作業できない中、美術館勤務の経験のある展示のプロの先生方、またその下で学ぶ学生たちがしっかりと準備をしてくださっています。学生の中では唯一のバリ経験者の私のゼミの学生もがんばってくれています。皆で作業をするこの感覚、長いここ忘れていました。昨日も夜10時過ぎまで準備が続きました。1年生や2年生が「こんな遅くまで大学にいたのは初めてです」と言っていましたし。
 今晩が山です。学生たちが展示を終えたものにキャプションをつけていかなくてはなりません。もう徹夜覚悟です。午後はずっと会議なので仕事ができません。とにかくやらなくちゃオープニングが迎えられません。限られた空間ですし、備品がたくさんあるわけではありませんが、できる限り、いい空間をつくりたいと思っています。どこまでできるかな・
 こういう忙しい日、朝はコーヒーをいれて大きく深呼吸。長い一日のはじまり、はじまり。