Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

「和風」という自己流

2007年10月10日 | 家・わたくしごと
 夜になると息子の部屋から「雨だれ風」の「千と千尋」のテーマ曲が聞こえてくる。彼は、数日前に自分で採譜した楽譜を見ながらあいかわらず電子ピアノに向かっているのである。つい数日前までは電子ピアノは「家具」であったはずなのに、今は楽器になっているのだ。全く不思議な男だ、と思いながら仕事をしていると、かみさんが私を手招きする。子どもを見てみろといわんばかりに、息子の部屋を指さしている。「仕事してんのに、めんどさ・・・」と思いながらも重い腰を上げて、手招きされた方向に歩いていき、電子ピアノに向かう息子の真剣な後姿を覗いてみた。
 すると・・・彼は、ピアノの椅子に正座をして鍵盤に向かっていたのである。なぜか不思議な光景である。まさに和洋折衷、東洋と西洋のハイブリッドな演奏法であるではないか!ピアノを習ってさえいれば「ペダル」という存在を知っているはずで、そうであれば必ず足を床につけるはずである。彼は「ペダル」を知らないに違いない。
 ピアノの先生が見れば、許されざる姿勢なのだろうが、今や「スプーンで食べる納豆ごはん」、「靴をはいて浴衣着」も「ワインのおつまみがたこ焼き」もすべてOKの時代である。そう考えてみれば「正座してピアノ」もOKではないだろうか?だから私もかみさんも、息子には何もいわなかった。彼は振り向いて私たちにこういった。
 「まだ半分までしか楽譜ができてないから、全部ひけないんだよ。」
 「私たちはあなたの姿勢が気になって、演奏している音楽なんか、ぜんぜん聴いていませんでした。ごめんなさい。」と心でつぶやく。