七曜工房みかん島

18年間の大三島暮らしに区切りをつけ、
滋賀大津湖西で、新たに木のクラフトと笛の工房
七曜工房を楽しみます

一人で建てる木組みの家~②丁張り・基礎~

2006年08月19日 | 『一人で建てる木組みの家』
[考え方]
丁張りは、トランシットやレベルという精密光学機器を使ってやれば、早く正確にできるものだが、機器には頼らないことにした。
直角を出すには、三・四・五の大ガネとピタゴラスの定理を使う。
水準出しは、バケツとビニールホースを使う。

バケツとビニールホースを使っての水準出し


丁張り材の貫板や杭は、廃屋解体時に残しておいた板やみかん園で伐採した防風垣の杉丸太を活用。
遣方は建物周り四周をめぐらすようだが、材料の節約をはかる為、四隅だけにした。
基礎はハンドメイドハウスの本を読むと、たいてい専門業者に任せることを薦めている。しかし地盤が悪くなく、背の高い基礎にすることもなければ、自分で充分にできると考えた。
ただし、型枠を組んで生コンクリートを流し込む一般的なコンクリート基礎ではなく、レンガ積みや石積みなどの組積工法が頭の中にあった。
最もナチュラルでやりたかったのが石積みだが、土留としての石積みではなく、建物基礎の石積みとなると、切石をレンガのように積むか、片面は石を積んで、もう片面はコンクリートを打つといったものになる。
切石だと高くつきそうだし、型枠を使ったコンクリートはやりたくなかった。
本をいろいろ読み漁っていて目に留まったのが、イギリスの羊止めの石垣だった。
両側面に大きめの石を積みながら、間に小さい石を詰めていく空積みの石垣だった。

「手仕事イギリス流クラフト全科」~抜粋 羊止めの石垣


この間詰めをコンクリートにすれば、ナチュラルで頑丈な建物の基礎ができると考えた。両側面の石が型枠になるのだ。石材も基礎栗石のような安価なものでよいし、少しずつ積んでは、手練りのコンクリートを流し込むという作業は”一人で建てる”にまさにふさわしい工法だ。
建物外観を形成する外側の四周に、石積み基礎を用い、外側から見えない内側の基礎は施工性のスピーディなコンクリートブロック積みとした。
また束石についても、石積み基礎に使用した割栗石で施工した。

石積みの間詰めコンクリートの様子



石積み基礎       ~ 高さ0,5m、長さ29m 作業延べ日数29日
コンクリートブロック基礎~ 高さ0,61~0,66m 作業延べ日数16日
束石           ~ 36箇所 作業延べ日数3日

石を積んでいる様子 丁張りも見えている


石積み基礎完成



石積み基礎・コンクリートブロック基礎とも完成



追記~妻・ひろより~

栗石は島の砕石屋さんで、丁度良いのが出たので、購入した。
この砕石屋さん、何かと私達を気に掛け、時々覗いてくれる。
夫考案の基礎も、「そんな、手で石を積むなんて、大変な!」
と、コンクリート基礎を薦め、
「型枠も手回しのコンクリートミキサーも貸してあげるから」
と反対した。

しかし、黙々と、ジグソーパズルのように栗石を積み上げ、
手練のコンクリートで固めていく、基礎を見て、

「うちの栗石がこんな風に、きれいに使われるなんて」
と感心してくれた。

「いつになったらできるか」 と私も心配したが、
2005年3月着工、7月末にようやく基礎が完成した。


2005年3月 購入した栗石で試積み
コメント (2)
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