こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

20231004危機管理建設委員会 危機管理部審査

2023-10-05 08:35:14 | 長野県議会

危機管理建設委員会会議録

(10月4日 危機管理部関係)

1,新型コロナの総括について

○   中川委員 最初に新型コロナの関係ですが、今度機構改革も含めて部署が変わるのですけれども、いわゆる危機管理上のリスクというのが少なくなったということが一番の原因だと理解をしています。

     したがって、この間のコロナに3年以上対応してきた経験を、次の新型感染症への対応へどう生かしていくのかというのは、引き続き危機管理上の問題として課題はあるのかなと思うので、そんな点について、ぜひ総括を含めて、次のために生かすという対応をしておく必要があると思いますが、いかがですか。

○  髙野新型コロナウイルス感染症対策室長 新型コロナの3年間に及んだ対応の振り返り、それからそれをどう生かしていくかというお尋ねでございます。

     国のほうでは、新型インフルエンザの行動計画の見直しに着手したところでございます。県におきましても、これから説明会等実施されるというふうに聞いておりますが、それを受けた形で、新たな行動計画を改定に向け作業を進めていくという予定でおります。

     それに当たりまして、委員御指摘のこの3年間の振り返りというものを実施してまいりたいと考えております。

2,火山防災について

○  中川委員 ありがとうございました。続いて火山防災について、私からも質問をいたします。

     報道によると、火山防災の専門家を新たに配置するという話がありますけれども、そのことについて御説明をお願いします。

○  渡邉危機管理防災課長 火山防災人材についてのお問合せでございます。

     火山防災につきましては、なかなか火山につきましては、我々もそうですけれども、日本全国の中で知見がなかなか乏しいということがございます。実際背景を申し上げますと、我々は行政職員スタッフでやっておりますが、日本全国で火山研究、火山観測に携わっている方は、これは国の資料でございますけれども、令和2年度時点で大学等で五十数名、国関係機関でも六十何名しかいないと。日本国全体で人材が少ないというのがございます。

     我々長野県としますと、今回御嶽噴火災害もございましたが、浅間山、焼岳、乗鞍、活火山が非常に多うございます。そうした中で、確かに火山災害というのは風水害よりもさらに長いスパンで見なければいけない災害ということもあって、なかなか自分事にできないということと、先ほど申し上げましたように、なかなか知見が、我々がずっとやっていても得られないということがございます。

     そうした中で行きますと、国全体でまず人を育てていただくという全体はありますけれども、そういった人材をこの長野県においても何とか活用できないかということで、過日知事等も会見等で申し上げたところです。今現在は、そういった人材にどのような形で県のほうに関わっていただけるのが一番我々にとって、またお越しいただく方にとってもよいのかという観点で、検討を進めているところでございます。

○  中川委員 あわせて、やはり気象庁との連携というのがこの御嶽の課題だったと思います。以降、気象庁との連携をどのように強化されているか教えてください。

○  渡邉危機管理防災課長 御嶽に関する気象庁との関係でございます。

     気象庁につきましては、あの災害の後、気象庁もそうですけれども、各観測機関、大学も含めて、大分観測地点が御嶽山については充実してきております。また、あの災害以後、御嶽山に対する観測体制も気象庁でも強化をされておりまして、実はこの7月の慰霊登山と調査に入った際も、気象庁の本省にも十分バックアップをいただきながらやっていきました。そういった日々のお付き合いもそうですし、またそういった情報、何しろ噴火災害について速やかに情報をいただいてそれを伝えるということが何よりも大事だと思っています。

     そうした観点から行きますと、やまテラス、麓のところにもそういったものを気象庁の発令が出た瞬間に表示できるような体制を取っておりますし、そういった形で、よりよい改善がないかということで、長野気象台もそうですし、気象庁のほうでも常に連携を取りながら進めているところでございます。

○  中川委員 もう一つ、岐阜県側でもシェルターを造ったという記事が中日新聞に出ていましたけれども、御嶽山でいうと、岐阜県側との連携・連絡、そして浅間山については群馬県などと連携・連絡ということが必要だと思いますが、現在どのようになっていますか。

○  渡邉危機管理防災課長 他県との火山の連携についてでございます。

     どうしても火山は県境をまたぎますので、火山協議会というものを設置しております。御嶽山でいきますと岐阜県のほうと、木曽の地域振興局が協議会の事務局になりますけれども、そこが事務局となって協議会というものを開催しておりまして、こう言っては何ですけれども、今年はいろいろと行事もあったり観測もありましたので、都度打合せはしております。こちらから行ったりしてやっております。

     また、浅間山のほうでも群馬県と、県だけではなくてそれぞれ国の関係機関等も入りながらやっているのですけれども、あちらのほうの広域の避難計画等含めて、連携を密にして実施しているところでございます。

3,避難場所について

○  中川委員 ちょっと課題を変えますけれども、実は建設部の中でも指摘をさせてもらったんですが、建設部所管の流域治水の中で、避難場所となっている学校校庭が雨水貯留施設となっていることが見つかりました。このことについて危機管理部は承知しているでしょうか。

○  渡邉危機管理防災課長 学校の校庭等が雨水貯留施設となっていることを知っているかというお問合せです。

たしか建設委員会のほうで、長野市の事例だったと思いますが、県内の市町村でそういったグラウンドが貯留施設になっているところの校舎を避難施設に指定しているところがあるというのは承知をしております。

○  中川委員 浸水区域に避難場所があるところもまだ残っていますし、台風18号災害のときに、坂城町で避難場所が浸水区域になっているので、そこの地域の住民の皆さんが8月に避難訓練をしていたので、坂城高校に避難場所を移したということがありました。

     そういう観点から、浸水区域にある避難場所の見直し、今言ったような雨水貯留施設になっている場所の避難場所の見直しということを、ぜひ建設部などとも連携して、見直しを進めたほうがいいと思いますので、各市町村とぜひ連携を取ってほしいと、これは要望しておきます。

4、広域受援計画について

     もう一つだけすみません。長野県広域受援計画がつくられていますけれども、令和4年度末で77市町村のうち74が策定済みとなっていますが、残りの状況はどうなっているでしょうか。

○  渡邉危機管理防災課長 77のうちの残りはどういう状況かということです。ちょっとだけお時間をいただければと思います。すみません。

5,信州防災アプリについて

○  中川委員 では、後ほどよろしくお願いします。

     これは要望です。信州防災アプリ、私も入れてやっているのですが、日々入ってくる情報はNTTだとかそういったところからの情報がピコピコ入ってくるぐらいなので、防災アプリの使い方みたいなところがまだまだ周知されていないので、ぜひそんな点も周知をしてほしいということと、一つだけ質問しますが、信州防災アプリの登録状況はどのぐらいですか。

○  渡邉危機管理防災課長 登録状況でございます。少し古いものになりますけれども、昨年度末の時点で2万5,000……、すみません、最新のものが参りました。8月31日時点で3万267ダウンロードになります。

○  中川委員 ありがとうございます。以上です。

○  渡邉危機管理防災課長 先ほどは失礼しました。市町村の受援計画の関係でございますけれども、現在74で残りの三つはいかがかという話でございます。

現在、朝日村、坂城町、立科町、こちらのほうが未策定という状況になっております。私どもとすれば、災害はいつ起こるか分からないということがございますので、実際市町村を回らせていただくキャラバン隊というものもございます。そういった形で、市町村もお忙しいのでなかなか手が回らないと思うのですけれども、我々とするとプッシュ型ででも、そういったものを策定するように働きかけてまいりたいと考えております。

○  中川委員 分かりました。

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20231002 危機管理建設委員会建設部審査

2023-10-02 08:26:32 | 長野県議会

1,土井尻川事故について

○  中川委員 よろしくお願いします。

     まず、土尻川の関係ですけれども、冒頭、説明がありましたが、結局、仮設撤去を業者がしなかった原因というところについて、これは責任は業者にあるということの整理、そしてまた集中審議の中でも今後の対策を検討していくという説明だったわけです。

     ただ、部長が監督責任を果たしていかなければならないと最終的に集中審議のときにおっしゃっていたわけで、そういう意味で言うと、今後こうした事業者の判断ミスが起きないようにするために、いわゆる県としての監督責任というものをどのように果たしていかなければならないのかという点について、お考えをお聞かせください。

○  川上河川課長 まず、先ほど御説明をさせていただいたように、雨の関係についてのやりとりが当日なかったという状況でございましたけれども、委員が言われたように、その前に施工計画書というものが実は提出をされておりまして、その施工計画書の中で、緊急時の連絡体制の対応とか、それらの状況を事前に決めて施工計画書の中に書いてあるという状況でございまして、今回もそれは書いてあったんですけれども、委員がおっしゃられたように、当日、ちょっと混乱しているという状況もあってか、現場からそういう連絡がうまくできなかったと。

     お互いそういうことができなかったので、そこを考えますと、前回の閉会中審議でも御説明をしたんですけれども、施工の条件の中で、そういった出水期内の河川工事を行う場合には、施工計画書にその計画の明示をしっかりして提出することということを施工条件の中で明示をするということと、それから、まさに施工計画の中でうたわれているものに対して、連絡体制、それから現場管理の体制等、治水上の安全対策等を確認をして、受注者と共有をして、発注者と受注者の間で連絡を密にして、適切な情報共有に努めていくことが大事かというふうに考えております。

○  中川委員 もう一度確認しますけれども、連絡体制が十分できていなかったということは一つあったなと思うんです。もう一つは、施工業者の判断ミスがなぜ生じたのかという原因のところに対する監督責任というものについては、どのように考えていますか。

○  川上河川課長 委員会の閉会中審議の中でも少し御説明をさせていただいておりますけれども、出水期の安全の対策の考え方でございますが、これは現場において、それぞれ個々に出水の特性、例えば上流とか下流とかで特性が異なっておりますので、一定のものというものはなかなか難しいかとは思いますけれども、今後、やむを得ず出水期に河道内で行う場合には、各現場で撤去する基準等、その際の基本的な考え方とか、それから安全確保のための留意点など、そういったことについて専門家の意見も伺いながら検討をしていきたいというふうに考えております。

○  中川委員 確認みたいな質問だったんですけれども、やはり県としての監督責任というものをどう果たしていくのかという観点は必要かなと思います。

2,現地機関の欠員状況について

    それからもう一つだけ、直接関連しているわけではないですが、聞くところによると現地機関の職員の欠員が、特に建設事務所なんかは結構あるというお話を聞いています。それらが原因だということにはもちろんならないですが、やはりこれだけの大規模な、様々な工事現場を抱えている現地機関のことですので、十分な人員体制で臨むことが必要だなと思います。現段階での欠員状況、そしてまた対応状況についてお話をしてください。

○  笠原建設政策課長 現地機関における欠員の状況等についてのお尋ねでございます。

     採用が思うようにいかなかったり、それから思わぬ早期退職等ございまして、配置すべき職員が必ずしも配置されていないというのは委員おっしゃるとおりでございます。そういうところに対しましては、私ども、任期付の職員を補充するなりしまして、できるだけの手当をして埋めるようにしております。

     ただ、それらをしても、まだ埋まり切っていないところが10月1日現在で11ございます。それが現状でございます。これらに対しましては、まず、切り口は二つあるかなというに考えておりまして、一つ目は、やはり職員確保に向けた取組ということで、今年度、採用試験の内容を変更いたしまして、民間企業との併願を容易にするなどの対応をしております。

     昨年度、30人の採用予定に対しまして受験の申込みは73名でございました。今年度は40名の採用予定に対しまして受験の申込みは130名いただいております。これが、最終的に来年4月1日の採用人数がどこまで行くかというのは、これから未定なところはございますけれども、そういったことによりまして、できるだけ職員の確保をしっかりしていきたいというふうに考えております。

     それからもう一つの面といたしましては、今いる職員の事務の効率化といいますか、効率的な事務の執行によりまして何とか少ない人数でもカバーしていきたいというふうに考えております。例えば、今年度になりまして用地事務の外部委託を進めていくための財源の確保ですとか、あと、設計・積算業務の効率的なやり方につきまして、所長会議等の場も使いまして、どんなことができるか検討を進めてきて、一部できるところから実行に移しているところでございます。

     こういった両面で、私どもしっかり現場の仕事がうまく何とか回ってくようにしていきたいというふうに考えております。

○  中川委員 ありがとうございました。新年度の県職員の採用試験の実施状況を見ると、県職員の大学卒業程度で総合土木の関係で、これはちょっと私よく分からないで聞いているんですけれども、試験区分でアピール方式で第1回目が30名程度の募集、それから2回目が20名程度、3回目はまだこれからかなと、済んだのかちょっと分からないんですが。

     申込者が、第1回と第2回の合計で93人の申込みがあった。そのうち受験者は53人で合格者が35人という数字をもらってはいるんですけれども、これでも実際退職されていく方の人数と比較したときに足りないのではないかなというふうに思うんですが、最終的に3月末までに県の職員になるよという意思表示をしてもらわなければ実際にならないんですけれども、ちょっとそこら辺が私の認識とは違うのかどうか分からないのですが、説明してもらっていいですか。

○  笠原建設政策課長 採用試験につきましては、今、委員がおっしゃられました大卒程度につきましては、3回目の試験を今、行っているところでございます。ここで何人合格が出るかというのはまだこれからでございますが、それがまだございます。

     それから、高校卒業程度の方も募集をしておりまして、今年度、申込みは8名いただいております。一次試験が9月の末に行ったところでございますので、こちらも様子を見ていきたいと思っております。それから、社会人採用もございます。これが今年度になりまして申込者が10名おりました。ここからも何名か採用になっておりますので、それらを合わせまして、先ほど40名の採用予定に対しまして申込者130名という説明をさせていだきました。

○  中川委員 最初に申し上げましたように、より安全な県の発注する建設現場をつくっていかなければいけない。そのためには、現地機関もしっかり人を配置していかなければいけないと思いますので、よろしくお願いします。

3,5億円を超える契約の議会承認欠落問題について

     二つ目に、これは確認事項ですけれども、令和元年の公共土木施設災害復旧工事の変更請負契約の締結を追認したということがありました。その後、建設部においては、議会承認の確認入力及び警告メッセージが出るというような改修だとか、それから、会計課においても一定の改善が行われているので、この点について、今後、ヒューマンエラーは原理的には起きない状態になっているというふうに理解していいのか。確認ですけれども教えてください。

○  笠原建設政策課長 昨年度、5億円を超える工事につきまして、議会の承認を得ずに手続を進めてしまったという事例がございました。これにつきましては、昨年度来、御説明させていただいていますように様々な手続、手だてを講じておりまして、各現地機関、それからシステム上でもそのようなことがないようにということで、私ども万全の体制で対応しているつもりでございます。

○  中川委員 よろしくお願いします。

     それから、技術管理室長にお伺いしたいんですが、建設労働者の人員確保だとか建設工事などの品質確保に向けて、建設労働者の処遇改善が必要だという認識は労使共通の課題だというふうに思います。

     処遇改善を進めるために、使用者側の方から、公共工事の安定的な雇用を確保するためには年間を通じた工事発注がなければ、なかなかさっき言われていた週休2日制の導入をする前提になる月給体制ということだってできていかない、そういった声があります。

3,建設現場での週休2日制の導入について

     特に土木工事においては公共事業がその大半を占めているということもありますので、このことについて、先ほども小池清委員の質問に対して週休2日制を進めていくという、その方針は分かるんですけれども、その週休2日制を進めていくためにも、月給体制ができるような工事の発注ということも一つの課題なのかなと私も聞いていて思うんですけれども、その点についての考えをお聞かせください。

○  増澤技術管理室長 今のお話は、恐らくは工事の施工時期等の平準化、こういった観点が非常に必要ではないかと思っています。施工時期等の平準化というと、当然適切な長い工期を取った上でですけれども、毎月毎月常に発注があって、毎月毎月次に竣工する工事があって、そして、毎月毎月稼働している状況が安定的に平準化して続いていく、こういったのが一番の理想ではないかというふうに思っています。

     県では今、週休2日、週休2日と言っていますけれども、週休2日を実現する上で、工期を長く取って、その分の経費を余計に見る取組をしております。そして、平準化の取組といたしましては、債務負担行為を活用して次年度にわたって工期を確保するだとか、あとは発注方法が、例えばフレックス工期契約制度というものもあるんですけれども、工事の開始時期だとか竣工時期が特定されていない、そういった建設工事の発注に当たっては、あらかじめ当該工事の契約日の翌日から一定期間内に受注者が工事開始日を選択できる、業者の都合で選択できる、そういった制度もやっております。

     週休2日という観点も含めて、施工時期等の平準化、常に業務があるような、そういった状況になることも、県としても可能な限り取り組んでいるところでございます。

     以上です。

○  中川委員 今、言われていることは私はほぼ理解しているんですけれども、要は月給制ですね。つまり土日に工事を休んでも、請負契約をしている人たちからすれば、ただ収入が減るだけです。やっぱり月給制を基本にしてかないと、週休2日制の意味というのは生まれてこないというふうに思うんです。

     そういう意味で、やっぱり月給制というのをしっかり前に進めていく。そのためには平準化というのが必要だということだと思うんです。そんな点を改めて、もう聞きませんので、ぜひよろしくお願いします。

4,流域治水について

     今日の主要な課題は、流域治水ということについてお話をしていきたいというふうに思います。この流域治水についての課題は、令和元年の台風18号災害を受けて、大きなスローガンとして県建設部として取り組んでおられています。バッジもつくりました。

     現地調査の中で、例えば遊水地を設ける地域の皆さんに、なかなか理解を得ることが難しいというお話を当該の首長さんからも聞いたところです。私の先輩県議であります竹内久幸さんが今年の2月に亡くなりました。私は弔辞を読む関係で、当時、田中知事の脱ダム宣言後、膠着状態となった中で、流域治水条例を提案したことなどをまとめた竹内さんの本を改めて読み直したわけですけれども、この中で、浅川のことですが、上流域では浅川ダム、中流域では貯水池、下流域で排水機場の整備などを一体として住民が参加する中で方向性を出していくという取組が行われたわけです。

     残念ながら、令和元年台風18号災害でも豊野地区で浸水被害が大きく出てしまったわけですけれども、これには千曲川の越水ということもあったので、一概に浅川だけの流域治水対策が今回の災害でどのような効果があったのかというのは、災害をどれだけ小さくしたのかという効果ということが、見えにくいというか示しにくい側面があるんですけれども、これまでの浅川の対策状況と、その効果及び今後の計画についてお聞かせください。

○  川上河川課長 これまでの対策とこれまでの効果、それから今後の考え方という御質問かと思います。

     まず、これまでの対策ということで、特に浅川の流域についてですけれども、浅川流域については、委員にお示しいただきました長野県治水・利水ダム等検討委員会の委員会条例が定められまして、それによって諮問された河川の一つでございます。その中で、長野県治水・利水ダム等検討委員会から答申をいただいて、ダムによらない河川改修、それから利水案というものも示されたわけですけれども、それらに対して、流域治水といたしましては、ため池の貯留とか、それから水田の貯留、また、森林整備や既存の貯留施設の機能の担保などが原案として策定されまして、これも計画の中に位置づけている浅川総合内水対策協議会の中で、その計画を策定したところでございます。

     その計画の中では、昭和58年の9月台風が一番大きかったということで、その同規模の洪水に対して、宅地部での床上の浸水被害を防止するということを目標に、排水機場の増設、それからこれは内水ではありませんけれども、河川改修とか、そういったものを位置づけてきております。

     その後、平成28年3月には浅川の河川改修が、これは外水のハード対策ですけれども、こちらが完成をいたしました。平成29年には浅川ダム、これも外水対策ですけれども、こちらのダムのほうも完成をいたしました。また、内水対策としては、平成30年6月に浅川第三排水機場という下流の排水機場が完成をしたというところでございます。

     それから効果でございます。その効果については、特に内水の関係についてでございますけれども、第三排水機場が、先ほど申し上げましたように平成30年の6月に完成をいたしましたけれども、この昭和58年の出水、床上浸水があるというものに対して14トンの排水機場が増設されましたので、当時の44トン、これは第一排水機場、第二排水機場を合わせた排水機場の量でございますが、この44トンに対して14トンアップした能力で58トンまで能力が上がったというものでございます。

     ただ、令和元年東日本台風の際には、委員御指摘いただいたとおり、浅川の内水だけではなくて千曲川本線の外水で浸水が起こりましたので、実際の状況の中では効果というものをお示しするのはなかなか難しいという状況がございます。58年9月を想定したシミュレーションの中で、それと同じ形で、千曲川の外水を排除した場合ということを想定したシミュレーションでしかございませんけれども、浸水の面積は約70ヘクタールほどは少なくなったというシミュレーション結果を得ております。現場の状況が外水も含めての浸水がございましたので、目に見える形ということがきちんとできないんですけれども、シミュレーション上はそういう結果を得ているというところでございます。

     それから今後ということですけれども、今後、浅川の内水対策計画と先ほど申し上げましたけれども、これを令和元年東日本台風を契機として、当時、内水対策で計画に位置づけておりました堤防のかさ上げや第四排水機場の増設などについて中期計画でやっていくというものを変更いたしまして、これを早期に着手ということで今現在着手をして、第四排水機場については工事を実施しているという状況でございます。

     以上でございます。

○  中川委員 加えて、さらに浅川の対策というのは長期的にも進められているところもあると思うので、その点もこの後説明してもらえればいいんですが、私は、これからやろうとしている流域治水ということの考え方の基礎には、やっぱり危機管理意識というものに基づいて、この流域治水ということを乗せていかないと、上流部、中流部、下流部のそれぞれの住民の皆さんの災害対策への意識の違い。そして、何で自分のところに遊水地をつくらなければいけないんだ、私のところには直接被害が出ていないではないかみたいなことになりかねないというふうに思います。

     ですから、台風18号災害は、上流から下流までみんな大きな被害があったという認識は持っているわけで、そういう意味で言うと、危機管理意識というものに基づいて、住民参加というものをどうつくっていくのかということが必要だと思うんです。その意味では、私たちこの委員会の所管は建設部と危機管理部ですから、危機管理部との連携ということも私は必要だなと思うんです。

    現在の浅川の流域治水の中で、例えば雨水調整池の追加整備や、ため池を利用した雨水貯留の対策とともに、小中学校などの公共施設や県所有施設に雨水貯留施設を設置するということになっています。ところが、中には避難所として指定されている施設があって、校庭に雨水を貯留するというふうになっているけれども、実際、台風18号災害のときに私が現場を見に行ったときには、豊野西小学校に行ったんです。豊野西小学校の校庭は避難している人たちの車でずっといっぱいです。そこへ雨水を貯留することになっているんです。これはおかしくないですか。

     それで調べました。そうしたら、これが結構あるんです。貯留する施設のうち、古里小学校、柳原小学校、東北中学校、長沼小学校、豊野西小学校、これらはみんな避難場所になっているんです。そこへ雨水を貯留するということになると、これはやっぱり避難に非常に大きな問題が出ると。これは現場を見て誰でもそう思うと思うんです。

     そういう意味で言うと、やはり危機管理部としっかり連携をして、この点については早急に見直しを図る必要があると思いますが、いかがですか。

○  川上河川課長 今、流域治水の中で進めております様々なところでの流域の貯留の関係で、例えば地下に流域の水を集めて地下貯留をするもの、それからグラウンドで貯留をするもの、グラウンドで貯留する中でも、集めたものを周りから側溝を使って集めるものもあれば、委員に御指摘いただいているようにグラウンドそのものを貯留に使う、深さが出るものもございます。

     今、御指摘いただいた部分については、この例でいただきましたのは長野市の例かと思いますけれども、長野市のほうにも意見をちょっと聞いてみたいというふうに考えております。学校によって、グラウンドの位置とかそういうものも違ってくるかなというところもございますので、長野市のほうにまた御意見をいただいていきたいというふうに思っております。

     また、そのほか先ほど委員から御指摘をいただいた追加のところというふうにお話がございました。追加でというのは、雨水調整池とかため池を利用したものというものも、浅川総合内水計画の変更の中では、長野市、それから県も連携して、そういったものも進めていきたいというふうに考えております。

○  中川委員 流域治水を進めていくということは、これは本当に大事なことだし、そこに住民参加ということが私はポイントかなと思うんです。そういう意味で、この件に関して改めて危機管理意識に基づいた住民参加の流域治水ということについて、その必要性について、建設部長の御認識をお伺いします。

○  新田建設部長 ありがとうございます。今言ったそういった問題意識は非常に重要なことだと認識していまして、河道の改修だけではもう対応できないような、そういった状況に来ていると。地球温暖化ということで、気温の2度上昇という影響はもう確実に来るだろうというIPCCなどにおいての見解を踏まえると、これから確実に川の流量は増えてくるし、降雨の量も増えてくる。災害の頻度も2倍ぐらいになるだろうというような予測がある中で、ありとあらゆる手段を講じてそれに向き合っていく、適応策を講じていく必要があるということを県としても強く認識しておるところでございます。

     そういった意味で、上下流で意識の違いがあると、こういったことは遊水地事業を進めていく上でも、被災を直接受けていないところの住民の方々にもいろいろ御協力いただかなければいけないような状況もあると思います。こういったことを理解いただくためには、やはり被災が起きた箇所だけで対応するということではなくて、日頃から流域治水という考え方そのものを、もっとしっかりプロモーションしていかなければいけないだろうと思っておりまして、それは、治水事業を進めるときに初めてそういった説明をするだけではなくて、あらゆるチャンネルを通じて、子供の教育から、社会人に対してもですし、いろいろな場面でしっかり流域治水とはこういう考え方なんだということを伝えていかなければいけないなというふうに認識しております。

     ただ、気象予測という予測の世界と、実際に川の場合だと計画高水流量という、どのぐらいの水をそこで流すのかということについて専門的な部分もあると思いますので、丁寧に分かりやすくその概念を伝えていく努力を、今後もしっかり継続していきたいというふうに考えております。

     以上でございます。

○  中川委員 下伊那のこの前の大雨の災害があったときに、400ミリの雨が降った。一体この400ミリの雨は何年確率の雨だと聞いたら調べてくれて、これは500年以上の確率の雨だというふうに建設事務所長が計算してくれたんです。でも、500年に一度の雨が場所を変えながらもう毎年降っているわけです。そういう意味で言うと、危機管理を住民の皆さんと一緒にしながら、その上で流域治水を進めていかなければいけないなということを強く感じています。

5,県営住宅について

     すみません。今ので終われば格好いいところですが、ちょっと県民の皆さんからも要望があるので一つだけ公営住宅室長にお伺いしたいんですが、県営住宅のシックハウス症候群対策だとか、畳の防カビ剤などへの過敏症ということがあって、そういう対策はどうなっているんですかという問いがあったものですからお聞きしますけれども、よろしくお願いします。

○  樋口公営住宅室長 公営住宅につきましては、様々な方々の入居を想定しております。一般的には経済的な関係ですとか、なかなか今までの住戸にいられない方みたいなところの観点が多うございますので、ある程度多くの方が対応できるような形では進めております。

     一方で、今の畳のシックハウスとかの関係につきましては、現在シックハウスや過敏症につきましても、シックハウスでおうちにいられないという方を受け入れるために県営住宅の役割もあります。今ある住宅が全てそういったことに対応できるということはちょっと言い過ぎにはなりますのでそこまでは申しませんけれども、そういう観点で整備をしていったりすることも必要で、行っているところもございます。

     ただ、住宅そのものが全ての方に、どんな方でも必ず受け入れてお住まい続けられるといいますか、適応できるようにするにはなかなか厳しいので、場合によっては、お住まいになっているんですがちょっと合わないというような方々もどうしてもいらっしゃるということも事実かとは思っております。

     対策としましては、多くの方が入居できるような形では、様々な面で、制度的な面ですとか整備的な面を進めているということではございます。

     以上です。

○  中川委員 現在、県営住宅の入居時の契約書には、退去時に畳やふすまなどを全て替えるということに、大体そうなっているようです。一般的には、故意に損傷させたとか、故意に汚したとか、こういう場合に限って元の状態に復旧することが退去時に求められると思うんです。経年劣化の修繕費用については賃料に含まれるというのが一般的な考え方だと思いますけれども、県の見解はいかがですか。

○  樋口公営住宅室長 退去時の入居者負担のお話でございますけれども、基本的には、県の条例におきまして県が修繕すべきものということをまず大きく決めてはございます。その考え方につきましては、委員さんがおっしゃったような経年劣化というものは当然施設の設置者のほうで直すということですが、畳とかふすまにつきましては使用劣化と。入居者の方がお使いになった上で劣化するものというふうに整理をしておりますので、畳につきましては退去時には、基本的にといいますか原則替えていただくということをお願いをしてございます。それにつきましても、入居の際にこういうことが必要となりますという御説明をさせていただいて、御了解を得ているものと思っております。

     あと、室内の清掃という面とかにつきましても、よくありますのが、どうしても台所関係ですと油等の汚れとか、そういったものがひどうございます。そこも当然使用劣化という判断で、台所につきましては替えるということではなくて、きちんときれいにしていただくというようなこともお願いはしているということです。

     公営住宅につきましては、家賃につきましては所得の絡みもありまして非常に民間に比べてお安くという設定を当然国の中でしているんですけれども、退去時に修繕をお願いする箇所につきましては、退去時にいろいろお金がかかって大変だという声も正直聞こえてはきますけれども、残念ながら公営住宅だからお安く畳が入れられるとか、お安くふすまが替えられるとか、そういったものではないと思っています。通常の家賃に比べて退去時に少しかかるという御認識をお持ちになってしまうきらいがありますので、きちんとそこら辺も、入居の際には説明をするということが必要かというふうに認識をしております。

     以上です。

○  中川委員 最後の質問になりますけれども、先ほど説明の中で訴訟の話がありました。僕は、今、室長が言われたようなことを相談を受けるわけです。要は、退去時の費用が払えないので、なかなか退去ができないみたいな相談を受けているんです。

     例えば先ほどの訴訟の中身で言うと、中身的にはそういうことなのかどうかというのは分かる程度で説明してもらえばいいですが、勝手に出ていってしまったんです。でも、それは退去費用が払えないから勝手に出ていってしまって、結果として今訴訟になっているのかどうかという点の確認と、退去時の費用が払えないのでなかなか退去ができないという事態を、室長は今、把握をしているというふうに言われたので、入居時に説明をするというふうに言っていますけれども、入居してから何十年とたっている方たちで、なかなか難しいところだなと思います。これは対策を求めるのはちょっと難しいんですか。一応お聞きします。

○  樋口公営住宅室長 今回の訴訟の案件につきましては、委員さんのところには退去の際にいろいろとお金もかかるからというようなことで、そういった退去費用がかかるので退去しないというような御相談もあるかというふうにお話があったんですけれども、一般的には、あくまでも一般的にですけれども、お家賃の滞納がまずございます。お家賃の滞納につきましては、当然、公平性の観点から納めていただくように働きかけもいろいろしているところでございますけれども、なかなかお家賃の滞納の解消が思うようにいかないと。

     私どもも、例えば3か月分のお家賃の滞納が発生した場合に、公営住宅法上では明渡し請求という法律上の権限行使というものができるような規定がございますけれども、さすがにその規定どおり、家賃が払えないから出ていってくださいというようなことをしていることは一切ございません。

     県のほうでも、法律上3か月以上滞納した場合にはもう明渡し請求の対象になる方でも、いろいろお話を聞きながら、家賃のほうをしっかり、すぐに解消できなくても分納で少しずつ入れていただくとか、お話をさせていただきながら、県の内規としましては、8か月以上の滞納がどうしても残ってしまっていたりとか、お家賃で金額がかなりの額になっている方々は、お話を聞きながら、福祉関係の施策が必要であれば、そういったところにも当然つなぐということをしてはございます。

     一般的に明渡し請求で訴訟までというふうになったときは、ある程度、次のお住まいというものが御自分なりの今までの収入の範疇で、公営住宅でなくても確保できるだろうという見込みが多少ある方ですとか、払わないのが当たり前だと逆に開き直ってずっといらっしゃる方とか、今回のように、退去時の手続とか諸費用が払えないということよりは滞納が先なので、そこで無断でいなくなってしまっている方というのは多々おります。

     私が先ほどの説明で申し上げましたのも、滞納ではなくて普通に退去するときに思ったよりかかってしまった、こんなにかかるんだねという声の意味で、退去されるときに少しそういったお話をいただくという方々のお声はそれなりに現地のほうを通じて聞こえてきますので、しっかり御説明なり御納得いただくということが、退去時の費用につきましては必要かなと思っているところでございます。

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20230830 危機管理建設委員会閉会中審査(土尻川関係)

2023-08-30 08:29:46 | 長野県議会

危機管理建設委員会会議録

(8月30日 閉会中委員会)

1,被災された皆さんへの損害賠償の進捗状況について

○  中川委員 それでは、私のほうからもお願いいたします。

     まず最初に、被災された皆さんと施工業者の間で進められている損害賠償の手続などについて、県として今どんなふうに捉えているのか。進められているというふうに思いますけれども、どんなふうに進められているか教えてください。

○  川上河川課長 現在、被災された方々に被災の内容について確認をさせていただく作業をしているところでございまして、各家が、まだ片づけに時間がかかっているとかいろいろとございますので、統一してできているわけではないですけれども、そういった形で被災の状況を進めていただいて、その内容によって保険会社のほうでお支払いできる、損害賠償できる額を決めさせていただくというような形で進めているところでございます。

○  中川委員 おおよそどんなスパンで、被災された皆さんにそういった補償がされるというふうに見込まれているか、分かりますか。

○ 川上河川課長 今、御説明した内容を確認させていただいてから、出していただいてから大体1か月ぐらいの期間が必要ですけれども、その1か月で内容を精査させていただいた後に、その内容について、今度は地元の被災された方にお示しするということになりますが、そのお示しした内容に御了承いただければ、その後、1週間から10日ぐらいでお支払いできるのが一般的だというふうに聞いております。

○  中川委員 可能な限り早く、やはり被災された皆さんの復旧ができるように、県としてどこまでできるか知らないですけれども、努力をしていただければというふうに思います。

2,過去に出水期の工事で同様の災害はあったか

     それから、過去に同様のこうした災害というものはあったでしょうか。つまり県の発注する事業で、結果として住宅に浸水するなどの被害が及ぶといった工事というのは、例えばここ何年かの過去を遡って経験はあったでしょうか。

○  川上河川課長 記憶で申し上げて申し訳ないんですけれども、過去、この土尻川のように、仮設が撤去できなかったためにあふれてしまったとか、そういったものについては記憶がございませんが、出水期の河川で工事中に溢水があった箇所はたしかあったかと思います。それは、今回のような仮設道路を撤去できなかったというような案件ではなかったと記憶しております。

3,土尻川災害の時系列について

○  中川委員 そうすると、少しやはりその当日の状況を改めて確認をさせてもらいたいんですが、今、小池清委員の質問の中に、6月2日にも出水して、6月9日にも出水した。この2回の出水のときには仮設は撤去されたんでしょうか。

○  川上河川課長 撤去されたのは6月2日の日に撤去されておりまして、6月9日の日は出水があったんですけれども、それほど大きな出水ではなかったということでございましたので、撤去はしていないと思っております。

○  中川委員 そうすると、6月2日には出水したけれども撤去できた。9日は出水したけれども撤去しなくて済んだ。今回の雨の様子を見て、撤去をする必要がないというふうに事業者は判断をしたという経過ですけれども、そういうことでしょうか。

○  川上河川課長 はい。6月2日の日に撤去を実際にして、問題なく撤去ができたということからしっかり撤去できるというので、9日の日はそれほど大きな出水ではなかったので撤去まで至らなかったということかと思っております。

3,仮設撤去の判断について

○  中川委員 今後の対策の中にも関わる話ですが、その仮設の撤去の判断をする材料について、事業者は、例えば予想降雨量だとか、あるいは何かそういったものを材料にして撤去の判断をしているんでしょうか。何を判断して、この撤去をするとかしないとかというその判断の分かれ目みたいなところについて、基準は何かあるんですか。

○  川上河川課長 今回の場合ですけれども、受注者のほうでは、出水による危険が予想される場合には事前に撤去するというふうにしておりまして、事前に危険が予想される場合という中には、例えば気象情報、それから天気予報等ありますけれども、それらを踏まえて撤去するというふうにしているという状況でございました。

○  中川委員 ちょっとよく分からないんですが、6月2日には撤去したわけですね。そのときの判断は何をもって判断をして撤去をするとしたか。6月9日は何をもって撤去の必要はないとして判断したか。そして今回も判断をしなかった。その基準というものがあるのかないのか教えてください。

○  川上河川課長 委員御指摘のとおり、やはりそこの部分を明確にすることが今後の再発防止策につながるというふうに私どもは考えておりまして、資料5のほうで先ほど御説明したんですけれども、出水期の安全対策の基本的な考え方というものを今後検討して、それらの考え方をしっかり受注者の皆さんに理解していただいて、今後の仮設計画を立てていただくことが重要ではないかというふうに思っております。

     現地のほうに、この建設委員の皆さんに行っていただいた中でも、現場のほうで数字を持っている現場もあったというふうに御指摘をいただいているかと思いますけれども、そういったものの考え方、そういうものをしっかり持って、より確実に撤去できるというものを、しっかり体制を取っていただけるようなものを、これから考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。

4,施工計画について

○  中川委員 次に、施工計画というものをについて御説明をいただきたいんですが、そもそも素人なので教えてほしいんですけれども、こういった土木工事をするときの施工計画ということについては、先ほど説明されたのは、最終的に県がこの施工計画を認めるというふうに最後に何か言われたような気がしたんですけれども、この施工計画というのは、全体の工事の中の位置づけはどういうことになっているんですか。

○  川上河川課長 資料2の施工計画のところを御覧いただきますと、発注者と事業者の関係の中では、受注者は施工計画を、これは当初ですけれども、工事の着手前に提出をするということになっていまして、発注者はそれを受理するという形になっております。

○ 中川委員 今回の土尻川で言うと、当然その施工計画が出されて、県としては受理をしているということだと思いますけれども、その施工計画の中に、今回の仮設工事というものは当然入っていったという理解でいいですか。

○  川上河川課長 はい。そのとおりでございます。

○  中川委員 その場合に、流下能力がきちんと確保されているということを県としては確認をされているんですか。

○  川上河川課長 まず、出水期、非出水期のお話ですけれども、ここの施工計画の中では、一番初めの当初計画によりますと、護岸工のほうは非出水期と出水期の非出水期のほうである程度出来上がるというような工程表が提出されておりましたので、その時点では、施工計画上は非出水期にある程度、要するにもし残ったとしても上から、上からというのは先ほど御説明したような、そういう状況にできるものというふうに提出されておりました。

     その後、非出水期まで仮設工事が残るということが分かった段階で、施工業者さんと発注者のほうで、出水により危険が予想される場合にはそれを撤去してください、要するに全断面を取ってくださいねということを確認をしたということでございます。

○  中川委員 施工計画に変更があったという理解でいいですか。

○  川上河川課長 変更施工計画書は4月24日に提出されておりますけれども、そのときにはまだ新しい工程は出ておりませんでした。

○  中川委員 そうすると、出水期に工事がかかることが分かった。それで、本来、施工計画の変更が出されるべきだけれども、4月の時点で変更の届けが出されたけれども、その中には仮設の撤去というようなことは入っていなかったという理解ですか。

○  川上河川課長 出水により危険が予想される場合に撤去をするというふうに、発注者、受注者双方で確認をしたのは1回目の施工計画書が出た後でございますので、その時点ではなくて、その後に確認をしたというものでございます。

○  中川委員 1回目の変更届は、さっき4月幾日と言いましたけれども、その後ということは、いつ確認しているんですか。

○  川上河川課長 4月27日でございます。

○  中川委員 最終的に、出水期まで工事が延びます、万が一出水したときには仮設を撤去するという施工計画の変更について、4月27日に確認したという事実関係でいいですか。

○  川上河川課長 はい。そのとおりでございます。

5,契約書について

○  中川委員 それでは、私も素人で契約書がなかなか読み切れないので、ちょっとこれも教えていただきたいんですが、契約書の別紙「その他の工作物に関する工事(土木工事等)の場合」の工程ごとの作業内容及び解体方法の中に、仮設について、この黒くしてあるほうが「無」で、白くなっているのが「有」ですが、これは仮設についてありなのかなしなのか、これだけちょっと教えてください。

○  川上河川課長 黒塗りの塗ってあるほうが該当しているというものでございます。

○  中川委員 それから、契約書の総則の第3条の工程表というものは、一般に公にされているものとして理解していいですか。

○  川上河川課長 この第3条については、契約締結後に発注者に提出するもので、どの工事においても提出しているものでございます。

○  寺沢委員長 中川委員、すみません。申合せの時間を大分オーバーしていますので、一旦まとめてください。

○  中川委員 分かりました。

     最後にもう一点だけ教えてください。契約書の第9条の監督員ですが、この監督員というのは県の職員なのか。そして、この仮設工事を含む施工計画のチェックというのは監督員の仕事に含まれるのか。一般論でいいですが教えてください。

○  川上河川課長 監督員は県の職員でございまして、監督員とそれから主任監督とに契約額によって分かれます。監督員は施工計画書と、それから協議等について、発注者と受注者で協議を交わすときにその内容を確認して協議をしたり、また、受理をしたりするところでございます。

 

6,契約書 臨機の措置について

○  寺沢委員長 引き続き質疑を行います。委員各位から質疑等がありましたら順次御発言願います。

○  中川委員 一つだけお願いします。契約書の中の第27条の臨機の措置というのがございます。この臨機の措置という契約の中身、この臨機の措置とは、どういう場合にここの臨機の措置ということが行われなければならないのか、原則的な話をまずお聞かせください。

○  小松建設部次長 取りあえずお答えをさせていただきたいと思います。あまりこの条項が使われることはないんですけれども、例えば、道路改良の工事でのり面の手当をしていたときに、全く予知せずにのり面が動き始めてしまったというようなときに、当然、第三者被害であったり道路に対する被害が起きないような措置というのは、その状況を見て現場でも判断をしてやっていかなければいけないと思うんです。

     その場合に、「あらかじめ監督員の意見を聴かなければならない。ただし、緊急やむを得ない事情があるときは、この限りではない」ということなので、例えば監督員にこういう対応をしますけれどもいいですかと確認できる場合もあるでしょうし、それすらできなくて現場で判断しなければいけない場合もあると思いますので、やむを得ない場合は監督員の了解を得なくても現場の判断でやっていただくことも可能だということを明記しているのではないかと考えております。

○  中川委員 そうすると、例えば今回のような雨が降ったときへの対応としての臨機の措置という意味ではないということでいいですか。

○  川上河川課長 今回の場合は、仮設物を大雨で危険が生じるおそれがあるという場合には撤去するというふうに決まっておりますので、臨機の措置ではなくて、その考えに基づいてやっていただくものと考えております。

7,監督員との連絡体制について

○  中川委員 契約上のこの臨機の措置に対応するものではないということは分かりました。監督員は、今回の災害の中で、この雨に対する判断だとか、それから業者との連絡だとか、あるいは業者からどうしたらいいですかとか、そういう事実関係はあったでしょうか。監督員との間に、この雨が降った際にいろんな情報交換はあったんでしょうか。

○  川上河川課長 そこのところは今、把握しておりません。申し訳ありません。

○  中川委員 今回の土尻川の検証から、また災害のない安全な工事をしていく上で、そうしたところもきちんとやっぱり把握しておく必要があると思いますので、できれば後で資料を提供してください。

     以上です。

 

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20230810 宮城県上工下水一体官民連携運営事業についての調査

2023-08-11 06:46:25 | 長野県議会

■水道法改正されコンセッション方式の運営が導入された宮城県

2018年12月に水道法が改正された。これはTPP関連法であり、海外資本に日本の水市場を売り渡すのも野になるのではないかと心配されていた。全国的には浜松市の下水道事業の一部を2019年4月からコンセッション方式で運営を開始した。コンセッション方式とは、施設の所有権を自治体に残したまま、運営を民間事業者に長期間委託する事業方式のことをいう。水道法改正の議論の中では、フランスのパリやスペインのバルセロナなど先行して水道事業の民営化が行われたが、水道料金の値上げや安全の確保などを理由として再公営化する動きがでている中で、民営化は問題ありと言われてきた。そうした中で、宮城県がなぜ全国に先駆けて水道事業のコンセッションに踏み切ったのだろうか。

■水道事業の環境悪化から広域連携へ

宮城県に限らず水道事業を取り巻く環境は厳しい。水道事業は自治体の固有事業であるが独立採算制をとる企業会計だ。水道料金収入で人件費や施設費、修繕費などを賄っている。人口減少と共に水需要が減少し水道料金収入が減る一方で、老朽管の更新や耐震化などにかかる費用は今後も増加していく。

国は水道法の改正の中で令和4年度末までに都道府県に「広域連携推進計画」をつくるよう指示、現状の経営状況の分析をはじめ広域連携に向けた議論が始まった。環境部が担当するが、県企業局が用水や末端給水をもつ県では、企業局が関係する市町村によびかけ広域連携に向けた協議が行われている。長野県内でも、県が末端給水を行っている長野市、千曲市、上田市、坂城町と連携協議が精力的に行われている。さらに用水供給している松本市、塩尻市、山形村との協議も始まる。

広域連携推進計画の中では、県企業局が関わっていない自治体水道事業についても連携の在り方が盛り込まれているが具体化は未知数だ。すでに広域連携をしている佐久市水道事業団や上伊那水道事業組合などが、さらに周辺の自治体との連携拡大に向けて議論を行う方向性は示されているが、多くの自治体は実際はこの連携計画から取り残されていく可能性がある。【課題①】

■宮城県、県企業局が関わる事業をコンセッション方式へ

水道法の改正の目的は、大きくは広域連携の推進と官民連携の推進である。宮城県の場合、広域連携の推進は環境部ですすめ、県企業局が関わる上下水道事業や工業用水事業を先行して官民連携を進めている。つまり、宮城県のコンセッション方式の導入は広域連携とは関係がない。【課題①】

コンセッション方式導入以前から、県企業局の水道用水供給事業、公共用水供給事業、流域下水道事業は指定管理により民間委託されていた。

大崎広域水道用水供給事業と仙台北部工業用水道事業は、「水ing」

仙南・仙塩広域水道用水供給事業は、「ウォーターエージェンシー」

仙塩工業用水事業と仙台圏工業用水道事業は、「水ing]

仙塩流域下水道事業は、「みやぎ流域下水道施設管理運営共同事業体」

阿武隈川下流流域下水道事業は、「水ing」

鳴瀬川流域下水道事業と吉田川流域下水道事業は、「みやぎ流域下水道施設管理運営共同事業体」

この他、今回のコンセッションの対象となっていない企業局の事業が三つある。北上川下流流域下水道事業、迫川流域下水道事業、北上川下流東部流域下水道事業である。理由は、「水道事業と一体運営の効果が最も高いと判断」したと説明がされている。【課題②】

■民間の力を十分に活かせていないからコンセッションへ

県企業局の説明では、これまでの民間委託とコンセッションを比較している。

①契約期間が最長で4~5年で従業員の雇用が不安定、人材育成が困難⇒20年間の契約で雇用の安定と人材育成、技術の継承・革新が可能に

②事業ごとに委託しているのでスケールメリットを発揮しがたい⇒スケールメリットの発言効果が拡大

③仕様発注方式⇒性能発注方式に変えることで、ITの活用により自動化・人員削減、最適最新ソフトの導入、長期一括調達による薬品を安く購入

これまでの業務内容のうち、コンセッションで役割が変わるものは、「薬品・資材の調達」「設備の補修・更新工事」が民間に移動するだけで、「事業全体の総合的管理・モニタリング」「水質検査」「管路の維持管理、管路建物の更新工事」は、引き続き県企業局が運営する。【課題②】

県企業局は、コンセッション方式導入により、20年間で約247億円の総事業費が削減できると説明している。

■企業の選定

2024年4月事業開始に向けた、受注企業の選定作業は2年前の2020年3月に募集要項が公表され公募が開始された。第一次審査で参加資格を得た3つの企業グループが「競争的対話」を経て、それぞれの企業グループの「事業方針・実施体制」「水質管理・運転管理・保守点検」30点、「改築修繕」44点、「セルフモニタリング・危機管理・事業継続措置」34点、「地域貢献」10点などに加えて「運営権者提案額」40点で第2次審査が行われた。

応募した企業グループは以下の通り

A JFEエンジニアリング・東北電力・三菱商事・明電舎・水ing・ウォーターエージェンシー・NJS・DBJグループ

B みやぎアクアイノベーション(前田建設・スエズウォーターサービス他7社)

C メタウォーターグループ(メタウォーター・ヴェオリア他8社)

第2次審査の結果、Cのメタウォーターグループが第1位優先交渉権者、Bのみやぎアクアイノベーションが第2位次点交渉権者となった。

メタウォーターグループによると県が期待したコスト削減247億円を超える、337億円のコスト削減が提案された。内容は、ICT導入や業務の効率化による組織体制の最適化により▲167億円、新技術導入による消費電力の軽減・抑制により▲48億円、設備の長寿命化で▲348億円、修繕費+101億円となっている。

結果、これまで指定管理で受注してきた水ingやウォーターエージェンシーからメタウォーター・ヴェオリアグループへ変わった。【課題③】

■みずむすびビジョン

メタウォーターグループが県に示した提案書が「みずむすびビジョンである」。このグループはSPC(特別目的会社)と呼ばれ、出資比率は以下のとおりである。

メタウォーター㈱ 34.5% 経営管理、改築・修繕業務

メタウォーターサービス㈱ 0.5% 維持管理業務

ヴェオリア・ジェネッツ㈱ 34.0% 維持管理業務

オリックス㈱ 15.0% 財務管理業務

㈱日立製作所 8.0% 改築・修繕業務

㈱日水コン 3.0% 計画・設計業務

㈱橋本店  2.0% 維持管理業務(土木・建築)

㈱復建技術コンサルタント 1.0% 計画・設計・検査業務

産電工業㈱ 1.0% 改築・修繕業務

東急建設㈱ 1.0% 維持管理業務(土木・建築) 

実質、メタウォーターとヴェオリア・ジェネッツとの合弁会社といえる。みずむすびビジョンでは、「水質管理体制」「施設の維持管理体制」「災害・事故時の対応」「情報公開とモニタリング機能の確保」「地域貢献」「事業の安定性」「任意事業」などが書き込まれている。

■事業開始後のモニタリング体制

事業開始後、適正な運営が行われているか、県の「要求水準を安定的に充足することを確認するための監視」であるモニタリングが、運営会社によるセルフモニタリング、県によるモニタリング、経営審査会によるモニタリングの3段階で行わることになっている。

また、みやぎ型管理運営方式はPFI事業であるため、県の予算・決算から抜けるため、監査の対象外となる【課題④】。そのため、財務状況や水質のモニタリング等、事業の運営状況を定期的に県議会に報告する県条例がつくられている。

運営権者の情報公開は、県情報公開条例に趣旨に沿った取り扱いを行うことになっている。【課題⑤】

■2023年度決算およびセルフモニタリングの結果

このSPC(特別目的会社)は、「みずむすびマネジメントみやぎ株式会社」として、完全子会社の「みずむすびサービスみやぎ株式会社」が運営主体となっている。

2023年7月31日に発表された「令和4年度業務報告書」では、「事業計画に示した利益水準を上回る経営成績に着地」「年間を通して必要な投資を見極め抑制的な経営に努めたこと、事業初年度において厚めに手当てしていた予備費の一部を使わなかったこと、大きな費用が必要となる突発修繕が発生しなかったこと、そして雨天時浸入水の影響とみられる要因で下水道事業において想定以上に処理量が増加し売上が伸びたこと等に起因」「一方で、12 月には仙南・仙塩広域水道用水供給事業において、要求水準で定められた水質を逸脱する事案も発生しており、安定的な事業運営における課題がいくつか残りました」と報告されている。

(1)人員体制 実施体制(人数)は 269 名を基本とし、さらに運転管理の早期安定化と従事者の早期習熟を進める目的で、計画外となりましたが、適宜株主等からの熟練度の高い応援人員を追加的に配置(令和 5 年 3 月 31 日時点で 10 名)して対応。【課題③】

(2)収支実績 令和 4 年度売上高は、6,816 百万円、経常利益 518 百万円、当期純利益 359 百万円

(3)株主配当 本年度の当期純利益は 359 百万円となったものの、利益剰余金は依然として▲170 百万円であるため、令和 5 年度において当社の株主への配当を行わない。
また、株式会社みずむすびサービスみやぎにおいては利益剰余金が 401 百万円となり一定の配当が可能な水準にはあるものの、昨今の電力費等の上昇の影響で、令和 5 年度の経営環境が大きく悪化することが想定されることから、当面は株主への配当を行わない。

(4)役員報酬 代表取締役社長のみに17,343 千円を代表取締役社長の派遣元であるメタウォーター株式会社へ支払っている。

(5)改善モニタリング委員会の議論  「地域に根差した会社となるための取組」「緊急時における地元企業との連携」「民間が担うことに対する理解促進と情報発信」「下水道資源の肥料利用に関する取組」などが議論された。

(6)地域貢献 設計工事などの地元発注率は金額ベースで14%、みずむすびサービスみやぎからの発注は24%だった。地域人材雇用率は89.6%。

■コンセッション方式導入の課題

(1)みやぎ型上工下水一体官民連携運営事業は、これまで県企業局が運営してきた事業のみをコンセッションほうしきを導入したもので、水道法改正の目的の一つである広域連携とは関係がない。広域連携については、環境部が進めている。

(2)そもそもの狙いが、宮城県全体の広域連携とは離れて、これまで県企業局が指定管理で運営してきたものをコンセッション方式に切り替えたに過ぎない。したがって、県企業局が運営している他の3つの流域下水道事業が含まれないことも含めて、受注する企業にとって利益が出る部分だけを請け負うということになり、県としての県民益の公平なサービス提供になっているとはいえない。

 利益の出ない、「管路管理」が県企業局が引き続き運営する意味はあるのか。市町村に売る水道の安全確保においても、浄水場での問題か、途中の管路の問題か、責任の所在が直ちに判明できない。

(3)これまでの指定管理が4~5年、コンセッション方式が20年の契約期間である。今回のコンセッション方式導入で、これまでの企業から他の企業に変わったことで、「現場のノウハウ」が引き継げず、人員を増やして対応せざるを得なかった。20年後に、同様の問題が出てくるので、新たな企業が契約をすることは逆に難しくなる。

(4)みやぎ型管理運営方式はPFI事業であるため、県の予算・決算から抜けるため、監査の対象外となる。そのため、財務状況や水質のモニタリング等、事業の運営状況を定期的に県議会に報告する県条例がつくられているが、何をどのように県議会に報告されるのかはこれからである。

(5)運営権者の情報公開は、県情報公開条例に趣旨に沿った取り扱いを行うことになっているが、2022年7月28日市民団体からみずむすびマネジメントみやぎへの質問への回答のうち、「本社および事業所ごとの親会社からの出向者と新規採用者の内訳」「新規採用者のうち昨年度まで同じ業務に従事していた社員数の事業所ごとの内訳」「当社配備予定の社員数に加配して事業がスタートしていると聞くが、加配の事業所ごとの内訳と理由(のうち具体的な人数)」「個別の社員の勤務先」「浄水場および浄化センターのシフト体制、1勤務あたりの人数の事業ごとの内訳」については、「公開しておりません」と回答している。これらが、県情報公開条例の趣旨に基づくものなのか確認が必用。

以上

 

 

 

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20230705 危機管理建設委員会

2023-08-04 11:28:51 | 長野県議会

○ 中川委員 新型コロナの関係で、一つ、二つお願いします。

   政府の分科会のほうで、第9波の可能性ということが言われているわけです。ただ、2類から5類に変更になったということで、国民というか、県民の皆さんの感じ方も少し変わってきているので、実際、流行しているということが過小評価されてしまっていて、検査も受けに行く人が少ないという結果として、私の周りでもはやっているということがあるものですから、これはどういうふうに情報を発出をして、備えるべきを備えさせるのか、これは結構難しいところだなというふうに思うのですね。

   単に5類だからといって、今までと同じような、インフルエンザと同じような対応ということではなくて、やはりコロナという新しいものが、今まで2類だったけれども5類になったということの中で、今までの感じ方も、定点というのもなかなか直接、これは危ないなというふうに感じにくいところもあるので、そんな点を含めて、県の対策室としてどんな対応を考えているのかというところが1点。

   それから、二つ目は、これはコロナ対策室になるのかどうか、ちょっとよく分からないのですが、入院調整も病院間でやるようになっているのですが、どこかに集中して、入院が偏っている場合に、やはり行政がそこに関与して調整する必要があるのではないかな。その二つ、お願いします。

○ 髙野新型コロナウイルス感染症対策室長 コロナの感染状況についての把握の方法が変わったことについて、住民の皆さんとどのように共有していくべきかというお尋ねと、それから、入院調整のお話という、二つの御質問を頂戴いたしました。

   まず1点目のことにつきましては、委員の御指摘のとおり、5月8日から従前の全数把握から定点の把握に移行しております。県民の皆様からもマスメディアの皆様からも、従前より少し分かりづらくなったというようなお話は確かに頂戴をしております。

   そういうこともあるものですから、季節性インフルエンザで行われているような定点把握でございますので、同じような国で行われている注意報、警報、そういった仕組みを早期に構築していただけないかということを、健康福祉部を通じて国に対して要請をしているところでございます。

   また、入院調整につきましては、委員御指摘のとおり、場合によっては、保健所、行政が関与する必要も想定しているところでございます。病床の逼迫が見られた場合等につきましては、引き続きそういう可能性もあるということで対応していく予定でおります。

   以上でございます。

○ 中川委員 思うに、やはり新型コロナがゆえに、もう少し伝わりやすいことを考えていくということは必要だなということを改めて、国に要望しているのであれば、具体的にやってもらわないといけないと思いますので、さらによろしくお願いします。

   それから、防災ヘリの関係でいいですかね。私、県警からも資料をもらっているのですが、県警のヘリと防災ヘリとの連携というのはどうなっているのか。これは情報として知りたいのですけれども、例えばうちの総合防災ヘリが点検中だった場合と、それから、県警のヘリが同じタイミングで点検に入るとか、そういうことがあるのかどうか。その場合にもし出動が必要になった場合には、他県の県警なり、防災ヘリへの依頼をしているのかということ。そういう意味でいえば、他県の防災ヘリとの連携状況というのはどうなっているのか、少し教えてください。

○ 小野消防課長 今、防災ヘリ、山火事であったりとか、それから、山岳救助の関係でもし重なってしまった場合、どのような連携を取っているかというような御質問かと思います。

   まず県警のほうからでございますが、県警のほうとの関係で、点検がどうしても1年に1回、約3か月ほどあるのですけれども、その時期については打ち合わせまして、時期をずらしてやっているところでございます。ですので、山岳救助、県警のほうに一報、救助の要請が入ったときに、もし飛べないときは、うちのほうに、防災ヘリのほうに来まして、それで飛んでいって、代わりに救助するというような連携は随時取らせていただいております。

   それから、他県との関係でございますが、他県とは協定を結んでおりまして、群馬ですとか、埼玉、それから富山、岐阜だったかな、近県とありまして、やはりそこも法定点検というのがありますので、その都度、時期をやはり年間の計画を立てておりまして、重ならないようにしまして、やっているところでございます。

   一例を申し上げますと、最近も群馬県が法定点検の3か月に入っているものですから、ここ2週間ほど、山梨県のほうで遭難があって、そこではやはり土日なのですけれども、3回ほど応援に行って救助をして、また戻ってくるというような手当てをしております。

   以上でございます。

○ 中川委員 共同運航というところまではいかないのですが、前にも言ったことがあるのですけれども、近県の皆さんとの連携というのが、人的なことも含めて、何か交流があったほうがいいのかなということを感じていて、最終的に共同運航みたいな形でなっていけばいいのかなというふうには私は思ってはいるのですけれども、引き続き体制の整備、連携というのをきちんとやっていくことが必要かなと思います。

   ただ、出動件数を見ると、例えば令和4年でいうと、県警ヘリの出動件数が130件で、防災ヘリが36件ということで、県警は二つあるということもあるので、こういうときには県警が行っていて、こういうときには防災ヘリが行くという、その基準というか、そういうのはあるのでしょうか。

○ 小野消防課長 どちらが救助に行くかという基準でございますが、その基準というのはありませんで、例えば110番が入れば、まずは県警のほうで動いていく。119番、救助のほうで一報が入れば、防災ヘリのほうで入るというようなことでございまして、その後、先ほど申し上げましたとおり、点検とかで動けない場合は、要請でやっていくというような形、システムになっております。

   以上でございます。

○ 中川委員 引き続き、県警のヘリとの連携をしっかりやっていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

   それから、もう一つ、個別避難計画についてなのですが、これは担当は健康福祉部になるのですけれども、市町村長から言われたことで伝えておきたいことがあるのですが、個別避難計画をつくるときに、自治会でつくるわけですよね。そのときに、本来、要支援をして避難をしていく人がいるけれども、それが漏れた場合、一体これは誰の責任になるのかということを、地元の村長さんが弁護士を通じて調べたら、これは計画を立てた自治会の責任者、町会長とか、自治会長とか、そういう人の責任になるのだということで、これは県とか、市町村の責任にならないみたいな回答があったらしいのです。

   これはちょっと大事な問題なものですから、漏れたがゆえに避難をさせることができなかったというようなことが結果としてあって、その責任を問われるようなことにならないようにするというか、そういう保険をつくれというふうに言うのか、ちょっと難しいところはあるのですが、そういう問題意識を持っているので、もしコメントがあれば、お願いします。

○ 渡邉危機管理防災課長 個別避難計画について、もしつくったときに漏れてしまった場合の責任についてのコメントということで、頂戴いたしました。

   個別避難計画については、委員御案内のとおり、各地域でつくっていくわけでございますが、我々としますと、漏れてしまうことがないように、まずつくるのが目的だと思っております。

   実際に個別避難計画は、本会議でも御質問いただきましたけれども、県内の各市町村のほうでも、作成するのに苦慮しているという話は伺っております。

   まず作成のほうを先に申し上げますと、私どもとすると、令和3年、4年から、内閣府の事業などを使ってやっておりますが、今年も意欲のある松川村さん辺りがちょっと手を挙げてくださっていますけれども、そこで個別避難計画の作成とか、実際につくるときにどんな悩みがあるかというのを、実際につくりながら検証しようという取組を始めています。今年は我々もそこに参画をいたしまして、それをできるだけ広域的に、そういう悩みは皆さん同じだと思いますので、広域的に広げていくような、そんな研修、取組をやってまいりたいと思います。

   今、委員もおっしゃいました、漏れてしまったらどうなるとかというところは、正直、申し訳ございませんが、私も、今、明快な答えは持ち得ておりませんけれども、今年、村のほうと一緒につくり上げていく中で、そういった課題というのも実際に取り上げてみながら、実際の現場の課題に即して、またそういったものに対応して取り組んでまいりたいと思います。

   すみません、以上です。

○ 中川委員 そういう課題があるということなので、全国的に研究というか、何か必要なのではないかなというふうに思うので、よろしくお願いします。

   以上です。

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20230703 危機管理建設委員会 建設労働者の処遇改善について

2023-08-04 11:22:39 | 長野県議会

○ 中川委員 それでは、よろしくお願いします。

   最初に説明の中で、小川村の土尻川のことについて後で説明するというふうに言われたのですが、説明を聞き漏らしたかもしれませんけれども、改めてちょっと説明をお願いします。

○ 川上河川課長 小川村で土尻川の浸水被害があったという件の御説明でございます。

   まず一昨日、7月1日土曜日に小川村地籍を含め、県内で降雨がございました。特に小川村近くでは、土曜日の午後に雨が降りまして、そのときに小川村の浄化センターの近くの土尻川で氾濫が起こりまして、6軒の浸水被害がございまして、床上が2軒、床下が4軒という被害があったという状況でございます。

   これについて、この近くで災害復旧工事を実施していたもので、長野建設事務所のほうで復旧工事を行っていたわけですけれども、こちらとの関連もあるということで、こちらについて被害の状況等、それから、原因の分析等を進めているという状況でございます。これについては、この委員会の中で現在の状況等について、また改めて御説明をさせていただきたいというふうに思っております。

○ 中川委員 すみません、私の聞き間違えだったかもしれません。

   それでは、今日は、私、11月に建設現場で働く皆さんの労働条件の改善について一般質問をしました。それになぞるような形で幾つか質問をしたいと思うのですが、趣旨は、一番最後に部長にお伺いしたいのは、建設現場で働く人たちは、長野県内の中小の建設会社が圧倒的に多いわけです。だから、そこをやはり支援する仕組みがないと、なかなか建設現場で働く、現場で最後に働いている人たちのところの労働条件が改善されていかない、結果として人手不足になっていくのではないかというふうに最後に聞きますので、そこにたどり着くまでに少し幾つか質問を積み重ねていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

   まず一つ目は、県の契約条例に基づいて、建設工事において労働賃金の支払いの実態を検証しつつ、適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式というものをこの間、試行してきました。

   2019年の9月の定例会で私がこのことについて質問をした際、当時の建設部長から、なかなかやはり現場では一人一人の確認ができない、ちゃんと賃金が払われているかどうか確認ができていないということから、標準見積書の活用や建設キャリアアップシステムの普及や月給制への移行といった施策を加えた新たな取組を推進するという答弁だったのですね。これは加えた新たな取組を推進するということだというふうに聞いていたのですが、結局、確認なのですが、適正な労賃の支払いを評価する総合評価落札方式の試行は今もやっているのでしょうか。

○ 増澤技術管理室長 2019年、当時の建設部長が回答させていただいたとおりでございますが、なかなか企業からは技能労働者への適正な水準の賃金の支払いが、この制度の中では確認が容易ではないということが課題として、実際、これについては、今この時点で試行はとどまっておりまして、それを踏まえて、標準見積書の活用だとか、CCUSの活用等の新たな取組に移行すると、そういった答弁だったと感じております。

○ 中川委員 その試行をやめたのはいつですか。

○ 増澤技術管理室長 やめたということは言っておりません。試行を令和元年まで続けておりまして、その後は今のところ適用はないといった状況でございます。

○ 中川委員 すみません、そこはもう少し詳しく説明してもらいたいのですが、やめていなくて、適用がないというのは、要は設計労務単価の9割以上を支払う契約相手に1点加点するということをやってきたわけですね。それをもうやっていないというのではなくて、やってはいるということなのですか。

○ 増澤技術管理室長 今、お話しさせていただいたのは、適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式の試行という点につきましては、その時点で確認が容易でないということが課題として、それ以降は、現時点までは実施の件数がないといった状況でございます。

○ 中川委員 それ以降、実施の何と言ったのですか。

○ 増澤技術管理室長 実施した件数はございません。

○ 中川委員 実施した件数がないというのは、要は総合評価落札方式で設計労務単価の9割以上賃金を払うという業者に対して加点をするということを示していないという、そういう意味ですか。それとも示しているけれども、そういうことはないということなのですか。

   もう一回言いますけれども、試行してきた制度自体は設計労務単価の9割以上を支払う会社に対してということを宣誓した会社に対して、総合評価で1点加点しますということをやってきたわけですよね。それが今はやっていないということなのですかということを聞いているのです。

○ 増澤技術管理室長 すみません。制度としては残しているといったことでよろしいでしょうか。

○ 小松建設部次長 今、一生懸命室長がお話ししているのは、総合評価落札方式の制度としては残っているのだけれども、結局、要するに加点するためには、それを確認しないと加点できないのですが、それがなかなか確認ができないので、制度の試行をやめましたという形ではなくて、制度としては残っているのだけれども、実質的にそれを適用した発注ができていないという、そういう解釈をしていただければいいのではないかなと思います。

○ 中川委員 それはちょっと違うと思うのですよ。今までも一応それによって加点をした実績はあるのです。だって、これは宣誓すればいい話なので。設計労務単価の9割以上を払いますというふうに宣誓した企業に対して、1点加点しますよという制度なので、実際にそれが支払われたかどうかというのは、確かに言われたとおりに確認がなかなか難しいというところにつながっているのだけれども、しかし、試行してきた制度自体は設計労務単価の9割以上を支払うということを宣誓した企業に1点加える。なので、これは実績もあるのです。今までそれで加点してきた実績があるのです。違いますか。

○ 増澤技術管理室長 すみません。これまでやってきた加点の実績については、今、手元に資料がないものですから、確認させていただきたいと思います。申し訳ありません。

○ 中川委員 後でまた資料を出してください。

   私はやはりそのことがきちんと契約審議会の中でも議論がされてきたのかということも確認したいのですね。つまり試行してきた、しかし、実際に現場で賃金が支払われているかどうか確認ができない、そこが課題だと、これは私も理解しています。これは私も理解しています。ただ、そういう経過があるということをちゃんと契約審議会の中でも確認がされてきたのかということについては答えられますか。

○ 増澤技術管理室長 申し訳ございません。今、この件について、契約審議会で確認してきたかというお問いについては、申し訳ありません、その時点での状況が分かりませんので、そのことも踏まえて、また後ほど答えさせていただきたいと思います。

○ 中川委員 それでは、次に行きますけれども、私は全体的に建設産業で働く労働者の賃金が全産業で働く人たちの賃金、年収ベースで比べても上がってきたということが賃金構造基本統計調査などで確認がされているのですけれども、でも、やはり企業規模によって実態が違うし、それから、職種によっても違うというふうに思って調べたことを11月の定例会の中でお話をさせてもらったわけです。大企業から中小企業まで250万円くらいの賃金格差が現実にはあるし、職種別でも建築士ととび工との間では300万円ぐらいの格差があるということを御紹介をいたしました。企業規模あるいは職種によって格差がある、このことについての認識を持っているのかということをまずちょっとお聞きしておきたいと思います。

○ 増澤技術管理室長 企業規模あるいは職種によって格差があるという認識をしております。

○ 中川委員 そういう格差があるので、これは一番最後の質問につながっていくのですけれども、やはり中小の長野県の企業をしっかり支えていかなければいけないというところにこの質問はつながっていきます。

   もう一つは、設計労務単価の上昇と現場で働いている人の年収の伸び率が違うというふうに田中建設部長が答えました。答弁を言うと、令和元年から令和2年にかけて5%程度の上昇が見込まれています。でも、実質の技能労働者の平均年収の伸びは2%程度にとどまっていて乖離が見受けられ、課題があると認識しているという答弁だったのです。

   私もこれはずっと考えているのですけれども、設計労務単価を上げたというふうに言うのだけれども、それが実際に働いている人たちの賃金の改善につながっていかない。これは一体何でなんだろうねと思うのです。私も回答を持っているわけではないのですけれども、どんな考え方をされていますかね。いじめているわけではないからね。

○ 増澤技術管理室長 設計労務単価が実際の労働者の賃金に反映されていないのではないかということかと思います。ある意味これというのは、恐らくは下請の重層化というのもあって、一次下請、二次下請、三次下請、そういったところでやはり下に適切に行くようなことになっていないということが、そういったことにつながっているのではないかというふうに察しております。

○ 中川委員 それで、次に聞いたのは、結局、下請業者から最後に働いている現場の労働者に対して適正な賃金が支払われているかについて把握ができていないというふうに、私の質問と建設部の答弁は続くわけですね。結局、把握ができないというところが、最初に言った総合評価落札方式でも現場に最終的に払われているかどうかが分からないというところで止まってしまっている。止まってきたのですね。その話は今も結局止まってしまっていると思うので、把握ができていないという、なぜ把握ができないのかという点については、この間、いろいろ建設業協会ともいろいろ話をされてきていると思いますけれども、そんな点について何か御所見はありますか。

○ 増澤技術管理室長 これも回答になるかどうかあれですけれども、適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式において、要はなかなか把握することが課題だということを先ほどお話しさせていただきましたけれども、そのときの状況を聞くと、県が出している設計の単価、そういったものが指定工種みたいなものが増えてきて、簡単に言うと、労務費とか、材料費とか、機械経費、こういったものが今、明確に区分できないような工種が増えてきていて、そういった単価で出しているものがだんだん増えてきているということなのですよね。ですから、簡単に言うと、その分のうちのほうが見ているだろうという労務費自体を切り分けることも難しくなってきているというのが、当時、試行として確認することが難しいと至った判断の一つだというふうに思っています。

   ですから、いろんな工種が入り混じった、もう一度申し上げますが、労務費、材料費、機械経費等が区分できないような指定工種で発注したような工種がいろいろ出てきて、企業からも技能労働者に適正な労務費が払われているかについては、指定工種が大分入ってきているので、確認することが難しいとしていたのが当時の考察結果というふうに認識しております。

○ 中川委員 そうすると、標準見積書を使うというのは、いろいろなものが混ざってきている中で、標準見積書を使うことによって適正な賃金が支払われるように促すことにつながっていくのかというところと、ちょっと矛盾というか、ずれがあるような気がするのですが、それは標準見積書を使うことによって、8割ではきちんとどうのこうのという答弁があったのですが、混ざった工事というのは標準見積書は使えないのですか。

○ 増澤技術管理室長 標準見積書自体は、下請の契約額における労務費相当額と法定福利費を明記して出していると。要は簡単にこれで社会保険の未加入対策等にも寄与するものだと認識しておりますので、標準見積書の活用は実際に効果がある取組で、さらにこれは活用を促進すべき内容だというふうに思っております。

○ 中川委員 ただ、現場から言わせると、標準見積書で積み上げ方式でやっていれば、それなりの効果はあるのだろうなという気がするのですが、結局、大枠はこれですというところから、積み上げではなくて、それに合わせてつくっているという指摘があるのも現実なので、ちゃんと積み上げ方式で、今、言ったように社会保険料はどうだとか、賃金がこうだとかという、ちゃんと積み上げ方式で標準見積書がつくられているのかどうか、そこはちょっと確認・点検が必要な課題ではないかなというふうに私は思っています。これは指摘だけにとどめておきます。

   それから、もう一個、建設キャリアアップシステムについても、何とか労賃改善に向けて必要な取組ということで取り組んできたわけですよね。今、加点制度にも加えてもらっているのですが、令和4年の7月末で2,269社という話だったのですが、全国平均から比べるとまだ低いという、11月の時点では話だったのですが、その後、改善はされているのでしょうか。

○ 増澤技術管理室長 キャリアアップシステムの登録業者数のお問合せかと思います。

   令和4年の7月末時点、委員御指摘のとおり、2,269社でございました。最新の情報は令和5年の5月末時点で2,854社といった状況でございます。これは全建設業者数の大体38%に上ります。改善はしてきておりますが、まだまだ全国平均よりは低いという状況でございます。

   以上です。

○ 中川委員 部長の答弁で、登録が進んでいない原因として、導入費用の負担が考えられるため、原則全ての工事でカードリーダーの設置費用等を設計に織り込む取組を来年度から実施してまいりますということは、本年度なのですね。これは実施されているのでしょうか。

○ 増澤技術管理室長 今年度より原則全ての工事でカードリーダーの設置費用を設計に盛り込む取組を始めました。

   以上です。

○ 中川委員 それはよかった。ありがとうございます。一番の肝心な点は、キャリアアップシステムにキャリアに応じた目標賃金だとか、どういう言い方がいいのかちょっとよく分からないのですが、下限と言うと下に張りついてしまうし、キャリアに応じた標準賃金というのが、このぐらいのキャリアを積んできた人にはこれだけの賃金が払われて当然ですよねというような、そういうものがひもづけされていかないと、やはりキャリアアップシステムを入れました、けれども賃金は改善されませんということになりかねないのです。これは全国の状況とも兼ね合いがあるのですけれども、そんな点、国土交通省か何かでそんな議論がされているかどうか、御存じでしたら教えてください。

○ 増澤技術管理室長 キャリアアップシステムのレベル別年収の話かと思います。先月ですけれども、国のほうで、CCUS、建設キャリアアップシステムのレベル別年収の試算を公表しています。これは先ほど委員もお話がございましたけれども、この職種であれば大体幾らぐらい所得があっていいだろうという、そういった目安になるものかと思うのですけれども、こういったものは本当に将来の処遇だとか、キャリアパスを示すものなので、技能労働者の技能だとか、経験に応じた賃金支払いの具体的なイメージにつながって、こういったものが支払いにつながっていくことを期待しているところでございます。

○ 中川委員 やはりせっかく何とか若い人たちに建設現場で働いてもらいたいということで始めた建設キャリアアップシステムなので、それが有効に機能するように、引き続き御努力をいただきたいというふうに思います。

   それから、賃金の実態調査です。今後、調査の具体的な内容や調査方法を含め、検討していくという答弁でした。これの検討状況と、それから、もう一つ、これは今日説明された資料の中にある新年度働きやすい現場環境づくりをしていくというのは、資料19で説明されたことを意味しているのか、その二つ、お願いします。

○ 増澤技術管理室長 まず後者につきましては、資料19で示すとおりのモデル工事の試行ということでございます。

   それから、前者のお問合せの賃金実態調査の検討状況ということでございますけれども、今、10月に実施予定の公共工事(★事業)労務費調査、これの実施に合わせて特定の職種について、例えば末端の下請業者、あるいは一人親方、こういった技能労働者を抽出して、賃金実態の把握をするための調査ができないか、今、検討しているところでございます。

   この調査に先立ちまして、今月でございますけれども、技能労働者が加盟する長野県建設労連の皆さんと県の公共工事における取組だとか、技能労働者の実情について意見交換をしていきたいといったふうに思っております。

   以上です。

○ 中川委員 ちょっと細かい点まで踏み込んで、別に室長をいじめているわけではないので、それは勘弁してください。

   冒頭から言っているように、やはり若い人たちに建設現場で働いてもらいたい。それはやはり議会でどんなに議論しても、知事がどんなに立派な計画を立てても、現場で働く人がいなくなってしまえば、まさに絵に描いた餅になるわけです。ですので、きちんとやはり現場で働く人たちのところまで賃金が支払われるということが必要だということが原則と、併せて、これは一番最初に申し上げて、最後に部長に聞くのですが、やはり長野県の中で支えているのは、元請は労働者を持っていないのですよね。労働者を持っているのは、やはり中小、下請の会社なのですよ。中小、下請の建設会社をしっかり支える仕組みをつくっていかなければ、結果として働く人たちのところに賃金が回っていかないということになりかねない、というか、なっているのだと思うのです。

   それで、例えば先ほど説明いただいた、誰もが働きやすい現場環境づくりモデル工事の試行ということをやるわけですよね。でも、この試行の中で、例えば現場通路の改善だとか、女性専用更衣室をつくったとか、こういったことをやるには、これだってみんなお金がかかるわけですよね。だったら、こういうところへちゃんと支援をするというような仕組みをつくらないと、結果、やはりこれも絵に描いた餅になっていってしまうのではないかというふうに思うのですよね。

   そんなことも含めて、部長に、長野県で働く人、現場を支えるために、現場の皆さんの賃金改善や人手不足の解消をしていくために、県建設部としての思いなり、決意なり、お話をお伺いして、私の質問を終わります。

○ 田中建設部長 長野県の建設業を支えていただいている中小企業の人材確保の観点での私の所見、決意をというお話をいただきました。

   まずはここ5年、10年近く、一生懸命建設部というか、発注者側で取り組んできたのは、とにかくダンピング対策をして、必要な建設工事に必要な費用を払うということにかなりの力を注視してまいりました。ダンピング対策をして、設計労務単価を上げて、必要な資機材等もしっかりと見て、必要な発注をするということで、まず建設会社というものに必要なお金を渡して、本来払うべきものの原資をしっかりと確保する。それを一丁目一番地で取り組んできて、そこについては、落札率を見ていただいても分かるとおり、成果を上げてきたと、そこは認識しております。

   その一方、中川委員からお話があるとおり、それが実際に働いている中小企業の技術者だったり、技能者に払われているかという観点については、十分にそこまでたどり着いていないということがデータからも示されていますし、そこが大きな課題というのは、県の発注者側としても十分に認識していますし、そこは国のほうにおいても、非常に難しい問題で、次はそこがターゲットだということは明確に中で宣言して取り組んでいるところになっております。

   先ほどありました標準見積書、頑張って民民の下請のところの会社同士の契約については、しっかりと確認するという行為はしてきたとは思うのですけれども、中小の会社から実際に資材を支払うお金だったり、各技術者に支払われた賃金のところまで、そこまで今、確認する手段がなかなか実際はないというところで、会社ベースの請負、下請の重層構造の中でのやり取りのところの調査にとどまっていたというふうには認識しております。

   その中で、国のほうで、まずはキャリアアップシステムというものを導入して、しかも、レベル別の年収まで出すことで、本来技術者として期待される年収のところはこうだということは、逆のほうからも攻めていますので、あとは中小企業の会社の経営者側と実際に技術者に払われる、そこのギャップを埋めていくところ、そこに力を投資していこうと、そこは国の動きも見ながら、県としてもしっかり取り組んでいきたいポイントだと思っております。

   いずれにしても、災害対応であったり、長野県のインフラ整備を管理するためには、建設業界、特に中小企業の皆様、特に担い手の確保がなければ進まないというのは、総合5か年計画でもしっかり位置づけていますし、建設部の主要施策として常に私もお話しさせていただいている点ですので、中小企業の現場で働いている人にしっかり必要なお金が回って、いわゆる新4Kと言われているもの、きれいで、休日が取れて、給与が多くて、格好いいという言葉がうたい文句だけで終わらないように、一つ一つ積み重ねて取り組んでまいりたいと思います。

   以上でございます。

○ 寺沢委員長 中川委員に確認いたします。先ほどの資料要求については、個人としての資料要求でよろしいでしょうか。それとも委員会として資料要求したいということでよろしいでしょうか。

○ 中川委員 委員会として資料請求していいですか。

○ 寺沢委員長 では、ただいま中川委員から資料の要求がありましたが、これを委員会として資料要求するに御異議ありませんか。よろしいですか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ 寺沢委員長 御異議ありませんので、採用を決定いたしました。それでは、明日の委員会に提出できるよう、取り計らいを願います。

(1:35:59)

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20230627 6月定例会一般質問その4 地域と調和した太陽光発電設備を促進するための条例について

2023-07-10 19:29:28 | 長野県議会

4,地域と調和した太陽光発電設備を促進するための条例について

【中川】次に、知事提案説明にもありました「地域と調和した再生可能エネルギー事業の推進に関する条例」について質問をします。この条例は現在環境審議会の専門委員会で検討が行われていると承知しています。

 これまで、県内市町村が再生可能エネルギー推進に向けて条例をつくり対応をしてきているところですが、とくに森林における太陽光発電施設においては地域住民とのトラブルや市町村条例さえも踏みにじって開発をする事業者もいて、県としての対応を求める声があったところです。そこで3点お伺いします。

 あらためて今回の「地域と調和した再生可能エネルギー事業の推進に関する条例」制定の目的についてお伺いします。

【環境部長】2050ゼロカーボンの達成に向けては、再生可能エネルギーの更なる生産拡大が不可欠であり、特に本県が高いポテンシャルを有する太陽光発電の拡大を進めていくことが必要となります。

 一方で、地上設置型の太陽光発電事業は、防災面や環境・景観面等への懸念から、地域住民等と事業者との間で揉め事になる事例もあり、適正な普及を図る観点から一定のルールが必要です。 

 このため、本県では、平成28年に「太陽光発電を適正に推進するための市町村対応マニュアル」を策定し、市町村の条例制定を支援してまいりましたが、条例を有しない市町村も未だ46団体あるところでございます。

 加えて、今後は、固定価格買取制度、いわゆるFIT制度によらない事業の拡大が見込まれ、法律・条例違反時の買取認定の取消しといった抑止力が望めないことから、こうした事業にも対応できる実効性のあるルールが必要となってきております。

 これらの課題に対応し、地上設置型の太陽光発電事業を、地域と調和した形で普及させていくために、条例を制定するものでございます。

【中川】改正地球温暖化対策推進法に基づき、市町村は促進区域を設定することができることとなりました。県は、昨年促進区域から地域森林計画対象森林や優良農地を除外する基準を示したところです。今回の条例も、地域森林計画対象森林区域、土砂災害特別警戒区域、土砂三法区域を特定区域にして「県の許可制」とすることや、10kwh以上の太陽光発電施設はすべて「届出」を必要とする方向で議論が行われています。

規制をかける区域はしっかり規制をかける一方で、推進に向けて市町村の促進区域設定への支援、その際に環境や景観への配慮、住民合意の形成などについて、県としてどのように進めていくのかお伺いします。

【環境部長】本県では、昨年4月の促進区域制度の開始に合わせまして、「市町村が行う区域設定に関する基準」を全国に先駆けて策定し、これを受けて箕輪町が全国で初めて区域設定を行ったところでございます。

 加えて、環境省と連携した市町村向け研修会の開催や、収益納付型補助金の拡充により、促進区域を増やす取組を進めているところでございます。

 一方、現在、条例について検討いただいている県環境審議会の専門委員会においては、促進区域内の事業であっても、適切に住民との合意形成手続などが行われるよう、条例を適用すべきとの意見があったところです。

 今後、こうしたご意見を踏まえつつ、環境や景観への配慮、住民との合意形成といった手続が適切に担保されるよう制度設計を進めるとともに、促進区域の増加に向けた取組を併せて進め、再生可能エネルギーの普及拡大に繋げてまいります。

【中川】以前、再生可能エネルギーの推進は公共事業で行うべきと申し上げました。国の脱炭素先行地域選定により、たとえば直近で選定された生坂村では、太陽光発電、水力発電、ペレットストーブの導入などを計画しています。

 県の制度では、発電事業者向けの事業について、収益納付型補助金による初期費用の負担を軽減する支援策がありますが、個人向けの屋根置き太陽光発電設備や蓄電池の設置についても、初期費用ゼロの事業を始めるべきと思うがいかがでしょうか、以上環境部長にお伺いします。

【環境部長】現在、県では、個人住宅への太陽光発電設備や蓄電池等の設置について、「既存住宅エネルギー自立化補助金」や、共同購入事業としての「グループパワーチョイス」により、設置費用の負担軽減を図っておりますが、初期費用がネックとなり、導入に踏み切れない方も多くいると承知しております。

 このため、「初期費用ゼロ円モデル」は、今後の普及拡大に有益な手法の一つと考えておりますが、発電量の変動リスクや設備の損壊等のリスクなどから、長期・安定的に採算性を確保し、事業を運営する面での難しさなどもあります。

 このため、産・学・官・金などの多様な主体と連携しながら、費用対効果を含む事業課題を整理し、本県に相応しい形での事業構築に向けた検討を進めてまいります。

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20230627 6月定例会一般質問その3 精神障がい者への支援について

2023-07-10 19:27:48 | 長野県議会

3,精神障がい者への支援について

【中川】次に、精神障がい者への支援についてお伺いします。

この春の県議選の候補者の皆さんのところへ、精神障害者を支援する会からアンケートが送られてきました。会派で、直接お話をお聞きしましたので、その点について質問をいたします。

 精神障がい者への福祉医療は、現在通院のみとなっていますが入院まで拡大するとともに、福祉医療について住んでいる市町村によって差があることは好ましくないので、国が財政措置などを通じ支援を行うよう全国知事会などを通じて強く要請してほしいと思うが知事にお伺いします。

【知事】精神障がい者福祉医療に関するご質問であります。

精神障がいに関する県の福祉医療制度についても順次対象の拡大、充実に努めておりまして、令和3年には精神2級の方の通院対象を全診療科に拡大したところであります。

 引き続き、障がいがある方の状況を十分把握し、支援のあり方を実施主体の市町村とともに検討してまいりたいと考えているところです。

 また、子ども医療費助成の際も申し上げましたが、多くの自治体で実施しているにもかかわらず、自治体ごとに助成対象や助成内容にばらつきがある状態は必ずしも好ましいとは言えないため、今月12日、長野県として全国的な制度が創設されるよう、国に対し要望したところです。

 全国知事会からも同様の要望を実施しており、今後も引き続き国に対して働きかけていく所存です。

【中川】また、精神保健福祉法の改正により、令和6年4月から自治体の相談支援体制の対象が見直され、精神障がい者のほか精神保健に課題を抱える者が対象になります。県は、市町村が行う精神保健に関し、市町村への必要な支援を行うよう努めることとなりますが、県としてどのように対応をしていくのか、これは健康福祉部長にお伺いします。

【健康福祉部長】精神保健に課題を抱える方への相談支援体制についてでございます。

ご指摘いただきましたとおり、法改正がございまして、市町村が実施している精神保健に関する相談支援の対象に、「日常生活を営む上での精神保健に関する課題を抱える者」が加えられたところです。

具体的な対象者は、省令によって国から示されることになっておりますが、これまで市町村が相談対応してきたケースでは、例えば、生活困窮、自殺の懸念、虐待など、精神保健に関係の深い様々な課題を抱えておられることも多く、こうした方を含めて、市町村を中心として包括的な対応を行うことが期待されるところでございます。

県といたしましては、市町村の人材育成を支援するため、精神疾患やメンタルヘルスに関する職員向け研修の実施のほか、精神保健福祉センターや保健福祉事務所等による、専門性を活かした技術指導援助、困難ケースへの助言等を通じまして、市町村への支援を行ってまいります。以上でございます。

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20230627 6月定例会一般質問その2 移動・旅行などにおける障がい者への支援について

2023-07-10 19:23:38 | 長野県議会

2,移動・旅行などにおける障がい者への支援について

【中川】次に、移動旅行などにおける障がい者への支援についてお伺いします。

5月1日の信濃毎日新聞の建設標に松本市在住で78歳の女性の方からこんな投稿がありました。

「先日、上田市の無言館へ行った。私は度々の手術の後遺症で腸閉塞、過活動膀胱の持病がある。つまり頻繁にトイレに行きたくなるのだ。今回は電車を利用したが、篠ノ井から30分に1本のしなの鉄道はトイレがあるのは新型車両だけ。上田から1時間に1本の別所線は電車の中にない。困った。出たとこ勝負だと思いながら出かけたが、しなの鉄道の千曲でトイレに行く羽目になり、次の電車を30分待つ。これでは障がい者や病気がある高齢者、子ども連れの家族は利用しづらい。ちなみに松本から上田行のバスにトイレの有無を聞いたらないとのこと。公共交通の議論は本数だけでなく、トイレの整備もぜひ視野に入れてもらいたいものだ」

というものです。たまたま知り合いということもあり、後日ご本人からお話を聞きました。「病気持ちの後期高齢者の私は、変形性膝関節症もあり、電車やバスでの移動は本当に大変。高齢者の事故が多く免許返納が言われながら、公共交通の電車やバスで外出したくても、トイレ無し、乗り換え3分の電車に乗ろうとすれば、エレベーターはホームの端っこで間に合わなかった。バスには長距離しかトイレがついていない。こんな現状では、車無しの高齢者、障がい者、子連れの家族は、遠出はままならない。と訴えたかったのです。JR東海の長野・名古屋間の特急のトイレに和式があるのにはビックリ。一部には洋式がありましたが、足の悪い私は洋式トイレの車両を探さなくてはなりません。洋式トイレの推進だけでなく、駅ホームのエレベーターの位置や、乗り換え時間など、総合的に考えて頂きたい」とのことです。

そこで、お伺いします。障がい者の方や持病をお持ちの方などが、買い物や旅行などをストレスなく行えるために、バスや電車などの公共交通機関や商業施設などでの、トイレの設置状況やバリアフリーの状況が共有できるポータルサイトを市町村や交通観光業者と連携して県として整備する必要があると考えるがいかがでしょうか。多部局にわたる課題であるので知事にお伺いします。

【知事】バリアフリーの状況が共有できるポータルサイトを構築する必要があるのではないかというご質問であります。

障がい者共生条例を作らせていただきました。障がいのある方が、安心して気軽に外出できる環境をつくることは、誰にでも居場所と出番がある社会を作るという総合計画の趣旨も踏まえれば、極めて重要なことだと思っています。

これまで観光・交通案内アプリの「信州ナビ」で、観光施設あるいは公共施設の障がい者用駐車場あるいは多目的トイレ、こうしたバリアフリー情報をピクトグラム表示して情報提供させていただいているところであります。ただ、一部の施設等については、信州ナビに情報登録されていないという状況があります。

ご指摘の点は、私も大変重要なことだと思っています。今、デジタル化が進む中で、地図情報にいろいろな情報を書き込むことも、かつてに比べると非常に容易に行うことが可能になってきている状況がありますので、改めて市町村あるいは関係の皆さま方と連携して、誰もがこうしたバリアフリー情報に簡単にアクセスできる方法について検討していきたいと考えております。

【中川】また、この方は、バッグに赤地に白の十字とハートマークのいわゆる「ヘルプマーク」をつけています。ヘルプマークについては、これまで本会議で知事も普及について言及しているところです。しかし、なかなか普及していない現実があるようですが、動画サイトなどでしらべてみると、例えば私の母校である松本美須々ケ丘高校放送部がPR動画をつくっていたりして、比較的若い人には浸透しているようです。逆に、私たち大人の方が知らない人が多いのかもしれません。

障がい者の方から「ヘルプマークを付けていても気づいてもらえない」という声に応えるために、ヘルプマークの「存在」や「意味」を、交通事業者をはじめ、より多くの方々に知ってもらう必要があると考えますが、県してどのような取組を行っているか健康福祉部長にお伺いします。

【健康福祉部長】まず、ヘルプマークの普及についてのご質問でございます。

本県では、平成30年7月からご希望される方に配付を開始しております。ヘルプマークの普及を図るために、出前講座、あるいは各種イベントにおける啓発活動などの他公共交通機関薬剤師会のご協力のもと、800車両の優先席や各薬局にステッカーやポスター等の掲示をしていただくなど様々な取組をしてまいりました。

また民間による主体的な取組を促進するため、2人の個人の方と3つの団体をヘルプマークディレクターに委嘱をいたしまして、地域密着型の活動を進めていただいているところでございます。

利用者の方々からは、外出先で必要な配慮を受けられて助かったなどのお声をいただいているところでございまして、現状でも有効に機能していると思っておりますけれども、知らない方もいらっしゃるということでございまして、効果を高めていくためには、ご指摘のとおりさらに認知度を上げていくことが必要であると考えております。

県民の皆様がヘルプマークの意味を理解し、マークを付けている方が困っているときは、声をかけるなど、思いやりのある行動をとっていただけるよう、引き続き、あらゆる機会を活用して普及啓発に取り組んでまいります。

 

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20230627 6月定例会一般質問その1 性的マイノリティの方々への諸施策の推進について

2023-07-10 19:19:58 | 長野県議会

1,性的マイノリティの方々への諸施策の推進について

【中川】最初に、性的マイノリティの方々への諸施策の推進についてお伺いします。

 県は、「長野県パートナーシップ届出制度」を8月に施行することとしています。私の友人でゲイの方から次のようにこの制度についてご意見をいただきましたので少し長くなりますが紹介します。

「先ず、長野県パートナーシップ届出制度を制定して頂いたことに感謝申し上げます。県立医療機関等に限定されるとはいえ、面会と医療同意が出来るようになるのは画期的だと感じています。何故なら、知人のゲイはパートナーが救急搬送された際に病室に入れず、死に目に会えなかったという辛い経験をしているからです。

しかし一方で、県内約16万人と推定される性的マイノリティには、本制度の届出要件を満たさない者が大勢います。また、そもそも本制度では解決できない困難にも性的マイノリティは日々直面しています。

例えば、参議院常任委員会調査室・特別調査室は「LGBTの現状と課題」において、LGBT法連合会が公表している「性的マイノリティが社会で直面する困難リスト」を①子供・教育、②就労、③医療、④公共サービス・社会保障の4つのカテゴリーに分けて紹介し、「LGBTが様々な生活領域における困難に直面していることが分かる」と結論づけています。

また、過去を振り返れば、90年代は、日本精神神経学会が「同性への性指向それ自体を精神障害とみなさない」との見解を明らかにし、広辞苑が「同性愛は異常性欲である」という記述を改め、1991年東京都が同性愛者への宿泊施設「府中青年の家」の利用を拒否した裁判では原告が勝訴しました。こうした社会に変化の兆しが見えながらも、しかしゲイに対する暴力や嫌がらせが止むことはなく、その後も同性同士の宿泊を拒否する旅館業法違反に対し相次いで行政指導がなされ、2000年の新木場殺人事件ではゲイの男性がヘイトクライムによって撲殺され、2015年の一橋大学アウティング事件ではゲイの大学院生が自ら命を断っています。勿論、性的マイノリティに対する暴力や嫌がらせはゲイに対してだけでなく、また事件にならなかった事案は数えきれないほどあるのは、先のLGBT法連合会が公表しているとおりです。

このように、性的マイノリティが直面する問題は、教育、医療、保健、福祉、労働、警察、マスメディア等と多岐に渡ります。また、LGBTQも其々が異なりますし、未成年期を含む各ライフステージによって抱える困難さも異なります。知事におかれましては、今回の長野県パートナーシップ届出制度制定に止まることなく、更なる対策の充実と県職員の研修および民間への協力要請等ご尽力くださいますようお願い申し上げます。その際、各当事者の声に広く耳を傾けてくださいますよう併せてお願い申し上げます」以上です。

そこで、お伺いします。性的マイノリティの方々には様々な課題があり、この度創設される「長野県パートナーシップ届出制度」で全てが解決するわけではありません。性的マイノリティに関する諸施策を実施するにあたっては、性的マイノリティの方々の思いや困難さを知ることから始める必要があります。県として今後どのように諸施策を進めていくのか知事にお伺いします。

【知事】まず性的マイノリティの方々の思いや困難さを知ることから始めて今後どう施策を進めていくのかというご質問であります。ご質問のとおり当事者の声を頂戴しましたけれども、当事者の皆さんの思い、お考えというのはしっかりお伺いしていくことが重要だと思っています。

今回、パートナーシップ届出制度の制定に至った最初のきっかけもランチミーティングでこの性的マイノリティの皆様方と意見交換させていただいたところが実質的なスタートだと思っています。ランチミーティングをきっかけとして県の公文書の性別欄の見直しを行いました。また、性的指向、性自認に係る庁内連絡会議を設置して、職員向けのガイドラインを作らせていただいて、研修等を行ってきました。また政策会議の幹部研修にも当事者の方にお越しをいただいて、お話を伺いました。

こうしたことをこれまでも行ってきておりますが、今回パートナーシップ届出制度を制定させていただきましたけれども、ここから更に取組を深めていくことが必要だと思っています。

性的マイノリティの方々が自分らしく生きることができる社会を作っていくためには、私達県職員も含めて多くの皆様方の性の多様性に対する理解を広げていくことが大変重要だと思っています。

そういう意味で、今回の制度を県の取組に反映させるだけではなくて、市町村あるいは民間の皆さんにもこのパートナーシップ制度の意義・意味をしっかりご理解いただいた上で、活用していっていただきたいと思いますし、また性の多様性についての啓発活動についても一層進めていきたいと考えております。

また県としても様々な機会を通じて今後とも当事者の皆さんの声をお聞きしたいと思っています。そうしたことを踏まえつつ、必要な施策の更なる充実を検討していきたいと思っています。

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