タクシー運転手は前職でいろいろとあって破産状態になっていたり、多額の借金を抱えている人が少なくありません。この業界にはそんな彼らを“タコ部屋”同然の狭い寮に囲い込んで何年も安月給で働かせるケースもあります。
これだと借金はなかなか消えませんし、ドライバーはいつまで経っても幸せになれない。私は早く独り立ちしてほしいと思うから歩合率を高めに設定した給与制度を作りました。ドライバーの皆さん、“ルールを守って大いに稼いでください!”と」
だが最近、毎晩のように胃薬を飲むほど悩んでいることがあるのだという。
「今、問題が取り沙汰されている運送業界と同じく、タクシー業界も深刻な人手不足の状態に陥っています。特に、五輪特需に沸く建設業界が高い賃金で“人狩り”を始めており、東京では求人を掛けても応募がない状況が続いています。そこで今、何が起きているかといえば、タクシー会社同士の奪い合いで、当社はそのターゲットにされてしまっています」
一体、どういうわけだろう。
「この業界には東旅協(社団法人・東京乗用旅客自動車協会)という業界団体があります。その加盟社同士でドライバーを奪い合うのは“ご法度”なので、非加盟社にその触手が伸びてくるのが必然のこと。当社は加盟してない…といいますか、加盟申請を出してはいるけど約13年間棚上げ状態のまま、未だ認められていませんので、社員に話を聞くと、ガソリンスタンドや待機所で他社の人間が声を掛けてくるそうです。そこで『支度金を出す』『ウチも稼げる』といった甘い言葉に誘惑され、会社を辞めていくドライバーが出てきています。
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