那田尚史の部屋ver.3(集団ストーカーを解決します)

「ロータス人づくり企画」コーディネーター。元早大講師、微笑禅の会代表、探偵業のいと可笑しきオールジャンルのコラム。
 

北一輝の『日本改造法案大綱』

2012年10月26日 | 歴史
このところメマイがする。パソコンが一番悪いと分かっているが、パソコンなしで現代生活は出来ない。そこで、今日はwikipediaの記事を引用抜粋し、簡単に感想を述べる。この国難のとき、様々な意見が飛び交っているので、戦前の最も有名な革命思想をおさらいしておくのも悪くないと思った次第。
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1883年(明治16年)に新潟県佐渡島で生まれた北は早稲田大学の聴講生となり、社会主義を研究して『国体論及び純正社会主義』を著し、また中国の問題についてはアジア主義を主張した。
しかし当時の日本の国家政策はアジア解放の理念を損なっていると認識して北は具体的な解決策を構想し、日本政治を改革するために1919年(大正8年)に40日の断食を経て『国家改造案原理大綱』を発表した。これが1923年(大正12年)に加筆修正されて『日本改造法案大綱』に改題されたのが本書である。北は本書を書いた目的と心境について、「左翼的革命に対抗して右翼的国家主義的国家改造をやることが必要であると考へ、」と述べている。

北によれば明治維新によって日本は天皇と国民が一体化した民主主義の国家となった。しかし財閥や官僚制によってこの一体性が損なわれており、この原因を取り除かなければならない。その具体的な解決策は天皇によって指導された国民によるクーデターであり、三年間憲法を停止し両院を解散して全国に戒厳令をしく。男子普通選挙を実施し、そのことで国家改造を行うための議会と内閣を設置することが可能となる。この国家改造の勢力を結集することで華族や貴族院を廃止する。

次いで経済の構造改革を行う。具体的には一定の限度額(一家で300万円、現在の30億円程度)を設けて私有財産の規模を制限し、財産の規模が一定以上となれば国有化の対象とする。このことで資本主義の特長と社会主義の特長を兼ね備えた経済体制へと移行することができる。この経済の改革は財政の基盤を拡張して福祉を充足させるための社会改革が推進できる。労働者による争議・ストライキは禁止し、労使交渉については新設される労働省によって調整される。また労働者でもその会社の経営に対する発言を認めることも提案には盛り込まれている。

経済や社会の改革については日本本土だけでなく日本の植民地であった朝鮮、台湾にも及ぶ。朝鮮は軍事的見地から独立国家とすることはできない。ただし、その国民としての地位は平等でなければならない。政治参加の時期に関しては地方自治の政治的経験を経てから日本人と同様の参政権を認め、日本の改革が終了してから朝鮮にも改革が実施される。将来獲得する領土(オーストラリア、シベリアなど)についても文化水準によっては民族にかかわらず市民権を保障する。そのためには人種主義を廃して諸民族の平等主義の理念を確立し、そのことで世界平和の規範となることができると論じる。

世界に与えられた現実の理想は、いずれの国家、いずれの民族が世界統一を成し遂げるかだけであり、日本国民は本書にもとづいてすみやかに国家改造をおこない、日本は世界の王者になるべきであるというのが本書の結論である。
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感想。
明治時代は民主主義だった、という認識は「一君万民思想」と言われ、吉田松陰の造語とされている。維新の志士たちの間の共通認識で、身分制社会からデモクラシーへの大きな誘い水になった。自由民権運動もこの流れの中から生まれている。

右翼革命思想と言っても、北がもともと社会主義を研究していたためだろう、経済統制や労働者の人権なども自在に取り入れられている。この時代の秀才は必ずアカに一度は洗礼を受けている。

民族平等が盛り込まれているのは大日本主義の影響かもしれない。建前としての攘夷思想はこの時代になると超克されていたことが分かる。

日本が世界の王者になるべき、という発想がどこから来たのか暇なときにジックリと調べてみたい。平等主義と矛盾するからである。一つはキリスト教徒の多いアメリカの現実(拝金主義や人種差別)に衝撃をうけ新渡戸稲造が1900年(明治33年)に「武士道」を刊行したように、日本文化が世界の倫理的規範になるという発想は以前からあった。元武士で明治になりキリスト教徒になった人物は非常に興味深い特徴をもっているが、かなりややこしいので、略す。

ちなみに北一輝は地元で神童と呼ばれた秀才だった。熱心な日蓮信徒で、かなり神がかり的な性格だったようだ。

ちなみに、を繰返すとまたパソコンが毒になるので止めておくが、大雑把に言えば「民主主義の限界を突破する思想」を模索する、という点で、現代の日本の閉塞感を解決するために非常に参考になる。民主党に裏切られ、橋下維新に裏切られ、と、既成政党に期待しては裏切られてきたこの40数年の歴史の中で、こういう風にクーデターを前提に新しい国家の形を、右翼左翼その他が探り合うのも重要なことだと思う。
 ちなみにwikiを使って孫引きで感想を述べるのは、全くの邪道だが、研究ではないので気にしないで置く。ともかく、今の日本は民主主義とは到底言えないところに来ているし、投票率が30~40%にまで落ち込んでいるのだから、政治に期待しない日本人が過半数を超えている。北一輝が今の日本を見たらどんな改造法案大綱を作るだろう?
 
 
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