那田尚史の部屋ver.3(集団ストーカーを解決します)

「ロータス人づくり企画」コーディネーター。元早大講師、微笑禅の会代表、探偵業のいと可笑しきオールジャンルのコラム。
 

アオリイカ(堤防釣りの秘訣

2011年10月20日 | 趣味
本で最高のイカとされるのがアオリイカである。地方によっては、モイカ、ミズイカ、バショウイカなどともいう。市場価格ではダルマイカというやつがアオリイカより高価だが、味はアオリイカのほうが遥かにうまい。
 私はこのイカに4年ほど夢中になってシーズン(春と秋)になると毎日のように海に通った。
そこでこのイカの釣り方について分析する。(堤防釣りの場合のみ)

1、ルアーを使う方法。
ルアーといっても伝統的な和製の餌木(えぎ)を使う。これは車えびの形を模したもので尻尾の部分に、イカ針が付いている。釣り方に3種類ある。

A.普通のバス釣りのように、水中でユックリとルアーを引っ張る方法。イカが乗ると重くなる。
B.遠投して、一度海底につける。大きくあおって餌木を浮かせる。リールを巻いて手前に寄せる。これを繰り返す。手前になるに従い、あおり方を小さくする。イカの当たりは、竿先のわずかな変化で読み取る。大抵は竿先が浮き上がる。
C.シャクリ釣り。長い竿を使って堤防でシャクリ続けるのだ。餌木は海底から30センチぐらいに届くように調節しておく。ただひたすら、3時間も4時間も竿を上下させる。面白くもなんともない釣り方だが、気の長い人には向いているし、下手に技術を使うよりは、確実に釣れるという利点もある。イカが乗ると、根掛かりしたかのように重くなる。

2、ナマ餌を使う方法。ナマ餌は、主にアジ。他にコダイ、メバルなども使うが、アジが一番食いがいい。さまざまな方法がある。

A.最もポピュラーな方法。アジにイカ針をつけて、ウキ釣りをする。取り込みが難しい。
B.泳がせ釣り。竿をブロックなどで固定し、餌を泳がせる。イカが乗ると竿がグッとたわむ。
尚、この釣りは、しばしばフナを餌にする。(フナは海水に入れても1時間ぐらいは生きている)

C.スットン釣り。これは変わっている。スットンという道具を使う。
まず、死んだアジの尻尾をテグスでくくり付け、海中に放り込む。イカが乗ると、ゆっくり手元までおびき寄せる。そこで、スットンをつける。スットンはテグスに通すようになっており、手を離すと、イカのところまで落ちていく。スットンの先にはイカ針があり、釣り上げる。
 この方法が一番、食いはいい。しかし、スットンをつけて落とすときに逃げられたり、引き上げるときに逃げられたり、とかなりのテクニックがいる。
 またこの方法は、食いがいいだけに、周りの不良釣り人に因縁をつけられる。つまり、釣り逃がしたりしようものなら、「お前が逃がしたおかげで、あのイカはもうこの堤防には寄ってこない」という、変な理屈で文句をいうのである。逃げたイカをそいつが釣る、と決まっているわけではないのだが、そういうおっさんに私は何度も遭遇した。
 所詮、歳をとってアオリイカを釣りに来る男などにロクな奴はいない。そういう不良ジジイが嫌ならこの釣り方は避けるべきだろう。

以上がアオリイカの釣り方のほぼ全てである。イカ針は普通の針と違って「返し針」が付いていないために、取り込みの時には注意が必要である。間違ってもポンピングなどやってはいけない。重みを一定に保って、相手が引けばぐっと我慢して竿をたわませ、あるいはリールを繰り出し、決してケンカしてはならない。
 私が釣った最高が2キロ。逃がしたのは3キロぐらいの大物がいる。これは重くて重くて我慢できず、ケンカしてしまったもの。悔しかった。


釣り方の薀蓄を少し垂れると、まあ釣りは大抵そうだが、干潮時と満潮時の潮が止まった時には絶対に釣れない。だから潮の流れているときに竿を出すこと。私の経験では、満潮から干潮になる2時間の間が最適のようである。
 また、イカは満月の時には海面近くに上がってくる性質がある。だからそういう時は、餌木を海底まで沈めず、中層から表層の間を上下させると食いがいい。アオリイカは一回釣り逃がしても、また食いつくので、同じ場所に餌木を投げ込んでやるとヒットすることがしばしばある。


山菜採集では、やはり山芋(自然薯)が最高であり、堤防釣りではアオリイカが最高である。だから、釣り人は目を血走らせてやってくる。その上、アオリイカを釣ろう、などという人間にはあまり紳士はいない。家庭が崩壊したクソジジイやらクソオヤジやらが堤防一杯にぎっしり並ぶ。だからケンカやいざこざがしょっちゅう起こる。ここでちょっと真面目に考察すれば、釣りの快感というものはセックスの快感の代理行為だと見ることが出来る。ピンサロもキャバクラもない田舎の人間にとって釣りは性的快感を発散できる貴重な場である。田舎にはパチンコで身上を潰す人間がしばしば現れるのはこういう事情があるからだ。だから、そういうエネルギーの有り余った人間が堤防に集まり、自然と殺気立つ。アオリイカ釣りに夢中になる人間の多くは40代、50代で、荒くれ男が多い。スナックでオバハン相手にエロ話しているような連中がこぞって集まると思えばいい。
 それで私は、人が集まらない穴場を持っていて、ユックリと一人で楽しむことを好むようになった。
人のいない夜中に釣っていると、怖さも忘れて、朝になったということがしばしばある。



{料理}
アオリイカは面白いことに、釣ったばかりよりも、冷凍して1年たった頃に味が出る、と言われるぐらいに長持ちする。
 刺身を食べて御覧なさい。ほのかに上品な香りが立って、最高だよ。もちろん寿司ネタにも最高。
炊いて食べても独特の上品な香りがある。
 尚、アオリイカは硬い甲羅がない。柔らかくて透明な羽のような背骨があるだけで、身のほとんどを食べることが出来る。


以上、アオリイカの釣り方をご披露した。
関東では千葉の内房で釣れるらしい。12チャンネルの釣り番組を見ていたら、船で沖に行ってアオリイカを釣るのを放映していたが、これは1のCで説明したシャクリ釣り一辺倒で、釣り方としては面白くない。私が得意なのは1のB。イカ釣りは夜することが多いので、竿先の変化を見るのが難しい。そこで懐中電灯を用意しておいて、竿の先に当たるように調節する。この釣り方が一番技術を必要とするし、見ていても格好がいい。また上手になると、この方法が一番釣果が高い。私はとことん訓練したから、宇和海(愛媛西南部)ではベスト3には入る腕前になっていた。調子に乗って、アオリイカを売って商売にしようかと考えたが(2キロクラスなら8千円ぐらいする)、信心深い母が「殺生して商いすると罰が当たるよ」というので諦めた。
 アオリイカ釣りにはボウズがつきもの。一週間通って一匹も釣れない、などということはザラにある。それだけに釣れた時の感動は素晴らしい。万馬券をゲットしたときぐらい嬉しいものだ。しかも、食べて美味しい。
 私は歳をとったらアオリイカの釣れる堤防の近くに別荘を買って、イカジジイと呼ばれて晩年をすごしたい。(年取ってアオリイカ釣りをするのにろくな奴はいない、と言ったばかりだが、私は紳士だから例外ですよ)。ま、とにかくそれほどに魅力的な釣りである。


宇和海の太刀魚釣り(電気ウキ篇)

2011年10月17日 | 趣味

太刀魚釣りというのは、巧い人と下手な人との釣果の差が見事に現れる。
例えば、巧い人が30匹釣っている一方で、下手な人は1匹も釣れないようなことはザラにある。
しかも、下手な人の餌にでも太刀魚は食いつくのだ。食いつくが釣り上げられない。
その面白さが、太刀魚釣りの醍醐味である。

もっとも、沖に船で出て、ルアーで釣る場合は、巧いも下手も関係ない。バカにでも釣れる。
太刀魚釣りの醍醐味は「堤防釣り」にある。中でも面白いのはウキ釣りだ。

{ウキ釣り}
餌は、キビナゴ。目から針を通して背骨の下に針を引っ掛ける。
(一匹目が釣れたら、太刀魚のハラミをカッターで切って共食いさせることもある。餌持ちはこっちのほうがずっといい。一つの切り身で5匹ぐらいは釣れる)
 ウキ下は大体2メートル。太刀魚は鬼のような歯をしているので、テグスでなはくワイヤーを使う。
そこに太刀魚がいれば、すぐにウキが沈む。さて、問題はその後だ。
 素人は「30秒数えて釣り上げる」などといって、失敗ばかりしているが、これにはコツがある。
太刀魚は見かけの割りに非常に臆病な餌の食い方をする。餌を咥えると、一気に飲み込まず、何十秒ももてあそぶのだ。素人はこのときに釣り上げるから逃げられる。
 コツは、ウキが下がったら、糸を軽く緊張させてやり、手首を使って餌を引き込む。つまり餌に逃げさせるアクションをつけるのである。素人にはそれが出来ない。太刀魚の神経質さを知っているだけに、糸を張る、などもってのほかだと思っているのだ。
 しかし結果は逆である。手首を使って餌が逃げるようなアクションをつけてやると、太刀魚は本気で餌を飲み込もうとする。その瞬間の動きを、糸を張っていれば分かるので、その一瞬糸を緩めておいて一気に釣り上げるのだ。

一瞬糸を緩めるのは、餌を飲み込ませるためである。この一連のテクニック=糸を張る、餌にアクションを与える、飲み込みの当たりを察知する、糸を緩める、直ちに釣り上げる、が30匹とゼロ匹の差になって現れる。

釣り上げた後、間違っても太刀魚を手で握って針を外そうとしてはいけない。太刀魚の歯は錐のように鋭く、誤って噛みつかれると、指に穴が開くか、指が落ちる。釣り上げたら、足元に太刀魚をもってきて、足で頭を踏みつけてシメル。そうして完全に殺しておいてから針を抜くのだ。

太刀魚のウキ釣りは最高に面白い。私は初心者の頃は「投げ竿」で太刀魚釣りをしていた。これは後で考えると、大変に誤った釣り方である。神経質なこの魚に微妙なアクションを与えるには、竿先の柔らかい、先調子の竿があっている。竿先が硬い投げ竿などもってのほかなのだ。が、私は硬い竿を使う代わりに、手首を柔らかく使うテクニックをマスターした。その上で竿先の柔らかな竿に変えたら、鬼に金棒のテクニシャンになっていた。ぼろい道具で苦労したあと、いい道具を使うと技の切れが格段に良くなるという事実をこの腕で確かめた。竿は、グレ(クロウオともメジナともいう)釣り用の竿でいい。
 なお、釣りはなんでもそうだが、特に神経質な太刀魚を釣る場合は、糸と竿とを90度に保つことが肝心である。糸と竿の角度が90度以上に広いと、糸を張って行うこの釣り方では、太刀魚が餌を本当に飲み込む前に、糸の緊張が強すぎて「弾いてしまう」のだ。太刀魚は利口なので、餌に少しでも不自然な動きがあると、すぐに餌を放して逃げてしまう。糸を張りながらも当たりが硬くならないように、気持ちを集中しないと釣れない。
 そうそう、「弾く」といえば、ウキにも注意。浮力の強いウキを使うと、それだけで太刀魚は警戒して餌を口から放してしまう。電気ウキを使うのだが、そこにハッポウスチロールの浮力(チューブ状のもの)をつけて、かろうじて海面に浮き上がっている程度に調節すること。とにかく神経質な魚なのである。

{ナマ餌を使ったルアー釣り(引き釣り)}

適当な言葉がないので上のような表記にしたが、ようするにキビナゴをつけておいて20~30メートル先に投げ入れ、リールを巻いて釣る方法である。
 この方法だと、ウキ釣りの場合と全く違い、太刀魚は餌が生きていると思って一気に飲み込もうとする。だから手ごたえがあった瞬間合わせなくてはならない。
 太刀魚は利口な魚である。ウキ釣りの場合は、それが「餌」だと理解して、針に引っかからないように臆病に餌を弄ぶのだが、この引き釣りの方法だと、キビナゴが本当に泳いでいると誤解して一気に飲み込むのである。
 この方法は、慣れてくるとウキ釣りの倍の釣果が見込める。
竿は、ウキ釣りの時に使う竿の半分ぐらいの長さの「船竿」が一番適している。
 なお、この釣り方で本当にルアーを使う場合もあるが、釣果は10分の一ぐらいに落ちる。ナマ餌を使うのが一番である。

私はナギの日にはこの「引き釣り」を、波の荒いときには「ウキ釣り」を、と分けて釣っていた。波が荒いと餌がよく動き、太刀魚が食いつく確率が高くなるからである。

{料理}

太刀魚は白身で癖がないから、刺身、酢漬け、塩焼き、煮付け、と何にでも合う。また内臓の部分がほとんどなく、ウロコもないので料理がしやすい。
私は東京で飲み歩いていて、太刀魚を扱っている飲み屋に当たったことがない。また魚屋にも置いていない。関東では食べないようだが、実に美味しい魚である。
 私がこの釣りを得意になった初めの頃は、女房は「オカズが出来た」と喜んでいたが、毎回クーラーに50匹も釣って戻ってくると、料理に飽きて、「もう釣ってこなくていい」文句を言うようになった。それで地元の漁師に教えてもらい、「太刀魚のミリン干し」を試してみたら、これが絶品だった。
 その方法は、太刀魚を三枚におろして、酒とミリンと醤油に漬け、カゴに入れて天日干しにするのである。
すると硬い干し魚が出来る。それをヤカンを保温するプレートに載せて軽くあぶり、酒の肴にするのだ。
 これは美味い。時々「アジのミリン干し」などが売っているが、市販のものは甘すぎる。自家製のものはベトツキモなく、タラ以上に香ばしい。

太刀魚の自家製ミリン干しを食いちぎりながら飲んだ故郷愛媛の銘酒「梅錦」の味は最高だったよ。

太刀魚釣りは私の田舎の老人たちの間で最も人気のある釣りである。私も最初はお隣さんの老人に手ほどきを受けた。それで夢中になり、3年たったら私が師匠となってその老人に手ほどきをするようになった。太刀魚に関しては私は故郷で一番の名人になっていました。
 最高で1メートル半ぐらいの大物を釣ったと思うが、それぐらいの大きさになると、背中が金色に染まっていて貫禄があり、食べても抜群に美味しい。
 堤防での太刀魚釣りが出来る場所は関東にはないらしい。愛媛県西南部の宇和海に独特の贅沢な釣りだと思う。

尚、この釣りはゲット時の「引き」が物凄く強烈なので、スポーツフィッシングにも向いているし、中高生の間でも一番人気がある。でも、太刀魚釣りの上手な中高生に出会ったことがない。それだけ、釣りとしては難度の高い、上級者のための釣りである。