今日も、雨/みぞれ/雪のロンドン。
仕事で出かけた、地下鉄の駅から表に出ると
みぞれが、北風に煽られて、さすような寒さ。
挙げ句、通り過ぎて行った車に盛大に水しぶきをかけられ、
足下はずぶぬれ。
いい加減にしてほしいなあ。
こんな日は、一分でも早く家に戻って、
ピップ君とお茶を飲みたいと、早足で歩きます。
さて、先日、NHKで再放送されていた番組。
「遥かなる絆」
満州から残留孤児として戦後、引き上げて来た、お父様の人生を
その、娘さんである、城戸久枝さんが、まとめあげたノンフィクション
を原作として、つくられたドラマです。
私の父も、台湾で生まれの戦後、引き上げており、母はこの、主人公の男性と
同じ、満州の果てから引き上げて来た、と言う事もあり、ドラマは
2回とも、ついつい引き込まれて、見てしまったのでありました。
このドラマにも、また、原作の本にも出てくるのですが、
「葉落帰根」
と言う言葉があります。
原作には
(筆者註・葉が落ちて根に帰る=他郷をさすらう物も落ち着く先は故郷である)
とあります。
日本を離れて、他郷に暮らす私の心を揺さぶる言葉でありました。
この国に住んで、10年を越した頃から、何となく、覚悟、というか
あきらめ、というか、この国が自分の居場所と、思うようになりましたが
この言葉には、やっと、思いを封じ込めた自分の心根を、
もういちど、ぐらぐらと揺さぶられました。
そして、最近、知り合いから,思いがけない連絡。
「日本に戻る事にした」
20年以上、イギリスに住み、この国に根をはり、
ずっとこちらに住むのだろう、と、
私が勝手に信じていた友人が、日本に、愛犬を連れて帰るのだそうです。
駐在員の友人達が数年で戻ってしまう事は
「初めから覚悟」しているのですが、
なんだか、今回は、ちょっと勝手にショックをうけて
心が平らになってしまった気がした私でありました。
仕事から戻って,コートを脱いで、手袋を外し、
傘の水を振り払って、ケトルのスイッチを入れて、
ピップ君どこだ?
私のベッドの、少しめくってベッドメイクしてあった
掛け布団の中で、この通り。
冷えきった心と体を、ポッと暖めてくれたのでした。
ベッドに乗ったら怒られるのに、
家に誰もいないと、この通りです。
でも、許してあげようね。