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東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

吉原御免状(慶一郎)

2009年03月17日 | 本のこと
吉原御免状 (新潮文庫)吉原御免状 (新潮文庫)
隆 慶一郎

新潮社 1989-09
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おすすめ平均

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3年ぐらい前(かな?)に劇団新幹線による舞台「吉原御免状」を観ました。
主役の松永誠一郎役に堤真一、裏柳生のくノ一勝山役に松雪泰子で
特に松雪さんの演技には「え~っ!そこまでやっちゃうの~ドキドキ☆」
ってな感じで衝撃を受けたものです。

で、なんとそのとき観た「吉原御免状」の著者が、あの『一夢庵風流記』
慶一郎氏だと最近知ってこれは原作を読まねばっ!ということになりました。

舞台の詳細は忘れてしまっていたのですが、原作に忠実だったようです。

物語は宮本武蔵に育てられた松永誠一郎が江戸吉原にたどり着いたところから始まります。
君徳川家康から吉原に与えられた「御免状」を狙い、裏柳生が執拗な攻撃をしかけてくる中、
「吉原の成り立ちに関わる徳川家の秘密」が明らかになっていく。

また、松永誠一郎の生い立ちと、宮本武蔵がなぜ誠一郎を吉原に寄越したのかも
徐々に明らかに。

本書は単なる歴史物・時代物の枠を超えています。これまでの日本史においては
あまり光が当てられたことがないような中世史とか、例えば差別のような
日本の陰の部分に焦点が当てられ、想像の翼が広げられています。

それも決してジトジトしていない、むしろ自由でおおらかな目で描かれています。
そんな自由が徳川幕府によって不当に奪われたってこと、
将軍と天皇との決定的な違いとは何かということも吉原を通して描かれている。

本書『吉原御免状』はこれだけでは終わらず、続編の『かくれさと苦界行』、
また本書でちらっと出てくる徳川家康に関する秘密を描いた『影武者徳川家康』、
後水尾天皇を描いた『花と火と帝』へと続いていくらしいのです。

続編も読んでいるので読了後またアップします。