52 Crescent Street

東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

古瀬戸珈琲@神保町

2014年01月22日 | 徒然のこと


寒気ことのほか厳しい平日の夕方、あまりの寒さに心が折れそうになりかけたとき、一杯の熱いコーヒーとオリジナルシュークリームを思い出し、駿河台交差点からほど近い古瀬戸珈琲駿河台下店に寄り道しました。細く急な階段をえっちらおっちら上ってお店のドアを開けると、先客は1組、男子学生4名が「スパゲッティ―をすすらずに食べるにはどうしたらよいのか」などとかわいらしいおしゃべりをしているところでした。カウンターにはきれいに並べられたコーヒーカップを背にお店の方が一人おり、学生たちのコーヒーを淹れているところでした。カウンター席に座ると好きなカップを選ぶことができるので、カウンターに座り、オリジナルシュークリームと「本日のコーヒー」のホンジュラスを注文しました。



チーズ入りのカスタードと少し固めの皮が特徴の古瀬戸オリジナルシュークリームは、陶器のリスと一緒に登場しました。バターナイフとフォークが添えられているのですが、まずはシュークリームの上の皮をとり、どっしりと重みのあるクリームをたっぷりぬりつけてそのまま手でいただきます。見た目よりもずっと軽い皮とさわやかな酸味も感じられるクリームが非常によくマッチしています。シュークリームの下のほうにはまだまだクリームがたっぷり残っており、手で持ち上げられそうにないので、フォークで少しずつ切っていただきました。ホンジュラスとの相性もよく、とてもおいしかったです。

台湾料理麗郷@渋谷

2014年01月16日 | 食べ物のこと


東京にいながらにして異国情緒を味わいたいなら、渋谷麗郷がお勧めです。レンガ造りの建物に赤い看板という店構えからしてすでに雰囲気満点なのです。中国では赤は「忠実」「勇敢」「正義」などの他に「幸運」「喜び」を表すそうで、日曜日の夕方、夕食にはまだ早い時間なのに、ほぼ満席の店内は、見知らぬ者同士が相席で円卓を囲み、広い厨房では大勢の料理人が忙しそうに注文の品を作り、湯気の立ち上る様々な料理が次々とテーブルに並び、紹興酒で乾杯しながら料理を楽しむ集団がいるかと思えば、少々ご年配のご夫婦がタバコを燻らせながら名物料理のしじみをつまんでいたり、子供連れの家族は麻婆豆腐や炒飯などの定番料理を囲んで、何ともにぎやかでカオティックで口福な空気に包まれているのでした。

お店のスタッフはけっしてにこやかではありませんが、きびきびと料理を運び、空いた席を片付け、夕食の時間が近づくにつれて徐々に長くなる待ち客の列の先頭から順番に席に案内していきます。我らは20分ほど待って、二階席の円卓で、すでに食事が終わりかけているご年配のご夫婦と相席になりました。たいていの中華料理店と同様に、麗郷のメニューブックは分厚く、日本語による説明付の、中国語の料理名がずらりと並んでいます。いつものことですが、二人だけの場合、このたくさんの選択肢の中から何を選ぶかというのはけっこう骨の折れる作業で、いつも同じにならないように、野菜・肉・海鮮などバランスがよく、適切な量になるように考えて、この日もずいぶんメニューとにらめっこしてあれこれ迷った末に、とりあえず空芯菜の炒め物、豚肉のうま煮、冬瓜のスープ、ちまきをたのむことにしました。



一番初めにテーブルに運ばれたのはこちらのちまきです。甘辛く味付けされた干し海老、椎茸、豚バラの角煮などがもち米で包まれているので、少々大きめのサイズで、ランチ時だったらこれとスープで立派な食事になります。このちまきはテイクアウトも可能です。



しばらくして豚肉のうま煮と青菜炒めが運ばれてきました。空芯菜は売り切れてしまったということで、代わりに青菜炒めになったのですが、シンプルに炒めただけの野菜というのは健康的だし、にんにくを使っているのでさっぱりしすぎず十分存在感のある一品です。豚肉のうま煮は、片栗粉をまぶして下処理した豚肉がやわらかく、タケノコのしゃきしゃきした歯触りと好対照です。全体的に茶色いところにサヤエンドウの緑がアクセントになっています。



冬瓜は夏の野菜ですが、貯蔵性が高く、夏に収穫したものが冬まで持つということで冬瓜と呼ばれるそうです。冬瓜のスープは台湾人の元ルームメイトがよく作ってごちそうしてくれた料理です。彼女は豚ばら肉を厚めに切って冬瓜と一緒にスープにしていました。手間をかけて作ってくれたスープはすっきりとした透明のスープで豚ばら肉の脂が程よくきらきら光ってとてもきれいでした。アストリアのアパートの、日がよく当たるキッチンで、彼女と向かい合って食べたあのスープが今でもはっきりとまぶたに浮かびます。冬瓜スープを食べるときは、姉妹のように過ごした彼女との時間を思い出して、ちょっぴり感傷に浸ってしまいます。



わたしたちが雰囲気と料理とおしゃべりを楽しんでいる間にも、待っているお客さんの列はどんどん長くなっていきます。一通り食べ終わったときには、お腹にも時間にも余裕があったし、まだしゃべり足りなかったので、久しぶりにカフェマメヒコに行くことにしました。



紅鹿舎ピザトースト@有楽町

2014年01月10日 | 食べ物のこと


元祖ピザトーストの店「紅鹿舎」でブランチしました。ドアを開けるとすぐに店員さんがやってきて席に案内してくれました。多くの喫茶店と同様、ここも喫煙席が設けてあります。特に囲ってあるわけではないので、あまり意味はないのですが、一応禁煙席をお願いしました。まだ午前中だったのですが、すでに数組の女性客がおしゃべりに興じており、一人客のわたしは二組の男性が静かに雑誌などを読みながら飲食しているカウンター席に案内されました。男性二人に挟まれて少々窮屈ではあったのですが、しかたのないことです。軽くトーストでもと思ったのですが、メニューの中でひときわ存在感を放っているピザトーストセットを注文しました。



元祖ピザトーストはゆで卵とバナナとコーヒーのセットで900円です。バナナ付というのが昭和っぽくてうれしいです。ピザトーストは予想していたよりも分厚く大きくボリューム満点です。やわらかくふわふわのパンが意外でしたが、たっぷりのチーズと良くマッチしており、最後までおいしくいただきました。1957年創業の昭和の喫茶店らしく、グラタン、ナポリタン、パンケーキ、パフェなどメニューの充実ぶりが半端ではありません。有楽町に来たときにはまた寄りたいと思います。




舞踊会&銀座ブラジル@浅草

2014年01月09日 | 徒然のこと


これも年末の話ですが、毎年恒例の年末行事「舞踊会」へ行ってまいりました。職場の先輩のご招待です。毎年年末にこの華やかな舞台を見ると、今年も無事終わりに近づいているとしみじみ感じられるのです。



これまた恒例の銀座ブラジル浅草店です。ここに来たらいつでもフライチキンバスケットをたのみます。最近めっきり揚げ物に弱くなったわたしですが、ここのフライチキンはひとりでぺろりと平らげることができてしまうから不思議です。揚げたてのフライチキンにくし型に切られたレモンを力いっぱいギュッと絞って全体にかけると、さわやかなレモンの香りが湯気に乗ってふわりと漂います。サクッと衣をかみ切ると、その下のチキンからはジュワーと肉汁が口いっぱいに溢れ、これだこれだと嬉しくなってしまいます。たっぷりバターのぬられたトーストには、タマネギ・ニンジンの甘酢漬けのすっきりとした味が移って、まろやかな味に仕上がっています。フライチキンの合間に、このトーストを食べると口直しになって、最後までおいしくいただくことができるのです。



ブレンドコーヒーもおいしくいただきました。



去年は何回浅草に行ったことでしょう。そして、今年は何回行くことになるかしら。



東京駅~六本木イルミネーション散歩

2014年01月08日 | 散歩・旅のこと


スワンレイク・パブ・エドを出たのは午後7時ごろのことでした。この日はまだまだ歩き足りないということで、イルミネーションを楽しみながら六本木を目指して歩くことにしました。年末年始にイタリア旅行が控えていたちゅんままは、旅行中自由に歩けるだけの体力をつけるため、普段から超長距離散歩に取り組んでいるのだそうです。この日はわたしも超長距離散歩に便乗することになりました。まずは、東京駅に立ち寄り新しい駅舎を見学し、それから日比谷方面に向かって通りを進みました。この時期、都心に来ることはめったにないので、きれいにクリスマスイルミネーションが飾り付けられた通りやビルに感激です。



丸の内仲通りのイルミネーションです。上品に輝くシャンパンゴールド色のLED約104万球が使われているそうです。このイルミネーションは2014/0216まで見られるそうです。



丸の内マイプラザのクリスマスイルミネーションです。頭上に輝く光のドームはLED約2万球で彩られているそうです。



ザ・ペニンシュラ東京の正面玄関前に飾られたクリスマスツリーです。帝国ホテルの前を通り過ぎ、日比谷芝浦線を内幸町方面に向かって快調に歩いて行きます。途中、新橋の飲み屋街で1回目の給水休憩をしました。ちゅんままはビール、私はウーロン茶で、エリンギ炒めや白子などのおつまみをつまみ、焼きおにぎりと味噌汁で腹ごしらえして、再び出発。東京タワーを目指しました。東京タワーが見え始めてからは、まるで山頂を目指す登山家のように、普通だったら避けてしまいそうな階段の多い歩道橋にも果敢に挑戦し、わくわくと躍る胸を抱え一歩一歩進んでいくのでした。



東京タワーの足元にはクリスマスツリーとクリスマスデコレーションがファンタジックな世界を作り出しており、様々な国から来た人たちが写真を撮って楽しんでいました。東京タワー自体は主にブルーのライトで彩られ、2020の文字が五輪色で輝いていました。



カラフルな東京タワーもよいものです。そしていよいよ六本木ヒルズを目指したのですが、ここから少し道に迷い、スウェーデン大使館とスペイン大使館の間を抜けて六本木一丁目駅の真上にある泉ガーデンにたどり着き、そこからやっと六本木交差点に出ることができました。2回目の給水休憩をとることもなく、六本木ヒルズに到着した我らは、閉店ギリギリのクリスマスマーケットでホットドックなどの軽食と、グリューワイン(ホットワイン)をいただきました。グリューワインはわたしもちゅんままも初めてで、実はあまり期待もしていなかったのですが、香辛料が効いていて甘くてホットサングリアのような味わいで、とてもおいしくいただきました。ちなみに、カップ付を注文したので、飲み終わった後のカップはお持ち帰りしました。



ちゅんままは六本木ヒルズが初めてだということで、ここのクリスマスツリーもしっかり写真に撮りました。結局、東京駅から六本木までは2時間ぐらいで歩けたと思います。暗くなってから少し寒さが厳しくなりましたが、それでもその前日ほどの寒さではなく、歩いているうちに体も温まり、肩の辺りは歩くときに腕を振るからだと思うのですが、ほぐれてきて肩こり解消にもなったように思います。ちゅんままはもう少し歩きたいようでしたが、わたしがギブアップ状態だったので、六本木で解散しました。楽しい1日でした。




***


六本木ヒルズに向かう途中でシナボンの前を通りかかったので、翌日の朝ごはん用にミニボンを2つ購入しました。



久しぶりに食べるシナボンはやっぱり甘かったです。ミニサイズを1つで十分です。



スワンレイクパブエド@八重洲

2014年01月07日 | 食べ物のこと
ブリヂストン美術館でカイユボット展をみたあとは、新潟スワンレイクビールの直営店SWANLAKE Pub Edo(スワンレイク・パブ・エド)を目指しお散歩しました。以前の職場の同僚、ちゅんままといっしょです。ちなみに、スワンレイクビールと出会ったのは、昨年3月に新潟出張した際のことでした。地元で人気の居酒屋さんに伺った際に、瓶の越乃米こしひかり仕込みビールをいただき、そのおいしさが忘れられず、東京に戻ってきてからどこかで越乃米こしひかり仕込みビールが飲めないかと検索した結果、八重洲にある直営店を見つけたのでありました。見つけたのはけっこう前のことなのですが、なかなか訪れる機会がなく、今回ちゅんままにリクエストして付き合ってもらうことになったのです。お店は八重洲ブックセンターの裏手の路地にこじんまりとありました。午後1時開店で夜になると小さな店内はすぐにいっぱいになってしまうそうで、確実に入れるようにこの日は4時前にお邪魔しました。



先客は1名、カウンター席に男性が一人、静かにグラスを傾けていました。そのカウンターの裏には、写真を撮ればよかったと未だに激しく後悔しているのですが、ビールサーバーが30個ほどと、その上には指している針の向きが異なる温度計が整然と並んでいます。美しいシンメトリーは堂々として威厳があり、神秘的ですらあります。(サーバーの写真はこちらで見れます)クリスマス前でしたので、サンタクロースのコスチュームを着たクマさんがコースター上でかわいらしい笑顔をふりまいていました。



さて、1杯目はやはり越乃米こしひかり仕込みビールをいただくことにしました。250ml(550円)と500ml(950円)が選べるのがうれしいです。いろいろ試したいので250mlにしました。



美しい黄金色です。少し甘みがあってしとやかで上品な味わいです。やはりとてもおいしいビールです。ところで、越乃米こしひかり仕込みビールは出されたときにグラスの縁まで黄金色の液体がなみなみと注がれており、ビールにお決まりの白い泡がありませんでした。この時点ではあまり気にもならなかったのですが、泡の有無が実はとても重要な意味を持っていることが後で明かされたのです。



2杯目には、わたしはホワイトスワンヴァイツェン250ml(550円)、ちゅんままはアンバースワンエール250ml(550円)をいただくことにしました。ホワイトスワンヴァイツェンはフルーティーな味と香りが特徴らしいのですが、少し苦みもあります。ところで、ホワイトスワンヴァイツェンのグラスには少しきめの粗い真っ白なビールの泡がきれいにたっています。これが見慣れた光景ですが、ちゅんままのアンバースワンエールにはやはり泡がありません。ここで、お店のスタッフの方が、アンバースワンエールと同じような赤茶っぽい液体の入ったグラスを2つ持ってきて「試しにどうぞ」とテーブルに置いてくれました。サービスで別のビールの試飲をさせてもらっているのだと思ったら、実はアンバースワンエールを、ひとつは異なる温度で、もうひとつは泡ありで出しただけだそうです。ビールには最適な温度と注ぎ方があるそうで、ひとつ間違えば同じビールでも全くの別物になってしまうということなのでした。スワンレイクビールでは、常に一番おいしい状態でビールを味わってほしいから、直営店を出したのだそうです。



3杯目は、わたしはアンバースワンエール(上右)、ちゅんままはももう一度越乃米こしひかり仕込みビール(上左)をいただきました。飲み物以外に、新潟の食べ物なども充実しています。クラフトビールを出す店はあまたあるけれど、ここまでこだわりぬいた店はみたことがない、と偉そうに語ってみたくなるぐらい素晴らしいお店でした。


ブリヂストン美術館カイユボット展

2014年01月06日 | 徒然のこと
年末のことですが、京橋にあるブリヂストン美術館で開催されていたカイユボット展へ行ってきました。カイユボットという人を知っていたわけではないのですが、2013年夏のオランダ旅行以来、バルビゾン派や印象派に関心を持つようになっていて、「都市の印象派」カイユボットがアンテナにかかってきたというわけなのです。ブリヂストン美術館を訪れたのは平日の午後1時過ぎでしたが、チケット売り場には短めの行列ができており、隣のギフトショップには大勢のお客さんがいて、その奥の荷物用ロッカーに空きはなく、会場はたいそう込み合っているであろうことが容易に想像できました。1階のクロークルームに荷物を預け、予約していたチケットを手に、エレベーターで2階に上がり、会場に入ると、カイユボットの自画像が3点出迎えてくれました。


『自画像』1889年頃 オルセー美術館蔵

少し厳しい表情のカイユボット、40代の初めの頃だそうです。この頃は地方議員も務める地元の名士だったそうです。理性的で落ち着いた優雅な印象です。この自画像を皮切りに、カイユボットの作品約60点がテーマ別に紹介されていました。また、弟マルシャル・カイユボットの撮影による写真作品も展示されていました。


II. 室内・肖像画

主に自宅で、親しい家族や友人しか描かなかったそうですが、ピアノを弾いたり、新聞や本を読んだり、食事をしていたりといったごく平凡な日常生活を丹念に描いているところが印象的です。いろいろな視点が混ざった構図が特徴的なのだそうです。個人的には、ここに写真はありませんが、等身大の『ポール・ユゴーの肖像』は背景の水色が、刺繍をしている『マシャル・カイユボット夫人の肖像』の黒いドレスと赤いカーテンが強く印象に残りました。


『ピアノを弾く若い男』1876年 石橋財団ブリヂストン美術館蔵


『室内、読む女性』1880年 個人蔵


III. 近代都市パリの風景

近代都市パリの新しい風俗や都市風景を描いた作品が再評価されるようになっており、これまであまり有名ではなかったカイユボットにも注目が集まっているのだそうです。彼の代表作『ヨーロッパ橋』は、大げさな遠近法、近代都市らしいござっぱりとした通り、鉄橋の奥にちらほら見える近代化の印、あまり印象派らしくないタッチなどが面白いと思います。カイユボットは都市を描くときにグレーやブルーを使って洗練された風景に仕上げています。このセクションでは他に『見下ろした大通り』が印象的でした。


『ヨーロッパ橋』1876年 ジュネーヴ・プティ・パレ蔵


『建物のペンキ塗り』1877年 個人蔵


IV. イエール、ノルマンディー、プティ・ジュヌヴィリエ

少年時代に夏を過ごした別荘のあるパリ郊外のイエールや後年移り住んだプティ・ジュヌヴィリエの風景は、パリの風景を描くときとは異なり、明るく多彩な色遣いで描かれており、登場人物も生き生きとしています。個人的には『イエール川のペリソワール』と『ジュヌヴィリエの平原、黄色の丘』が大好きです。明るく元気な気持ちにさせてくれる絵だと思います。


『シルクハットをかぶったボート漕ぎ』1877-78年頃 個人蔵


『イエール川のペリソワール』1877年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵


『ジュヌヴィリエの平原、黄色の丘』1884年 メルボルン国立ヴィクトリア美術館蔵


その他、静物画や写真作品などをみて回るのにだいたい2時間くらいかかりました。


鉄輪むし湯と熱の湯

2014年01月05日 | 散歩・旅のこと


渋の湯の次は、お隣にある鉄輪むし湯に挑戦しました。入浴料は少し高めで500円、他に浴衣210円を借りて準備します。浴室で体をきれいにした後、浴衣に着替え、一度に5人しか入れないという窯の中へ。腰をかがめないとくぐれないほど小さな入口の先には、天井が低く薄暗い空間があり、石菖(せきしょう)と呼ばれる薬草が床に敷き詰められていて、かすかに甘い良い香りがします。枕のような石が5つ並んでおり、一番端の石の上にタオルを置いて、石菖の上にじかに寝転がりました。窯の中は、これでも新しくなって少し広くなったのだそうですが、暗く狭いところが苦手な私には少々怖く感じられるほどの閉塞感で、そこに蒸気が充満しているとなると、さらに息苦しさを感じます。目をつむるともっと怖くなりそうなので、目を凝らして特に何があるわけでもない窯の中を観察しながら過ごしました。窯に入っている時間は8分で時間が来たら係りの人が声をかけてくれるそうですが、8分も持つか不安に思いながら横たわっているとすぐ、これまで経験したことのないほど大量の汗が全身から吹き出し、腕をあげてみてみると自分の汗でてらてら光っていました。熱さというより、息苦しさでもう耐えられないかもと思ったときに、外から「8分経ちました」と声がかかったので、急いで外に出て、足に付着した石菖の葉をとってから温泉の浴室へ移り、汗を流しました。大量に汗をかいたからか、しっかりデトックスできたようで、とてもすっきりしました。水分補給をして、この旅行で最後のお風呂に向かいました。



熱の湯(ねつのゆ)は唯一無料の共同浴場です。熱の湯から出て涼んでいる地元の方が、様子を見ている私たちに向かって「今なら空いているよ、無料だから入っていって。お地蔵さんがあるからお参りしてね」と親切にも声をかけてくださいました。たいちゃんはむし湯で疲れたらしく、少し休むと言うので、わたしだけ挑戦しました。お地蔵さんにお参りし、入り口を入ると浴室に5人、脱衣所に2人おり、みなさん大きな声でおしゃべりしています。脱衣所から浴室までは数段の階段があり、浴室の天井は高く、浴槽も大きく、この辺では一番大きいお風呂なのではないかと思われます。地元の方同士でもお湯を仕切れる人とそうでない人がいるらしく、お湯が仕切れる人は一番右奥のポジションをとることが許されるようです。わたしは脱衣所に一番近い位置でかけ湯をしてお湯に入りました。ここも熱の湯と言われるぐらいですから、熱い湯ですが、浴槽に入れないほどではありません。地元の方曰く、ここのお風呂に入るなら2時前がよいそうです。2時以降はお湯が汚れてしまっているそうです。また、この辺では湯治客用に「貸間」というのがあって、相場は1泊3000円だそうで、次回のためにいくつか旅館をおしえてくださいました。

鉄輪温泉の方たちは、別府温泉と比べると、最初はぶっきらぼうでとっつきにくいのですが、少し話すといろいろ教えてくださって実は大変親切にしていただきました。今回は全部で10のお風呂(ホテルを除く)に入りましたが、まだまだ入りたいお風呂があります。今後も別府に行くことになりそうです。おしまい。

渋の湯@鉄輪

2014年01月04日 | 散歩・旅のこと


次に向かったのは鉄輪温泉でも歴史ある渋の湯です。しっとりと肌を潤す柔らかな泉質で美肌効果にすぐれているそうです。以前はタオルが茶色に染まるほど金気の強い、渋い色の泉質であったそうです。比較的天井の高い浴室はもちろん脱衣所とつながっていて、先ほど訪れた上人湯よりも広いのですが、先客はひとりもおらず電気も消えており薄暗い感じのお風呂で、入っていいものかどうか一瞬迷ってしまいます。脱衣所にはコインロッカーと木製の棚があり、組合員以外の人はコインロッカーを使用する際に100円を入れ、鍵を手首につけて入浴することで、入浴代を払ったことが分かるようなシステムになっているようです。



お湯の温度は熱めではありますが、上人湯に比べればぬるいほうで、先ほど浴槽につかることができなかった分をここでゆっくり温まることができました。私が上がるころに地元の方が一人いらっしゃいましたが、ひとりで入るときは節約のために電気をつけないのだそうです。言われて初めて気が付きましたが、組合員の方もお金を払って運営しているお風呂なのだそうで、普段からいろいろ経費を節約しているそうです。次回また利用する際は、私も節約に協力しようと思います。