52 Crescent Street

東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

「りかさん」「からくりからくさ」

2008年06月25日 | 本のこと
不思議な1日だった。
小さな偶然がいくつか重なった。

前の晩、ある翻訳関連団体のHPを見て登録するかどうかけっこう真剣に悩んでいたら、青森に住んでいる友人からその団体に登録しようと思うんだけどどう思う?と朝相談メールが来た。翻訳にはあまり興味のなさそうな友達だったので、まさかこのタイミングでこのメールが来るなんてまったく予想だにせず、何だかとても嬉しくなったので資料を取り寄せ、登録する方向で考え始めた。

同じ日の夕方、普段は行くこともない神楽坂を歩いていたら、道でばったり友人に会った。彼女が勤めている会社のビルの真ん前だったらしい。

古びたビルだったけど建物の前にはちょっとした広場みたいなのがあって、木に囲まれた広場の真ん中に木製ベンチとテーブルがあって、おじさんたちがビールを飲んでいた。その広場の脇に古民家のような雰囲気の建物があって展示会みたいなことをやっていて、なんだろここ~って中を覗き込んでいたら「なんでここにいるの!?」の声とともに友人が登場。2週間ぐらい前に赤坂でベトナム料理を食べて以来。近々また遊ぶことを約束して別れた。

最後に、待ち合わせしていたわけでもないのに、駅前で夫にばったり会った。これも神楽坂での話。もちろん行き先は同じだったんだけど、JR飯田橋からずっと歩いてきたわたしとしては、この時間に東京メトロの駅を通りすがっただけなのにばったり会うとは思わなかったなあ。

こんな不思議なことが重なったのは、このとき読んでいた「りかさん」と「からくりからくさ」のせいだったのかもしれない。

りかさん (新潮文庫)からくりからくさ (新潮文庫)

この2冊は続き物で、「りかさん」の方は、主人公の容子がまだ幼い頃のお話。おばあちゃんにプレゼントされた市松人形の「りかさん」と不思議な絆を築いていくと同時に、人・家・人形の歴史を垣間見ることができる。「からくりからくさ」は大人になった容子と不思議な縁で手繰り寄せられ集まった同居人たちとの命の絆のお話。「りかさん」の中にたくさんの伏線がはってあって、それが「からくりからくさ」で繋がるのだけれど、謎を読み解くのが面白い。

でも、一気に読むにはちょっと重かったかなあ。

博士の愛した数式 (小川洋子)

2008年06月21日 | 本のこと
博士の愛した数式 (新潮文庫)博士の愛した数式 (新潮文庫)
小川 洋子

新潮社 2005-11-26
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生来の捻くれ者につき、話題に取り上げられている最中は
ベストセラーと呼ばれる本には手を出さず、とんでもなく
後になってこっそり読んでいい本だったなと感動する性質。

今週半ば暇つぶしに本屋さんに寄ったとき、
眼に留まった本書をちらっと読んでみた。出だしが良い。

「彼のことを、私と息子は博士と呼んだ。そして、博士は息子を、ルートと呼んだ。」

出だしの一文がいい本は、最後まで良いに決まってる。
センチメンタルな気配の漂う出だしは、すでに亡き人を偲ぶ様子。
この時点ですでに涙がじわ~っと滲んでくる。

ヤバイヤバイ。通勤電車では読めない。
いつ泣き出してもよいように、コンタクトを取り外し
化粧を落とし歯を磨いて枕の横にティッシュを置いていざスタート。

万全の用意で読み始めたものの、80分しか記憶がもたない「博士」への
同情よりも、心から数式を愛している「博士」のロマンチストさに感動し
ティッシュはあまり必要なかった。

「数学者はロマンチストである」とよく言われるけれど、
本書の「博士」も間違いなく、こうしたロマンチストの1人。

交通事故による脳への損傷で記憶が80分しかもたなくても
彼の数や数式に対する情熱と信奉は生涯変わることがない。

数の後ろに隠されている秘密を解き明かし、意味を見出す術に長けている
「博士」の話は、数学好きではない人をも好きにさせちゃうほど魅力的。
ひとりの男の子の人生にも多大な影響を与えるのでした。

好きこそ物の上手なれ、じゃないけど、本当に好きなことであれば
他人に話すときも熱が入るし、それだけ影響力もあると思うので
そういう人は他人に教えるのに向いていると思うのですよ。

わたしも「博士」のような数学者に数学を学んでいたら
数学ができるできないは別としても、今頃もっとポジティブに
数字を受け止めることができたんだろうなあ。
現実は・・・ボロボロです。

家守綺譚 (梨木香歩)

2008年06月20日 | 本のこと
家守綺譚 (新潮文庫)家守綺譚 (新潮文庫)
梨木 香歩

新潮社 2006-09
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主人公の綿貫といっしょに不思議な世界へ迷い込んでしまった。
とはいえ、その不思議なことを主人公の綿貫はすんなり受け入れ
読者のわたしはのけぞるのだけど・・・

不思議なことは、綿貫が家守をしている今は亡き同級生高堂の実家、
特にその立派な庭が舞台となって起こります。河童が迷い込んだり、
白竜が孵ったり、人魚姿の鮎が出たり、小鬼が住み込んだりと、
けっこうにぎやか且つ楽しげ。

だんだんとこの奇妙な物語に慣れてくると、綿貫と庭のサルスベリの
ほのぼのとした交流に心温まり、真似したがりのわたしとしては、
うちのベランダのシマトネリコとでも仲良くしたいと思うようになり、
綿貫がサルスベリに本を朗読して聴かせてやるので、ならばわたしは
英語の音読をついでにシマトネリコに聴かせてやろうと思うのだけれど
耳障りなのか、いつもそっぽを向かれてしまう。

というのは嘘で、窓を開けての音読なんて、ご近所迷惑甚だしいので
やってはいません。。。

ところで、「村田エフェンディ滞土録」の主人公村田は、綿貫と高堂の
お友達ということで本書にもちょっとだけ登場。どちらを先に読んでも
差支えがないくらいの絡み具合だけど、綿貫はまあまあトルコの村田に
思いを馳せるため、村田のトルコ滞在記を先に読んでおくと、
「ああ、あの話ね!」って気持ち仲間に入りやすくなるのでお勧めです。

蓼喰う虫 (谷崎潤一郎)

2008年06月18日 | 本のこと
蓼喰う虫 (新潮文庫)蓼喰う虫 (新潮文庫)谷崎 潤一郎新潮社 1951-10売り上げランキング : 93158おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools

久しぶりに読んだ谷崎作品です。

最近嵌っている北方謙三や梨木香歩の世界(この2人もまったく重なるところがない世界観をお持ちですが)とは、またまた遠いところにある精神世界と物質世界の展覧会。

谷崎潤一郎の作品は、いつもドラマチックなことなしにあくまでも静的。それでいてこの世のものとも思われないぐらい耽美で強烈な印象を残します。本書の背骨的部分である「離婚を前にした夫婦の心の機微」は、岳父と年若い愛人との当時でさえもちょっと浮世離れした生活の中に優雅に織り込まれてしまって、「離婚」という夫婦にとってもその周りの人たちにとっても大変な事件にもかかわらず、事件性も何もなくあいかわらず茫洋としている。

身近なことも題材にとる著者らしく、本書も実体験に基づいていることを考えると、その事件の真っ只中に身をおくよりは、第三者的な視点で事件を扱ったほうが書きやすかったのかもしれない。ちなみに、本書を書いていたときの谷崎は、「細君譲渡事件」の真っ最中だったらしい。谷崎の不倫が原因で妻と佐藤春夫が接近し親密になり、最終的に谷崎が妻を佐藤春夫に譲ることにしたというちょっと忌々しい事件です。

村田エフェンディ滞土録 (梨木香歩)

2008年06月14日 | 本のこと
村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)
梨木 香歩

角川書店 2007-05
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本の装丁がかわいくて目を奪われた。
エフェンディという言葉に懐かしい響きを感じた。
ということで、今回も即決購入と相成りました。

簡単にあらすじを説明すると、1899年トルコ政府の招聘により
考古学研究のためトルコに留学した村田と、イスタンブールでの
同居人たちとの奇妙で楽しくて心の琴線にも触れちゃうお話。

イスタンブールのマルマラ海を臨むお屋敷に住む村田の同居人たちは、
イギリス人のディクソン夫人、ドイツ人のオットー、
ギリシャ人のディミィトリス、トルコ人のムハマンド、
そしてムハマンドが拾ってきたオウムです。

第一次世界大戦前のイスタンブールで、将来、敵味方として
戦うことになる国の代表者たちが集うというセッティングが
もうハラハラ・ドキドキものですが、独特の世界観とテーマを
持った著者ですから、もちろん不穏なことにはなりません。

それどころか偉大な哲学者たちの末裔であり、いつも含蓄深い
ディミィトリスにラテン語のこんな格言を言わせてしまう。

「わたしは人間である。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない。」

文化も宗教も民族も性別もすべての垣根を超越した究極の境地。
何万光年も遠くにあるような感じ。
とんでもなく、小さいなあ、わたし。

替天行道―北方水滸伝読本

2008年06月11日 | 本のこと
替天行道-北方水滸伝読本 (集英社文庫 (き3-63))替天行道-北方水滸伝読本 (集英社文庫 (き3-63))北方 謙三集英社 2008-04-18売り上げランキング : 7443Amazonで詳しく見る by G-Tools

いや~、読むつもりはなかったんです。
っていうか、買うつもりもなかったんです。

なのになのに、職場の北方水滸ファンがこれについて語りたいって言うんで、
ぜひ読んでみてくれろってしつこいもんで、ついに買ってしまいましたあ~。

読んでびっくり。

ええ~、オリジナルって北方水滸伝とは全然違うの~?
ええ~、登場人物が死んだ日は弔い酒で泣いちゃうの~?

こんなの序の口ですが、その他いろいろ吃驚仰天な情報が満載です。

自分の説明書とは・・・

2008年06月10日 | 本のこと
自己主張の強い人が多いな~、と思っていたら
やっぱりB型だらけだったうちのオフィス。

そのB型連中の間でちょっと前に一世を風靡していたのが本書。
けっこうあたっているらしい。
B型自分の説明書B型自分の説明書
Jamais Jamais

文芸社 2007-08
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先日本屋に行ったら、わたしの血液型であるA型ヴァージョンがあることを発見。
A型自分の説明書A型自分の説明書
Jamais Jamais

文芸社 2008-04
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ちょっとドキッとするような項目が並んでる・・・

□おっちょこちょいちょい。
それ見ろ。2回も書いた。

□「全然ヘイキ」なフリがうまい。

□クセに、そのせいで悩むから全然ヘイキじゃない。
あぁぁ、なんでヘイキなフリなんてしたんだぁ・・・・。

□「改革が必要だ」とか言いながら、実際に改革が始まると
抵抗する。
イヤだぁ。このままでいいよぉ。

う~ん、見透かされているようで恥ずかしい・・・

O型やAB型の説明書も見てみたいぞ。

杖下に死す (北方謙三)

2008年06月09日 | 本のこと
杖下に死す (文春文庫)杖下に死す (文春文庫)
北方 謙三

文藝春秋 2006-09
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いやあ、こんなところで、懐かしのあの間宮林蔵さんにお会いするとは。
もう二度とお会いすることもないと、大変がっかりしていたのですが
世の中捨てたモンじゃないですな~。

お元気にされてましたか、林蔵さん。
島津重豪公も亡くなられたそうで。
いまだ薩摩藩とはいろいろあるんですかねえ。
いやあ、それにしても懐かしい、懐かしい。

なんてご挨拶で始めてみましたが、本書は「林蔵の貌」の続編ではありません。
「林蔵の貌」後の大阪が舞台で、主人公も間宮林蔵ではありません。
彼は今回ほんのちょこっと登場するのみ。

れっきとした主人公は別にいて、光武利之といいます。
彼はちょっとやんちゃなニート君です。
父親は元勘定奉行の村垣定行というのですから
りっぱなお坊ちゃまでしょう。

ところで、村垣って言えば「林蔵の貌」で林蔵の上司みたいだった人。
途中で林蔵にちょっと弱みなんかも握られちゃって
ギャフンと言わされてしまったあの村垣です。

お~、そうでしたか~。あの村垣さんでしたか。
ご縁がありますな~。

「林蔵の貌」では、冴えない勘定奉行のイメージがありましたが、
こんなに純粋で正直で友達思いの可愛らしい剣客の息子がいたなんて

ちなみに、利之の恋愛事情はちょっとうちの場合と似てまして・・・
人事とは思えない~と、またまた嵌ってしまいました。

ある日の空耳アワー@オフィス

2008年06月08日 | 徒然のこと
花崎嬢:「おはようございま~す。あれぇ、大黒さんは今日は出社まだ?」

宮部長:「ああ、子どもが下痢しちゃったとかで病院に連れて行くんだって。
     その結果によって、出社可否の連絡くれるらしいよ。」 

花崎嬢:「えっ?出社拒否ですか?」

宮部長:「えっ!? ちがうちがう、出社可否。」
     
花崎嬢:「あはは~、最近大変そうだったから、つい先走った解釈~。」

宮部長:「ははは、ま~ね、確かに最近の大黒さんは疲労困憊だもんね。」

花崎嬢:「えっ?広尾コンパ?」

宮部長:「えっ!?ちがうちがう、疲労困憊(ひろうこんぱい)だよっっっ。」

花崎嬢:「あはははは~ 

宮部長:「ははは・・・はあぁ~(通じねえ)  」

なんつっ亭@品川

2008年06月07日 | 食べ物のこと
だんなさまが最近なんか怪しい・・・
同じラーメン屋さんに通いつめているらしい。

わたし:「今日もラーメン食べてきたでしょ?」
だんな:「えっ!?(なんでわかるの?)」
わたし:「どこ行ってきたの?」
だんな:「ぐしし・・・」

ここ数日毎日のようにこんなやり取りが交わされていたのですが、
先日やっと「品川でラーメン食べない?」とお誘いがあった。

待っていたのよ、そのお・さ・そ・い。

いそいそと支度して、向かった先はこちら↓。



中途半端な時間に行った割には店は満席で
人気の度合いが窺えます。

しばらく待ってから席に通されると
目の前にはずいぶん気合の入った張り紙が・・・



ワクワクのドキドキで待つこと数分
こんな↓のが登場しましたよ。



なんと真っ黒!

マー油というものが黒さの原因らしい。

とりあえず、恐る恐るスープを一口。
う~ま~い~♪

麺なんていらないかも・・・

お店の人に聞かれたらお叱りを受けるに違いないことを
平気で言ってしまうKYなわたし。

でもね、実は麺もすごいんです。
これ↓見てくださ~い。



絶妙な茹で具合の麺と、マイルドで真っ黒なスープと
結局は散々堪能して大満足。



でもね、でもね、おいしいのはわかるけど
前日もここのラーメンを食べたという夫には
正直、飽きれるわ。