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HIV患者の母乳栄養と母子感染

2008-11-01 | Travel Medicine 各論
HIV患者の母乳栄養と母子感染

母体にHAART(抗HIV薬の多剤併用療法)を行うことで、母子感染の危険性を下げられる(http://aidsinfo.nih.gov/contentfiles/perinatalGL.pdf )が、HAARTを開始すること自体が難しい地域はたくさんある。

そこでnevirapine という抗HIV薬を単剤で分娩時の母体と出生72時間以内の新生児に使用する方法が母子感染予防に効果が高い(Lancet 1999;354:795-802)ことが分かって、これに準じた予防方法が取られるようになった。

しかし、出産後に母乳からHIVが感染する危険性もある。また一方で、途上国の乳児にとって、母乳はHIV感染の危険性増加させる以上に、栄養失調やその他の感染で病気になったり死んでしまったりする危険性を下げる大切な栄養源となる(J Nutrition 2003;133:3153-57, Lancet 2007;369:3153-57)。

そこで結論としてUNICEF/WHOは母乳栄養に代わるきちんとした代替栄養がない場合は少なくとも出生後6か月は母乳栄養を行うことを推奨(http://www.who.int/child_adolescent_health/en/ )している。

Lancet 2008;372;372:300-13 では母乳からの感染は生後6週間に多いので生後6週間まではnebirapineを続けて使えば、母乳を止める6か月の時点でHIV感染が減らせるかもしれないと考え、行ったRCTがあったが、有意な明らかな感染の減少は認めなかった。

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