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コレラ(Cholera)ワクチン+腸管毒素原性大腸菌(ETEC)

2010-04-06 | Vaccine 各論

O1型のうちclassic型は過去6回世界的な流行がみられたが、7回目の流行はEl Tor El Tor型で、無症状で便中の菌排出量が多いため流行しやすい
1973年までIHRでワクチン接種が規定されていた
200種類以上のserotypeがあるが、毒素産生株は2種類のみ
O139型はインド、バングラディッシュ等のアジアのみでみられる
コレラの典型的な臨床症状は、1つのAサブユニットと5つのBサブユニットからなるコレラ毒素により引き起こされる

ワクチンの種類
注射:不活化ワクチン
1960年頃実用化された不活化ワクチンで、アメリカ、日本などで使用されていた
5~7日間隔で2回皮下接種
免疫獲得率50%有効期間6ヶ月と小さい上に14~40%に副反応が見られ、また近年はそれほど致命的でないエルトール型が流行の大半である事などから2001年にWHOが使用中止を勧告し、特殊な例を除いて一般に接種は推奨されていない

経口:不活化ワクチン(Dukoral®), 生ワクチン(Orochol®, Mutacol®:Aサブユニット生成能力を無くしたイナバ株による、リコンビナント弱毒変異株生ワクチン)1995-2004年販売 O-1型


海外:Dukoral®
不活化した四種類のコレラ株(小川株2種と稲葉株2種)とコレラトキソイドを含有。
ETECに対する用法と容量:2歳以上に対して2回を1週間間隔で経口接種、最初の接種は渡航2週間前に行う。
ETECに対する予防効果は2回目の接種の1週間後から3ヶ月間。
1回目と2回目接種の間が6週間以上空いたら最初から予防接種。
3ヶ月以降、5年以内の再接種であればブースター効果により再免疫獲得あり。
5年以上経過していれば、最初から予防接種。
コレラに対する用法と容量:6歳以上に対して2回を1週間間隔で経口接種、最初の接種は渡航2週間前に行う。
コレラに対する予防効果は2回目の接種の1週間後から2年間。
1回目と2回目接種の間が6週間以上空いたら最初から予防接種。
2年以降、5年以内の再接種であればブースター効果により再免疫獲得あり。
5年以上経過していれば、最初から予防接種。
接種対象が2歳以上6歳未満であれば、3回を1週間間隔で経口接種、最初の接種は渡航3週間前に行う。
上記年齢のコレラに対する予防効果は3回目の接種の1週間後から6ヶ月。
1回目と2回目接種の間が6週間以上空いたら最初から予防接種。
6ヶ月以降、5年以内の再接種であればブースター効果により再免疫獲得あり。
5年以上経過していれば、最初から予防接種。
コレラに対する効果:全年齢において最初の6ヶ月は80-85%。
メタ解析において、2回接種によるeffectivenessは76%、5歳未満では効果が低く、2年は有効性を維持できるが3年目から低下する[Qifang Bi, 2017]
内服開始3週間後から古典的なコレラ及びEl Tor コレラの90%に対して6ヶ月間有効
インドで1992年に発見され、インドやバングラディッシュで流行のみられるO139コレラ(ベンガル型)に対して予防効果のあるワクチンはない
6歳以上ではブースターがなくても3年間後に63%で効果持続。2歳以下におけるデータはない。2-6歳においては6ヶ月の間は十分に効果が持続する。
ETECに対する効果:ETECの有病率に依存して変化する。季節や地理的条件も考慮する必要がある。3ヶ月は効果がある。類似したβサブグループを持つ50-60%のETECに対して予防効果がある
牛の牛乳に含まれる抗体を用いたオーストラリア製のワクチン「Travelon」はETEC予防に非常に有効であるとされる
[Sanofi Pasteur 331-DUKORAL Product Monograph]

Vaxchora(PaxVax Bermuda Ltd)
2016年6月10日に米国で初めてコレラのワクチンVaxchoraを承認。
18-64歳を対象にした経口弱毒生ワクチンで1回の接種で10日後に90%が3月後に80%が抗体を保持。
[FDA approves vaccine to prevent cholera for travelers]

黄熱ワクチンとの干渉作用は非経口不活化ワクチンとは3週間間隔をあける必要があるが、経口不活化ワクチン(Dukoral®)との問題はなし
[Lancet. 1973 Mar 3;1(7801):457-8.]

経口コレラ生ワクチンに関しては、1週間以内にchloroquine, proguanil, antibioticsを内服すると生ワクチンの効果が減弱する

Cholera, 2012
WER 2 August 2013, vol. 88, 31

2012年には累計2453931例と3034の死亡例のコレラ症例が報告され、致命率は1.2%。 deaths with a
2011年から58%の報告数の減少を認めた。

 


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