ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

伸びる

2012-08-04 23:32:12 | 嫌いだ嫌いだ

真夏の草いきれ
むっと来る田の稲の匂い
全開にした車の窓

エアコンはオフにして
風をとり込む

進路は西
内陸に向って
北上川を渡る方へ

田の稲は
ぐんぐんと
熱をとり込み
ぐんぐんと
光をうけ入れ
ぐんぐんと
背丈を伸ばし

秋の成熟のときへ向けて
豊饒のときへ向けて
生長する

岩手県の田の稲は
水を吸い上げ
土の栄養をとり込み
光をうけ入れ

人間に恵みを贈る
贈り物

真夏の田の稲の匂い
は予めの贈り物

良き匂い
言祝ぎ
甘い匂い
言祝ぎ

予め
祝う

祝ううちに
疾く通り過ぎる

疾く通る
とく
とく

心臓の鳴るように
生命が伸びる
とくとくとく


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