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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

最高気温が氷点下の大寒に郷土料理の「おしぼりうどん」で温まる(妻女山里山通信)

2022-01-20 | 男の料理・グルメ
 大寒の朝、菅平では最低気温がマイナス20度だったそうです。善光寺平ではそこまでは下がりませんが、ほぼ一日中雪降りで、氷点下でした。こんな日には手打ちうどんで「おしぼりうどん」で温まろうと準備しました。おしぼりうどんは、信州の旧埴科郡と旧更級郡を中心とした極狭い地域で食べられている古い郷土料理です。なので長野市でも善光寺界隈へ行くと食べられません。北信州でも、松代、篠ノ井、千曲市、坂城と非常に限られた地域でしか食べられていない冬の郷土食なのです。その各地に名店があります。冬の北信州に来られたらぜひ召し上がってみてください。

 辛味大根の絞り汁に味噌をといてうどんをからめていただきます。薬味には、長ネギや花鰹、煎りごまなどを。辛味大根は、信州坂城の「ねずみ大根」が有名ですが、今回のは地大根の辛味大根と青大根、別名中国ダイコン(江都青長・写真右下)という中身も緑の生食用大根のブレンドです。味噌は仲間と作った信州麹味噌。小麦粉は先日友人から買った幻の小麦粉伊賀筑後オレゴン(通称イガチク)ではなく、日穀製粉のホームランです。
 辛味大根は、辛味成分のイソチオシアネートを多く含んでいます。栄養価も高く、カリウムやビタミンAやカロテンを豊富に含んでいるのです。ジアスターゼも豊富ですから、消化剤を一緒に飲んでいるようなものと良く言われます。そんなわけでお酒を飲んだあとの締めにも最適なんです。地元の人はこの味を「あまもっくら」と表現します。初めての方は、大根の辛さに驚愕するでしょうが、同時に芳醇な香りと旨味、甘さに驚かれることでしょう。漬物は私が漬けた野沢菜漬けと白菜と人参の梅風味の醤油漬け。

 小麦粉は600グラム。水は粉100グラムに対して40ccが基本です。ビニール袋に入れて踏んで畳んで踏んで寝かせてを繰り返します。左が青大根。右が辛味大根。昔は辛味大根だけでしたが、辛いのが苦手になってきたので、今回は7割が青大根です。それでも辛味はあります。

 平らに伸ばしたら6つに分けます。製麺機は、埼玉県戸田市の(株)小野機械製造所のものです。もう製造していませんが、ネットで探せば中古があると思います。

 何回か半分に折りながらのしていきます。何度も折ることでミルフィーユの様に何層にもなり、火の通りが早く均一になるのです。折らないと湯で時間がかなりかかり、外がフニャついて中に芯が残ります。

 製麺します。

 こんな感じです。六玉できました。だいたい二玉で一人分です。生麺で二玉冷凍しました。もう二玉は茹でて冷蔵。

 茹でます。二度吹き上がったら茹で上がりです。吹き上がったときにさし水をしてはいけません。火力を弱めます。信州には、在来種の地野菜がたくさんあります。大根でも長野市のたたら大根と灰原辛味大根、戸隠の戸隠地大根、坂城町のねずみ大根(中之条大根・なかんじょだいこん)、上田市の山口大根、下條村の親田辛味大根などです。地大根とは元々辛いものなのです。青首大根ではおしぼりはできませんし水っぽくて美味しくありません。おしぼりうどんは、最後に汁も全部飲みきってしまいます。心も体もぬくぬくと温まる料理なのです。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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