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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

松代夢空間主催「妻女山 紅葉と歴史のハイキング」寒風の中、古代科野国の史跡を巡るロマン。キノコ狩りも(妻女山里山通信)

2016-11-07 | 歴史・地理・雑学
 6日の日曜日、松代夢空間主催の「妻女山 紅葉と歴史のハイキング」のインタープリターをしました。総勢20名と春の貝母鑑賞の参加者50人に比べると少なめでしたが、信毎に告知記事が出たのが3日で、その日が締め切りというのも影響したのかも。ただ、今回のコースは獣道や藪山を辿るものであったため、超初心者にはきついコースで、この人数ぐらいがよかったかも知れません。来春はまた満開の貝母を鑑賞するコースを計画しています。今年は平日だったため、参加できませんでしたという声を大勢の人(特に女性)から聞きました。できるだけご希望に添えればと思います。こちらは、また林道歩きや広い登山道がメインとなるため、50〜60人ぐらいでも大丈夫でしょう。中尾山-茶臼山ハイキングがそれぐらいか、それ以上です。その場合は、3班に分け各班にガイドが付き、先頭がインタープリターの私で、最後尾にひとりガイドを付けるといいでしょう。来春は貝母はもちろんですが、土口将軍塚古墳にお連れしたいと思います。

(左)9時15分までに集合で受付をしてもらいました。皆さん時間厳守で早めに集合して頂いたので、挨拶と注意事項のあと軽く動的ストレッチをして、予定より早く出発しました。(中)長坂峠までの林道歩きでオヤマボクチの説明。飯山の富倉蕎麦のつなぎに葉の繊維が使われます。(右)そのオヤマボクチの残花というか、恐らくもう結実していますね。

 まず15分で長坂峠。ここで本当の妻女山、本名斎場山の説明をしました。古代科野国の円墳で、上杉謙信の本陣と伝わる山頂です。そこから15分で土口側に下りて堂平大塚古墳。当日は寒風が強く曇り空で見えませんでしたが、晴れていれば上の写真の様に、北アルプスの仁科三山や白馬三山が綺麗に見えます。眼下には千曲川の清流。ここは友人の私有地で普段は立入禁止なのですが、事前に許可を得ています。

(左)堂平大塚古墳。古墳時代後期のもの。横穴式で複数の埋葬ができます。学者によっては百済の様式といいう見解もあります。(中)春のハイキングはここで引き返しましたが、今回はこの裏山に登ります。ここからは獣道です。ジコボウがいくつかあり、古墳の持ち主に許可を得ていたので、欲しい人には採取してもらいました。裏が黄色いものは食べられますが、茶褐色のものは食べられません。(右)急斜面の獣道を辿ります。この獣道はニホンカモシカが作ったもので、それを人間が利用しているのです。

(左)獣道すらなくなった急斜面を登って積石塚古墳群へ(事前に草刈りをして道っぽくしておきました)。有名な大室古墳群と同じ様に、積石塚があるのですが、ここに来る道がないため、地元の人でも知る人はほとんどいません。積石塚古墳はツングース系の騎馬民族の様式らしく、全国には20万基の古墳があるのですが、積石塚古墳はたった1%。しかし、信州では25%もの積石塚古墳があるのです。ここではそんな古代科野国の話や高句麗、百済、新羅、伽耶の話をしました。
(中)そこからまた獣道を歩いて、私が残しておいたムキタケのシロに案内しました。皆さん夢中で採っていました。このシロは出始めて4、5年経つのでそろそろ出なくなると思います。多孔菌科のキノコが出だしたら終わりでしょう。ムキタケは、ハナイグチなどと鍋や煮込みうどんに入れると絶品です。(右)たくさんキノコを採って最終目的地の天城山(てしろやま)へ向かいます。

(左・中)今回の最高地点、694.6mの天城山山頂。坂山古墳がありますが、戦国時代の天城城跡でもあります。石室は破壊されています。これも南面に石がないので堂平大塚古墳と同様に横穴式だったのかも知れません。(右)ダンコウバイの黄葉の登山道を下ります。この前に尾根上にある清野古墳の説明もしました。タヌキの溜糞もありました。

 時間に余裕があったので私が主宰する妻女山里山デザイン・プロジェクトで貝母の保全活動をしている陣場平に立ち寄りました。ここは、『甲陽軍鑑』の編者の小幡景憲が『河中島合戰圖』(東北大学狩野文庫)で、この陣場平に上杉謙信の七棟の陣小屋を描いていますが、地元の伝説とも符合します。手前の八角形のコンクリートは、旧建設省が測量のために設置した菱形基線測点です。中央やや左の木の上の桃色のものはクマノミズキの実が落ちた後の小枝です。

 この後は妻女山駐車場に下り、中堂島の郷土料理の店「はなや」さんであんず御膳をいただきました。その時には、冬の狩猟期のハイキングの仕方や、装備などもお話しました。当日は曇りで見えませんでしたが、晴れた日には妻女山展望台に登るとこの様な美しい北アルプスの勇姿が見られます。左から仁科三山の爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳。右に白馬三山の白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳。北には戸隠連峰と高妻山。飯縄山に斑尾山。志賀高原の笠ヶ岳に横手山。東に根子岳と真田にまつわる四阿山。善光寺平広しといえども、これらの山々を一望できるのはこの妻女山展望台だけです。ここはまた夕焼けが綺麗です。

 今年の陣馬平の貝母(編笠百合)の満開風景です。今年は10日以上春が早く、4月20日には満開になってしまいました。妻女山里山デザイン・プロジェクトの面々で、ヨシとノイバラの地下茎を除去し、種や球根を植えたので来年が楽しみです。昔薬草畑だったところですが、非常に強い毒草でもあるので、決して持ち帰らないでください。奥に咲く桃色の花はオオヤマザクラ。

(左・中)ハイキングの前々日に突風が吹いたので、もしやと思ってコースのチェックに行くと天城山から林道に出る手前に大きな倒木。完全に登山道を塞いでいました。チェーンソーは持っていませんでしたが、こんなこともあろうかと手鋸を持参。30分ほどかけてやっと通れるようにしました。いずれ完全に除去しましょう。里山保全は本当に大変なんです。(右)早く出発できたお陰で予定時刻に妻女山駐車場に戻ることができました。ここから「はなや」さんに向かい、昼食を頂きながら色々お話をしたり、拙書をお買上げの方にサインをしたりしました。強風で心配しましたが、キノコも採れたし、自然の共生関係の話や歴史の話もあり、皆さん満足して頂いた様で良かったと思います。里山は春夏秋冬、それぞれの魅力があるので、あちこち訪れて欲しいと思います。私は主に妻女山山系と茶臼山山系で撮影や自然観察をしていますので、出会ったらお気軽に声をかけてください。最近は『真田丸』の効果で全国から歴史マニアや歴女が訪れます。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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