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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山SDP 陣場平の作業はベンチとインセクトホテルの設置と危険極まりない掛かり木の除去。昼はこだわりのBBQ(妻女山里山通信)

2023-04-22 | アウトドア・ネイチャーフォト
 今回の妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業は、川中島の戦いで上杉謙信が本陣を築いた妻女山陣場平に新たなベンチとインセクトホテルの設置作業と、林道上に掛かり木になった落葉松の除去でした。これらは全て自費で行うボランティアです。ただ日本では誤解がありボランティアは無償活動のことではありません。有償ボランティアというのもあります。ここをマスコミも一般の人も勘違いしています。

 結実し始めた貝母群生地のベンチを取り替えます。新しいベンチはシラカシ(白樫)です。シラカシは水車の歯車に使われるなど堅牢です。防腐剤も塗ってあり耐久性もあり丈夫です。まず接地面を固めます。ベンチはN氏が作ってくれました。

 ドライコンクリートを練ります。

 ベンチの接地面の周囲をコンクリートで固定します。水準器でベンチの水平を測りました。

 こんな感じで設置できました。コンクリートが固まったら土で覆います。木漏れ日が美しい。

 次に積石塚古墳の横に三つベンチを設置しました。いずれも日陰なので、鞍骨山登山の途中に休憩してもらえればと思います。

 貝母群生地の入り口にインセクトホテルを設置しました。昆虫の棲家です。中に小枝や竹、松ぼっくりなどを入れます。

 最後は難関の掛かり木の除去です。まずロープで倒せないか試しましたが失敗。

 立ち枯れの山桑にチェーンソを入れます。非常に危険な作業です。ロープで引っ張ってみましたが、落葉松にヤマフジのツルが絡まっているので倒れませんでした。

 そこでツルを切ってやっと倒すことができました。無事に倒すことができて一安心です。色々な専門知識を持つメンバーなので里山保全活動もなんとかできています。

 落葉松を玉切りします。

 落葉松で折られたヒノキの太い枝を落とします。K氏がハシゴで登って枝とヤマフジを切りました。

 落葉松の根元の部分を引き上げます。

 山桑は高級材で。黄色い材は非常に美しい。持ち帰ります。

 根元が林道に転がり落ちない様に杭で固定しました。イノシシが虫を探して丸太を落とすことがあるのです。

 大変な作業がやっと終わって、堂平大塚古墳の四阿を借りてやっとお昼です。

 ハナイグチの味噌汁、馬肉のホルモン。鰊のアヒージョ、コゴミの出汁醤油煮、山椒味噌、春掘りの長芋、鴨ロース。馬肉のホルモンはタラの芽と一緒にソテーしました。

 焼き肉は牛ロースと豚のカシラ。二日前が30度だったとは思えないほど寒い日でした。ゆるゆると昼餉の時間を楽しみました。

 レンゲツツジも次々と咲きだしています。

 中央の下になんと例年ならゴールデンウィークに咲くウワミズザクラが咲いています。

 翌日は、長男と某里山へコシアブラを採りに行きました。藪山を7キロちょっと歩きました。結構開いていて西日の当たる森のものは開きすぎて駄目でした。まず天ぷらで。コシアブラの炊き込みご飯も。お勧めはコシアブラの味噌ハンバーグ。春掘りの長芋を入れます。ブルーチーズとも合います。レシピをリンクしました。料理名をクリックしてください。コシアブラは、美味しいだけでなく抗酸化作用があり、老化防止にもいいそうです。タラの芽は、山のバターと呼ばれますが、コシアブラも漉油と書くように栄養価が非常に高い山菜です。また、幹を傷つけたときに得られる樹脂は「金漆(ごんぜつ)」と呼ばれる黄金色に輝く塗料になり、古くから珍重されました。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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妻女山陣場平の貝母は結実し始め。レンゲツツジ、ヤマツツジ、ホタルカズラ、テングチョウ、アケビと万葉集(妻女山里山通信)

2023-04-20 | アウトドア・ネイチャーフォト
 川中島の戦いで上杉謙信が本陣を築いた妻女山陣場平の貝母は結実し始めました。前夜の雨というより今日の高温で貝母はしぼみ始めました。結実した花も多く見られます。しかし散っているわけではないので23日の週末までは充分に楽しめると思います。日本でここだけの里山の群生地を楽しんでください。

 実が少し成長すると花びらが散ります。これで直径6ミリぐらい。実の左の葉先はかなりクルクルと丸まっています。これで互いにスクラムを組んで、この時期訪れる爆弾低気圧の強風から身を守っているのです。5月中旬すぎには直径3センチぐらいになります。それを見に来る方もいます。

 通常は花びらが6枚で雄しべも6本ですが、これは7枚。すると雌しべの根元にある実も7つのヒレを持つ糸巻き状になります。

 最高気温は29度。山上でも26度ぐらいあります。日向はもっと。貝母は雪を押し上げて芽吹く様に寒さには強いのですが、暑さには弱い。25度以上の日が続くとしぼんでしまいます。そして夏には消えるカタクリなどと同じスプリング・エフェメラル。春の妖精、春の儚い命。夏から冬は、土の中で球根が来春のために栄養を蓄え育っています。

 貝母は下の方から咲き始め、下の方からしぼんで散っていきます。結実は、昆虫が受粉しやすい上部に多く見られます。
 貝母の薬効について現地ではお話していますが、記事にしたことがなかったので載せます。生薬名 :貝母(ばいも)鱗茎を使用。 主要成分:アルカロイド(ペイミン、ペイミノン)、ジテルペノイド、など。 薬効:鎮咳作用・去痰作用・排膿作用。 薬理作用:血圧降下作用。 用途:鎮咳、去痰、排膿薬として煩熱、めまい、咳、口渇などに。 注意点:心筋を侵す作用があるので副作用として血圧低下、呼吸麻痺、中枢神経麻痺を引き起こす事もある。また、呼吸数や心拍数が低下する事もあるため、使用時は量に注意すべき。(薬草ですが、かなり強い毒草です。全草が有毒)

 逆光に輝く貝母。鶯の鳴き声が聞こえます。まもなくサンコウチョウの鳴き声も聞こえるでしょう。梅雨入り前に、森の中に散った貝母の球根を掘り起こして移植作業をします。それよりも大変なのがオオブタクサやハルジオンの帰化植物の除去。毎年1000本以上抜きます。

 貝母の群生地の中の山蕗も結実しています。

 早いですね。アカネ(茜)も出てきました。アカネ科アカネ属のつる性多年生植物。根が茜色で草木染めの原料になり、古代から使われました。東京の赤坂は、古くは茜が群生していたことから「茜坂」と呼ばれていたそうです。
「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」 額田王  萬葉集1巻20
「あかねさす 日並べなくに 我が恋は 吉野の川の 霧に立ちつつ」 車持千年 萬葉集6巻916


 昼は堂平大塚古墳へ。作ってきたアジフライサンドで昼餉。枝垂れ桜は散り始めましたが、八重のエドヒガンが満開です。

 なんということでしょう。レンゲツツジがもう咲き始めていました。有毒なので蜜は吸えません。絶対に庭木で植えてはいけないツツジです。信州には湯の丸高原などレンゲツツジが有名な高原があちこちにあります。牧場にも多いのですが、ワラビ同様に牛は食べません。

 ヤマツツジも咲き始めています。こちらは蜜を吸えます。

 羽化したばかりのテングチョウ。真夏は夏眠し、秋にまた舞い、冬にまた冬眠する面白い蝶。ミヤマセセリもあちこちで見られます。

 セリ科のヤブジラミかなと思っていたのですが、葉を見るとヤブニンジンかなと。しかし果実の形が違うのでヤブジラミですね。実がくっつき虫となる厄介者です。

 ゴヨウアケビ(五葉木通、五葉通草)の花。アケビとミツバアケビの自然雑種。陣場平では貝母や山蕗がない場所に実生がたくさん見られますが、大きくはなりません。ほとんど夏を越せずに枯れます。アケビの蔓は昔は薪を縛ったり籠を編んだりしました。

 ミツバアケビ(三葉木通、三葉通草)アケビ科アケビ属の落葉性つる性木本。こちらは秋になる実が食用になります。ミツバアケビには雌花と雄花があり、同じ花序に両方がつきます。写真は雌花。
 万葉集の「さのかた:狭野方」(アケビ)の歌は二首。
「さのかたは 実にならずとも 花のみに 咲きて見えこそ 恋のなぐさに」詠人不知
 アケビを女性にたとえて、結婚できなくともせめて交際だけでもして欲しいと口説いている切ない歌。
「さのかたは 実になりにしを 今さらに 春雨降りて 花咲かめやも」詠人不知
 さのかたは とっくに実になっておりますのに 今さら春雨が降って花が咲くなどということがありましょうか。実になりにしをとは人妻ということで、不倫などしませんわ、という歌。

 下山しようとすると目に青いものが入りました。なんとホタルカズラ(蛍葛)が咲き始めていました。1センチぐらいの緑の中に咲く青い星。ムラサキ科ムラサキ属に分類される多年草。

 二つ前の記事の写真と同じ場所。陣場平から長坂峠への林道。緑が濃くなりました。ガマズミの白い花も咲き始めていました。今年は春が早すぎて速すぎて季節の感覚がおかしくなりそうです。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

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2023「妻女山 花と歴史のハイキング」斎場山、堂平大塚古墳、貝母満開の陣場平へ(妻女山里山通信)

2023-04-16 | アウトドア・ネイチャーフォト
 目覚めると豪雨でした。しかし、雨雲を見ると線状降水帯で6時半には通り過ぎました。松代夢空間主催の「妻女山 花と歴史のハイキング」は無事に行われました。

 妻女山駐車場に9時集合のときには、ご覧のような青空。34名の参加で、皆さんを春爛漫の斎場山や堂平大塚古墳、貝母が満開の陣場平へご案内します。

 林道を登ります。雨後で若葉が鮮やかに光っています。要所要所で自然や歴史の話をしていきます。

 長坂峠です。これは数日前の写真。あっという間に緑が濃くなります。信州の春は超特急で過ぎていきます。

 まず斎場山(旧妻女山)へ。ここで斎場山の名前の由来や、川中島の戦いで上杉謙信が最初に本陣とした話、円墳なので古代科野のクニの話。日本人のルーツの話などをしました。ちょっと盛りだくさん過ぎたかもしれません。詳細は右上の検索窓に「川中島の戦い」とか「斎場山」とか「科野のクニ」とか書いて、プルダウンしてこのブログ内でを選び、レンズをポチると該当する記事が出ます。

 続いて御陵願平の端にあるイノシシのヌタ場へ。イノシシの生態の話などを。鼻だけでこれだけ大きな穴を掘った話なども。

 イノシシのヌタ場から林道を長坂峠に戻り天城山(てしろやま)方面へ。

 陣場平への途中のクヌギの大木で樹液バーの話を。上の写真は、2016年の夏の樹液バーの写真です。樹液バーに集まる昆虫たちの話をしました。撮影中にオオスズメバチに100m追いかけられた話も。

 堂平大塚古墳へ。古墳の中も見ていただきました。ここ堂平の盛りだくさんの歴史の話も。

 最後に川中島の戦いで上杉謙信が本陣を築き、現在は希少な貝母の群生地でもある陣場平へ。貝母が満開です。思い思いに撮影したり鑑賞していただきました。菱形基線測点の話も。貝母は23日の週末までは大丈夫でしょう。

 貝母が奈良時代に入ってきた薬草(毒草)であることや、その発見から保全の話も。万葉集に一首詠まれている話はしそこねました。再掲します。
「時々の 花は咲けども 何すれぞ 母とふ花の 咲き出来ずけむ」丈部(はせつかべ・はせべ)真麻呂(万葉集)
 これが貝母のことであるという説があります。丈部真麻呂は、遠江国山名郡(現在の静岡県袋井市)で徴兵され九州に派遣され国境警備にあたった兵士・防人(さきもり)でした。
 意味は、季節ごとに花は咲くのに、どうして今、母という花は咲かないのだろうか(咲くのだったら摘み取って共に行くのに)。防人というのは、2月に出立しますが、まだ貝母は咲いていません。21歳から60歳までの健康な男子が徴兵されました。任期は三年で、延長もされたそうです。食料・武器は自弁で帰郷は一人で帰るため、途中で野垂れ死ぬ者も少なくなかったとか。人民には重い負担になったようです。

 陣場平や途中の林道脇に咲くクサボケ(草木瓜)。別名は、ジナシ(地梨)。草ではなく、高さ50センチぐらいの低木ですが、鮮やかな朱色の花を咲かせるので意外と目立ちます。また、低木ににつかわしくない梅のような大きな実は薬用酒になり、貧血や疲労回復、不眠症に。煮だし汁は入浴剤になるそうです。

 陣場平入り口にミツバアケビの花が咲いていました。実は食べられます。ひき肉を詰めてブルーチーズソースをかけるとお洒落な和風フレンチになります。
私のレシピ集から「アケビのブルーチーズ入りミソバーグ」のオリジナルレシピ。レシピ集は左のサイドバーのブックマークから。美大生時代に村上春樹さんのジャズ喫茶でアルバイトしていたブログ「国分寺・国立70sグラフィティ」もリンクしています。アンダーラインの文章クリックでも飛べます。

 帰りの林道から見る斎場山。これも数日前の撮影です。12時半ごろに出発地点の妻女山駐車場に戻りました。そしてこのブログの紹介と拙書の紹介を。制癌作用のあるヨモギやタンポポコーヒーの話や農薬や殺虫剤、食品添加物の怖さの話もお役に立てたのではと思います。今回のコースは昨年は年少組の保育園の女の子も歩いたという易しいコースです。松代ゲストハウスの「布袋屋」のKAORUさんも参加してくれました。市民新聞の関係の方も。年齢も様々でした。妻女山山系は、四季折々多彩で豊かな自然が見られ、歴史の遺構もたくさんあります。山城マニアに人気の鞍骨城跡までも90分ぐらいで登れます。もっともっと里山に楽しんでいただければと思います。

 あまりに春が早いので、気になって畑に植えたタラの芽を見に行きました。全部開いていました。危ない危ない採り損なうところでした。コシアブラもワラビも早いでしょうね。うかうかしていられません。

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妻女山陣場平の満開の貝母とカスミザクラ、ヤマザクラ。古墳の枝垂れ桜。ニホンカナヘビの交尾の驚愕の顛末(妻女山里山通信)

2023-04-13 | アウトドア・ネイチャーフォト
 雨後の信州は晴れ上がりましたが、黄砂の真只中にありました。出かけようか迷いましたが、里より山の中のほうがまだいいだろうとでかけました。今日も多くの方が花見に訪れてくれました。鞍骨山(鞍骨城跡)登山の途中で立ち寄ってくれた人も何人か。

 山中は上に若葉が芽吹いた樹木の天井があるためか、黄砂は感じません。湿度が20%しかありません。そのためか貝母の葉先もクルッと丸まっています。雌しべの根元が糸巻き上に膨らみ始めています。実になる部分です。5月中旬すぎには直径2センチほどになり、6月にはさく果なので弾けて飛び散ります。

 貝母から見上げると満開のカスミザクラ。

 微風にかすかに揺れるカスミザクラと貝母。見飽きない癒やされる景色です。

 クサボケ(草木瓜)の向こうに貝母。

 これはヤマザクラかな。下部に大きな黒いかたまりが見えますが、これはてんぐ巣病にかかったのです。かびの一種(タフリナ菌)が原因でサクラ類におこる伝染病です。感染すると枝が異常に発生しやがて樹勢が衰えて枯れる原因になります。

 陣場平入り口のハナヤスリ。大きくなりました。アップにすると胞子嚢がヤスリの様だと分かります。

 ミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽)もあちこちで満開です。スイカズラ科の落葉低木。全体に毛が目立ちます。6月に実る赤い実は甘く食べられます。

 堂平大塚古墳へ。枝垂れ桜が満開です。枝垂れ桜は、野生種のエドヒガンから生まれた栽培種やベニシダレ、ヤエベニシダレとか、オオヤマザクラ由来の枝垂れ桜もあります。

 これは八重の枝垂れ桜。華やかです。

 タラの芽も例年より10日ほど早く出ています。ハリギリやコシアブラも早いでしょう。

 陣場平から長坂峠への林道。若葉は目に見えるほどの速さで育っていきます。

 リョウブ(令法)の若葉。若葉は山菜で、茹でて塩もみします。昔は飢饉に備えて植えるよう令がでたとか。そこからの命名。

 木の根元でニホンカナヘビが交尾していました(オスがメスに噛み付いて交尾しようとしている場面かもしれません)。メスは激しく体を振っています。噛み付いているほうがオスです。逃げられない様にとか、排卵を即すためとかの説があります。こんなシーンに遭遇するのも奇跡的なのに。

 突然オスが自分の尻尾を切りました。何が起きたのでしょう。メスはオスを振り切って、オスはどこかに行きましたが、メスは少し上に登ってジッとしていました。切った尻尾はまた生えてきます。このオスはメスに拒絶されたのでしょうか。わけが分かりません。いやあ、とんでもない場面を目撃してしまいました。

 妻女山松代招魂社の八重桜も咲きました。昨年は、花びらを積んで桜茶を作りました。

 妻女山展望台からの善光寺平。飯縄山が黄砂で霞んでいます。黄砂は中国大陸内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原などの乾燥・半乾燥地域で、風によって数千メートルの高度にまで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風にのって日本にまでやってくる厄介者です。黄砂粒子には、石英や長石などの造岩鉱物や、雲母、カオリナイト、緑泥石などの粘土鉱物が多く含まれているのですが、飛散の途中で中国の排気ガスなどを付着しているため粘性がありこびりつくのが問題です。スギ花粉の10分の1の大きさのため、体の奥まで入り込み悪さをします。気管支炎、気管支喘息、心筋梗塞との関連があるそうです。

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天城山林道のカタクリとキブシ。妻女山陣場平の満開の貝母をフィッシュアイで撮影。春爛漫(妻女山里山通信)

2023-04-10 | アウトドア・ネイチャーフォト
 春爛漫の信州は、猛スピードで駆け抜けていきます。うっかりしていると撮影チャンスを逃してしまうのでうかうかしていられません。天城山林道のカタクリが咲き始めたという情報をもらったので行きました。髻山の様にびっしりと群生しているわけではありませんが、林道の上下にかなり広い範囲で群生地があります。

 カタクリ(片栗)ユリ科。別名カタゴ、カタカゴ(堅香子)、ハツユリ(初百合)。種にアリが食料とするエライオソームという物質がついているため、アリによって運ばれるアリ散布植物です。日本にはアリによって増えるアリ散布植物が200種以上あります。左上の光っている線は蜘蛛の糸。

 花は温度により開閉します。17-20度で開花し、25度では完全に反り返り始めます。気温はそれほどなくても、直射日光に当たると花びらの体温が上昇するようです。

 少し変わった構図で。バックの色合いが面白いので載せました。妻女山山系にはヒメギフチョウはいませんが、聖山とか子檀嶺岳へ行くとカタクリで吸蜜するヒメギフチョウが見られます。陣場平では、ヒメギフチョウと間違いやすい春型のキアゲハが舞っています。鶯も鳴き始めました。まもなくサンコウチョウも。

「もののふの 八十(やそ)乙女らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子(かたかご)の花」大伴家持(万葉集)
 当維持29歳の大伴家持が、赴任先の越中国府の伏木(現在の富山県高岡市伏木に5年間赴任)で、寺井の井戸(井泉の跡と歌碑がある)の周りにたくさん咲くカタクリを宮中の乙女になぞらえ、都を懐かしんで詠んだ歌だといいます。そう思うと写真のカタクリが、美しい乙女に見えてくるから不思議です。
 もののふとは、宮廷に仕える文武の官のことで、物部と書きます。八十(たくさんという意味)にかかる枕詞ですが、数が多い氏と発音の同じ宇治川の宇治から、宇治川を導く枕詞となったということの様です。昔もやたらと役人が多かったのでしょうか。もののふとは、後に武士そのものを指す言葉に変化します。

 キブシ(木五倍子)。キブシの髄はスポンジ状で、昔は灯芯などにも使われたようです。髄を取り出すと中空になるので、酒樽の呑み口にも使われたとか。また、江戸時代には既婚の女性はお歯黒にする習慣がありましたが、キブシの実も利用されました。釘や鉄粉を食酢につけて酸化した液に、ヌルデの実、五倍子(ごばいし)やキブシの実の粉末をつけて、歯につけると黒く染まるそうです。

 すごく小さな花なので花の中は肉眼ではよく見えませんが、アップにするとこんなです。

 陣場平へ戻る途中の眺め。松代城の桜はすでに葉桜です。寒の戻りで、信濃町のリンゴには霜被害が出たとか。黄砂も心配です。

 陣場平へ。今日は十数人の団体さんをはじめたくさんの方が訪れてくれました。できるだけ2009年4月の発見からヨシやノイバラ、オオブタクサやハルジオンなどとの壮絶な格闘の保護活動の歴史や、貝母の生態をお話する様にしています。今回はフィッシュアイレンズ(魚眼レンズ)で撮影してみました。左手前から右奥に続く小道の左は、手前が昨年、その向こうは2年前に球根の移植作業をしたところです。メインの群生地は小道の右側です。

 南東の角から。これでも全体は入りきれていません。訪問者は、想像以上に大きな群生地ですねと驚かれます。ここは、川中島合戦の際に上杉謙信が本陣としたということで、古くから陣場平と呼ばれています。

 下の入口から登ってくると、群生地を真横から見ることができます。さく果の種が弾ける時はたいてい東風(こち)が吹くのですが、手前の貝母は南風の時に弾けたのでしょう。北風や西風で周囲に散ってしまった貝母は、球根を掘り起こして中央部に移植します。

 今日はたくさんの方とお話ができました。そんな中で色々な情報を得ることも多いのでなるべくみなさんとはコミニュケーションを取る様にしています。帰りに妻女山展望台に寄りました。千曲川の向こうに戸隠連峰と飯縄山。左には茶臼山と北アルプスの白馬三山が見えます。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

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春雨後の妻女山の陣場平の貝母は満開。オオズキンカブリタケ、シロヤブケマン、クサボケ、サンショウの若葉、ヤマザクラ、カスミザクラ(妻女山里山通信)

2023-04-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
 春雨後の妻女山陣場平へ。事前に水切りの溝を掘っておいたので林道は泥濘状態ではありません。雨の後なので木々の若葉が一気に出始めました。貝母の見学者も大勢訪れてくれました。天城山林道のカタクリも咲き始めたという情報も得られました。信州の里山は春爛漫です。訪れてくれた方にはできるだけ解説をしています。ただおせっかいにならない様に、興味の分野(自然か歴史かなど)を察知してお話する様にしています。すでに何年も通われて顔なじみの方には今年の状況だけ話すとか。ただ、かなり強い毒草なので盗掘目的の者を見張る必要があるのも残念ながら事実です。

 貝母(編笠百合)は、満開と言っていいでしょう。今年は成長期に積雪もなかったので草丈も高くきれいに咲きそろっています。花に香りがないので甘い香りが充満しているということはありません。慎ましやかな薬草(毒草)です。

 少し冷たい風が吹いて貝母は揺れていました。週明けからは気温が上昇する予報です。4月の茶花なのでお茶をやっている方にはお馴染みの山野草です。ただかなり強い毒草なのでほとんど市販はされていません。

 貝母の群生地の中央にあるクマノミズキの根元の周りにオオズキンカブリタケ(大頭巾被り茸)がいくつも発生しています。アミガサタケの仲間です。

 食菌ですが、水溶性の微毒があるので、一度茹でこぼしてから調理します。ロケット燃料と同じ成分が含まれるとかで、気を付けないと調理中に具合が悪くなる人もいるそうです。醤油には合わず、バターやクリームに合うので、クリーム煮、リゾット、パスタなどに向いています。

 シロヤブケマンが咲き始めました。毒草ですが、5月中旬から陣場平で舞い始めるウスバシロチョウの食草です。

 クサボケ(草木瓜)も咲き初め。バラ科。別名は、ジナシ(地梨)。草ではなく、高さ50センチぐらいの低木ですが、鮮やかな朱色の花を咲かせるので意外と目立ちます。また、低木ににつかわしくない梅のような大きな実は薬用酒になり、貧血や疲労回復、不眠症に。煮だし汁は入浴剤になるそうです。

 陣場平の上の入り口。木々は若葉の季節。ヤマザクラとカスミザクラも咲き始めました。9時半前に来ると何種類もの小鳥のさえずりが聞こえます。 大ヒットした1971年のイギリス映画「小さな恋のメロディ」の劇中歌、ビージーズの「若葉のころ」を思い出します。

 その下の林道上に雨で立ち枯れの落葉松が倒れて掛かり木になってしまいました。山藤のつるが絡みついているのですぐ落下することはなさそうですが、危険なので次の作業で落とします。

 サンショウ(山椒)の若葉。摘んでいる女性がいました。佃煮にするそうです。いずれ私も作ります。

 これは花柄に毛が無く若葉が赤みがかっているのでヤマザクラ。

 こちらは林道の二つ目のカーブに咲くカスミザクラ。

 妻女山招魂社奥の駐車場から左へ林道倉科坂線から東の象山と皆神山。皆神山の山頂は桜が満開です。拙書でも紹介していますが、象山から鞍骨山、天城山を経由して陣場平から斎場山に寄って妻女山へ下るコースは人気です。

 所要の帰りに千曲川の岩野橋の左岸の堤防。菜の花(セイヨウアブラナ)と桃が満開です。菜の花かなと思うとハルザキヤマガラシだったりもするのですが。向こうにオリンピックスタジアムと長野パルセイロのUスタジアム。なんとリンゴの花も咲き始めました。

 妻女山と斎場山の眺め。遠く根子岳の雪もずいぶんと消えています。

 岩野橋の向こうに斎場山から薬師山、笹崎へとつながる長尾根。上杉軍が布陣した山脈です。その向こうに天城山(てしろやま)。左へたどると鞍骨山(鞍骨城跡)です。山腹のあちこちにヤマザクラとカスミザクラが咲いています。この時期の若葉は樹種によって色が異なります。自然が作る美しいタペストリー。

 畑に植えたタラの芽も2週間ほど早く出ました。これからどんどん出てきます。まず天ぷらに。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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妻女山の陣場平の貝母は見頃です。20日ぐらいまで。セリバオウレンの実、オオヤマザクラ、ヒナスミレ、樹液、コゴミ、山吹、花桃、枝垂れ桜(妻女山里山通信)

2023-04-05 | アウトドア・ネイチャーフォト
 4日は晴天、5日は花曇り。いずれも保全作業をして、その後で訪れてきた方にガイドをしました。4日は最低気温が1度で霜が降りました。最高気温が22度で気温差21度。自律神経失調症からくる腰痛が酷くなり参りました。スギ花粉は終わりですが今度はヒノキの花粉。きついです。貝母は見頃です。花期が長いのでゆっくりと楽しめると思います。里山での貝母の群生地は日本でここだけです。奈良時代に入ったとされる薬草でかなり強い毒草です。全草が毒ですが触れるのはかまいません。

 まず花曇りの5日から。訪れた女性が見つけた9枚の花びらがある貝母。雄しべも9本。貝母は普通は花びらが6枚です。雄しべは花弁の数と同じ。しかし、稀に7枚や8枚とかがあるのです。9枚は私が見つけたものでも最も多いものです。10枚は見たことがありません。

 同じ花を別の角度で撮影。こちらの方が數えやすいと思います。枚数の多い貝母を見つけるコツは、花が大きく開いているものを探すことです。

 もうひとつ珍しい花を見つけました。花びらは7枚なんですが、上2枚の花びらが重ならずくっついて上に盛り上がっていて花びらの内側の網目模様が外側に見えています。

 セリバオウレンは結実しています。

 東側にあるオオヤマザクラが咲き出しました。例年より10日ほど早めです。南側のオオヤマザクラは来週に咲くでしょう。カスミザクラ、ヤマザクラも咲き出すと思います。

 前の記事で紹介したスミレ。どうやらヒナスミレ(雛菫)の様です。画像検索でヒナスミレを見ると分かりますが、地方により変異が大きく、変種や交雑種もあるのでスミレの同定は大変です。もう少し早く丸葉のアオイスミレも咲くので勘違いしやすいのです。

 前日晴天の4日の貝母。入り口の西向きの真っ先に咲く貝母。まだ上の3輪ぐらいは蕾です。下から咲き始めますが全部開くまでは、天気にもよりますが、10日から2週間ぐらいかかります。

 中心部の貝母。苔むした古い倒木は景色の一部になっているので残してあります。フキの葉も出始めました。
「時々の 花は咲けども 何すれぞ 母とふ花の 咲き出来ずけむ」丈部(はせつかべ・はせべ)真麻呂(万葉集)
 これが貝母のことであるという説があります。丈部真麻呂は、遠江国山名郡(現在の静岡県袋井市)で徴兵され九州に派遣され国境警備にあたった兵士・防人(さきもり)でした。
 意味は、季節ごとに花は咲くのに、どうして今、母という花は咲かないのだろうか(咲くのだったら摘み取って共に行くのに)。防人というのは、2月に出立しますが、まだ貝母は咲いていません。21歳から60歳までの健康な男子が徴兵されました。任期は三年で、延長もされたそうです。食料・武器は自弁で帰郷は一人で帰るため、途中で野垂れ死ぬ者も少なくなかったとか。人民には重い負担になったようです。

 群生地の真ん中にあるクマノミズキが樹液を出しています。これからもっと出ます。やがて発酵して酸味を帯びてきます。無毒なので舐められます。楓の樹液はメープルシロップ。これでパンを焼いたりビールを作っている人もいます。

 日向ぼっこする越冬したヒオドシチョウ。ルリタテハも舞っています。テングチョウやゼフィルスも散見します。

 某所でコゴミも出始めました。一株から全部採ると絶えます。一株からは2、3本。天ぷらや茹でてマヨネーズで。旬のホタルイカとパスタも美味。クセがないので和洋中華エスニックに応用できます。

 こちらも山菜のヨモギ(蓬)。ヨモギ団子やヨモギ大福、ヨモギ餅、ヨモギ天が人気ですが、実は制癌作用がある薬草でもあるのです。

 高速のトンネルの先の斜面にヤマブキ(山吹)が咲きました。これも早いです。

「七重八重花は咲けども山吹の実の(蓑)ひとつだになきぞ哀しき」兼明親王(後拾遺和歌集) 実のと雨具の箕をかけているんですね。太田道灌の逸話で知られる花。 古今亭志ん生『道灌』は一聴の価値あり。花を乾燥させて煎じたものは、慢性のせきに効くそうです。右上の花にワカバグモ(若葉蜘蛛)がいますね。カニグモ科の蜘蛛の網を張らないきれいな色のクモです。以前どこから入ったかパソコンディスプレイの前に現れて外へ逃してあげたことがあります。

 例年なら咲き出す杏は散ってしまいました。ソメイヨシノが満開です。ヤマザクラはこれから。里では桃の花が咲き始めました。赤紫はホトケノザです。レンギョウやユキヤナギも満開です。4月下旬には、向こうに霞んでいる中尾山や茶臼山の林檎畑のリンゴの花も咲き出します。信州の春は短く、次々と花が咲き乱れ、あっという間に初夏を迎えます。

 翌日の6日は朝から暖かく南風が吹いて雲は多めでしたが日も差しました。最高気温は23度。陣場平下の入口のズミも一気に開花しました。

 林道のあちこちにはミヤマセセリがたくさん舞っています。
 ミヤマセセリ(深山せせり)はセセリチョウ科セセリチョウ亜科ミヤマセセリ属。セセリという字は難しいのですが、手偏に弄という字で、つつくとか穿(ほじ)るという意味です。セセリチョウの中で最も早く春に出現するチョウ。早春に産卵し、初夏には蛹になり越冬する年1化の蝶です。食草はコナラ。 コナラの芽ぶきに合わせて繁殖行動をします。

 もしやと思い堂平大塚古墳へ下ると、古墳脇の花桃が満開になっていました。

 花桃のアップ。セイヨウミツバチやハナアブが吸蜜に訪れていました。

 ログハウス横の枝垂れ桜も満開になっていました。昨年より10日ぐらい早いでしょうか。貝母はほぼ満開で、見頃は20日頃までかと思いますが、23日の日曜ぐらいまではなんとか楽しめると思います。

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妻女山の陣場平の貝母の開花状況。見頃は20日ぐらいまで。ヤマエンゴサク、シュンラン、ヒナスミレ?コスミレ? タチツボスミレ、桜満開(妻女山里山通信)

2023-04-01 | アウトドア・ネイチャーフォト
 前の記事から二日後の妻女山陣場平の貝母の開花状況です。撮影の前に保全作業と来週末の妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業の準備をしなければいけないので少し早めに到着。まずノイバラの地下茎の掘り起こしを。これが重労働で腰に来ます。その後は撮影ですが、当ブログを見て開花したというので来ましたという方が3組ぐらい。お相手をいいことに休憩タイム。気温は23度まで上がりました。

 貝母の花は下から咲いていきます。頂部まで咲くのはけっこう時間がかかるので、長い間楽しめます。雌しべの根本には、やがて実となる膨らみがあります。

 スマホで撮影の場合は自撮りモードで下から煽って撮影するといいでしょう。花びらは普通6枚なのですが、これは7枚。8枚とかもありますが、雄しべは花びらの数と同じです。

 毎年標本貝母としている陣馬平上の入り口の貝母。かなり開きました。上から4つめぐらいまで開花しています。あと数日で満開になるでしょう。

 陣場平のメインの群生地もぽつぽつ咲き始めました。丸太のベンチは腐って来たので作り変えます。来訪者が増えたのであと二つ作ろうと思います。鳥の鳴き声が増えました。ツピーツピーと鳴くシジュウカラに、ひょっとしてサンコウチョウ?とかキツツキとか。

 反対側の縁の辺りから見ると、この群生地がかなり大きいと分かっていただけると思います。柵やロープで囲っていないので踏まないように気をつけて自由に歩いていただいてかまいません。

 そこから少し左にまわって。貝母は5月下旬には枯れてさく果の種は弾けます。その時に東風(こち)が吹くので貝母は西へと増えていくのです。左上の影になっている斜面の貝母はそうして増えていったものです。

 昼をログハウスでと思って戻ると左奥に青いものが見えました。あれもう咲いたのかなと行ってみると、ヤマエンゴサクが咲いていました。例年より2週間ぐらい早い開花です。

 青っぽい花とこんな風に少し赤みが強いものがあります。ヤマエンゴサク(山延胡索)は、ケシ科キケマン属の多年草。別名、ヤブエンゴサク、ササバエンゴサク。

 前回、野草好きの女性に教えていただいたシュンランのもとへ。咲いていました。シュンラン(春蘭)は、単子葉植物ラン科シュンラン属の蘭です。洋蘭として人気のシンビジウムの仲間。

 清楚な佇まいで人気ですが、アップにするとやはりラン科、なまめかしい。ヒオドシチョウ(緋縅蝶)やルリタテハ(瑠璃立羽)も舞っていましたが撮影できず。

 ヒナスミレ(雛菫)かコスミレ(小菫)か。ちょっと自信ありません。変種や交雑種もあって、スミレの同定は難しい。

 スミレもカタクリやニリンソウなどと同じアリ散布植物です。種につくエライオソームを求めてアリが巣に運び、不要な種を巣の外に捨てます。それで増えるのです。

 昼は堂平大塚古墳の横にあるログハウスを借りて。友人で良き山仲間で保全活動も手伝ってくれた故Kさんのログハウスで。花桃が咲き始めていました。作ってきた明太子マヨとチャンジャマヨのおにぎりとタンポポコーヒーでまったりと昼食。水仙やムスカリが咲いています。小鳥の鳴き声が心地よいBGMです。

 下って林道入口でタチツボスミレ(立坪菫)。これは間違うことがありません。妻女山山系では探せば、アカフケタチツボスミレも見られます。

 妻女山招魂社奥の駐車場。ソメイヨシノが満開です。例年ならば4月中旬が見頃で近隣の小学生が遠足で訪れるのですが、今年は散ってしまいます。ただ、カスミザクラやヤマザクラ、オオヤマザクラ、ウワミズザクラが見られるかも知れません。

 妻女山松代招魂社。戊辰戦争以降の戦没者を祀っています。瓦には真田の六文銭。

 下る途中に枝垂れ桜。桜は400種以上あるので、同定が難しいのです。

 あちこちにタンポポが咲き出しました。総苞が反り返ったセイヨウタンポポとの交雑種が多いのですが、これはシナノタンポポ(信濃蒲公英)。貴重です。
 前回は花粉症対策がいい加減だったので帰って少し寝込みました。反省して今回は鼻腔に白色ワセリンを塗り、抗アレルギー剤を飲み、ポリカーボネートのゴーグル風メガネで防御。なんとか持ちこたえました。やれやれ。なおかつ春は激しい寒暖差で自律神経失調症で腰痛がおきます。春は腰痛が最も増える季節なんです。温めの温泉やお風呂に入るのがいいですね。加えて花粉症。やれやれです。

 週末は土日とも陣場平で撮影は一段落で保全活動をしました。たくさんの方が訪れてくれました。特に日曜日は、10人ぐらいのグループや二人連れの人たちが大勢。できるだけ保全活動の歴史や貝母のことをお話しました。その際は必ずこのブログを紹介しています。ブログでは開花状況を記しているので、それを見て訪れる方もいらっしゃいます。遠くは富山、新潟、東京とか。

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妻女山の陣場平の貝母が咲き始めました。見頃は4月5日〜20日ぐらい。ミヤマウグイスカグラ(妻女山里山通信)

2023-03-30 | アウトドア・ネイチャーフォト
 長野市松代町、千曲川の南、国道403号の上にある妻女山から登って30〜40分のところにある陣場平は、第四次川中島の戦いの際に上杉謙信が本陣としたと伝わる標高530mほどの場所ですが、妻女山里山デザイン・プロジェクトが保護活動を行っている貝母(編笠百合)の群生地として近年は知られています。

 陣場平の上の入り口から入ると左手に見えてくる貝母の一群。西向きで日当たりが良いので真っ先に咲き始めます。10輪以上が咲き始めました。杏や桜と同様に最速と言っていいでしょう。

 貝母の花。花の中を見ると和名の編笠百合の名前の理由が分かります。

 陣場平の群生地のほぼ全景。左右にも群生地は続きます。咲いているものはまだありませんが数日以内には咲き始めるでしょう。

 上の反対側の位置から。最初に貝母の小さな群生地があった場所です。ひどい藪の中でした。許可を得て一人で藪を切り開き始めて3年。高校の同級生たちを中心に参加したいということで、妻女山里山デザイン・プロジェクトを作りました。そして約10年。ここまで増えました。毎年周囲から球根の移植作業もしています。昨年移植したものが今年はすでに蕾をつけています。

 侵入してくるヨシやノイバラ、帰化植物のハルジオンやオオブタクサの除去は非常に大変でした。それは今も毎年続きます。この日も撮影の合間にノイバラの除去や落枝を片付けました。

 貝母の蕾は最初上を向いています。やがて下を向く様になると咲き始めます。貝母の花は下から咲き始め、一番上の花が咲くと満開となります。くるっと丸まった葉先は、たがいに絡みつきスクラムを組んで、この時期に発生する爆弾低気圧の強風から身を守るのです。

 特に遊歩道はありません。柵やロープも設置してありません。小さな貝母を踏まないように自由に歩いてください。ただし、薬草ですが強い毒草なので持ち帰りは厳禁です。

 貝母の群生地の周りには色々な灌木がありますが、ミヤマウグイスカグラの花も咲き始めました。

 シダ植物のハナヤスリも出始めました。まだ胞子嚢は見えません。けっこう大きな群生地があります。

 陣場平の上の入り口。左奥に咲き始めた貝母が見えます。ハナヤスリは、入り口の入って右側にあります。

 陣場平の上の入り口の林道分岐。上に登ると天城山(てしろやま)を経由して鞍骨山(鞍骨城跡)へ約60分弱。右へ300m下ると堂平大塚古墳です。

 陣場平やあちこちでクサボケ(草木瓜)も見られます。貝母が満開の頃に朱色の花が咲き始めます。カスミザクラ、ヤマザクラ、オオヤマザクラも咲くでしょう。タチツボスミレやカタクリ、ヤマエンゴサクも咲きます。

 朝登りはじめは三分咲きでしたが、下る頃には五分咲きになっていました。週末には満開になるでしょう。

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あんずの花は満開。信州千曲市あんずの里は今が見頃です。レンギョウとサンシュユも満開(妻女山里山通信)

2023-03-28 | アウトドア・ネイチャーフォト
 3月22日が開花日だったそうですが、22日が夏日だったためか26日には満開になりました。桜(染井吉野)も開花しました。杏の花は花期が短いので撮影にでかけました。今週末には散り始めるでしょう。

 樹齢300年を超えると伝わる杏の大木。森のアンズは、天和年間(1681~1683年)元禄時代、伊予宇和島藩主伊達宗利侯の息女豊姫が、松代藩主真田幸道侯に興し入れの際、故郷の春を忘れじとして国許よりアンズの苗木を取り寄せ、松代東条地区に植え付けたのが始まりとされています。安永年間(1772~1780年)松代藩は、森村・倉科村・生萱村・石川村などへ苗木を配布し、栽培を奨励しました。そのため、松代藩の領地だった集落にはどこでも杏の木があります。

 皆さんはだいたい上の位置で撮影するのですが、ちょっと歩くとこんな感じ。太い根本から6本ぐらい幹が出ているのが分かります。手前の杏畑のものは手入れがしやすい様に剪定するので大きくはなりません。

 花の付き方が桜とは違います。枝に密集する様に咲きます。桜と違って杏の花は童女のイメージがあります。

 前の記事の同じカットと比べると七分咲きと満開の違いが分かります。テントの売店ではシロップ漬けや干し杏、漬物や乾物が三袋1000円で売られていて人気です。

 在来種の杏。在来種は集落の庭によく見られます。我が家にも大きな杏の木があったのですが、蚕室を建てる時に伐採してしまいました。

 その在来種の花のアップ。在来種は消毒をしないので香りを嗅いでも大丈夫です。

 近づいたら皆逃げてしまいましたが、たくさんのヒヨドリが花の蜜を吸っていました。

 一番標高が高い場所にある杏畑。例年あの一番上まで行くのですが、花粉がものすごくて今回は止めました。

 集落の方を見下ろしたカット。煙は冬に剪定した枝を燃やしているのでしょう。

 上信越自動車道の向こうに茶臼山山系。右奥に薄っすらと見えるのは虫倉山。左には北アルプスの白馬三山がかすかに見えています。風景が少し黄ばんでいるのは黄砂の影響かと思われます。当地は今頃は午後になると強風が吹くことが多いので、花見は午前中から午後2時ぐらいまでがいいと思います。ただ早すぎると消毒をしている可能性があります。

 杏畑の下に咲いているシソ科のカキドウシ(垣通、籬通)。別名をカントリソウ(癇取草)といい、小児の疳や夜泣き、腎炎、尿路結石、糖尿病等の薬草です。またかき揚げやアク抜きしておひたしなどで食べられます。

 根本に藁(わら)を巻いてあります。霜よけと虫よけでしょうか。

 禅透院の鐘楼と在来種の杏の花。右奥はやはり満開のサンシュユ(山茱萸)。

 レンギョウとあんずの花。あんずの実は6月から収穫します。集落のあんずが道路に落ちて杏の匂いで充満します。昨年作ったあんずジャム、干しあんず、あんずの焼酎漬けがまだたっぷりあります。売店ではあんずソフト、ワッフル、エード、シロップ漬けなどが売られています。子供の頃は祖母が作ってくれた赤紫蘇を巻いた干し杏のシロップ漬けが大好きでした。これは売ってないので自分で作るしかないですね。

 最新式の杏畑。根元が白いのは、白塗剤で樹皮を保護しているのでしょう。

 興正寺山門の枝垂れ桜。

 その興正寺の山門にある「子持龍」は、天才・立川和四郎富昌の作。富昌は八幡の武水別神社の再建中でした。そこで、森出身の弟子・宮尾八百重を案内役に住職、世話人、名主らが建築現場に赴き建築を依頼。引き受けた富昌は三月頃から、父富棟が寛政二年(1789)に建築した善光寺大勧進の表御門形式を参考に絵図面を制作。4月には八百重の家に投宿し近くの薬師山に登って酒宴を催し、満開の杏花を愛でたといわれています。夜は篝火の下で鼓を鳴らし謡曲の「鞍馬天狗」を吟じ、見事な龍を描き上げ、村人や近郷近在の話題をさらい、村では日本一の宮大工が来たと喜んだそうです。興正寺は、浄土宗西京大谷知恩院の末派で、創立年は不詳。

 鐘楼の脇に見事な五葉松。我が家にも幼木があるのですが手入れが非常に難しいです。

 興正寺の上から見るあんずの里。私がいた高校の3階の窓からは、あんずの里がよく見えるのですが、当時は茅葺屋根がほとんどで、屋敷の中にももっとたくさんの杏の木がありました。

 周回道路の最後にあるのは半日村といわれる岡地地区。右上に軽トラが止まっていて荷台に黄色いタンクが見えます。消毒作業をしているのでしょう。ここに鎮座する天満宮にも立ち寄りたかったのですが、花粉でもう体が限界です。温泉に入って帰ることにしました。

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あんずの花は七分咲き。信州千曲市あんずの里は来週が見頃です(妻女山里山通信)

2023-03-24 | アウトドア・ネイチャーフォト
 近所のあんずがほぼ開花したので、あいにくの曇天ですがあんずの里へ。風も吹いて花粉が飛びまくっているので、短時間で撮影を済ませました。満開になる来週は晴天が続く予報なのでちゃんと撮影に来る予定です。今回は絵師でもあった母方の先祖の絵が奉納されている古刹から数分以内のところを歩きました。

 在来種の杏。全体としてはまだ三分咲き。21日に開花が発表されましたが、観測史上最速だそうです。

 在来種は木によって種類が異なるため花の色も咲く時期も違います。

 あんず畑の花は七分咲き。果樹園のあんずは早朝に消毒をするので匂いを嗅がない方が賢明です。早朝に来ると分かりますが、農家の方は完全防備で作業をしています。10時過ぎなら風で農薬は飛び去っているでしょう。農薬は安全性を確認するための人体実験はできません。完全に安全な農薬はありません。そういうものです。

 栽培種のあんずは以前紹介しましたが、すごくたくさんの種類があります。信州大実、平和、ハーコット、楊貴妃とか。

 あんず畑の下には、水仙、ホトケノザ、タンポポ、カキドウシなどが咲いています。

 レンギョウやモクレンも咲いています。在来種はまだつぼみのものも。

 左奥には、樹齢300年を超えるといわれるあんずの大木。

 売店のテントにも人はいませんでした。訪れる花見客もまばら。今週末が雨なのが残念ですが、来週は賑わうでしょう。あんずソフトやあんずエード、杏のシロップ漬け、姫杏の焼酎漬け、あんずを使ったスイーツが人気です。正面の尾根は、一重山や森将軍塚古墳から坂城の五里ヶ峯へ続く五一山脈。拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』でも紹介していますが、非常に人気のコースです。満開のときに登れば、尾根から桃源郷ならぬ杏源郷を愛でることができます。

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妻女山陣場平の不思議なセリバオウレン。貝母の成長と蕾。タネツケバナとダンコウバイ。ニホンカモシカと邂逅(妻女山里山通信)

2023-03-21 | アウトドア・ネイチャーフォト
 春分の日は晴れから曇へ。WBC準決勝の日本メキシコ戦を横目に妻女山の陣場平へと向かいました。土曜日にかなり雨が降った様で林道は泥濘状態のところも。洗車したばかりの車が見事に泥だらけになりました。

 以前案内したことがある野草好きの女性と邂逅。陣場平のセリバオウレンと貝母(編笠百合)を見にきたそうです。その彼女から面白い色のセリバオウレンがあると聞き行ってみました。両性花ですが、萼片の先が赤紫色です。これは初めて見ました。セリバオウレンは個体変異が多い植物ですが、こういう花は髻山でも見たことがありません。貴重です。

 肉眼では雄花に見えたのですが、拡大してみると両性花です。右下に小さな水滴がついた蜘蛛の糸が見えます。花の左にその蜘蛛がいます。小さな蜘蛛ですね。肉眼ではほとんど見えませんでした。

 雄花。退化した雌しべも見えません。純白で美しく清楚です。陣場平のセリバオウレンは、髻山の様な大きな群生地ではないので、気をつけて見ないと目に入りません。踏まないようにお願いします。

 陣場平入り口の真っ先に芽生えて咲く貝母。11日と比べると10センチ以上成長しています。最終的には60〜80センチぐらいになります。

 陣場平の貝母も順調に成長しています。川中島の戦いで上杉謙信が本陣としたと伝わる場所です。

 昨年、球根を移植した場所。芽吹いてくれました。今年も移植作業をします。

 今にも咲きそうな蕾。今年は開花がいつになく早まりそうです。見頃は、4月5日から20日頃かと思います。

 堂平大塚古墳の白梅。花桃も蕾を付けています。千曲市のあんずの里の開花情報は、3月30日ですがもう少し早まるかも知れません。実はこの日が開花日でした。山を下りると近所の杏が一気に開花していました。30日は満開でソメイヨシノも咲きだすでしょう。どちらも観測記録上最速です。

 アブラナ科のタネツケバナ(種漬花)があちこちで咲いていました。苗代をつくるために種もみを水に漬けるころに花が咲くということからの命名。お浸しやサラダなどで食べられます。

 あちこちでダンコウバイ(壇香梅)クスノキ科クロモジ属。別名は、ウコンバナ(鬱金花)、シロヂシャ。同じクスノキ科シロモジ属のアブラチャンよりやや花が大きく花柄がありません。枝を折るとダンコウバイは肉桂、アブラチャンはメントールの香りがします。雌雄異株。

 雄しべが大きく花びらから出ているので雄株でしょうか。観察にはルーペが必要です。花粉が飛びそうなので下山します。

 下山中の最後のカーブを曲ったら目の前にニホンカモシカがいました。リョウメンシダを食餌中だった様です。驚いて逃げましたがすぐに止まってこちらを観察。牛科だからか好奇心が強いのです。手を降って気を引きながら近づいて撮影。この後ゆっくりと斜面を下っていきました。14年前に帰郷して最初に出会ったマダムから4世代か5世代後の個体だと思います。三世代に渡って双子を生んでいた珍しい一族です。

 スギ花粉を落としに温泉へ行く途中で千曲川と北アルプス。左に爺ヶ岳、右に鹿島槍ヶ岳。鴨などの冬鳥は北へ旅立ちました。途中のラジオで日本のサヨナラ勝ちを知りました。サッカー小僧ですが、応援します。→日本優勝おめでとう!

「身欠き鰊のコンフィと蕗の薹と菜花のアンチョビーパスタ」です。蕗の薹は陣場平で、菜花は直売所で。身欠き鰊を洋風にいただくのはありです。山菜は味も強いのでクセの強い魚や肉とよく合います。

 翌日の22日はWBC決勝。日本vsアメリカ。優勝を見届けてから妻女山の陣場平へ。写真は貝母を発見した最初の場所。当時は四畳半か六畳ぐらいの群生地でした。荒れた雑木林をきれいにしてここまで増えました。今年は移植した貝母も芽吹いたので、4月5日〜20日の見頃には壮観な景色が見られると思います。貝母が満開のときには周囲のカスミザクラ、ヤマザクラ、オオヤマザクラも咲きます。近くにはヤマエンゴサクの群生地も。珍しいハナヤスリも。林道を歩くとカタクリの群生地もあります。保全作業は群生地のノイバラの除去。2時間ぐらいやりましたが、これが3月かというほど暑い。終えて下るとなんと最高気温が25.4度。夏日でした。この暑さで近所の杏が一気に開花しました。二日後にはほぼ満開に。千曲市森のあんずの里は今週末から一週間ぐらいが見頃だと思います。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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上杉謙信の山城がある髻山で人知れず咲くセリバオウレン。セイヨウミツバチとヒオドシチョウ(妻女山里山通信)

2023-03-16 | アウトドア・ネイチャーフォト
 上杉謙信の山城がある髻山(もとどりやま)へ、人知れず咲くセリバオウレン(芹葉黄連)の撮影にでかけました。最低気温が0度、最高気温が19度で快晴。自律神経失調症と花粉症で体調は最悪。それでも2年ぶりのセリバオウレンの大群生地ですから気合を入れて向かいました。予想通り満開でした。

 セリバオウレンの雄花。セリバオウレンは、キンポウゲ科オウレン属の多年草。葉はすべて根生し、2回3出複葉。雄花と両性花があります。これは雄花。花びらのように見えるのは5枚の萼片で,その内側の淡い黄色の9〜12枚が花弁なのですが、遠目に肉眼で見るとほぼ純白です。中央の赤紫のものは、退化した雌しべ。

 花は1センチもないので、撮影ターゲットを探すのが大変です。セリバオウレンは薬草で消炎、止血、精神不安などの薬です。健胃(けんい)、健胃、整腸薬として消化不良や下痢止めにも用います。有効成分は、アルカロイド(ベルベリン)、パルマチン、コプチシンなどです。

 両性花。外側に雄しべ,内側に雌しべ。極稀に雄しべのない雌花があるらしいのですが見つかりませんでした。

 これも両性花ですが、赤紫色をしています。

 もの凄い数のセイヨウミツバチが舞っていてブンブン羽音がしています。後ろ脚には大きな花粉団子。

 退化した雌しべの赤紫が美しくなまめかしい。

 これは雄しべだけ。退化した雌しべがほとんど無いものもあります。朝露に濡れて光っています。

 芹葉黄連という名前の由来ですが、古代にはカクマグサ、ヤマクサと呼んでいたそうですが、中国名の黄連と、同じ植物と間違って、黄連の名をあてたといいます。「本草和名」や「和名妙」に記述があります。また、江戸時代の貝原益軒は「大和本草(1708)」で、「日本の黄連性よし。故に中華、朝鮮にも日本より多く渡る。中華の書に日本産黄連を良とす」と記されています。

 気温が上がってきたらヒオドシチョウ(緋縅蝶)が現れました。成虫で越冬した個体です。ヒオドシチョウはセリバオウレンの花粉は吸いません。猪の糞とか樹液を吸います。

 クヌギの林内にある群生地。落葉期なので春の日差しを目一杯浴びているセリバオウレン。この群生地を発見したのは2018年。最初ひとりで探しに来たときには見つけられませんでした。登山道からかなり離れていますし、藪こぎしないといけません。息子と探しに来てあちこち彷徨ってやっと見つけました。

 小さな雌しべが見える花と雌しべがほとんど無い花。

 林立する花。葉は立ち上がらないので見えません。

 雄花ですが、退化したはずの雌しべが大きくなっています。

 花が小さく花粉も少ないので花から花へとせわしなく飛び回っています。そのため撮影は難しいです。口で花粉を集めて後ろ脚に付けるのでしょうか。

 雄花ですが、こんなに雄しべが多い花は初めて見ました。しかし、よく見ると他にもあります。雄しべの数もバラバラです。

 昨年の夏に息子達とオートキャンプで訪れて登った三角の笠岳。手前はリンゴの木。花粉が舞い始めたので、後ろ髪を引かれつつ帰ります。

 妻女山の展望台から髻山。髻山の名前の由来や植物は、拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』で詳しく記しています。今回は体調不良で山頂は行きませんでしたが、山頂含めあちこちに山城の遺構が残っています。4月にはカタクリが咲き乱れ、シロバナオドリコソウやアズマイチゲの群生も見られます。瞼がバリバリです。胸から上がジンジン痺れています。花粉を洗い流しに温泉へ向かいました。

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ヒオドシチョウの日向ぼっこ。陣場平の貝母のつぼみ。セリバオウレンも薬草。紅梅にセイヨウミツバチ(妻女山里山通信)

2023-03-11 | アウトドア・ネイチャーフォト
 今から12年前の今日3月11日午後2時46分、東北大震災が起きました。いまだに避難生活を余儀なくされている人は3万人余り。福一の廃炉作業は税金で。で上乗せして電気代高騰。東電は赤字どころか黒字。使える原発は60年使う。原発が安全なら最も電力を使う東京に作りなさい。有事が起きたら狙われるのは原発。トマホークなどなんの役にも立たない。確実に日本は終わる。平和外交を忘れた日本。統一教会カルト自公政権を潰さないと日本は終わります。こんな日本を子供や孫達に残してはいけない。という麗らかな日に、花粉を物ともせず妻女山陣場平へ。

 越冬したヒオドシチョウ(緋縅蝶)の日向ぼっこ。翅の表が鎧の緋縅(ひおどし)を連想させることからの命名ですが、裏は地味な樹皮模様。ハネがボロボロなのは、縄張り争いの戦いの結果です。 幼虫(刺の多い、ごま塩に黒と黄色の線、オレンジのスポットがある)は、春にエノキ、ヤナギ、ケヤキ、ニレなどの葉を集団で食べ、成虫はクヌギなどの樹液に集まります。

 毎回必ず撮影する陣場平入り口の最も成長の早い貝母。林道からも見えます。もう蕾をつけています。このまま50センチ以上に伸びます。満開は、4月10〜25日頃でしょうか。寒の戻りとかで変わります。開花情報は当ブログで確認してください。

 陣場平の大群生地に入ってすぐ左の高句麗からの帰化人の積石塚古墳の周りの群生地。高句麗からの帰化人と貝母が日本に入ったのは、ほぼ同じ頃です。古墳にピッタリの花だと思います。万葉集に一首詠われています。

 入り口の反対側から。これでも全部ではありません。左右にも広がっています。四畳半ほどの群生を発見してから、ここまでするのに14年かかりました。この日は、貝母の上に落ちた落枝を何十本と片付けました。

 貝母のつぼみはもうできています。今年は3月下旬には咲き出すかも知れません。随時このブログで載せていきます。

 陣場平の片隅にひっそりと咲く薬草のセリバオウレン。雄花。直径が10ミリもありません。これを観るには虫眼鏡が必要です。大きなのは5枚の萼片で、その内側の少し黄ばんだ10枚ほどの小さなものが花びらです。生薬の「黄連」は根茎を乾燥したものでベルベリン(アルカロイド)などを含み、消炎、止血、精神不安に効く薬です。薬草ですが、貝母と同じく毒草です。

 昨年、貝母が枯れた5月下旬に妻女山里山デザイン・プロジェクト(妻女山SDP)のメンバーを集めて周囲の森に散った貝母の球根を100株近く掘って中央の貝母がない場所に移植しました。それが発芽しています。

 15センチ位の腐朽木の破片に黄色いものが見えました。粘菌かなと思いましたが小さすぎて分かりません。帰って見るとキノコです。モエギビョウタケ(萌黄鋲茸)。直径は0.5ミリから1.5ミリ。

 蕗の薹(とう)も、妻女山山系のあちこちで出始めました。雄花。雌しべがあるので両性花ですが自家受粉はできません。蕗味噌にしました。

 ノビル(野蒜)もあちこちで。カルシウムをはじめ、マグネシウム、リン、鉄分などのミネラルも豊富な山菜です。抗ガン、抗菌、免疫力アップ、貧血予防、便秘解消、美肌効果、老化防止の効能も。これのおやきと餃子は絶品です。卵とじやパスタにも。醤油・本味醂・ゴマ油でノビルの醤油ダレも最高です。これに漬けて鶏の唐揚げを。在京時代は、調布市の野川へ息子と採りに行きました。乞食ネギなんていう失礼な俗名もありますが、古代から食べられていたので古事記ネギと言うべきでしょう。

 昼になったので堂平大塚古墳のログハウスへ。手造りのツナマヨおかかとタラチャンジャと明太子マヨおかかのおにぎりとたんぽぽコーヒーでまったりと昼餉。20度の寒暖差での自律神経失調症と花粉症で体調は最悪ですが、紅梅も咲いて心がほぐれます。北アルプスは春霞か黄砂か花粉か、霞んでいます。

 紅梅にはたくさんのセイヨウミツバチが訪れていました。羽音がもの凄い。後ろ脚には花粉団子。

 オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)は、明治初期にヨーロッパから伝わった帰化植物です。オオバコ科クワガタソウ属の越年草。日が当たるときだけ花を咲かせる一日花で、別名は星の瞳です。ホトケノザももうすぐ咲きそうです。
「犬ふぐり 星のまたたく 如くなり」高浜虚子 このイヌフグリが、オオイヌノフグリか白い在来種のことかは虚子に聞かないと分かりません。

 スギ花粉もたくさん付いています。ほぼ無風なので大丈夫ですが、午後2時頃になると決まって強風が吹き始めます。そのため午後1時には必ず下山するようにしています。さもないと悲惨な目に会います。天気がいいので洗濯物も布団も午前中に取り込みが必須です。スギ花粉の後はヒノキの花粉。それが終わらないと窓を開けることはできません。やれやれ。
 東北大震災、福一核爆発から12年。ちなみに当時、携帯もパソコンメールも不通でした。唯一通じたのがツイッター(相互フォローしているとダイレクトメールができます)。東京の次男には、現状をつぶやき続けろといいました。そう遠くない将来に東京直下型地震が来るかも知れません。信州でも2011年3月12日に栄村大震災があり、2014年11月22日に神城断層地震があり、白馬村が大災害に見舞われ、虫倉山の山頂が4割崩壊し、善光寺でも被害がありました。松本平の牛伏寺断層はいつ動いてもおかしくないといわれています。備えに完全はないのですが、必要です。

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早春の妖精、節分草を求めて戸倉のキティパークへ。あんずの里スケッチパークの蝋梅と紅梅。妻女山陣場平の貝母(妻女山里山通信)

2023-03-08 | アウトドア・ネイチャーフォト
 千曲市のサイトで倉科と戸倉の節分草が咲き初めとでたので、まず毎年通っている倉科の杉山の群生地へと向かいました。ところが道路工事で通行止め。大勢見に来るので倉科の入り口に節分草群生地に車では行けませんの表示が欲しいですね。戻って宮坂峠から戸倉に越えようと思ったらここも工事で通行止め。仕方なく一重山をまわって戸倉へ。ところが途中でも通行止めが。年度末なので工事だらけなのは知っていましたが。やっと戸倉駅裏手のキティパークの駐車場へ。ここから20分山道を登ります。

 セツブンソウ(節分草)は、キンポウゲ科セツブンソウ属で、本州の関東地方以西に分布する、高さ10センチほどの小さな多年生草本。花の直径は1から2センチ。花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。千曲市が長野県の北限だそうですが、ということは日本の北限ということでいいのでしょうか。実はもう少し北にもあるのではと探しているのですが、見つかりません(笑)。

 可憐な節分草。早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物は、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春の儚い命)と呼ばれます。セツブンソウの種は、アリが巣に運んで発芽する虫媒花。アリ散布植物です。

 節分草は、発芽して1年目のものは葉が丸いのです。探すと必ず見つかります。右にひとつ写っているのですが。分かるでしょうか。

 アリ散布植物は、セツブンソウ属やカタクリ属以外にスミレ属、イチリンソウ属、フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、エンレイソウ属などがあり、自然界におけるアリの働きの重要さが分かります。日本には、アリが絶滅すると絶えてしまう植物が200種以上あるのです。たとえばカタクリの胡麻より小さな種にはエライオソームというアリの餌となる物質がついていて、アリは種ごと巣に運びます。そして、エライオソームを取った後、種を巣の外に捨てるのですが、それが種蒔きになるのです。自然界は弱肉強食といいますがそれは間違いです。非常に複雑に絡み合った共生関係にあるのです。

 石灰質の土壌を好み、晩秋から冬の間に、地中深くにある黒褐色の塊茎から発芽します。種子から開花まで3年以上かかるわけですから、林床の環境が良い状態で続かないと生育できません。昔は雑木林に入って草刈りや灌木の除伐や薪拾いをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのだとか。カタクリと同様、人の暮らしと密接な関係にある植物だったのです。ですから、盗掘や自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です(絶滅危惧植物II類)。

 節分草は、万葉集には詠われていませんが、平安時代の「本草和名」や「倭名類聚鈔」に「以倍仁礼(いえにれ)」という古名で登場します。花言葉は、気品・ほほえみ・光輝・人間嫌いだとか。高貴な花なんですね。やはり野に置け節分草。栽培ではなく山野で楽しみたいものです。

 今年は発見できませんでしたが、稀に八重のものがあります。また、もっと稀ですが、一つの茎から二輪の花が咲くものがあります。2018年3月の記事では紹介しています。

 赤紫、青、白、黄色の組み合わせは、なんとなく北欧とかアルプスの高山ぽいですね。清楚で可憐な感じがなんとも魅力があります。

 「天狗の里 節分草まっぷ」と群生地の説明。駐車場は左の図の向かいにも10台ほど。左の道を少し登って10台ほどあります。それぞれにトイレもあります。

 遊歩道やベンチがあります。

 途中のあんずの里のスケッチパークでは蝋梅が咲いていました。

 紅梅も満開です。奥の杏の花はまだ固いつぼみですが、今年は開花が早そうです。

 紅梅のアップ。午後1時を過ぎました。妻女山の陣場平へ貝母を見に行きます。

 妻女山陣場平の貝母(ばいも:編笠百合)。2月28日に比べるとずいぶんと成長しました。西向きの一番早く芽吹き咲き出すエリアです。今年も見頃は、4月10日〜20日頃になると思います。昨年の満開の様子は、4月の記事を御覧ください。里山でのこれほど大きな群生地は日本でここだけです。

 陣場平中心部もほとんどが芽吹いています。昨年仲間と移植した球根も芽吹いていました。咳止めの薬草ですが、かなり強い毒草なので持ち帰りは厳禁です。

 川中島の戦いで上杉謙信が本陣とした陣場平。かなり開けたギャップです。ひどい藪だった状態からここまでするのにはかなりの労力と時間が必要でした。倒木や落枝、帰化植物(オオブタクサやハルジオンなど)との戦いは毎年続きます。
川中島の戦いで上杉謙信が本陣とした斎場山と陣場平へ(妻女山里山通信)『甲陽軍鑑』の編者と言われる小幡景憲彩色の川中島合戦絵図。陣場平に陣小屋が七棟建てられた図が描かれています。(東北大学狩野文庫の許可を得て掲載)

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

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