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モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

万葉集にも詠われた合歓の木の花。天女の羽衣雪ノ下。山紫陽花と虫取り撫子。ミナミヒメヒラタアブ、ヤマトシジミ、ベニシジミ。(妻女山里山通信)

2023-07-04 | アウトドア・ネイチャーフォト
 梅雨の晴れ間。前日も晴れでしたがかなりの降雨だったので翌日にしました。信州の里山は葉が生い茂り鬱蒼としてきました。鞍骨山に向かうという方と邂逅。しばらくお話をしました。淡竹の筍の季節が終わったので鏡台山からツキノワグマはもう下りてきませんが、オオスズメバチやチャイロスズメバチは要注意。万一刺されたときに備えてポイズンリムーバーは必携です。イノシシのオスも油断できません。運が良ければニホンカモシカに出合えるでしょう。

 ネムノキ(合歓木、合歓の木)マメ科ネムノキ亜科の落葉高木。夜になると小葉が閉じて垂れ下がる就眠運動を行うことで眠る木。
「昼は咲き 夜は恋ひ寝(ぬ)る 合歓木(ねぶ)の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ」 紀女郎(きのいらつめ) 『万葉集』巻八1461
(昼に咲いて、夜には恋しい想いを抱いて寝るという合歓の花を私だけに見させないで。君もここに来て見なさいな):紀女郎が大伴家持に贈った歌ですが、紀女郎は年上の人妻で、戯奴というのは目下の人を呼びかける言葉だそうです。人妻が若者をからかったのか、誘ったのか。背景を知ると、なんとも意味深な歌です。

 ネムノキは高さ10m以上になります。花は葉の上に咲くので、下からはよく見えません。ここは林道下の斜面に根本があるので間近で見られます。化粧の刷毛の様でもあり、線香花火の様でもあり。繊細な花です。なんとも形容し難いかすかに甘い香りがします。赤松と同様に排気ガスには弱く、我が家の山の大木は高速道路ができたら数年で枯れました。葉は合歓皮(ごうかんひ)といって漢方薬です。利尿、強壮、鎮痛、腰痛、打ち身、腫れ物、水虫、手荒れ、精神安定などに効くそうです。貝原益軒は「この木を植えると人の怒りを除き、若葉を食べると五臓を安じ、気をやわらげる」と記しています。
「象潟(きさかた)や 雨に西施(せいし)が ねぶの花」松尾芭蕉 西施は、中国の春秋時代の呉を滅ぼした傾国の美女。その越に滅ぼされた呉のエリートたちが日本に渡来して弥生時代を作ったのです。その後、越も滅ぼされ、また日本に渡来します。詳しくは下のリンク記事を。
中国正史の書を読む梅雨空の好日。『中国正史 倭人・倭国伝全釈』『中国正史の倭国九州説 扶桑国は関西にあった』『西暦535年の大噴火』(妻女山里山通信)
「合歓咲く 七つ下りの 茶菓子売り」小林一茶 江戸の八丁堀の合歓の木が咲く小腹が空く午後4時頃に、茶菓子売りの声が聞こえる様。どんな茶菓子だったのでしょう。茶饅頭か、夏だから水菓子か。

 ヤマアジサイ(山紫陽花)。別名は、サワアジサイ。周辺は装飾花で、中心部は両性花。ガクアジサイに比べると、花の色が色々あります。万葉集の二首。
「言問はぬ木すら味狭藍(紫陽花) 諸弟(もろと)らが練の村戸(むらと)にあざむかえけり」(大伴家持 巻4 773)
  (恋を語らない木ですら、紫陽花のように移ろいやすい。巧みな言葉に私は騙されてしまいました。)
「味狭藍(紫陽花)の 八重咲く如 やつ代にを いませわが背子 見つつ思はむ(しのはむ)」(橘諸兄 巻20 4448)
  (紫陽花が八重に咲くように、ますます長い年月を生きてください。紫陽花を見ながらあなたをお慕いします。)

 ミナミヒメヒラタアブがドクダミで吸蜜しようとホバリング。これは複眼がくっついているのでオスですが、体長が8-9ミリしかないので、まず見つけるのがひと仕事。小さすぎて羽音もしません。胸部と腹部の間の両側に小さなヘラ状の突起が出ています。昆虫は4枚の翅を持っていますが、ハエ目の昆虫は2枚です。これは後翅が退化して平均棍という飛翔の際にバランスをとるための器官に変化したものです。

 ユキノシタ(雪の下・虎耳草・鴨脚草・鴨足草・金糸荷)ユキノシタ科ユキノシタ属。羽衣を着た天女の様な可憐な花です。切り傷の化膿、やけど、中耳炎、扁桃腺、腫れ物、健胃、解毒、解熱、鎮咳、心臓病、腎臓病などの薬草です。葉は天ぷらで。もちもちとした歯ごたえで特に美味でもありませんが、体には良さそう。

 子供の頃はネバネバ草と呼んでいました。ムシトリナデシコ(虫取り撫子)ナデシコ科の越年草。別名は、ハエトリナデシコ、コマチソウ、ムシトリバナ。ヨーロッパ原産の帰化植物で、江戸時代に観賞用として移入されました。学名 Silene armeria Sileneのシレネは、ギリシャ神話の酒の神バッカスの養父の名にちなむもの。茎の茶色の部分が粘るのですが食虫植物ではなく、受粉することなく密だけ食べに来るアリを防ぐものといわれています。

 カタバミにヤマトシジミ(大和小灰蝶、大和蜆蝶)。幼虫の食草がカタバミなので、その周辺で見られます。陣場平へも行きましたが何もいません。そこで急遽、茶臼山自然植物園へ向かうことにしました。最近リニューアルして大人気の茶臼山動物園のゲートの横を進んで植物園の最上部にある駐車場へ。ここは穴場です。

 茶臼山自然植物園のイングリッシュガーデンの様な一角。個人的にはこういうガーデンをトップクラスのガーデナーを呼んでもっと大きく作って欲しいと思います。訪れる人も増えるでしょう。今日は、なかなか蝶や甲虫が見られません。オオムラサキもいませんでした。オオヒカゲとコミスジぐらい。たくさん咲いている白い花は、ガウラといい北アメリカ南部原産。和名は、白い蝶が飛んでいる様なことから白蝶草。

 やっと見つけたのはルリシジミ(瑠璃小灰蝶)。ヤマトシジミに似ていますが、目が真っ黒です。翅の表面は水色から明るい青紫色。瑠璃色ということでルリシジミ。春先から晩秋まで、山地から田畑、人家周辺でも見かけます。幼虫はバラ科、マメ科、ブナ科植物の蕾や花を食べます。

 フランスギク(仏蘭西菊)で吸蜜するベニシジミ(紅小灰蝶)。 幼虫の食草は、スイバ、ギシギシなど。地表近くを飛び、わりとすぐに止まるので撮影しやすい蝶です。

 メスグロヒョウモンのオスでしょうか。それともオオウラギンスジヒョウモンのオスでしょうか。ちょっとこのカットでは同定できません。ツマグロヒョウモンのメスも舞っていましたが撮影できず。

 これはまた随分と翅の色が抜けたヒョウモンチョウの仲間。コヒョウモンかしら。違いますね。同定不可。

 上の2つが吸蜜していたのがこの植物。クガイソウに似ていますが、ヒメルリトラノオ。ヨーロッパ~北アジア原産のベロニカ・スピカータの小型品種です。

 キキョウ(桔梗)キキョウ科の多年生草本植物。根を生薬で桔梗根といい、去痰、鎮咳などの薬効があります。夏から咲きますが秋の七草で、山上憶良の「七種の花」の歌「萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝顔の花」の朝顔が桔梗であるとの説があります。

 振り返ると丸太小屋の展望台(休憩所)。手前の黄色い花は、北米原産のルドベキアの一種。草丈が180センチぐらいあります。別名は松笠菊。

 展望台から見る善光寺平。左奥に根子岳と四阿山。手前に奇妙山。右奥は保基谷岳、手前は皆神山。日向は灼熱ですが、日陰は湿度が低いので快適です。手前に咲く白百合は、ニワシロユリ。バルカン半島および西アジアを原産とするユリで、バチカン市国の国花です。英名はマドンナリリー。草丈2mぐらいになります。日本のテッポウユリの仲間。

 7月8日、今年も庭にツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)のメスがやってきました。赤と黒の鮮やかな幼虫の食草はスミレ類やパンジー、ビオラの葉。南方系の蝶で、昔はいなかったのですが、今では真夏の信州の亜高山でも見られます。

「ニラの挟みおやき」具はニラ7割、新玉葱3割をみじん切りに牛豚合いびき肉。信州糀味噌と鰹出汁と炒り粉をゴマ油で練る。皮は幻の小麦粉、伊賀筑後オレゴンにとろろ、卵、炒り粉に水入れて柔らかめに。とろろを入れると柔らかく上品な仕上がりに。冷めても固くなりません。やや多めのゴマ油と綿実油で蓋をして片面6分ずつ中弱火で焼くとできあがり。具をむきエビにして、豆板醤、甜麺醤、牡蠣油、中華出汁にすると、中華風エビニラおやきになります。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、商用利用の場合、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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ヤマトシジミの三角関係の修羅場に遭遇した真夏日の妻女山山系。オオムラサキのオスを初見も…(妻女山里山通信)

2023-06-29 | アウトドア・ネイチャーフォト
 9日ぶりの梅雨の晴れ間。前夜にかなりの降雨があったので林道は泥濘状態でズルズル滑りながら登りました。オオミドリシジミは数頭舞っていましたが、雨上がりで湿度が高いので地面近くには下りてきません。日当たりの良い場所に行けばゼフィルスが見られるだろうと向かいました。

 カタバミで吸蜜していたのは、最初メスかなと思いましたが、どうも縄張り争いで鱗粉が剥がれたオスだろうと。このオスが飛び立ってたどり着いたのは。

 メスを見つけました。交尾器のバルバを出してメスに交尾を誘います。

 迫るのですが、そう簡単には応じてもらえません。シェークスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』を思います。成就するでしょうか。

 諦めずに求愛を続けます。

 めでたく受け入れてもらえました。

 どちらが主導するのか分かりませんが、位置を微妙に変えていきます。

 マクロレンズで近接撮影をしているので、かなり接近します。驚かさない様に息を止めてゆっくりと移動します。

 一番いい体勢を探している様です。

 最もしっくりする体位に落ち着いた様です。ところが。

 近くに鱗粉がまだきれいなオスが止まりました。嵐の予感。

 交尾中の二頭に激しく羽ばたいて迫ります。おらっちの方が若いしいい子種を持っているだに。

 しかし、交尾中のオスのバルバはメスをガッチリと捕まえているので、若造が体当りしたくらいでは外れません。三角関係の修羅場になるかと思いきや。二人の愛は固く確かなものでした。

 ひとり寂しく黄昏れるオス。いやいや美しいメスは彼女だけではない。君にピッタリのメスは必ずいる。かもしれない。諦めるべからず。幸運を祈る。

 というわけでセッセと交尾に励むカップルでした。昆虫を擬人化するというのは生物学的にはやってはいけないことなんですが、やりたくなりますね。以前、オオムラサキの三角関係でメスがすがりつくのをオスが気に入ったメスと交尾直前で足蹴にするのを目撃しブログにアップしました。ルリボシカミキリの三角関係もアップしています。人に限らず動物の愛の成就は難しいものなのです。動画も撮影しているので、インスタグラムやYouTubeにアップします。

 撮影を終えて陣場平へ。気温は20度ですが湿度はものすごく高いです。ガビチョウやサンコウチョウの鳴き声がします。川中島の戦いで上杉謙信が本陣としたと伝わる場所。兵どもが夢の跡。

 貝母(ばいも・編笠百合)の実は枯れていますが、まだ緑のものも。見が弾けて種が飛ぶのは梅雨明け以降になります。

 貝母の群生地入り口から林道方面。梅雨明けしたら妻女山里山デザイン・プロジェクトのメンバーを集めて、除草や帰化植物の除去、倒木の処理や除伐の作業をします。

 下山して松代方面の眺め。もう夏の風景です。撮影はできませんでしたが、オオムラサキをのオスを初見しました。ここ2年ほど数が減少しているので、大量に発生してくれることを期待しています。昆虫の増減には経年変化や気象条件、農薬や排気ガスなど色々な原因があるのですが、ネオニコチノイド系農薬の空中散布は中止されましたし、どういう原因理由があるのかは非常に難しい問題です。とにかく定点観測が重要なのです。

■ヤマトシジミの三角関係の修羅場に遭遇した真夏日の妻女山山系


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続 梅雨の森の宝石オオミドリシジミ。構造色の鱗粉がはがれ始めた。コシアキトンボ。樹下に咲くイチヤクソウ。オカトラノオとシモツケ(妻女山里山通信)

2023-06-21 | アウトドア・ネイチャーフォト
 3日ぶりの梅雨の晴れ間。オオミドリシジミの撮影にでかけました。快晴とはいかず小さな雲が通り過ぎますが、風がないのが幸いしました。雨天はもちろん曇天や強風の日はオオミドリシジミの専有行動の飛翔はほとんど見られません。

 広葉樹林の藪の高いところで数頭が舞っていましたが、一頭だけ下りてきてくれました。ヒカゲイノコヅチの葉の上で休憩中。

 たった3日ですが構造色の鱗粉があちこちで剥がれています。専有行動の飛翔はかなり激しいもので、2匹、3匹がクルクルと回る途中で翅がぶつかるのでしょう。ひとつ前の記事の写真と比べると一目瞭然です。というか翅をぶつけ合って回っているのでしょう。鹿のオス同士の角突きみたいなものかも。

 この日は葉に止まるとすぐに翅を開きます。湿った翅を少しでも早く乾かしたいのでしょうか。

 メスはオスの後翅の様な茶褐色です。オオムラサキは、メスのほうが1週間か10日ほど遅く羽化するのです。そして産卵して生涯を終えます。オオミドリシジミもそうなのでしょうか。

 オニグルミの葉の天蓋。オオミドリシジミはこの樹冠の上には行きません。

 いきなりシナノガキ(信濃柿・豆柿)の葉に止まりました。少し後ピンになりました。すぐに飛び去ったのでこのワンカットだけ。あっという間に終了の10時半になりました。彼らの体内時計は、SEIKO並みに正確です。

 苔むした山桜の幹にニホンカナヘビが日向ぼっこ。人の気配に非常に敏感ですぐに逃げるのですが、この時は日向ぼっこの心地よさに酔いしれていました。

 湿った樹下に咲くイチヤクソウ。木漏れ日のスポットライトを浴びていました。

 イチヤクソウ(一薬草)。別名は 鹿蹄草(ろくていそう)といい生薬。 薬効は急性腎炎、膀胱炎、妊娠時のむくみなど。妻女山山系では貴重な花です。周囲には5株ありました。

 休憩に陣場平へ。ヒメウラナミジャノメがピョンピョンはねて舞っています。コゲラのドラミングとサンコウチョウの囀り。貝母はまだ弾けた実はありません。

 別の林道へ。これはめずらしい。コシアキトンボの未成熟のオスです。見かけたことはあっても撮影したのは初めてかも知れません。

 林道の小さな木漏れ日の中で日向ぼっこするコミスジ。こちらもずいぶんと翅が傷んでいます。

 オカトラノオ(丘虎乃尾)サクラソウ科オカトラノオ属。花は穂の下の方から咲いていきます。群生地では、花穂(かすい)の波うつ様子がまるで波の文様の青海波(せいがいは)のように見えます。

 シモツケ(下野)バラ科シモツケ属。別名は、キシモツケ(木下野)。シモツケの葉は、卵形や披針形ですが、シモツケソウの葉は掌状に5~7に深裂します。シモツケソウは、バラ科シモツケソウ属。どちらも葉の縁に鋸歯があります。

 標高の低いところのクマノミズキの花が咲き始めました。昆虫たちがたくさん吸蜜に訪れます。

 妻女山展望台から東の松代方面の眺め。陣場平は涼しかったのですが、麓の最高気温は29度になりました。ただ湿度が低いので不快ではありません。

 北東の眺め。信越トレイルの手前は豪雪地帯の飯山。山脈の向こう側は新潟県です。典厩寺は、武田信玄の弟、信繁が八幡原で討死したことに因み、合戦から60年後、元和八年(1622)、松代藩主真田信之が信繁の官職「左馬助」の唐名「典厩(てんきゅう)」から寺号を典厩寺と改めて菩提を弔ったものです。閻魔堂には東洋一大きいといわれる閻魔大王像があります。またここの川中島合戦記念館は必見です。信繁の着用した鎧の下着や刀などが展示されています。
武田典厩信繁の墓と全国随一の大きさの閻魔大王像がある典厩寺探訪(妻女山里山通信)

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梅雨の森の宝石オオミドリシジミ。ウラゴマダラシジミ、ミズイロオナガシジミ。枯れ始めた貝母の実。熟れた実が匂うあんずの里(妻女山里山通信)

2023-06-17 | アウトドア・ネイチャーフォト
 待望の梅雨の晴れ間。きちんと晴れたのは2週間ぶりです。そろそろオオミドリシジミが出現する頃と登りました。かなりの雨が降ったので林道はひどい泥濘状態。何度も滑りながらやっと登りました。午前9時の気温は18度。地面や下草は湿っていますが、早朝から快晴で日が照ったので湿度は思ったよりも高くありません。期待だけが膨らみます。

 いましたオオミドリシジミ。雨上がりに羽化したばかりなのでしょうか。翅も傷んでいなくて綺麗です。まず後方から気配を殺してゆっくりと近づきます。マクロレンズのラバーフードの先からチョウまでは10センチほどまで近づきます。
 オオミドリシジミ(大緑小灰蝶:Favonius orientalis)は、チョウ目シジミチョウ科ミドリシジミ亜科に属するチョウ。オスの翅は、青緑に輝き非常に美しい蝶です。メスの翅は灰褐色。幼虫の食樹はブナ科のコナラ・クヌギ・ナラガシワ・カシワ・ミズナラなど。

 発生しているのはまだ数頭。数日で大群が出るのではと期待しています。オスが高速で追いかけごっこをしたり円を描いてクルクル回ったりしています。いわゆるテリトリーの占有行動で、縄張り争い。疲れると日当たりの良い葉の上に止まります。これはヒカゲイノコヅチの葉に止まったもの。美しい翅の表の色は鱗粉の色ではなく、オオムラサキと同様に構造色です。
「モルフォチョウ構造色の基本原理:規則性と不規則性の共存」東京理科大学 理工学部 物理学科 吉岡研究室:構造色の研究論文。非常に難解です。「構造色(こうぞうしょく、英語: structural color)は、光の波長あるいはそれ以下の微細構造による、分光に由来する発色現象を指す。」Wikipedia。それ自体は色を持たないか別の色です。コンパクトディスクやシャボン玉、孔雀の羽、アワビの貝殻など。構造色の印刷やディスプレイも。
構造色とは:その物質自体には色がないのに,光の波長程度の微細構造によって発色する現象を構造色といいます.本講座では,発色原理が異なる様々な構造色を取り上げて,その発色原理を説明し,発色例を紹介します. テクノ・シナジー

 ミドリシジミとつくものは他に、ミドリシジミ、メスアカミドリシジミ、ウラジロミドリシジミ、フジミドリシジミ、ミヤマカラスシジミ、ハヤシミドリシジミ、アイノミドリシジミなどがいますが、このエリアでは最後の二種も見られます。

 水曜日ぐらいまで晴れの日が続く予報なので、たくさんのオオミドリシジミが羽化してくれるといいのですが。

 やっと翅を広げ始めてくれました。

 構造色なので見る角度により色味が少し変わります。それもまた美しい。まるでエメラルドかアクアマリンの様。森の宝石です。テリトリーの占有行動は、晴れの日の朝から始まり午前10時半頃に終了します。雨や曇の日には行いません。太陽が大好きなゼフィルスです。

 シジミチョウの多くは、この時期に羽化して産卵するため、農薬散布をすると簡単に絶滅してしまうのです。同時期に林道脇などの除草もされますが、食草であるイボタノキやクヌギやヤマザクラ、カシワの幼木や若木が切られると、大量の卵が死んでしまいます。

 ウラゴマダラシジミ。シジミチョウ科 シジミチョウ亜科のシジミチョウで、幼虫の食草はイボタノキで、成虫もイボタノキやクリで吸蜜するので、その近くで見られることが多い蝶です。イボタノキの花が散ってしまったので今は栗の木の花で吸蜜していると思われます。

 ミズイロオナガシジミがいました。マクロレンズなのでかなり接近しますが、近づくとにじにじと回転してお尻を向けるのです。かといって飛び去るわけでもありません。理由はよく分かりません。恥ずかしがり屋なのかも。

 撮影に疲れたので陣場平へ。かなりの豪雨があったにもかかわらず、貝母はけっこう立っています。冷たいたんぽぽコーヒーを飲みながら一休み。サンコウチョウが鳴いています。エゾハルゼミやハルゼミは少なくなりました。

 貝母(ばいも:アミガサユリ)の実もずいぶんと枯れてきました。さく果なので、晴れの日が続くと弾けて種を飛ばします。

 キボシアシナガバチ(スズメバチ科)です。巣の出入り口の部分が黄色いので分かります。山歩きにはポイズンリムーバー(毒抜き用具)の持参を。刺されたときのために、抗ヒスタミン軟膏を。毒を絞り出してからぬります。前脚で顔を拭ったり、胴を曲げて何かをしています。

 昼近くに下山しましたが、森の中は過ごしやすい気温です。山菜を採りに来た夫婦に二組ほど出会いました。妻女山展望台からの北アルプス白馬三山の眺め。右奥に虫倉山。手前に茶臼山。

 左に戸隠連峰。三角の戸隠富士と呼ばれる高妻山。右に飯縄山。眼下の長芋畑は種芋の植え付けが終了しています。緑に見えるのは耕作放棄地です。この10年でずいぶん増えました。自公政権は食料安保には全く関心が無いようです。兵器があっても食料が無ければ国民は飢え死にます。

 汗をかいたので温泉に入ってからあんずの里へ。あんずの出荷が始まりました。直売所やJAスーパーの産直売り場、ネットでも買えます。近隣の和菓子屋や洋菓子屋では杏を使ったスイーツが並んでいます。

 これは生食用のハーコットでしょうか。まだ完熟していませんね。4-5センチもある大きな実です。7月に入ると熟れて落ちた実があちこちに。集落はあんずの甘酸っぱい匂いで満たされます。

「淡竹と自家製ベーコンのピラフ」淡竹もそろそろお終いです。鯖の水煮缶詰の味噌汁、和風と中華の炊き込みご飯、淡竹のおやきを作りましたが、最後はピラフです。材料は茹でた淡竹、自家製ベーコン、鶏胸肉。新玉葱。コンソメ顆粒、白トリュフの白出汁醤油、マジックソルト、白ワイン、バターで炊き込みます。すごく簡単ですが、これも絶品でした。淡竹と自家製ベーコンの風味が最高のマリアージュ。

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米子大瀑布への道が3年半ぶりに開通! 梅雨時、真夏、錦秋、初冬のトレッキングルポ。梅雨の滋味を喰らう(妻女山里山通信)

2023-06-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
 2019年10月の台風19号で道路が崩壊し通行止めになっていた長野県須坂市の米子大瀑布(よなこだいばくふ)への道が3年半ぶりに開通しました。米子大瀑布は、根子岳、四阿山、浦倉山が形成する大カルデラの最北部の秘境にあります。権現滝(男滝:落差82m)と不動滝(女滝:落差89m)の二条の大瀑布が迎えてくれます。古くから不動信仰、山岳信仰の聖地として有名です。また、主に硫黄を産出する鉱山としても古くから知られていました。
 米子鉱山の起源は古く、江戸初期ともいわれています。日本三大不動尊の一つ米子不動尊(瀧澤山家原院如来寺→米子瀧山威徳院不動寺)は、奈良時代に行基により開山された古刹といわれています。また、奇妙滝のある奇妙山は仏教用語の「帰命」が転訛して奇妙となったもので、木食信仰遺跡があることからも、深山でありながら人の出入りはかなりあったと考えられます。8世紀の「続日本紀(しょくにほんぎ)」に、当時信濃国から朝廷へ石硫黄の献上があったことが記されているのですが、これは米子鉱山のことと推察されます。
 米子大瀑布へは、80年代に初めて訪れてから7、8回行っていますが、最近の3回のルポを紹介します。アンダーラインのある記事のタイトルをクリックしてください。観光地と勘違いして軽装で来る人がいますが、トレッキングシューズ、帽子、雨具、充分な飲み物、非常食が必須です。携帯は通じないと思ってください。早出早帰が基本。また、熊や猿などの生息地です。

信州最古の不動霊場・日本三大不動尊の米子不動尊からレンゲツツジ満開の米子大瀑布へ(妻女山里山通信):2019年6月の山行。梅雨の晴れ間の大瀑布。


日本のギアナ高地、米子大瀑布へ。薄雪を踏んで幻のソブ池へ(妻女山里山通信):2017年11月の山行。薄雪の大瀑布。


錦秋の米子大瀑布へ。瀑布の上にある幻のソブ池探索も。「続日本紀」に記述のある米子硫黄鉱山(妻女山里山通信):2015年10月の山行。錦秋の大瀑布。


【信州の山】四阿山カルデラ一周 Mt.Azumaya from The Yonako falls in Nagano
米子大瀑布-根子岳-四阿山-浦倉山-米子大瀑布【四阿山カルデラ周回コース】約23キロ10時間のロングコース。:2010年8月の山行。ハイビジョンです。ぜひフルスクリーンでご覧ください! 拙書でもこのコースは、写真と地図と文章で詳しく紹介しています。大瀑布から根子岳や浦倉山方面への登山道が登山可能かは未確認です。須坂市役所にお問い合わせください。


 前の記事の最後で紹介した淡竹(はちく)ですが、「砂肝と淡竹の中華炊き込みご飯」を作りました。材料は、砂肝、茹でた淡竹、長ネギ。調味料は、中華醤油、牡蠣油、中華出汁、味醂、鰹出汁、五香粉、胡椒。淡竹は信州新町道の駅やJAの産直コーナーで買えます。ボリュームあって安いのが魅力です。鯖の水煮缶詰との味噌汁が有名ですが、若竹煮、炊き込みご飯、天ぷらや肉詰めやエビや白身魚のすり身を詰めてフライも美味です。

「淡竹と新玉葱と牛豚合いびき肉のおやき」味付けは、手作り信州麹味噌、鰹出汁粉、牡蠣油、胡麻油。皮は、夢力と幻の小麦・伊賀筑後オレゴン。両面に胡麻油で焼き目をつけてから20分蒸してできあがり。ビジュアルは地味だけれど、餡も皮も想像以上の旨さ。手が止まらない。伊賀筑後オレゴンを食べたら小麦粉に対する考えが変わるかもしれません。

「浅間山とカブの煮物」新潟県十日町市の名産車麩の両端のはじ麩と甘いカブを鰹出汁、貝出汁、手作り塩麹、干し椎茸、昆布、薄口醤油、本味醂で煮ました。噴火口には卵。締めには汁でお茶漬けに。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、商用利用の場合、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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イボタノキで吸蜜するウラゴマダラシジミ。ゼフィルスの季節到来。ウスバシロチョウやヒメウラナミジャノメも(妻女山里山通信)

2023-06-05 | アウトドア・ネイチャーフォト
 ウスバシロチョウが例年より早く出現したのでウラゴマダラシジミも早いだろうと妻女山山系へ。ウラゴマダラシジミは幼虫の食草がイボタノキなので、その群生地へ向かいました。いよいよゼフィルスの季節到来です。そういえば家を出ようとしたら、ガラス戸の縁にクジャクチョウが止まっていました。

 ほぼ満開のイボタノキの花で吸蜜する一頭のウラゴマダラシジミを発見。せわしなく吸蜜する様子を連写しました。昨年より5日、例年より10日ほど早い出現です。

 順番に花から花へと吸蜜して行きます。

 ウラゴマダラシジミ(裏胡麻斑小灰蝶)は、シジミチョウ科ミドリシジミ亜科。やや大型のシジミチョウで、翅の裏の縁に沿って二列の黒胡麻状の紋があり、それが名前の由来です。

 下側の花へ移動中。こういう時でもないと丸めた口吻はなかなか見られません。

 一番下の花を吸蜜。この後、二頭のウラゴマダラシジミがやってきました。

 ウスバシロチョウもやってきました。他にはたくさんのセイヨウミツバチやハナアブたちも。隣のクヌギの花穂にはチャイロスズメバチも。

 陣場平へ移動して見つけたのはヤマトシリアゲ。2億5000万年前のベルム期から生息していた古い起源の昆虫。青虫や毛虫を捕まえて体液を吸います。

 小さすぎて肉眼では確認できなかったのですが、拡大してもこれがなんの死骸か分かりません。セミのような長い口吻が見えます。頭部が手前に折れています。長い口吻と2本の触覚が特徴。黒白のまだら模様。グーグルレンズで調べると、カメムシ、ツノゼミ、ゾウムシが出てきました。まだ決定的な種が見つかりません。未同定。どうやらナガゴマフカミキリの様です。以前撮影したものと比べてみると間違いないと思います。

 おそらくイオウイロハシリグモの死骸。何に襲われたのでしょう。

 ヒメウラナミジャノメ(姫裏波蛇目)タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科。食草はイネ科のススキ、チヂミザサなど。

 ヤブヘビイチゴ(藪蛇苺)。イチゴはそれ自体は偽果で痩果(そうか)。本当の果実は表面の粒々。無毒ですが無味無臭。中国では、ジャモ(蛇苺)といい全草を熱、咳、のど、痔の薬。抗がん活性作用もあるらしい。

 川中島の戦いで上杉謙信の本陣と伝わる陣場平。貝母は先週末の大雨でずいぶん倒れましたが、まだ立っているものも。サンコウチョウ、ウグイス、シジュウカラ、ホトトギス、ガビチョウなどの鳴き声がします。

 中央にあるクマノミズキの実。球形になり、秋には紺色から黒へ。多くの鳥や昆虫の餌になります。

 貝母(ばいも)の葉や茎は枯れても実はまだ緑です。梅雨明け頃には実も枯れて割れて種が弾き飛びます。

 イボタノキで吸蜜するヒメウラナミジャノメ。

 イボタノキに頭を突っ込んでいるのは、クロハナムグリ。初めて撮影しました。いやそんなことはないですね。ただかなり久しぶり。

 ミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽)の赤い実があちこちで見られます。渋みはなく甘い実です。

 スイカズラ(吸葛)。冬を耐え忍ぶことから忍冬(にんどう)とも。白い花が黄色に変わることから金銀花ともいいます。花をたくさん摘んで作る忍冬酒には、利尿作用があり、膀胱炎、腎臓病、各種の皮膚病、強壮に効くそうです。

 ヤマホタルブクロ(山蛍袋)キキョウ科ホタルブクロ属。昔、ホタルを入れて遊んだからの名前だそうですが、本当かなと思っていたら、生前父が子供の頃そうやって遊んだと聞いて、へえ!って納得しました。

 妻女山展望台裏の四阿から望む右に茶臼山。その右奥に虫倉山。北アルプスの白馬三山は霞んでいます。今週末には梅雨入りするでしょうか。

 信州の筍というと根曲がり竹が有名ですが、産地は飯山、高山、信濃町や戸隠と山間部です。長野市や千曲市の里山や麓では淡竹が採れます。根曲がり竹より太く、アク抜きが不要なので大人気です。信州新町道の駅やJAスーパーの産直売り場で買えます。ボリュームあって安いのが魅力です。やはり鯖の水煮缶詰との味噌汁が有名ですが、若竹煮、炊き込みご飯、天ぷらや肉詰めやエビや白身魚のすり身を詰めてフライも美味です。ひとつ前の記事にこの時期の山菜料理を6品載せています。ご覧ください。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、商用利用の場合、有料でお使いいただけます。

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スフラギスをつけたウスバシロチョウ。ミナミヒメヒラタアブ、ダイミョウセセリ、コミスジ、アカサシガメ。実山椒の煮物、淡竹の若竹煮(妻女山里山通信)

2023-05-30 | アウトドア・ネイチャーフォト
 はしり梅雨の様な天気が続く毎日。晴れの日が貴重な5月というのも珍しいのですが、そんな晴れの日が週末続いたので妻女山山系へ撮影にでかけました。キバネツノトンボの撮影が主でしたが、その他の昆虫もあちこちで活発に活動を始めました。北九州から東海は異例の早さで梅雨入りした模様。スーパー台風2号で災害がないといいのですが。キバネツノトンボの記事は、一つ前と二つ前にあります。産卵シーンがご覧いただけます。

 ハルジオン(春紫苑)で吸蜜中のメスのウスバシロチョウ(薄羽白蝶)。交尾を終えた印である三角のスフラギスをつけています。スフラギスはラテン語でシールの意味で、交尾を終えるとオスは多量の粘液を出してメスの交尾口を塞ぎます。そうして他のオスと交尾できないようにするのです。精子は精子包につつまれて挿入されます。精子の入る口と産卵の出口は別なので、産卵の妨げにはなりません。スフラギスは日本語では、交尾嚢・受胎糞・封減片・貞操帯などと表記します。作り方ですが、後部は穴が空いているので前方から左右に交互に壁を作っていくものと思われます。できればその動画が見たい。またスフラギスの成分を知りたいものです。
ウスバシロチョウの複数回交尾とスフラギスについて:寺 章夫

 あまりに小さいので、撮影するよりまず発見するのが難しいミナミヒメヒラタアブ。体長は8−9ミリ。これは複眼の間が離れているのでメス。胴も平べったく広いのが特徴。オスは細い丸胴です。幼虫はアブラムシを食べます。

 長い下口式の口器(唇弁)を出してハルジオンで花粉を吸っています。黄色い筒状の花弁には蜜が含まれています。動きが細かく素早いので撮影が大変です。撮影中は息を止めています。

 ハルジオンで口吻を差して吸蜜するダイミョウセセリ(大名挵)。イボタノキやスイカズラ、オカトラノオなどでも吸蜜します。食草はヤマノイモなどの葉。

 コミスジ(小三條)。羽ばたきと滑空を繰り返し軽やかに舞うチョウ。幼虫の食草はクズ、フジ、ハギ、ニセアカシアなどのマメ科植物。冬は3齢幼虫で越冬します。人の気配に敏感で、なかなか容易に撮影させてくれません。

 アカサシガメ(赤刺亀)。餌は小さな昆虫で体液を吸います。主にハムシの仲間を捕まえますが、時には自分より大きなコオロギを捕まえて体液を吸うこともあります。不用意につかむと刺されることがあります。

 川中島の戦いで上杉謙信の本陣となった陣場平。貝母(ばいも・編笠百合)は枯れていますがまだ倒れているものはわずかです。歴史マニアの人達が訪れました。ウスバシロチョウの撮影に来た人も。山蕗を採りに来た人達も。サンコウチョウやヒヨドリ、シジュウカラなどの鳴き声がしますが、特定外来生物のガビチョウの鳴き声も。

 枯れた貝母を伝ってアカネ(茜)が上へ上へと伸びています。アカネは万葉集にも詠われていますが、古くから根が草木染に使われてきました。その夕焼けを思わせる茜色は実に魅力的な色合いです。煮出した液に布を浸し、ミョウバンで媒染します。
「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」 額田王  萬葉集1巻20
「あかねさす 日並べなくに 我が恋は 吉野の川の 霧に立ちつつ」 車持千年 萬葉集6巻916


 陣場平入り口に設置したインセクトホテル。この間はベニボタルの仲間が来ていました。

 ウスバシロチョウが日向ぼっこ。陣場平は有害帰化植物のハルジオンは全て抜いてしまうので吸蜜できませんが、林道脇のものは残してあります。

 ヤブヘビイチゴ(藪蛇苺)が咲いているのですがウスバシロチョウは吸蜜しません。ヘビイチゴは陣場平の日の当たる場所に、ヤブヘビイチゴは半日陰に見られます。葉は、ヤブヘビイチゴは先が尖り、ヘビイチゴは全体が丸い印象。果実はヘビイチゴに艶がなく、ヤブヘビイチゴにはあります。果実は無味無臭ですが無毒。解熱や神経痛の生薬として用いられます。

 サンショウ(山椒)の実が日当たりの良いところは大きくなってきました。昨年より1週間ほど早めです。実山椒を摘みました。

 イボタノキ(水蝋樹・疣取木)も早めに咲きだしました。モクセイ科イボタノキ属の落葉低木。別名は、トスベリノキ、カワネズミモチ。ウラゴマダラシジミの食草です。樹皮にイボタロウムシがつき、イボタ蝋(ろう)が取れ、家具の艶出しや日本刀の手入れなどに用いられます。材は決めが細かいので、楊枝や木工芸に使われます。

 キツネアザミ(狐薊)。アザミとつきますが、アザミではなくキク科キツネアザミ属の2年草です。消炎などの薬草です。古代に農耕と共に中国から渡来した史前帰化植物。江戸時代には、化粧道具に似ていることから狐の眉掃とか眉掃薊と呼ばれていました。

 採ってきた実山椒をコウナゴ(小女子・イカナゴ)とで、白出汁とあご出汁で煮ました。はじめに茹でこぼしてアク抜きをします。実山椒は京土産の縮緬山椒の佃煮が有名ですが、こんな風に薄味で煮付けるのも非常に美味です。山椒は、サンショオールなどの働きで血行構を良くし整腸作用があり、鎮痛、殺虫、解毒、嘔吐、腹痛、下痢、消化不良、寄生虫駆除などの効能があります。ただし、キサントキシンと呼ばれる麻痺成分が含まれているので過食は禁物です。だから痺れるのですけどね。昔訪れたアマゾンには「タカカ」という飲むと痺れる美味しいスープがあります。遠くジャングルが見える大河のほとりで屋台のタカカを飲んだ思い出は忘れられません。
 私達が食べている野菜は、本来野草や山菜だったものを品種改良して食べられるようにしたものです。野草や山菜は主に昆虫や動物に食べられないために有毒のものがほとんど。アクも食べられないための物質。栄養も豊富ですが毒も多いのです。ただ閾値(しきいち)というものがあり、ある量までは薬効がありそれを超えると有毒となります。野草や山菜を食べるには、正しい知識を得ることが大事です。

 淡竹(はちく)とワカメ(若布、和布、稚海藻)の若竹煮。淡竹はアク抜きが不要ですが、10分ほど茹でて置いておくとわずかなアクが取れます。今が季節のワカメと白出汁、ホタテ出汁で煮ます。そのままゆっくり冷ますと味が染み込み皐月の透き通った滋味の味になります。まだ筍があるので、筍ご飯は中華風にしようかなと思っています。

 山蕗も終盤。干しホタルイカやソフト鰊の煮物も堪能。他に無いかと思いついたのが山蕗とスルメの煮物。白出汁、炒り粉出汁、ホタテパウダー、アサリパウダーで煮てみた。実山椒も入れて。炙ったスルメが最高にいい仕事をしている。絶品。

「鶏と淡竹とウドの中華炊き込みご飯」鶏肉を中華醤油と牡蠣油に浸けておくのがポイント。干し椎茸、ニンジン、長ネギ。中華出汁、貝出汁、ごま油、多めのすりおろし生姜で炊きます。「淡竹と鯖の水煮缶詰と新玉ねぎの味噌汁」自家製味噌が肝。北信の郷土料理。淡竹は採ってすぐならアク抜きが不要ですが、買ってきた場合は茹でてしばらく置くとアクが抜けます。根曲がり竹の半額ぐらいです。細いものもありますが、根曲がり竹の倍以上の太さのものもあります。ひき肉や、魚やエビのすり身をつけてフライにすると美味です。

「淡竹と鯖の水煮缶詰と新玉ねぎの味噌汁」をたくさん作ったので、翌日は煮込みうどんに。うどんは友人が育てた幻の小麦「伊賀筑後オレゴン」で手打ちうどん。信州の善光寺平から上田にいたる間の千曲川の沿岸で、大正時代から戦後まで作られた人気の小麦でした。三重県伊賀上野市の農林省関西試験場が、筑後平野で作っている小麦と、アメリカ西部のオレゴン州の小麦を交配して作った硬質小麦です。日本の小麦は、軟質小麦。アメリカのオレゴン種はグルテンが多い硬質小麦です。この二つを交配して作られたのが伊賀筑後オレゴン種で、準強力粉です。わが家でも父が昭和30年代半ばまで作っていました。

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キバネツノトンボの産卵ラッシュ。16都道府県でレッドリスト(絶滅危惧種)に指定されている希少な昆虫。産卵孔から卵が出て産みつける動画もアップ(妻女山里山通信)

2023-05-27 | アウトドア・ネイチャーフォト
 最高気温が28度の週末。貴重な晴れの日、キバネツノトンボの産卵が見られるのではと妻女山山系へ。予想以上の産卵ラッシュに遭遇しました。トンボの仲間ではなく、アミメカゲロウ目ウスバカゲロウ科ツノトンボ亜科の昆虫です。2日前にカッコウの初鳴きがありました。貝母の陣場平では特定外来生物のガビチョウがやかましいほどに鳴いています。市からは毎日の様に熊の目撃情報が流れます。淡竹の筍の時期なので下りてくるのです。熊鈴とホイッスルを忘れずに。

 一匹のキバネツノトンボのメスが、産卵する茎を探して飛び回っています。細いと自分の体重で曲がってしまうし、太いと卵を産みつけにくいのでしょう。10分ほど探し続けていました。曲がってしまうだめな細い茎に何度も来るのは可愛そうでした。腹部は卵でパンパンに膨れています。触角の先の丸い玉が可愛らしい。どういう機能があるのでしょう。

 やっと最適なメリケンカルカヤ(米利堅刈萱)を見つけると産卵を始めました。

 前回遭遇した個体に比べると産卵する速度は少し遅めです。

 産卵孔から卵が出てくる瞬間。

 下から上に産みつけていき、腹部の曲がりが限界になるとにじにじと上に登り、また産卵を始めます。

 複眼の反射の模様は拡大するとダビデの星の様な形が見えます。昨年の記事で拡大写真を載せました。
キバネツノトンボ。体の構造と生態を観察する夏日の草原。複眼にダビデの星? 16都道府県でレッドリストに指定されている昆虫(妻女山里山通信)

 産卵が終わった様です。16分かかって67個の卵を産みました。

 すごくきれいに産みつけられています。皆無事に孵化してくれるといいのですが。

 2分ほど休んで近くの茎に移って休憩中。

 別の植物に少し大き目のメスがやってきて止まりました。どこかで産卵を終えた後なのでしょうか。

 すると別の茎で産卵をしているメスがいました。

 花穂の直前で産卵が終了しました。60個産みました。

 やはり別の茎に移って休んでいます。帰ろうとしたら別のメスがやってきて産卵する茎を探し始めました。観察したかったのですが、炎天下の撮影でクラクラしてきました。熱中症になっては大変なので下山しました。これ以外にスフラギスをつけたウスバシロチョウや、極小のミナミヒメヒラタアブなども撮影したのですが、別の記事で紹介します。

産卵するメリケンカルカヤを探すキバネツノトンボのメス。(YouTubeで、ハイビジョン・フルスクリーンで見ることをお勧めします。最大2160p 4kで見られます)


キバネツノトンボの産卵 vol.01


キバネツノトンボの産卵 vol.02


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キバネツノトンボの産卵。16都道府県でレッドリスト(絶滅危惧種)に指定されている希少な昆虫。動画もアップ(妻女山里山通信)

2023-05-23 | アウトドア・ネイチャーフォト
 16都道府県でレッドリスト(絶滅危惧種)に指定されている希少なキバネツノトンボ(黄翅角蜻蛉)の産卵に遭遇しました。交尾期は早々と終えてオスは姿を消しました。やはり昨年より10日ほど早かった様です。産卵は11分に及びました。貴重な産卵シーンの数々を撮影することができました。

 一匹のキバネツノトンボが飛び回っていました。あちこちのメリケンカルカヤ(米利堅刈萱)に止まってはすぐに飛び立つことを繰り返しています。止まった個体を見るとメスです。しかも腹部が大きく膨らんでいます。ひょっとして産卵する草を探しているのかなと思いました。

 トンボといいますが、実はアミメカゲロウ目ウスバカゲロウ科ツノトンボ亜科の昆虫。大きな目のその愛くるしい姿は、一度見たら忘れられません。絶滅危惧種ですが、長野県ではあちこちに生息地がある様です。それだけ信州は自然環境がいいということなのでしょう。

 10分ほどあちこちを飛び回って産卵場所を探していましたが、1本のメリケンカルカヤに決めた様です。

 1分ほどジッとしていました。目の反射の文様と、翅の翅脈が面白い。黄と黒のツートーンもお洒落。実に魅力的な容姿をしています。

 突然産卵を始めました。

 茎に産み付けられた卵が粘性のある糸を引いています。これが接着剤なのでしょう。産卵孔もよく見えています。

 茎の右左に交互に産卵していきます。

 卵を二列に産んでいきます。卵が茎から少し離れてしまうと。

 尾部を器用に動かして直しました。お見事。卵を茎に産みつける時に、尾部を細かく動かして卵を固定させていますが、その様子は下の動画で見られます。

 茎の穂先の方まで産み付けています。茎のどこから産みつけていくかも計算しているのでしょう。

 こんな風に二列に産みつけました。離れた部分もバラけずに繋がっています。茎は花穂もあってデコボコしているのですが、巧みに産みつけています。

 産卵が終わった様です。11分かかりました。卵は31個✕2列で62個でした。お腹もしぼんでいます。お疲れさん。卵が無事に孵化できるか観察をしたいと思います。

 茎の上側に登りました。

 約3分の休憩の後に翅を広げて飛び去りました。卵が孵化するのに30日ほどかかるそうです。蟻地獄に似ている幼虫は、孵化すると地面に落下し肉食なので餌を求めて徘徊する様です。幼虫の期間は不明とか。謎の多い昆虫です。
 今回はオスを撮影できませんでしたが。昨年撮影したオスの記事です。
キバネツノトンボ。体の構造と生態を観察する夏日の草原。複眼にダビデの星? 16都道府県でレッドリストに指定されている昆虫(妻女山里山通信):尾部に丸いハサミを持つオス。複眼のダビデの星は不思議。

キバネツノトンボの産卵



 ほかの茎に産みつけられた卵塊。傷ついたものもあります。全部が無事に孵化することはないでしょう。アリやカメムシなどに見つかると全滅することも考えられます。


 ハナニガナ、ハルジオンなども咲く妻女山松代招魂社。クマバチのホバリングの羽音が響きます。

 善光寺平は黄砂で霞んでいます。

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サンコウチョウやシジュウカラがさえずる妻女山陣場平で貝母の球根の移植作業。オオブタクサなど帰化植物の抜き取り。ベニボタル、虫こぶ(妻女山里山通信)

2023-05-19 | アウトドア・ネイチャーフォト
 今回の妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業は、陣場平で貝母の球根の移植作業がメインです。気温は23度ぐらいですが前日かなり雨が降ったので蒸し暑い。ただ五月蝿いクロメマトイや藪蚊がいないのが幸いでした。

 東の斜面の下側に生えている貝母を掘り起こします。今回運搬用に一輪車をN氏が持ってきてくれたので作業がはかどりました。

 以前私がエノコログサ(猫じゃらし)を掘り起こした穴に貝母を移植していきます。

 貝母の群生地はかなり枯れて黄色くなってきました。ウスバシロチョウが十数頭舞っています。

 樹上からサンコウチョウやシジュウカラの鳴き声が聞こえます。それよりけたたましくハルゼミとエゾハルゼミが鳴いています。

 植えたら土を周りにかぶせて足で踏み固めます。移植した貝母は来年咲きます。

 今年は全体で昨年の約半分ほど、30数株を移植しました。種は西へ飛ぶので、7、8年後には積石塚古墳の方まで貝母で埋め尽くされるかもしれません。移植作業は1時間半ぐらいで終了。

 陣場平中央にある大きなクマノミズキの太い枯れ枝を切ります。

 足場が悪くて危険なのでチェーンソーではなく手鋸で。

 作業を終えて小休止。鞍骨山方面へ二人登っていきました。尾根筋は風があって気持ちいいでしょう。

 休憩後は、出始めたオオブタクサを抜いてもらいました。里山保全はこういう地味な作業が大事です。

 これが有害帰化植物のオオブタクサ。大きくなると3mぐらいになります。根から他の植物の成長を妨げる物質を出すので放っておくとオオブタクサだらけになってしまいます。葉の先が3つに別れているのが目印。

 有害植物ではありませんが、ヒカゲイノコヅチも株になると貝母が生えなくなるので、適宜除去します。

 メンバーが、これ何の実?と言うので見ると、クヌギの幼木に、ナラメリンゴフシ(楢芽林檎五倍子)。ナラリンゴタマバチによって作られた虫コブ(虫えい・ゴール)です。ナラメリンゴタマバチ(雌)が交尾後、コナラの根に楢根玉五倍子(ナラネタマフシ)を作ります。そこから冬に羽化した雌が単性生殖でコナラの冬芽に産卵し、それがこのような五倍子(フシ)を形成するのです。形成されたフシは卵の揺りかごであり幼虫になっては餌となります。コナラの冬芽をこんな風に変形させてしまうのですから恐るべしかなナラリンゴタマバチ。タマバチのタマとは、このリンゴ状のフシのことです。
 虫コブは古くから利用されてきました。マタタビはマタタビミミタマバエの作る虫コブができて初めて価値あるマタタビ酒になります。また、ヌルデ(白膠木)の若芽や若葉などにヌルデシロアブラムシが寄生してできる虫こぶ(ヌルデミミフシ)は、お歯黒、染め物、薬、インク、占いなどに使われてきました。特に染料は、空五倍子色という伝統色で、古代より(正倉院にあり)珍重されてきました。
 虫コブは、物理的刺激や植物の生長を促進する物質(植物ホルモンやアミノ酸など)により形成されますが、現在は人工的に虫コブを作る研究もされています。しかもフシはなにも虫だけによってつくられるのではなく、ダニ類、線虫類、細菌、菌類によっても作られます。ですから虫コブや虫えいよりは、英語のGALL(ゴール)といった方が適切かもしれません。もっとも、植物寄生菌類の多くは果樹や野菜に多大な被害をもたらすものばかりですが。現在、日本では1400種以上のゴールが見つかっています。実に奥が深い世界です。

 林床に妖しく咲くマムシグサ(蝮草)。サトイモ科テンナンショウ属の多年草。薬草で毒草ですが野草好きの園芸家が好む花です。

 インセクトホテルに訪れたお客様は、ベニボタルの仲間。コウチュウ目ホタル上科ベニボタル科に分類される甲虫ですが、黒い斑点がある種は初めて見ました。未同定。

 クヌギの倒木におびただしい数の羽蟻。羽が大きいことや頭と胸部の色や形から、ヤマトシロアリでしょう。

 皆にアリノスアブを見てもらいました。すぐ上や右上に小さな穴がありますが、アリノスアブが開けたものです。ミネラルや塩分補給のために泥を舐めているのでしょうか。不思議です。

 昼は堂平大塚古墳のログハウスを借りて。まず雑巾でテーブルと椅子をきれいに拭きます。クマバチが二階の横の丸太に下から穴を開けて巣を作っていました。

 今回は各自おにぎりとおかずを持参。人数も少ないので火は使いません。ニラのおやき、鶏の燻製、カブのポン酢しょうゆ、鰊と干しホタルイカと山蕗の煮物、実山椒の佃煮、淡竹の煮物、手作りチャーシュー、鶏のピリ辛炒め、イカのピリ辛炒めなどとノンアルコールビール。次回は状況を見て除草作業をします。

 絶滅危惧種のキバネツノトンボの産卵シーンの撮影に成功したので次の記事でアップします。動画もあります。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、商用利用の場合、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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ウスバシロチョウが十数頭舞う陣場平では貝母の実がたくさん。コアシダカグモの保育園。やはり不思議なアリノスアブ(妻女山里山通信)

2023-05-17 | アウトドア・ネイチャーフォト
 最高気温が32度の予報の中、妻女山の陣場平へ。近々行う妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業の準備と段取りを決めるためです。下界は真夏並みでしたが湿度が低く山上は18度。ただ直射日光はきつく、日向での作業は無理でした。体がまだ暑さに慣れていません。

 陣場平の下の入口近くになぜか、テッセン(鉄線/鉄仙)キンポウゲ科センニンソウ属でクレマチスの原種。原産地は中国。ただ花弁状の萼片が8枚なので、日本原産の風車(カザグルマ)でしょう。毒草です。なぜここに1株だけあるのでしょう。しかし、我家の庭にも植えた覚えがないのに同じテッセンが咲いています。小さな蜘蛛がいますね。

 ハナニガナで吸蜜中のヤマトシジミ(大和小灰蝶)シジミチョウ科ヒメシジミ亜科ヤマトシジミ属。顔や目にまで花粉がついていますね。幼虫は、カタバミを食べます。東京の都市部や郊外でも普通に見られるゼフィルス。信州では、成虫は4月から11月に見られ、年に5~6回程度発生。似たルリシジミより斑紋が濃く、目が灰褐色で小さな黒点があり、黒い目のルリシジミと区別できます。

 ハルジオンで吸蜜中のウスバシロチョウ。妻女山山系のあちこちでたくさん舞っています。氷河期の生き残りで毛深いのですが、暑さには強いのでしょうか。

 ミヤマセセリ(深山せせり:Erynnis montanus)はセセリチョウ科セセリチョウ亜科ミヤマセセリ属。セセリという字は難しいのですが、手偏に弄という字で、つつくとか穿(ほじ)るという意味です。セセリチョウの中で最も早く春に出現するチョウ。食草はコナラなので、コナラの芽ぶきに合わせて繁殖行動をします。

 貝母群生地のある陣場平。第四次川中島の戦いで上杉謙信が本陣としたと伝わる場所ですが、兵どもが夢の跡。ウスバシロチョウが十数頭舞っています。ハルゼミとエゾハルゼミの合唱が響きます。サンコウチョウとシジュウカラの鳴き声も樹上から響きます。日陰は快適です。

 今年も貝母の実がたくさんなりました。ミツバチやハナアブに感謝です。ラウンドアップや草退治などのネオニコチノイド系農薬を使うと彼らは全滅します。欧米ではすでに製造販売が禁止されているベトナム戦争の枯葉剤由来の農毒を日本はまだ売っているのです。農薬、除草剤、殺虫剤などは雑草や害虫を殺しますが、人も殺します。

 通常貝母の花は花びらが6枚、雄しべが6本なんですが、7〜9のものもあります。ところが実になると全て6つのヒレを持つのです。これが不思議。

 貝母の葉先におそらくコアシダカグモの保育園。この状態を団居(まどい)といいます。徘徊性のクモで巣を作らないのですが、赤ちゃんのためにこういう糸の保育園を作るのです。コアシダカグモの餌はゴキブリ、ハエ、蚊などで有益なクモなんです。

 それで指先でちょっと触れてみました。「蜘蛛の子を散らす」という状態です。しばらくすると戻ってきます。もう少しするとバルーニングといって、草木にのぼり、糸を垂らした状態で風に吹かれます。この糸を切ることで、風に乗って飛んで別の地域へ散っていくのです。

 貝母の茎の上からヒカゲイノコヅチの葉の上に突然ガガンボが落ちてきました。何かに襲われたのかな。マダラガガンボの一種の様です。ガガンボは、ハエ目(双翅目)カ亜目(長角亜目)ガガンボ科で大蚊(蚊ヶ母)と書きます。蚊の仲間ですが吸血しないので害虫ではありません。人にも有害な殺虫剤など不要。掴むと脚が簡単にもげてしまいます。

 ヘビイチゴの花。春のバラ科の黄色い花は似たものが多いので同定が大変です。近くにはキジムシロもありますがまだ咲いていません。

 アリノスアブの一種と思われる昆虫が集まる場所へ。体長が8ミリぐらいで小さく動きが素早いので撮影は大変です。こちらはメスか。

 こちらはオスか。観察していると激しく細かに顎を動かしていて、やはり泥を舐めている様にしか見えません。水を飲むなら下に水たまりがいくつもあるし、土の壁に開けられた小さなたくさんの穴も説明できません。本当に不思議な生態です。アリノスアブはアリの卵を食べるはずですが。

 陣場平入り口に設置したインセクトホテル。どんな昆虫が来てくれるか楽しみです。

 サンショウの枝にカマキリの巣。色と形からオオカマキリの巣でしょう。もう孵化した後でしょうか。数百匹の赤ちゃんカマキリが生まれますが、生き残れるのは2、3匹。残りは他の昆虫に食べられてしまいます。カマキリの餌は、はじめはアブラムシなどで、成長するにつれてコオロギ、バッタ、チョウなどに変わっていきます。ときには自分より大きなニホンカナヘビなども捕食します。カマキリは交尾の後でメスがオスを食べる共食いが有名ですが、性成熟前のメスは動くオスを見ると餌と認識して食べてしまうそうです。交尾後も動くものを餌と認識してしまうとか。カマキリのオスに生まれなくて良かった。
 キバネツノトンボを一頭発見しましたが、捕食行動で飛んでいるばかりで止まってくれません。来週にはもっと現れるでしょう。

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ウスバシロチョウの不思議なバトル。生態が不明なアリノスアブの一種。ヒレアザミ、オオアマナ、ニセアカシア、絶滅危惧種のギンラン(妻女山里山通信)

2023-05-11 | アウトドア・ネイチャーフォト
  約1週間ぶりに妻女山陣場平へ。週末にかなり雨が降ったので林道が泥濘状態と心配しましたが、雨水を逃がす溝をいくつも掘ったために難なく登れました。しかし落枝がすごく5回ほど停車して除去しました。撮影の前にまず貝母群生地の保全作業。出始めた外来有害植物のオオブタクサやハルジオンを抜き取ります。寡占してきたヒカゲイノコヅチ(日陰猪子槌)も適宜除去します。 ヒカゲイノコヅチは薬草で、根は通経、鎮痛、利尿作用があり、月経不順,産後出血、腰痛や関節痛、リウマチ、神経痛、打撲、小便難渋などに用いるそうです。茎にイノコヅチクキマルズイフシという虫こぶができます。

 ヒレアザミ(鰭薊)が咲き始めました。茎には幅の広いひれがつき、その縁にも刺があります。ウスバシロチョウも好んで吸蜜する花です。

 オオアマナ(大甘菜)キジカクシ科オオアマナ属の多年草。明治時代に入った帰化植物が野生化したものの様です。別名は、ベツレヘムの星。毒草です。

 妻女山展望台裏の四阿から望む白馬三山。手前に茶臼山。右奥に虫倉山。麓には帰化した高句麗の豪族に由来する篠ノ井の市街。茶臼山中腹のリンゴも花はもう散っています。

 妻女山駐車場に咲くハリエンジュ(針槐:ニセアカシア)。北米原産のマメ科ハリエンジュ属の落葉高木。花は蜜が豊富で蜜源として有用です。葉、果実、樹皮は有毒で、棘が刺さると腫れてしびれが出るそうです。刺さったら抜いてステロイド軟膏を塗るといいとか。花は無毒で、天ぷらなどで食べられます。

 ハルジオンで吸蜜するテングチョウ(天狗蝶)タテハチョウ科テングチョウ亜科。天狗の鼻の様に見えるのは、下唇ひげ(パルピ)です。幼虫の食草はエノキなど。貝母群生地のもの以外のハルジオンはとても除去しきれません。

 桐の花が満開です。右奥は武田信玄のノロシ山。躑躅ヶ崎館まで狼煙で情報を送りました。約2時間で届いたとか。常時20人ほどが常駐していたといわれています。拙書でも紹介していますが、郭や空堀の遺構があります。

 陣場平へ。貝母は日に日に枯れていきますが、5月いっぱいは殆どは倒れません。実がついていない茎から倒れていきます。実がついている茎は枯れてもなかなか倒れません。実だけはまだ緑色です。やがて実も枯れると弾けて種を飛ばします。その時に東風(こち)が吹くことが多いので貝母は西へと増えていくのです。ウグイスやサンコウチョウ、シジュウカラやヒヨドリの鳴き声が聞こえます。メスグロヒョウモンのメスやクロアゲハも目撃しました。ベンチを白樫のものに新調しました。腰掛けて風景を眺めながら小鳥のさえずりを聞くと癒やされ、自然との一体感を得られると思います。今の季節、淡竹の筍を求めて子連れのクマが来ることがあるので、たまに大きな声や音を立てて知らせることも大事です。ニホンカモシカもやって来ます。

 貝母の実。約2センチほどですが、最終的には3センチぐらいになります。中心部が色濃く盛り上がっていますが、縦に種がぎっしり詰まっています。もうすぐメンバーを集めて貝母の球根の移植作業をします。オオブタクサなどの帰化植物の抜き取りも。里山保全は知識や知恵も必要で手がかかります。

 ウスバシロチョウの不思議なバトルを目撃しました。一頭が別の一頭に執拗に襲いかかっているのです。最初は交尾を迫っているのかなと思いましたが、なにか可怪しい。

 組んっずほぐれつして、結局掴まれていた一頭を置き去りにしてもう一頭は飛び去りました。残されたウスバシロチョウは前翅が折れています。どういうことなのでしょう。オス同士の縄張り争いなのでしょうか。不思議です。もし交尾を迫るオスならば、メスはまだ未成熟だったと思われます。
すったもんだのウスバシロチョウの交尾。交尾後にオスがメスにつけるスフラギス(受胎嚢)(妻女山里山通信):交尾は女性上位で行われメスが主導する感じです。アリに襲われオスを引きずって登っていく逞しいメス。交尾は2時間ぐらい続きます。

 土の斜面に穴を開けて土を食べている?アブ。2019年の記事でアリノスアブの一種かと書いたのですが、調べてもこんなアブは出てきません。妙に離れた複眼の間に3つの単眼があることからアブと分かります。体長は8ミリぐらい。毛深いアブですが、オスには腹部の背中に毛がありません。近づいても襲って噛むようなことはありません。この土面には小さな穴がいつくも開いているのですが、アリの巣ではありません。どう見ても土を食べて穴を開けているようにしか見えないのです。未同定の新種?
不思議なアブの続き。アリノスアブだろうと判明したのですが、これまた不思議な生態で頭クラクラ(妻女山里山通信):2019年の記事。不思議な青い虫も写っています。

 コミスジ(小三條)タテハチョウ科タテハチョウ亜科。滑空と羽ばたきを繰り返してワルツを踊るように軽やかに飛び回る蝶。幼虫の食草はクズ、フジなどマメ科の植物。人の気配に敏感で、なかなか撮影させてくれません。

 ギンラン(銀蘭)ラン科キンラン属。白い花は蕾ではなく、これでもせいいっぱい咲いている状態です。ギンランは、「菌根菌」という菌類と共生する特殊な生育形態をもっています。ギンランは特に菌に対する依存度が強く、「外生菌根菌」は特殊な土壌にのみ生息するため、この花を採取して移植しても家で育てる事は不可能です。環境省の絶滅危惧II類(VU)-2012年レッドデータ。

 作業と撮影の前に山蕗を採りました。ソフト鰊と干しホタルイカの煮物。山蕗は、ワラビ、ゼンマイ、ミョウガと同様に発がん物質が含まれるのでまず茹でてアク抜きをしっかりとします。流水で洗って自家製干し椎茸、昆布、鰹出汁、炒り粉出汁、本味醂、醤油で煮ます。ここでもアクを取って沸騰したら強火で5分、弱火で10分煮て冷まします。これを使って炊き込みご飯もできます。昔は大鍋で煮て常備菜として1週間以上食べました。山菜料理というのはまさに信州が舞台の映画『土を喰らう十二ヵ月』(沢田研二が主演を務め、作家・水上勉の料理エッセイ「土を喰う日々 わが精進十二カ月」を原案に描いた人間ドラマ)そのままです。

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ヒメオドリコソウで吸蜜するキアゲハ。成長する貝母の実。ガマズミ、シナノタンポポ、スミレ、コマユミ、イボタノキ、ハナニガナ、山藤(妻女山里山通信)

2023-05-04 | アウトドア・ネイチャーフォト
  最高気温が26度の長野市ですが、妻女山陣場平は昼近くで22度。日向は熱くても日陰は湿度も低く快適です。鞍骨に登る途中で二組ほど貝母を見に訪れました。次回の妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業は球根の移植ですが、それまでは他の里山へ撮影に行こうと思っています。

 ヒメオドリコソウで吸蜜するキアゲハ。ヒメオドリコソウ(姫踊り子草)は、ヨーロッパ原産の越年草。遠目ではそう見えませんが、アップにすると踊り子草だと分かります。

 春型のキアゲハは小型。遠目にはヒメギフチョウと見間違えることも。ウスバシロチョウも6頭ぐらい舞っているのですが、吸蜜する花がないために止まりません。ハルジオンやヒレアザミが咲くまでもつか心配です。

 貝母(編笠百合)は、下部から黄色く枯れていきますが、実がついているものは茎が枯れても倒れません。シジュウカラやヒヨドリ、オオルリらしき鳴き声も。賑やかになってきました。山蕗を採りました。今回はソフト鰊と煮物にします。

 貝母の実も順調に大きくなってきました。茶色いのはクヌギの花穂が枯れたもの。風が吹くと上から大量に降ってきます。

 登ってくる林道脇にたくさんガマズミの花が咲いています。今年も秋に真っ赤な実を摘んでガマズミ酒を作ろうと思います。

 ハリギリの若葉。若芽は美味しい山菜ですが、タラの芽と違い開いたら苦くて食べられません。春が早すぎて今年は食べ損ないました。

 シナノタンポポ(信濃蒲公英:在来種カントウタンポポの亜種)の種。強い風が吹くとフワフワと舞い上がります。

 コハコベ(小繁縷)だと思うのですが。ナデシコ科ハコベ属。ハコベは色々似た種類があって迷います。

 コマユミ(小真弓)の花。葉の縁に細かな鋸歯があります。落葉低木で秋にはマユミの様なでも小さな赤い実をつけます。

 イボタノキ(水蝋樹・疣取木)モクセイ科。これは蕾です。6月に咲く白い花は合弁花で、4裂します。秋に暗紫色の実をつけます。イボタノキには、蝋を分泌するイボタロウムシがつき、家具のつや出しに使われます。そのため水蝋の樹と呼ばれます。満開のイボタノキは、昆虫たちに大人気で、シジミチョウ、ヒョモンチョウ、コアオハナムグリ、コマルハナバチなどが訪れます。

 イカリソウ(碇草・錨草)の残花。メギ科イカリソウ属。別名は、三枝九葉草(さんしくようそう)、生薬名は、淫羊霍(いんようかく)で強壮剤などに。仲間には、トキワイカリソウ、ウラジロイカリソウ、キバナイカリソウ、距がないバイカイカリソウ、ホザキノイカリソウなど。

 タチツボとかエイザンとか上に何もつかないスミレ(菫)。妻女山山系では最後に咲くスミレです。

 ハナニガナ(花苦菜)キク科ニガナ属の多年草。茎の上部で枝分かれし、多数の頭花をつけます。

 ソメイヨシノの幹にウメノキゴケ。地衣類は、大部分は子のう菌に属する菌類なんですが、光合成ができないため菌糸で作られた構造の内部に藻類が共生して、藻類が光合成で作り出す合成産物によって生活しています。両者の間には高度な共生関係が成立しています。
 地衣類には、写真のような葉状地衣類。樹皮や岩の模様に見える痂状(かじょう)地衣類(固着地衣類)。枝状になって基質から立ち上がるコナアカミゴケなどのような樹状地衣類があります。おやきや天ぷらで食べられる珍味イワタケ(岩茸)も地衣類です。

 ヤマフジ(山藤)。マメ科の蔓性(つるせい)の落葉低木。蔓はフジとは逆の左巻き。花穂がフジの様に長くなりません。秋になる豆は煎って食べられます。はんなり甘く爽やかな味。

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白いステンドグラスの様なウスバシロチョウが舞う陣場平。ホタルカズラ、シュンラン、リュウキュウツツジ、シナノタンポポ(妻女山里山通信)

2023-04-29 | アウトドア・ネイチャーフォト
 ゴールデンウィーク初日は晴れ。在京時代はアート・ディレクターといえどもサラリーマンなので、家族を連れて深夜とか早朝に信州とかに出ましたが。観光地や名所は大混雑なので遠出しないのが帰郷してからの慣例です。花後の貝母の保全作業もあります。9時過ぎに陣場平へ。すでに鞍骨城跡に向かった人達がいたようです。

 なんとウスバシロチョウが1頭だけですが舞っていました。初見です。こんな早く目撃したのは初めてです。ウスバシロチョウ(薄羽白蝶)チョウ目アゲハチョウ科ウスバアゲハ亜科。別名はウスバアゲハ。アールヌーボーのステンドグラスのランプシェードのような翅は僅かに透けています。北欧から中近東の山岳地帯、ヒマラヤ、中央アジア高原などに棲息する北方系の蝶で、氷河期の生き残りです。そのため古典的な蝶といえるわけです。バタバタと羽ばたいて滑空するあまり飛ぶのが得意とはいえない様が、なんとも愛嬌があります。幼虫は、ムラサキケマン、ヤマエンゴサクなどを食べます。

 その幼虫の食草のシロヤブケマン(白藪華鬘)。結実し始めました。ムラサキケマンの白花で、花びらの先端が紫。全部真っ白なのはユキヤブケマンです。

 貝母の花はほとんど散り結実がたくさん見られます。ハナアブとミツバチ達に感謝です。いい仕事してくれています。ラウンドアップなどのネオニコチノイド系農薬を使うと、ハナアブやミツバチは全滅し農業が成り立たなくなります。原料のグリホサート剤も同様。発がん性が強く絶対に使ってはいけません。

 貝母の群生地にある苔むした倒木脇にアカネ(茜)の群生。染色に使います。ヘビイチゴは咲いています。もうすぐキジムシロも咲くでしょう。背後には山蕗が。小一時間採りました。干しホタルイカと煮物にします。大きくなったらソフト鰊と。土を喰らう十二ヶ月の滋味です。

 眩しい日差しに光る貝母。中央にウスバシロチョウが舞っているのが分かるでしょうか。5月中旬には数え切れないほど舞います。初夏の信州は、里山から高原まで本当に素敵です。ぜひおいで下さい。

 貝母の実。直径12ミリぐらいに育っています。最終的には30ミリぐらいになりホウセンカのように弾けます。

 前回エノコログサ(猫じゃらし)を除去した穴を掘り下げ、さらに移植用の穴を掘りました。土は柔らかいのですが、ノイバラの地下茎があってそれを切りながらの作業は腰に来ました。ここに移植します。弾けた種は西に飛ぶので向こうに見えるベンチまで群生は数年で増えていくことでしょう。

 試しに森の奥に散った株を移植してみました。小さな株なので球根もそう大きくはありませんが、来春には開花します。梅雨入りまでにメンバーを集めて2回ほど除草と移植作業をします。

 シロヤブケマンの葉にアカスジキンカメムシの5齢幼虫。背中が人の顔みたいで面白い。成虫になると緑に赤のラインが入って全く別のデザインになる変身昆虫。

 山蕗の葉にアシブトハナアブ。複眼が離れているのでメス。

 ホタルカズラが次々に咲き始めています。赤紫は蕾。

 シュンランはどうなったかなと行ってみたらまだ咲いていました。花期が長いのです。アリが訪問中。

 昼は堂平大塚古墳へ。純白のリュウキュウツツジが満開です。300年前ぐらいに作られた園芸種のツツジ。北アルプスを眺めながら、小鳥のさえずりを聞きながらまったりとランチタイム。

 米が切れそうなので籾米をもって精米のために下山します。12キロ200円。道すがら咲き始めたクサノオウ。(瘡の王) ケシ科クサノオウ属。別名は、皮癬草(ひぜんくさ)。生薬名は、白屈菜(はっくつさい)といいますが、非常に毒性が強いものです。瘡(くさ)・丹毒(たんどく)・湿疹を治す薬効があるために、くさ(瘡)の王と呼ばれるようになったとか。茎は中空で、折ると白汁が出て、橙黄色に変化します。花に触らないように。
 以前遠足の子供達が触っていたので先生に話したら、子供達に話してくださいと言われて拙書を見せながら妻女山山系の自然を分かりやすく話したことがあります。
 花にヤブキリ(藪螽蟖)の幼虫がいます。幼虫の頃は、花粉や花弁を食べ、成長すると肉食性になり昆虫を捕らえて食べるようになります。

 シナノタンポポの群生ですが、ここだけ茎が赤いのはなぜでしょう。シナノタンポポ(信濃蒲公英)在来種カントウタンポポの亜種で、ともに染色体数が2倍体なので受粉しないと種子ができません。外見上は、写真のように総苞片全体の大きさが太く、外総苞片と内総苞片の先端の小角突起とが全く無く、緑色した外総苞片と内総苞片の色の濃さが薄いなどの特徴があります。

 妻女山展望台から望む北アルプスの白馬三山。手前右に茶臼山。その右奥に虫倉山。いずれも自然豊かな歴史ある里山で、切所でも詳しく紹介しています。今夜から明日の午前中は大荒れになりそうです。北アルプスなどに登っている人は早めの避難を。2000m以上は冬山です。里山も強風時は落枝や倒木があり非常に危険です。まず安全を第一に。

 作業と撮影の合間に山蕗を採りました。干しホタルイカと煮ます。生でも茹ででもだめ。干しホタルイカでないと出汁が出ないのです。採りたての若い山蕗はアクが少ないので茹でこぼしは一度だけ。毎日火を入れて3日ぐらいから味が染み込んで美味しくなります。山蕗がもう少し大きくなったら味の濃い鰊との煮物にします。初夏の里山の滋味です。

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陣場平のインセクトホテルを完成。重労働エノコログサの除去。ウワミズザクラとイカリソウ。ミヤマセセリ。コシアブラの炊き込みご飯(妻女山里山通信)

2023-04-25 | アウトドア・ネイチャーフォト
 例年より10日から2週間ほど早い春。並木のアメリカハナミズキは満開です。茶臼山中腹のリンゴも咲いていました。妻女山ではシナノタンポポやクサノオウも。コゴミ、タラの芽、コシアブラなどの山菜は、もうお終いです。花も山菜もゴールデンウィーク前に終わってしまいそうです。

 妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業で作ったインセクトホテルを完成させました。初めてなので見様見真似です。どんな昆虫や微生物が入ってくれるのか予想がつくものやつかないものもあり、楽しみです。

 色々な昆虫が集まれば、その昆虫を食べる昆虫や鳥も集まります。里山なら問題ないのですが、益虫も害虫も呼び寄せるので畑や住宅街に設置するときは注意が必要です。

 これが完成形というわけではなく、観察しながら替えていこうと思います。これを作ったのは、千曲市による松枯れ病のネオニコ空中散布が中止されて数年経つのに、一旦増えた樹液バーに集まる昆虫の数が、ここ2年間激減しているからなのです。原因は分かりません。樹液を出す切れ込みを作るとか、シロップのポットを置くとか対策を色々考えています。

 陣場平の貝母群生地へ向かう小道脇に設置しました。看板がないので、なんだろうと興味を持ってもらえると嬉しいですね。福一の原発核爆発の放射性プルームは、長野市にも流れました。主に犀川沿いを登ったので、飯縄山山頂や犀川沿いにはホットスポットが生まれ、野生のキノコや山菜が汚染されました。それは今も減っていません。半減期10万年ですから当然です。私は妻女山山系の各地をガイガーカウンターで測定しましたが、アラームが鳴ることはありませんでした。しかし、現在も軽井沢や佐久方面の山菜やキノコは基準値を超えるものがあります。詳しくは長野県のホームページで確認してください。

 貝母(編笠百合)の群生地。新しいベンチも景色に馴染んでいます。小鳥の鳴き声も増えてきました。まもなく”月日星ホイホイホイ”というサンコウチョウの鳴き声も聞こえるでしょう。

 積石塚古墳の横のベンチ。左の梅の木の枝やベンチの下側に、ムモンホソアシナガバチが巣を作ることがあります。近づくときはよく確認してください。ハイキングにはポイズンリムーバーの携行を。

 赤松の切り株に、粘菌(変形菌)のマツノスミホコリが。割れて胞子を飛ばす準備ができています。左上には未熟も見られます。

 翌日は雨が降る前にエノコログサ(狗尾草:猫じゃらし)の除去。シャベルで掘り出して裏返して根切します。40株ほど掘り起こしましたが、2時間半ほどかかり重労働でした。イネ科エノコログサ属の植物で、一年生草本ですが、株が大きくなると根をびっしりと張り巡らせます。貝母の群生地の方へ繁殖してきたので除去することにしました。小さい株はまた出てくるのでいずれ掘り起こします。この場所には、貝母の球根を移植します。

 陣場平の貝母群生地の周りにはウワミズザクラが何本もあり満開になりました。南側には3本の大きなウワミズザクラがあります。微風に揺れる様は優雅です。

 ウワミズザクラ(上溝桜)バラ科ウワミズザクラ属の落葉高木で、別名はハハカ(波波迦)、コンゴウザクラ(金剛桜)など。遠目で見るととても桜には見えませんがアップにすると、アッ、確かに桜だ。

 花穂をさらにクローズアップするとこんなです。蕾(杏仁香)や実は食べられます。果実酒にも。欧州ではジンに入れたりするそう。古くは占いに使われたことから占溝桜。

 ゴヨウアケビの葉に止まるミヤマセセリ(深山挵)。蛾に見えますがセセリチョウ科ミヤマセセリ属に分類されるチョウの一種です。

 ヒメオドリコソウ(姫踊子草)で吸蜜するミヤマセセリ。テングチョウと共に陣場平や林道でたくさん見られます。

 ウワミズザクラが咲いたのでもしやと思い帰路にイカリソウの群生地へ。やはり咲いていました。

 イカリソウ(錨草)メギ科イカリソウ属 の落葉多年草。漢名はインヨウカク(淫羊霍)といいいますが、その昔、一日に何回も交尾するヤギが、この草を食べていたという故事によります。イカリインという強精強壮成分を含みます。

 コシアブラと鶏むね肉の炊き込みご飯。出汁、醤油、酒、本味醂を全部同量の汁に浸けてから水を適量加えて炊き込みます。生の若葉を加えて蒸らすと香りが立ちます。おにぎりにしても超絶美味。

ゴルゴンゾーラ、ゴーダ、チェダー3種類のチーズのサイコロを入れたコシアブラの味噌ハンバーグ豆乳味噌ソース」という長過ぎる名前の激旨山菜料理。味噌は手作り信州味噌。リンクはオリジナル基本レシピ。

■C.W.ニコルさんの追悼式が信濃町で行われました。『勇魚』出版時には、取材した折に本にサインを頂きました。私が妻女山陣場平の保全活動を始めたのも、黒姫のアファンの森の活動に賛同したからです。森が豊かになれば麓の街も豊かになるのです。逆もまた真なり。ニコルさんと親交があった坂本龍一さんも神宮外苑の再開発による樹木の伐採に反対していました。大きなブナには4000種類の生物が共生関係にあるといいます。人も森なしでは行きていけないのです。

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