本年の4月18日に、大塚製薬から新しい統合失調症治療薬が発売されました。当初は「エビリファイの後継薬」と位置づけられていましたが、この3ヶ月で実際に使用してみると、エビリファイとは全く異なる薬剤であることが分かりました。
結論から言うと、レキサルティはこれまでに発売されてきた新規(非定型)抗精神病薬と比べて、少なくとも同等の効果を持ちながらも(ただしクロザピンは除く)、副作用がほとんどないという特筆すべき特徴を持つ薬剤です。
非定型抗精神病薬は1996年にリスパダールを皮切りに次々と開発され、従来の定型抗精神病薬と比較して副作用が少ないことを売りに発売されてきましたが、それでも実際には用量を増やすと手や体が震えたり、よだれが出たり、月経が不順になったり止まったり、ソワソワしたり(アカシジア)、眠気が強くでたり逆に眠れなくなったり、食欲が増進して体重が増えたり、口の中が乾いたり、便秘になったりするなど、副作用面で様々な問題を抱えておりました。
しかし、レキサルティは上記の副作用を含めて、ほとんど副作用の発現がありません。発売前の治験のデータでは、副作用の発現率はプラセボ(偽薬)と同等であったことが報告されておりましたが、最初は「本当かなぁ」とやや眉唾に思っていました。が、この3ヶ月で約30名の統合失調症の患者さんに使用してみたところ、効果はしっかりと発揮しつつも、副作用が出たのは3人のみでした。副作用と言っても重篤なものはなく、今のところ出現したものは頻尿と軽度のアカシジア、倦怠感の3つだけです。
最初、眉唾と疑ってしまい、大塚製薬には謝らないといけませんね、大変失礼いたしました。よって、現時点ではレキサルティは新規(非定型)抗精神病薬の完成形と言っても過言ではないかと思います。今後は、効果はクロザピンと同等以上、副作用の発現はレキサルティと同等以下の抗精神病薬の開発が待たれます。もしそのような薬剤が開発されたら、それは統合失調症の理想的な治療薬になることでしょう。