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建築を旅する

旧イタリア大使館日光別邸-1

2010-09-01 17:19:58 | Weblog
日光のつづき。

今市を抜け、日光の市街地も抜ける。
有名な『いろは坂』を車で通る。

オートマ車の2速は、ここの為にあると言われるほど、急でカーブのきつい道が続く。
ちゃんと、い・ろ・は・と、順に名前がついていて、いちいち確認しながら運転。

ただ、ぐりんぐりんと脳が震える様に、右に左に揺られるので、ふらふらになりそうになる。

ようやっと、中禅寺湖へ。


それにしても、中禅寺湖は美しい。
ちょうど、夏の緑も深く、水面は光り。

気温は平地より5度くらい低い感じかな。
かなり心地いい。


旧イタリア大使館日光別邸。

ここは、学生時代、友人から、是非行った方がいいと言われ、いつかは!と思っていた場所。
しかし、日光、なかなか実現せず、かなりな月日が経ってしまった。

イタリア大使館別荘はアントニン・レーモンドが作ったもので、昭和3年に建築されたらしい。
年表によると、昭和3年という年は、レーモンド事務所に、吉村順三氏がアルバイトで働き始めた年らしい。

若き吉村順三氏も、ドラフトマンとして横目で見ていたのであろうか。

昭和3年。戦前。1928年。

1920年代、世界の建築は、ミースファンデルローエ、グロピウス、コルビジェなどがモダニズム建築を完成させていく熱い時代。

CIAMは1928年に第一回が開催されている。

1929年 バルセロナパビリオン
1931年 サヴォア邸

時代的には、そんな時代。

ヨーロッパ、モダニズムの中心から遠く離れ、極東の日本に居たレーモンド。



車を停めて、10分ほど、湖ぞいの雑木林を抜けると、現れた。


うーん、いい雰囲気。


一度ぐるっと回って、エントランス。 杉皮の市松が見える。


中に入る。開放的で、明るいリビングとダイニング。和の空間がベースにある。板間。


メインのリビング。天井のパターンが秀逸。杉皮に竿縁押さえ。網代に編まれた意匠は、茶室の様。

置かれている家具は、当時のものらしい。ソファはカバーも当時のものだとか。
ソファの中は馬の毛が入っていて、適度に固く、こしがあり、長く座っても疲れないらしい。
実際、座り心地が非常によかった。


奥にある、スペース。遠くの緑と、木漏れ日の光が美しい。格子が、吉村格子のサイズに似ている。


一番気に入った、縁側の様な、テラス。中禅寺湖が望め、開放的で、風が通り抜け、いつまでも座っていたくなる。最高!

抜けの良い空間。そこで、気がついたのだけど、建具の高さ、鴨居が高い。
やはり、外国人サイズだからなんだろう、それが、日本建築をベースに置きながらも、大きく空間が異なる気がする所以なんだろうか。


柱は杉材。立派な柱。良い部位を使ってるんだろうな。床は栂材らしい。


杉皮のアップ。10年ほど前に復刻整備したらしい。


つづく。



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