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建築を旅する

前川國男の建築展

2006-03-06 09:29:55 | Weblog
前川國男の建築展に行く。
昨年末から始まっていたのに、結局最終日になってしまった。
やはり、皆駆け込みらしく、ずいぶんと混雑するなかの鑑賞となった。

東京駅、ステーションギャラリー。
基本的にキュレーションと箱の大きさが良く、建築展も佳作が多い。
東京駅の古いレンガをむき出して作った内部は、情緒があり、日本の油絵作家などの展示には非常にぴったりくる。
ギャラリーと言えど、割合に広く、島で言ったら、大陸手前の感じ。原美術館と同じくらいは展示出来る。
サイズ云々と言うより、場所貸しだからギャラリーであるのかな。

その東京駅ステーションギャラリーも昨日が最終日。
東京駅改修に伴い、今後は2011年の完成に向け、5年間の休業に入る。
なので、今の雰囲気を見れるのもおそらく最後になるのだろう。

前川國男。
皆がよく知る日本近代草創の建築家。
しかし、こんなに体系立ててつまびらかに見た事は今まで無かった。
まあ実際には、コルビジェの弟子って事で、近作を見て知ってるつもりになって、積極的にはちゃんと向き合って来なかったところもあった。
大学の卒制!から、コルビジェの影響をもろに受け、そこから自分をひねり出そうとしてるかの様な若かりし頃、日本の美に見出した時代、そして、自分のスタイルを追い求め、確立して行くモダンな晩年。
意外とコンペ(しかも落選)が多く、知らない作品もかなりあった。
それは、自身のやるべき仕事を貫く姿勢を崩さずに、守るべきコンペの規範を破ってでも企画立案提出していた為でもある。

「殺されても歯を食いしばって守りとおせるだけの建築家の生活信念、それが当然、彼の作品の意匠として必ず現れる」
と話す彼にとっては、その挑戦こそが建築家の誠実であると考えたのかもしれない。
小さい事務所が世に問う方法とも書いているが、失敗を恐れず、日本の建築の可能性を広げる献身的な所作であったと思う。
日本を憂い、日本を背負って立つ気概を随所に感じた。
コンペ作は、やはり魅力的。
後年のピラミッドの連続する様な、レオポルドヴィル文化センターなど、出来そうでなかなか出来ない。素晴らしく面白い。

身近に触れる場所に沢山あるのが前川建築でもあり、公共建築を手がける建築家としては、先駆けの工夫が随所にある。

図録買ったので、前川語録をじっくり読みたい。

人間に魅力のある男らしい建築家であった。



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