球形ダイスの目

90%の空想と10%の事実

私が愛した人さらい

2006-02-24 | 技術
安部公房スタジオと欧米の実験演劇

彩流社

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僕のバイブルとなるかもしれない本が出ました。
今日某所で衝動買いしてしまった本なのですが、折角なのでちょっとその話をします。

僕が安部公房という作家が好きだということは多分この空間でも何度かお話していますね。

彼は医師の免許を持つというだけあって、表現に際して"生理"を重要視します。
演技においても、必要なのは感情ではなく、生理であると。

さっきから生理と言っていますがCMで水色の液体を吸収させている商品に関連するそれではなく
(簡潔に言うとアレではなく)、生理現象のことです。

この本の扱う芸術である演劇から具体的に言いますと、
「笑い」のメカニズムについて、楽しいから笑うのではなく、横隔膜が震えるから笑うという考え方です。
従って肉体に重きを置いたトレーニング、ということになります。

ちょっと音楽に話をシフトしてみましょう。
安部公房はバロック時代の音楽を好み、ロマン派の音楽をあまり好かなかったと言います。
なんでも、
"バロック音楽は文学的に感情を描いていない非常に技術的な音楽で、肉体的で生理的な音楽である"
のだと。

肉体的な音楽、生理的な音楽という表現が自分の語彙になかったため
自分の中でよく咀嚼できているとは言いがたいのですが、
感情的で精神的な音楽の対蹠としての意味では皆さんも理解できますよね。

バロック音楽というと神聖とか、平静とか、そういう言葉をイメージするものですが、
専攻が違えば言葉も変わる。
同じ部屋を写した写真でも視点が変われば映るものが変わるように。

生理的な音楽を奏するためのヒントとして、「ニュートラル」という概念が
導入されています。
これにつきましては、僕が身に付けたらまた書きます。
ただし、生きているうちは書けないかもしれません。



2005年にこういう本が出るとは、まだまだ俺も自分のフィールドで戦えそうじゃないか、すばらしい。
社会人になる前に、もう少し本質を突き詰められるかな…!?
コメント (2)
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