球形ダイスの目

90%の空想と10%の事実

おれ、夕子

2019-03-27 | 趣味(旅行・娯楽・読書・食)

この題名でピンとくる人、おれと好みが似るのかもしれない。

藤子F不二雄短編集の中にあった小品。
自分の親が、恐らくは自分の子に最低限の漫画を与えようということで
我が兄弟に買ってくれた(と思われる)一冊である。
その中で、一番インパクトのあったタイトルがこれ。自分が最初に触れたSF作品と言えよう。
話の筋は、詳細は避けるが、とある理由で"俺"が"夕子"になってしまうというものである。話自体は短く、単なる怪現象を一つ述べているに過ぎないが、
怪奇現象を通じて、人の内に秘めた優しさと情感が肌で感じられる良い話である。
※同じ巻で、"ふたりぼっち"という話もある。
 これも、繊細な寂しさを呼び起こさせる良い話。

幼いころに読んだきりになっていてすっかり忘れて過ごしていたが、
これがKindleに上がっていることを知って、"あ、この話は俺のルーツだ"と思い立ち
即買いしてしまった。大学生以降でも多くの漫画を読む機会に恵まれたが、
これほど脊髄反射的に買ってしまった漫画は多くなく、フィクションに対する俺の扉を開けてくれたまさしく最初の本である。
フィクションでありながら、読み手である僕の心に心地よくすっと入ってくるファンタジー。
今は思い出せたことにうれしさを感じている。


ところで、以前はアウターゾーンが懐かしくなって前回Kindleで揃えたが、
今日話題にした藤子F不二雄SF短編集も、そのうち全巻Kindleで揃えることになると思われる。
語弊を恐れずに言えば、アウターゾーンは藤子F不二雄SFの系譜のようなところがある。少なくとも、僕はこの2者に殆ど同じものを感じて購入した。


コメント (2)
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