もく窓

~良い映画と究極の手抜き料理を探して~  

パンズ・ラビリンス

2007年10月14日 | 映画館
 お気に入り度:銀  ギレルモ・デル・トロ監督 2006年
出演 イバナ・バケロ、マリベル・ベルドゥ、セルジ・ロペス

子守唄が聴こえ、血を流し倒れている少女。逆回しで流れた血が戻っていくとカメラは少女の瞳の中へ吸い込まれていくようにして回想が始まります。
スペイン内戦後の混乱が続く中、再婚した母と共に新しい父親の元へ行った少女オフェリアの現実の体験と空想とが交互に描かれていきます。
望まぬ再婚をし身重で体調もすぐれない母親はオフェリアの理解者となりえず、新しい父は冷たく恐ろしい存在で、オフェリアは孤独です。家政婦メルセデスの秘密を目にし、徐々にメルセデスを慕ってゆきます。
オフェリアが空想の世界で大ガエルから鍵を手に入れると、家政婦メルセデスは倉庫の鍵を使って人民戦線側に薬品を渡します。オフェリアが空想の世界で剣を手に入れると、メルセデスはナイフを使ってビダル大尉を切り裂きます。
オフェリアは剣を手に入れる時に妖精が鍵の場所を間違えたのに自分で正しい場所を捜し当てます。そして妖精が止めるのを振り切り、禁じられていた食べ物を口にします。知識の実を口にし彼女の視野が広がったことを、グロテスクで恐ろしくてチョットコミカルな映像で見せてくれます。成長して視野が広がると危険なものを察知できます。察知できないほうが知らぬが仏で暢気にしていられるのですが、察知できるからこそ怖さも感じ危険から逃げ切ることも出来るのです。
メルセデスはビダル大尉の部下に追われ、、、。そしてオフェリアは、、、
冒頭のシーンにお話が繫がり、空想を織込んだ回想が終わると、ラストはオフェリアの最後の空想です。アンデルセン童話のマッチ売りの少女が最後に見た夢のように美しく温かな金色の世界、オフェリアにとって現実よりも死のほうが安らかであったと思うと余計に切ないラストでした

細部までとても良く練られている作品で、観る人の想像力に訴えてくるものが多く、見終えたあとに何度もぐるぐると思い返して、まさにラビリンスに迷い込んでしまう作品でした。
また、映像は美しいのですが監督の猟奇趣味が良く出ている部分があり、PG-12指定でしたがR-15にしたほうが良いかと思いました。

ところで、冷酷で残虐なビダル大尉は父親のことでトラウマを抱えているようでしたネ。
wikiによると『反乱軍は、当初からフランコが全権を握っていたわけではなかったが、フランコが独伊の支援をとりつけていたこと、フランコと並ぶファシスト側の指導者であったエミリオ・モラ・ビダルの事故死(1937年6月)などが重なり権力の集中が進み ~ ~ ~ ファシズム体制を固めた。』とあるので、映画のビダル大尉はエミリオ・モラ・ビダルの息子という設定なのでしょうか。時計のエピソードも何だか気になって、、、
色々と気になることがいっぱいの映画でしたが、もう一つ分からなかったのが、オフェリアがビダル大尉のワインに入れていた薬は、ドクターが母親に処方していた薬だったでしょうか? 母親が具合が悪かったのはドクターのせいでしょうか?
よく変な勘違いをするので、教えていただければと思います。

パンフレットが売り切れで買えませんでした。きっとパンフレットも細部まで良く出来ているんでしょうね。
はぁ~残念、、、このパンフレットは欲しかったなぁ


(追記)十日後、2回目を観に行きパンフレット買えました♪