観劇☆備忘録

ミュージカル大好き!

『レベッカ』初回感想(ネタバレあり)

2008年04月25日 | レベッカ
わたし…大塚ちひろ
マキシム…山口祐一郎
ダンヴァース夫人…シルビア・グラフ
フランク…石川禅
ファヴェル…吉野圭吾
ベン…治田敦
ジュリアン大佐…阿部裕
ジャイルズ…KENTARO
ベアトリス…伊東弘美
ヴァン・ホッパー夫人…寿ひづる
フリス…松澤重雄

ネタバレがありますので、ご注意下さい!!


かなり偏った気恥ずかしい勘違いの連続だとは思いますが、軽く読み飛ばして頂ければ幸いです



山口マキシム
スーツ姿の山口さんが素敵過ぎる事は観る前から分かっていましたが、やっぱり格好良い~

美しい立ち姿、涼しげな目元、優しそうな笑顔・・・
バルジャンを初めて観た時の様にドキドキしながらの観劇でした
(二回共、壁隣の超上手席だったので表情が見えず、想像するしかないシーンが多々あったのが唯一の心残りです ・・・5月にリベンジするぜ

見ていないので映画や小説のマキシムは分かりませんが、山口さんのマキシムは人が良く、根の明るい『お坊っちゃん』的な感じ

ミステリーならマキシムすら何を考えているのか(「わたし」にとって敵なのか、味方なのか)分からない人物として描くという手も”あり”だとは思いますが、個人的には山口さんご本人のお人柄が滲み出いる様な癒し系マキシムの方が好みです

生来『陽』のマキシムが悲劇によって『陰』となる。
そんな姿に想像力を掻き立てられ、いろいろと楽しむ事が出来ました

好きなシーン
ヴァン・ホッパー夫人とのやりとり
コメディの間合いは完璧!
このままお二人で漫才でも出来そう(笑)

『アメリカン・ウーマン』でヴァン・ホッパー夫人に迫られているジュリアン大佐を見ている時の屈託の無い笑顔と戸惑っているジュリアン大佐に手を振っているところ。

『永遠の瞬間』で、マキシムへの想いを歌っている「わたし」を物陰から愛おしそうに見ている時の表情。

船が引き上げられた後の「もう終わりだ・・・」と憔悴しきった姿と『凍りつく微笑み』の後で「君の顔から子供っぽさが消えた・・・」と頼もしそうに「わたし」を見上げるシーン。
こんなに弱った山口さんを見られるなんて・・・何だか得した気分(笑)

ファヴェルに脅迫されるシーンで不安げな「わたし」を守る様に肩を抱いているところ。(マキシムの中で守る対象が「父から受け継いだもの」→「わたし」へと変化した事が伝わって来ます。)


でも一番の見せ場やはり『歌』
『神よ なぜ』
『凍りつく微笑み』
『炎のマンダレイ』
迫力の楽曲に山口さんの美声と技巧の歌唱力・・・最高にドラマチック
心拍数がグングン上がります

この三つは歌詞も切ないんですよね・・・。
マキシムが父から継いだ物(マキシムにとって父そのもの)を守る為、耐えに耐え、抑えに抑えて来た感情を一気に爆発させる姿には、やはりグッと来ます


シルビア・ダンヴァース夫人
ハマリ過ぎ
演技、表情、台詞、歌・・・存在全てが怖い

「出た~!!」みたいな(笑)

登場時の『♪誰が来ようとも決して認めない~』からグッと惹き付けられました。
凜とした表情で堂々と歌う姿が素敵です

その分『それは私よ』で「わたし」に押されるシーンは印象的です。
強く生まれ変わった「わたし」に押されるというより、見たくない現実を突きつけられて怯え動揺している様…。
イヤ・・・イヤ・・・と言う様に後ろに下がって行くところにダンヴァース夫人の本当の姿を見たような気がします。

レベッカの忠実なるしもべなのか、理想の自分の姿をレベッカに投影していた自己愛の一種なのか・・・。
いずれにせよ、影として生きる者の哀しさを強く感じさせてくれました。


大塚「わたし」
一幕からチラチラ芯の強さが感じられるも、生まれのコンプレックスが彼女の強さをベールの様に隠している…。
しかし、完璧だと思っていたレベッカの真実を知り、その影からマキシムを守る為にそのベールを脱ぎ捨て本来の自分の姿になった・・・。
そんな風に思えました。

好きなシーン
『凍りつく微笑み』で真実を知った後、ガラっと声のトーンと表情が変わる瞬間。
ゾクッと来ましたね。
そして、その後のマキシムの為に戦う姿。
見ていて快感に近い心地良さがありました。

後『裁判』でわざと倒れるところ。
あの倒れ方はお見事。


禅フランク
禅さんが勿体無く感じられるくらい地味な役なのですが、誠実丁寧に演じておられて目が離せません。

禅さんの何とも言えないアノ虚ろな表情がツボにハマってしまい、オペラグラスで舞台を見ていると何時の間にか彼に釘付けになっている自分に気が付きます。

一見温厚で感じの良い紳士なのですが、時折レベッカへの複雑な感情が見え隠れし、「もしかしてこの人がレベッカを・・・」と思わせる要素もあり、完璧なミステリーの住人と化してます。
一寸した間を取って、笑いを誘ったり流石ですよね。
でもまだまだこれからも静かな進化が期待出来そうな感じ。

好きなシーン
フランクが「わたし」に向けて歌う『誠実さと信頼』は、「わたし」への励ましだけでなく、レベッカへの怒りと失望(パンフレットにあった「レベッカがこうであって欲しかった」という想い)などの様々な感情が入り交じっていて観応え聴き応えがあります。
禅さんはこの様な複雑な心情を表現される事に長けておられますよね。
『MA』の『もしも鍛冶屋なら』を思い出しました。


吉野ファヴェル
言動の一つ一つに良い意味での造り込み感があって強烈な印象が残ります。

お金と人の不幸が大好きな嫌な奴、でも吉野さんが演じられると逆に”有りの儘に振る舞う人間“の爽快感を感じるというか不思議な魅力があります。
何より本当に楽しそうに演じておられるのが最高です!

好きなシーン
『流れ着いたもの』
迫力のアンサンブルさんの歌に吉野さんが華やかな色を添える
「大好きなんですよぉ~」 「残念また僕でした」(16日は客席からクスッと良い意味の笑いが起こっていました)「だよねぇ」などの独特の台詞回しが堪りません
吉野節は癖になります(笑)

『裁判』で二階から実に嬉しそうに傍聴しているところ。
帽子を噛んだりしていた様な・・・。

『持ちつ持たれつ』
吉野ファヴェルと禅フランクの派手地味対決(笑)

思うがままに振る舞うファヴェルと、そんな彼に対する静かな怒りを燃やす禅フランクの対比がお見事。
吉野ファヴェルの華麗なダンスはもちろん、土足でソファーに飛び乗るファブールにギョッとギョッとしてクッションを拭く禅フランクといったコミカル要素もあり楽しい。
最後にまたソファーに土足で飛び乗りフィニッシュを決めるファブール。
「わざとやってるでしょう」みたいな(笑)


治田ベン
真相を知っている(ですよね?)が中立の立場にあり、常人でない故にどう出て来るか(動くか)分からない。
物語に不気味な陰影を付ける難しい役。

でも姿に惑わされず臆病で純真な子供だと思えば、治田さんの演技の的確さに納得できます。

好きなシーン
マキシムの告白(『凍りつく微笑み』)の後寄り添い合う二人をソッと陰から(舞台では上から)伺い喜びと幸せを噛み締める様に微笑んでいるところ。

ファヴェルに証言を求められる『行っちゃった(リプライズ)』で、虚ろだったベンの瞳にファブールに対する怒りと「わたし」を守ろうとする決意が宿るところ。
「大丈夫だよ」と言う様に「わたし」頭をソッと撫でるのが良いいなぁ。
愛によって強くなったのは「わたし」だけではない。
小さな感動を与えてくれるシーン。


KENTAROジャイルズ
ミステリーの住人とは思えない可愛らしさ(笑)
(ちょっとスケベっぽいところもあるけれど
その為、犯人候補はからはノッケから外れてしまいましたが・・・
でもそこが好き
KENTAROさんって強面のイメージがあったのですが、こんな可愛いオジサンにもなれるのですね。


阿部ジュリアン大佐
阿部さんは実年齢より上(ですよね?)の役をなさるとピッタリとハマるお方ですね。
安心感があって良いなぁ。
『アメリカン・ウーマン』でヴァン・ホッパー夫人に迫られているところが好きです。


まとめ
一度目はミステリーとしてハラハラドキドキ、二度目は心理劇として何度観ても楽しめる舞台。
でも何より、ハッピーエンドのラブストーリーとして楽しむのが一番しっくりするかも。

可愛らし過ぎるちひろちゃんと、素敵過ぎる山口マキシムの相乗効果で、少し昔の少女漫画を観ている様でもありました(誉めてます


ラストの『エピローグ』も「これぞミュージカル」といった感じでとても感動的なのです。


ん~癒し系サスペンス

次は5月。
今から楽しみです。